日経ビジネスが、GAFAの勢力をそぐためにEUで解体論や色々な規制策が考えられているが、EU メンバーの『GAFA解体に反対「1つの頭を切れば2倍になる」』と言う意見のふぉっとライトを当てているが、全く同感できる。アメリカのベンチャーの気風を見ると、解体すればするほど、新たな細胞が誕生して新たなベンチャーが誕生し、第2,3のGAFAがガンガン誕生すると思う。
以下、ニッけビジネスの引用::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員が、GAFA(米グーグル、米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)の責任を追及しているのはEU競争法違反だけではない。課税逃れでもGAFAを追及しており、アップルとアイルランド政府には143億ユーロ(約1兆7400億円)の追徴課税を、ルクセンブルクとアマゾンにも追徴課税を命じている。こうした動きに関連し、欧州各国では巨大テック企業への課税を強化するために、デジタル課税を導入する動きがある。
米国では2020年の大統領選の主な争点として、GAFA解体が浮上している。インタビューの前半、GAFAの責任追及の急先鋒(せんぽう)である欧州委員会のベステアー委員は、解体論をどのように捉えているのか。インタビューの後半では、欧州委が重視する環境政策など広範なテーマについて聞いた。
あなたはEU競争法違反とは別に、課税逃れでもGAFAを追及しています。市場を席巻している国で納税せず、税率の低い国で一括して納税処理をしているのは不公平と判断しています。こうした追徴課税は今後も追及できると思いますか。
欧州委員会のマルグレーテ・ベステアー委員(以下、ベステアー氏):できると思います。好むと好まざるとにかかわらず、彼ら(巨大テック企業)は税金を支払わなければなりません。
巨大企業は、資本金や市場へのアクセス、スキルを持った人材の獲得など様々な面で優位に立っています。そんな彼らが社会とビジネスの場に貢献していないとしたら、いかがでしょうか。
デジタル課税について、私はあらゆる手段の中で経済協力開発機構(OECD)の協定がベストだと考えています。欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、OECD協定を締結することができない場合には、欧州でも議題として取り上げるという確固たる意思を見せているのを非常にうれしく思っています。
勢いを保つことは非常に重要です。欧州の国々が「先陣を切る」と言い出す気持ちも分かります。欧州で非常に優れたビジネスを展開している企業が、そのビジネスの場としている社会に貢献しない理由の説明がつきません。
19年にデジタル課税をいち早く導入したフランスの判断は正しかったと思いますか。
ベステアー氏:正しかったと思います。
欧州裁判所から19年9月に米スターバックスへの追徴課税の請求に対する差し戻しがありました。どのように捉えていますか。
ベステアー氏:追徴課税の体系に問題があり、差し戻しとなりました。裁判所は内容については何も言わず、「これではスキームと言えない」と言いました。
フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とスターバックスへの追徴課税を巡る裁定では、FCAに対しては100%勝訴し、スターバックスについては引き分けでした。楽観的な見方かもしれませんが、私たちは最も重要な引き分けを勝ち取ったと思います。
支配的な立場になれば特殊な責任を負う
米国ではGAFA解体を巡る議論が過熱しています。2020年の大統領選挙ではGAFA解体を主張する政治家の支持率が高まっています。あなたはGAFA解体には賛同していないと聞いていますが、それはなぜでしょうか。
ベステアー氏:欧州の法律に基づけば、最終的にGAFAを解体できるでしょう。しかし、競争法に関わる問題であれば、私たちも力のバランスを考えなければなりません。もたらしている悪影響の大きさに対して厳し過ぎる措置を取ることはできません。
また、私たちはできるだけ(消費活動の)邪魔にならない措置を取る責任があるとはいえ、その方法ははっきりとは分かりません。企業を「解体する」とは、何を意味するのでしょうか。
次に考えるべきは、GAFAを解体したとして、何が得られるのか、という点です。私はギリシャ神話のヒドラのことを思い浮かべています。1つの頭を切り込むと、頭の数が2倍になってしまうという、あれです。解体後に何が起こるかは分かりません。
興味深い論点の1つは、彼らが市場を支配する会社として、どのような責務を担っているか、ということです。10~15年前は、市場を支配するような企業は、物理的な性質を持つものでした。つまり、何かを生み出すためには、何かを投じなければなりませんでした。当時、支配的な企業になるためには、今よりももっと力を尽くさなければなりませんでした。
限界費用(マージナルコスト)は現在でも無視できません。今では、支配的な企業であってもマージナルコストがゼロということがあり得る。従って、近隣の市場に入り込んでいくことの意味が、旧来の物理的でアナログだった大企業とは全く異なるのです。
それがどういう意味なのかを考えてみたり、解釈を見直したりするのは面白いことです。欧州では、成功は非難されるものではありません。ユーザーがあなたのサービスを気に入って、会社が成長するのであれば、問題はありません。
しかし、成功した末に市場に対して支配的な立場になるのであれば、特殊な責任を背負うことになります。私はこの考え方は、とても欧州的だと思います。小さな会社ではできたことが、支配的な巨大企業ではできません。
例えば犬でも、子犬のうちはほえたりジャンプしたり、何でも好き放題にしています。人間は子犬を最終的には拾い上げられると思っているうちは気にしません。ところが、巨大な犬がうなり声を上げ始めると、状況が変わってきます。
私たちも、小規模なベンダーにはあらゆることを許しています。何でも試してみればいいし、成功すれば市場の5%を獲得できるでしょう。しかし、大手がわずかにでも契約を変更し始めると、市場全体に影響が及んでしまいます。そうしたとき、支配的な企業が果たすべき責任があります。
12月に発足した欧州委員会の新体制で、あなたは競争政策の担当トップに加えて、デジタル政策の担当トップにも就きました。世間からのプレッシャーは強くなります。
ベステアー氏:判断が分かれる部分は、裁判所に任せます。私たちは全ての活動で透明性を保っています。新しいポストを打診される以前から多くのことを考えてきました。最も重要だと思うのは、私たちがしたこと、していないことについて、不平や不満を受け付けるということです。大切なことの1つは、「何をしたか」と「何をしていないか」を透明にしておくことです。
私たちが何をして、何をしていないかについて、世間の人々も不満をぶつけることができます。そうした苦情に対して、私たちは公の場で対応しなければなりません。そうすることで、人々が私たちの活動を見て、正しい方向に進んでいるか、確認できるのです。
グリーンディールでデジタル化は重要
あなたは新設された上級副委員長という欧州委のナンバー2のポストにも就きました。
ベステアー氏:新たな欧州委員会を始動できてよかったです。それも、欧州議会で65%の票を得る良いスタートを切れました。議論は一進一退を繰り返していたし、3人の委員候補が議会の承認を得られませんでした。平たんな道のりでなかったことは見ての通りです。そういう背景もあって、65%の手堅い支持率で滑り出せたのはよかったと思っています。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、前委員長に比べてどんな違いがありますか。
ベステアー氏:2人の委員長は、仕事のスタイルや進め方の面で大きく異なっています。ユンケル前委員長の下で仕事ができてよかったし、新委員長のウルズラと一緒に仕事をすることもとてもうれしいです。ユンケル前委員長の肖像画がギャラリーの階下で公開されたときに引き渡し式がありましたが、本当に感動的でした。
2人が何を言ったかではなく、彼らがどうつながり合っているのかが感動的でした。2人とも欧州人であるという意識を持ち、欧州人としての責務を取り戻すという感覚を互いに持っていたので、引き渡しはうまくいきました。
新しい欧州委員会は50年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにすると同時に経済成長も目指す「グリーンディール政策」を発表しました。気候変動問題にデジタル政策はどのように関わってくるのでしょうか。
ベステアー氏: 私はグリーンディールが今後の欧州委員会の取り組み全体を彩るものの1つになると思います。カーボンニュートラルになるために私たちがすべきこと全てに関わってきます。今期の委員会政策全体を方向づけ、デジタル化はその重要な構成要素になるはずです。
現状、多くのデジタルソリューションに大量のエネルギーが集約されています。サーバーについても同じことが言えます。そのため、デジタルソリューションに関して、エネルギー効率を良くするためにやるべきことはたくさんあります。
先日、ある人にこう言われました。自動運転車を動かすには、エンジンを搭載した車と同じだけのカロリーが必要であるうえ、コンピューターも動かさなくてはならない。大量のデータを短時間で処理する必要があるので、コンピューターが大量のエネルギーを消費する。そうしないと、自動運転は成り立たないし、たくさんの事故が起こる、と。
こうした状況では電気の使用量を最小限にする技術を発展させなければなりません。これが、6カ月以上前に立ち上がったマイクロ・エレクトロニクス・プロジェクトの目的の1つです。
一方、デジタル化は環境問題の解決策としての側面を持ちます。例えば、循環経済(サーキュラーエコノミー)を機能させるのにデジタルソリューションを活用できます。資源がどこにあるのか、どのような状態にあるのか、どのように再利用するのかを知るために、デジタル化は有効です。ポンプの機能を確認するため、ポンプにデジタル技術を導入したいと思うでしょう。水の管理にも使えそうです。私の母国、デンマークでは、水路の監視をデジタル化し、飲料水の無駄を5%未満に抑えました。
つまり、デジタルテクノロジーが有効に利用されている例はありますが、そのテクノロジーのエネルギー消費をコントロールする必要があるのです。
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