国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロン・ポール候補、マイク・グラベル候補、東条由布子候補の選挙戦が政変を通じて新時代を切り開くか?

2007年05月13日 | 米国
政治家としてのブランクの長いグラベル候補よりも注目すべきなのはロン・ポール議員だろう。彼が2006年2月15日に下院で行った「ドル覇権の終わり」と題する演説を読むだけで我々はドル覇権の始まり、ニクソンショック、石油ドル体制、イラク戦争とユーロ建て石油輸出の関係、ベネズエラのユーロ建て石油輸出とクーデター騒ぎとの関係についての事実を知ることができる。そして、来るべきドル覇権破綻の結果何が起こるかも彼は予告している。 一年以上前の演説であるが、現時点でもその重要性は失われていないことから冒頭リンクにて全文を日本語訳した。彼はブッシュ大統領と出身地・政党を同じくしながら従来からその政策を激しく批判している。911事件以後米国は戦時体制となり激しい党派対立の結果多くの死傷者も出ている様であるが、ロン・ポール議員は暗殺されるどころか逆に共和党公式候補として引き続き選ばれ、2006年の厳しい選挙を勝ち抜いている。このことから想像されるのは、ロン・ポール議員はブッシュ政権の本音をブッシュ大統領に代わって代弁している人物であり、ブッシュ大統領も民主・共和両政党の次期大統領選の有力候補者たちもその本音を理解しつつ愚かな強硬論を主張して有権者に嘲笑されるという役割を俳優として演じているだけではないかということだ。私がロン・ポール議員の演説の中で特に重要と思うのは、「この壮大な仕組みは事実上の世界通貨の発行国に永遠の富を保証する完璧なシステムである様に見える。しかし、一つ問題がある。それは、このようなシステムは偽造を行う国家の国民性を破壊してしまうのだ。ゴールドが通貨であった時代に外国を支配してゴールドを手に入れていた場合と同じである。貯蓄すること、生産する事への動機が失われ、その一方で借金やとめどない浪費が奨励される。」と言う一節である。 国際基軸通貨の発行国は産油国と似ていると思う。サウジアラビアとイエメンやヨルダンを比較すると前者は非常に富裕だが、原油輸出以外の産業はほとんど育っていない。現在は貧しいが、農業・観光業などの持続可能な産業を有するイエメンやヨルダンの方が将来性はあると思われる。石油や天然ガスが将来枯渇した時、あるいは原子力や核融合にエネルギー源が移行した時、額に汗して働くことを忘れた産油国の人々は収入源を起たれて悲惨な運命を辿るかもしれない。 . . . 本文を読む
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