アメリカ最新事情：急速に力を伸ばす極右グループとバイデン政権

アメリカ最新事情：急速に力を伸ばす極右グループとバイデン政権

報告＝和美（サンフランシスコ）

＊写真＝新聞報道より

 

アメリカのファシズムについて。 アメリカにはもともとあったKKKなどの白人主義者団体以外にも色々な極右のグループが います。私はこれについて詳しくはありませんが、今回の連邦政府議事堂の襲撃以来、QAnonとか Proud Boysの名前が出てきました。これらのグループはトランプが大統領になってから、 急速に力を伸ばしてきました。このQAnonなどは一度日本でも若者がQAnonをサポートして、 デモをしているのを写真で見て、びっくりした事があります。トランプ自身もツイッター などを使って、彼らを煽り、自分の地盤を固めてきました。

アメリカ国民の約半数近い人がトランプをサポートしていますが、そのうちのかなりの人 が、この極右へのサポートをしています。私の感じでは、特に軍部、警察などはその割合 が一般以上に多いのではないかと思います。今回の襲撃で、死んだ一人は元空軍の女性兵 士で、止めを聞かずに窓ガラスを破ってよじ登ろうとしているところを撃たれたようです。

議事堂の警備や議員自身の中にもこの計画に参加した人たちがいたようです。コロナ以来、 議事堂の中は一般の人の見学は廃止されていたようですが、どうも前日だか数日前に、 ある議員だかが外部の人を連れて、部屋などを案内していたそうです。このような情報は テレビでの議員などへのインタビューで私自身は得ていますが、再生された動画から、な だれ込んだ連中が、「フロアマップはどこだ」と叫んでいたり、階段の上部にいた人が下 の人に向かって、「右のドアだ」などと叫んでいるところがありました。ある黒人の議員 が「自分のへやは名札がドアに付いていないのに襲われた」と話していましたから、前も って、誰がどの部屋かわかっていたのでしょう。

インピーチメント（弾劾）の議会の前、ある民主党の議員が共和党の議員と話をしたら、この共和 党の議員は涙ながらに「自分は子供がいて、もしインピーチメントに賛成したら、家族が殺され る、だからできない」というようなことを話したようです。

この襲撃後にAlexandria Ocasio-Cortex（オカシオ・コルテス議員）が話していましたが、 自分は殺されると思ったそうです。ペンスでさえも、群衆が「ペンスはどこだ」と叫んでいますから危なかったで しょう。また、この1月20日の就任式前後にこの連邦議事堂だけでなく、全国50州のそれぞれの Ca pitol (州議会議事堂？）を武力で襲うとSNSなどで広まっているそうですので、カリフォ ルニアのCapitolのあるサクラメントでも州兵を集めているようです。

日本ではなかなか想像もつかないでしょうが、アメリカは州によって多少違いますが、街 道を自由に銃を持って歩くのが法律で許されているところもありますから大変です。今ま でアメリカは外国のグループをファシストグループだとして非難し、対処してきました が、ここにきて、否応なしに国内のファシストグループの対処を迫られました。アメリ カはこれまで140くらいの外国のクーデターを煽動してきたと聞きましたが、今回は自分 が自国民クーデターでやられる方でした。

ここで、ただ一つ、この極右に対して多少歯止めがかけられるかと思われたのは、1月5日 に行われたジョージア州の上院議員の決選投票の選挙で民主党が二人とも勝ったことです。 これによって、上院は共和党と民主党が50人ずつになり、決議で50、50と別れた時は副 大統領が一票を入れる事ができるため、事実上、民主党が主導権を握りました。もし上院 での弾劾判決が通るとトランプは生涯、選挙には出られません。ただ、インピーチメント の上院での裁判では３分の２の議員の賛成を得なければいけません。ということは50人い る共和党員から17人が大統領に対して反対しなければいけませんので これは多分無理と思います。極右からの脅しには勝てないでしょう。

最初のトランプのインピーチメントの時は共和党からは誰一人、賛成する人がいませんで したが、今回は下院で10人が賛成に回りました。この人たちへの嫌がらせはすでに始まっ ているようで、彼らは暗殺を覚悟で、それでもこれはひどいと思ったのでしょう。上院の 委員長マコネルでさえ「共和党がインピーチメントの決議案を出してくれたことを喜ん でいる」とコメントしています。彼はこれまで、何事もトランプをサポートしてきた人で す。決議案が上院に来た時、実際どのようにするかはわかりませんが。

また、ここにきて、ツイッターなどのSNSの会社が一斉にトランプのアカウントを停止しま した。最初は一時的に停止でしたが、どうも永久に停止になったようです。トランプにとって、 Twitter は自分のサポーターとつながる命綱です。8千800万以上のフォロアーがいて、毎 日何十回とメッセージを出しています。彼が選挙は不正だった、自分は勝ったのに共和党 に不正をやられた、と言い続けて、それをほとんどのフォロアーが信じます。この嘘の発 信がストップされたので、息の根を止められたも同じです。今後、自分でSNSの何らかの システムを立ち上げる、と言っているようですが、あまり簡単ではないと思います。

ところで現在、こちらでのコロナの広がり方は酷いもので、カリフォルニアのLAあたりは 3人に一人が感染しているとか。全国で1日に４千人ほどが死んでいます。私たちもいつ感 染してもおかしくない状態です。これを心配してか、今日、韓国のミョンジュン・キムさんが 箱いっぱいのマスクを送ってくれました。

このような状況下でのバイデン政権はかなり厳しくなるでしょう。