国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロシアとの科学技術協力の重要性

2010年07月02日 | ロシア・北方領土
現在、ロシアの優位性は二つある。一つは宇宙航空産業である。あれほど劣悪な自動車しか作れなかったソビエト時代のロシアは、同じ輸送機器である宇宙ロケットや人工衛星の分野では傑出した実績を残しているのだ。その技術は現在のロシアにも引き継がれている。これまでロシアはカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地を利用してきたが、2020年には停止される予定である。代替となるボストチヌイ宇宙基地は2010年建設開始、2015年完成予定であるが、この基地は何故かロシア本土から遠く離れた極東のアムール州にある。中露国境からも近く、安全保障上はあまり好ましくない場所である。宇宙ロケットは緯度の低い場所から打ち上げるほど地球の自転力を利用できて有利であることを考えるならば、ロシア本土に近く緯度も低い北カフカス地域に基地を建設するのが最も有利な筈である。恐らく、ロシアが新宇宙基地を極東に建設することを決定したのは、東アジア諸国、中でも日本との技術協力を念頭に置いているのではないかと想像される。 日本は現在までは自動車産業を中核産業の一つとしてきたが、近未来に電気自動車が普及すればガソリンエンジン技術やハイブリッド技術での日本の優位性は失われ、新興国でも簡単に電気自動車を作れるようになると思われる。その時に備えて、日本は航空・宇宙産業を育成していく必要がある。ロシアが現在獲得している技術水準に日本の工業力が加われば素晴らしい成果が期待できるだろう。 もう一つのロシアの優位産業は核技術とそれに関連する材料科学技術である。常温核融合の電極として利用されるパラジウムには多数の同位体が存在するが、ロシアにはこの同位体を安価に分離・濃縮して単体を得る技術が存在するらしい。これは恐らくウラン235を濃縮する技術の応用であると思われる。日本も北海道大学の水野博士などを中心に常温核融合の高度な技術を有しており、日本とロシアがこの分野で協力することは非常に有益であると思われる。日本・ロシアは自国内に常温核融合の巨大発電所を設置し、長大な送電線で中国に電力を供給する様にするのが良いと思う。これによって日露両国は中国をエネルギー面で完全にコントロールできる様になるからである。 . . . 本文を読む
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