国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

5/3スコットランド議会選挙での独立派政党躍進は連合王国を崩壊させるか?

2007年05月04日 | 欧州
スコットランド議会の選挙が現在開票中だが、予想通り独立派のSNPが躍進している。スコットランド議会の選挙制度は日本やドイツの選挙制度と同様に小選挙区と比例代表区の両方を持つが、総議席数は比例代表区の得票に相関する傾向があり、日本型ではなくドイツ型である。この選挙制度の導入を行ったのは労働党のブレア政権であり、保守党の頑強な反対を押し切ってスコットランドの自治を含めた地方分権化を推進したのもブレア政権である。そもそも、英米などの国際金融資本系国家では小選挙区制により小政党の出現が阻止され、それ故に国際金融資本が二大政党両方に献金することで容易に影響力を行使できるというシステムが取られていた。スコットランド議会の選挙制度はそれを完全に覆す画期的なものである。 このように考えると、ブレア政権は労働党の牙城であるスコットランドを連合王国から独立させて切り離して連合王国(大英帝国)を崩壊させるという計画を実行している様に見える。ブレアもまた、東洋的な「わざと負ける」という戦略を実行しているのかもしれない。エリザベス女王の16年ぶりの訪米も、「英国人入植400周年記念式典出席」という明目とは別に、連合王国の君主としての花道なのかもしれない。あるいは国際金融資本の世界支配の終焉を飾る式典として出席したのかもしれない。 ブレア首相を巡る醜聞、イギリスの石油メジャーBPのCEOだったジョン・ブラウン卿の同性愛の愛人問題、米国の有力政治家を巡る高級買春疑惑などのスキャンダル、イスラエルでの反政府デモ、トルコの大統領選挙を巡る混乱なども、実際には各国の政府当局が「わざと負ける」という戦略のために裏で工作し実行している可能性が考えられる。これらの国々は従来は国際金融資本の強い影響下にあったが、国際金融資本の世界支配崩壊と共に国力が低下しはじめている。かつては我慢していた周辺国(例えばトルコに対するアルメニア・ギリシャなど)はこの機会を逃さずに襲いかかることも考えられるが、その前に内紛と敗北を演出することで周辺国の不満をガス抜きするとともに、余力を残した状態で敗北することで敗戦処理を自国有利に導くことが目的ではないかと想像する。 . . . 本文を読む
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