トランプ氏、「壁」建設巡り非常事態宣言へ 議会は予算案可決
[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は14日、議会の承認を得ずにメキシコ国境の壁建設費用を確保するため、国家非常事態を宣言する方針を表明した。
トランプ大統領は、政府機関の再閉鎖回避に向け、自身の求める57億ドルの壁建設費を含まない予算案に署名することで合意。ホワイトハウスのサンダース報道官は「トランプ大統領は予算案に署名する。さらに、大統領がこれまでに述べてきたとおり、国家非常事態宣言を含む大統領権限も行使する」と述べた。
大統領の署名を受けて、民主党が多数を占める米下院はこの日、政府機関の再閉鎖回避に向け与野党が合意した同予算案を賛成300、反対128で可決した。上院ではすでに可決済み。
<民主党は反発、提訴示唆>
民主党トップは非常事態を宣言するという大統領の方針を直ちに非難した。
民主党のペロシ下院議長は、トランプ大統領が非常事態宣言を発令すれば提訴することもあり得ると語った。記者団から提訴するか尋ねられた下院議長は「可能性はある」とし、「すべての選択肢を精査し」、民主党は「適切に」対応すると語った。
民主党のシューマー上院院内総務は「大統領権限のひどい悪用」と非難した。
一方、共和党のマコネル上院院内総務は、大統領の非常事態宣言に支持を表明した。
トランプ大統領は15日に国家非常事態を宣言する見通しだが、この戦略を巡ってはすでに共和党内でも見解が分かれている。
共和党穏健派のスーザン・コリンズ上院議員は、声明で「この目的で国家非常事態を宣言するのは間違っている」と指摘した。
一方、保守強硬派グループ「自由議員連盟(フリーダム・コーカス)」を率いるマーク・メドウズ下院議員は「トランプ大統領は現時点で、大統領権限を行使することを検討しなければならない。国境を守るため、大統領を支持する」と表明した。
議会側近によると、下院民主党は大統領の非常事態宣言後に訴訟を提起する見通しだ。そうなれば、資金の転用を阻止する差し止め命令が下される可能性がある。
関係筋によると、ホワイトハウスは非常事態宣言の下で国境の壁建設費に振り向けることが可能な既存の財源が27億ドルあることを確認しているという。
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