宇宙の成り立ちを探る素粒子実験を行う次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を岩手・宮城両県の北上山地に建設する日米欧の物理学者の構想がある。 予算は8千億円で、日本が半分強を負担し、米欧などが残りを負担するという計画。
加速器は30Kmの長さの空洞に電子と陽子を加速させて衝突させ、宇宙が誕生した状態を作り出す。その際に、長距離の加速器は、-271℃に保つ必要があり、そのためにクライオモジュールという、超低温・超伝導の冷蔵庫を千個も二千個も連結してILCを構成させる。
これだけの規模で、しかも最先端性を持つ巨大加速器の建設は世界でただ一つのプロジェクトになるだけに、この開発で先陣を切りたい日本としてはどうしても誘致したいのだが、巨額の予算をいかに確保するかが大きな課題で、日本学術会議などはちょっと腰が引けている感じがする。
この装置が完成すれば、宇宙の誕生の謎が大きく解明されるし、ノーッベル賞も何個かは貰える科学者が出るだろう。また、粒子加速技術を医学や産業に応用できて、文部科学省は、30Kmの大きさのILCから20Kmに縮小した場合の経済効果を、5月31日、従来の試算と比べ約4割減の2兆6500億~2兆9100億円に下方修正する案を有識者会議で公表した。
産業における経済効果は新機能材料/部品の創出、量子線がん治療、宇宙ステーション、光電子回路、量子コンピューター、さらには生命科学に関連する機器などの開発が、我が国において加速するメリットは確かにあるだろう。
最終的には日本学術会議が誘致に関する最終議論をまとめ、2018年内に文部科学省が誘致に名乗りを上げるかどうかの結論を下すことになっている。
上記写真のクライオモヂュールは盛岡の先端科学技術センターILCオープンラボに展示中で、日立製作所が受注し、三菱重工業が作り上げたものだ。
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