高速増殖原子炉「もんじゅ」(提供:日本原子力研究開発機構(JAEA))
普通の原子力発電で発生した燃えカスのプルトニウムを再利用できれば、永久エネルギー発生マシンができる。これを目指したものが、日本の”文殊”で高速増殖炉と呼ばれているものである。高速増殖炉は、発電しながら消費した以上の原子燃料を生成することができる原子炉。現在の軽水炉などに比べて、ウラン資源の利用効率を飛躍的に高めることができる。
政府は、1995年、福井県敦賀市の日本原子力研究開発機構の高速増殖炉ヲ構築。高速増殖炉開発を「国家プロジェクト」と位置付けて、国際的にも主導的な役割を果たしてきた。”もんじゅ”は、その中心となる施設であった。
しかし、”もんじゅ”は、冷却材の金属ナトリウム漏洩火災事故を起こしたり、炉内中継装置落下事故を起こしたりで、開発が難しくなったため、2016年12月21日に廃炉が正式決定されている。
読売新聞は、アメリカのテラパワー社が、日本原子力研究開発機構と三菱重工業などと協業し、日本のこの”もんじゅ”の技術を復活しようと伝えている。うまく行かなかった技術を成功させる目途があるのか、また、ウラン238とかプルトニウム239とかが完全燃焼するものではなく、燃えカスは生ずる。
高速炉は、核燃料を有効利用する日本の「核燃料サイクル政策」に不可欠な施設。だが、2016年にもんじゅの廃炉が決まり、開発は滞っていた。政府は、50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現に向け、高速炉などの次世代原子炉の研究開発を進める方針だ。
原子力機構高速炉・新型炉研究開発部門の上出(かみで)英樹副部門長は「脱炭素エネルギーとしての原子力の開発に貢献し、日本独自の技術を絶やさないようにしたい」と述べた。
高速炉=高速の中性子の性質を利用して、従来の原発(軽水炉)よりもプルトニウムなどを効率的に燃やす原子炉。炉内の熱を取り出す冷却材には、主に液体ナトリウムを使う。強い放射線を長期間出す放射性廃棄物の量も減らせる。
とはいっても、廃炉決定されたプロジェクトが、うまく行くのだろうかという疑問はある。むしろ、イーターという核融合プロジェクトが日本中國、韓国、欧米諸国の国際的共同事業として進められていて、2030年にはプロトができるという。こちらの方を優先すべきではなかろうか?