国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

フランス・サルコジ大統領政権発足が意味するもの

2007年05月24日 | 欧州
2007年5月16日に大統領に就任したサルコジ氏はカトリック教徒で、父方はハンガリーの下級貴族の家系、母方はテッサロニキ出身のギリシア系ユダヤ人で祖父の代にカトリックへ改宗している。ハンガリー人は現在では混血により他の白人と区別困難だが、元来はトルコ人と同様の中央アジア~モンゴル高原出身の移住民族である。また、サルコジ大統領の母方の血筋は恐らくスファラディと想像され、アラブ人やペルシャ人と同様の中近東のコーカソイドがルーツとなる。サルコジ大統領政権の出現は、例えアジアのモンゴロイドや中近東のコーカソイドの血を引いていても、キリスト教を受容し(少なくとも迫害はせず)、欧州文化を受容するならば欧州の一員として受け入れられることを欧州が宣言する意味合いがあると思われる。サルコジ内閣の約半数が女性であることは、フランスでは男性と女性が平等であることの宣言であり、フランス国内では男性優位のムスリム社会の存在を許さないと言う強い意思表明とも考えられる。 また、モロッコ出身のラシダ・ダティ法相、セネガル出身のラマ・ヤド氏のUMP党執行機関委員への抜擢は、一見アフリカ系・アラブ系住民をフランスに受け入れている様に見える。しかし、両者が女性である点が重要だろう。サルコジ政権は、アフリカ系・アラブ系の男性をフランス社会は歓迎しない、女性なら受け入れ可能であることを示したと思われる。アラブ系・アフリカ系の社会に於いて女性の方が男性より政治的・経済的に大きな影響力を持つ状態を作り出すことで、フランス国内のムスリムの男性優位社会を崩壊させることが真の狙いではないかと想像する。そして、フランスの欧州に於ける政治的影響力を考えると、これは欧州全体の意思表明であると考えるべきだろう。 G8を中心とする先進国集団は、シベリアや新大陸の支配を正当化するために、現在先住民を保護しその文化を尊重しているならば、過去に先住民を迫害した歴史があっても移住民のその地域での居住が引き続き許容されるという、欧米先進国に一方的に有利な身勝手とも言える「グローバルな分野で使われる統一ルールのようなもの」を作りだすのではないかと想像する。それによって先進国への移民の阻止と新大陸やシベリアで侵略者・迫害者の子孫である白人が居住し続ける権利の獲得という矛盾する二つの目的が同時に達成されることだろう。 . . . 本文を読む
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