中国の国防予算、心配の種は「非公式な軍事力」。中国の場合、正式な国防予算の他に民兵組織があって、たとえば小さな漁船の乗組員漁師でも、情報活動をしたり、いざとなれば武闘もするし、情報技術者なら、その一部の1千万人と言われる技術者がハッカー活動をしているとかで、実際の国防費は、公称の20兆円を遥かに超える。ハッカー民兵なら、年間20万円の報奨金でも2兆円相当になる。
[香港 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の国防費が今年の予算全体に占める割合は低下する。昨年は派手に使ったが、今年の購入ペースは減速するだろう。
だが、海上で活動する民兵を含む血気盛んな漁船団に加え、非通常兵器に対する予算外の投資により、アジアの軍拡競争は今後も一触即発状態が続くことになる。
2019年予算に国防費が占める割合はわずか5.9%にすぎず、前年比7.5%増の1.2兆元(約20兆円)となる。昨年は大幅な増額が注目を集めたが、予算全体に占める公式的な国防費の割合は1990年代以降、徐々に低下している。
米国の場合、2017年に国防総省に充てられた予算は全体の9%近くに上り、中国のそれを上回っている、とストックホルム国際平和研究所は試算する。とはいえ、中国は年間の金額ベースで世界2位の軍事大国であり、敵対国を懸念させる一方で、実際にはもっと使っているのではないかとの疑念も生んでいる。
確かに、南シナ海における領有権を巡り争いを繰り広げているベトナムやインドネシアのような近隣諸国にとって、中国の非公式な軍事力は心配の種となっている。
例えば、向こう見ずな漁船団の台頭も、対立の原因となっている。領有権を巡る対立は、割り当て制の導入を困難にしている。乱獲や汚染により、漁船は領有権の主張する範囲を超えて活動することを余儀なくされている。沿岸水域に迷い込んできた中国の漁船は、インドネシア海軍によって、またある時はアルゼンチン海軍によって沈められた。中国漁船団はまた、同国海軍や沿岸警備隊と協力して活動する海上の民兵とも手を組んでいる。
また別の懸念もある。1つは、東南アジアの通信網構築に中国企業が関与することで、政府のウェブサイトや送電網を標的としたサイバー攻撃が促進されること。もう1つは、中国が人工知能(AI)や無人航空機への研究を行っていることで、大量の軍事ドローンが生み出される可能性だ。
中国の国防費が書面上は後退したからといって、アジア海域の波風が静まるわけではないのだ。
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