国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

台湾総統選での国民党候補勝利とチベット問題

2008年03月24日 | 中国
私は3月18日の記事「チベットでの抗議活動は誰が何のために仕掛けたか?」で、台湾総統選での民進党候補当選を予想した。しかし、選挙の結果は国民党候補が大差で勝利している。マスコミが選挙結果に及ぼす決定的影響力と、日本や米国が台湾に及ぼす決定的影響力を考えるならば、日米両国は国民党候補の勝利を希望していたと想像される。日本で対中強硬派の安倍首相が退陣して対中融和派の福田首相が登場したのと同様に、台湾でも対中融和派の馬総統が出現したと見るべきだろう。日米台(ロシアも?)は台湾海峡や東シナ海での突発的軍事衝突が起こらないことを最優先にしていると思われる。それが何故かは分からないが、韓国の通貨ウォンが最近独歩安を続けていること、日本・台湾と異なり韓国の李明博新大統領は対米関係を最優先するあまり中国を軽視していることを考慮に入れるならば、韓国と中国の間で近日中に何かが起きる可能性は考えておくべきだろう。その事件の影響が韓国のみにとどまり日本・台湾に波及しないために対中融和派の指導者が必要になった、というシナリオである。 大紀元日本の報道によると、チベットでの衝突事件ではチベット人に扮した警察官がデモ隊を扇動していたという。この情報からは、中国側がわざとチベット人との衝突を作りだしたことが読みとれる。中国政府が一枚岩でチベット人を挑発したというシナリオよりも、ネットゲリラが予想するような人民解放軍の現地部隊の暴走の方が可能性が高いと思われる。中国政府は人民解放軍を完全に掌握できていないということだ。 私が非常に気になるのは欧州の動きである。衝突事件の直前にアイスランドの女性歌手、ビョークが上海のコンサートでチベット独立を叫んでいる。また、中国政府は衝突事件で反中国的報道を続けるBBCを目の敵にして帝国主義と罵っている。北京オリンピックのボイコットを巡る動きでも欧州が突出している。一方、日本や米国、ロシアなどの中国の軍事的脅威を直接に受ける国々ではオリンピックボイコットの動きは目立たない。G8がチベット問題で分裂しているのだ。このことからは、中国の軍事的脅威から自由な欧州は対中政策の自由度が高く、中国を刺激することが可能になっていると読める。ただ、欧州(特にイギリス)が人民解放軍の現地部隊と結びついて今回の衝突事件を作りだしたという可能性も考えておくべきかもしれない。 . . . 本文を読む
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