韓国に住むJang Dong-gilさん(30)は4月に次世代通信規格「5G」サービスが開始された時、真っ先に契約したユーザーの一人だ。だがそれから8カ月経った今、Jangさんは期待したほどではなかったとがっかりしている。
5Gが使えるサムスン電子の携帯電話を持つJangさんは「そんなに違いは感じられない」と語る。
韓国は2019年4月に多くの国に先駆けて「5G」サービスを開始。今年、世界で5Gを利用した人の多くが韓国市民だ。だが、5Gは技術的革新というよりも、「未来の約束」というレベルにとどまっているのが現状だ。
自動運転車や仮想現実(VR)、遠隔手術などの分野で利用が期待される5Gを巡っては各国が導入を競っており、米国では地域限定でサービスが始まっている。
中国では、11月にサービスを開始。バーンスタイン・リサーチのアナリスト、クリス・レーン氏は、5Gの契約者は20年末までに1億2000万人に達すると予想している。現在のところ、5Gの利用は遠隔手術のテストなどに限られた分野にとどまっている。
韓国は5G導入で先行している。業界アナリストによると、人口が5100万人の韓国で、5Gの契約者は19年末時点で推定450万人を超える。
KT、SKテレコム、LGユープラスの韓国通信大手3社は4月にサービスを開始した。米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズと同日だった。
ベライゾンのサービスが米国2都市に限定されていたのに対し、韓国では人口の約半分がサービス対象となった。
ただ、実際の利用者の数は限られている。ソウルを拠点とするストラテジー・アナリティクスのアナリスト、ウッディ・オウ氏は、5Gには「キラーアプリがない」と指摘する。
業界関係者の間では、5Gの利点は自動運転車やスマートシティなどの分野で生かしやすいが、消費者がスマートフォン上で体験するのは難しいとの見方がある。
消費者にとって、5Gにつながるかどうかが現状では一番の問題ともいえる。前述のJangさんは、5Gと既存の4G LTEサービスの間で接続が頻繁に切り替わるため、5Gをオフにしておく日が多いと述べている。
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