国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ロバート・クレイギー駐日英国大使の主張した、1941年における日本中立化政策

2010年09月01日 | イスラエル・ユダヤ・国際金融資本
太田述正氏はコラムで、第二次世界大戦時に日本の参戦を回避しようと努力した駐日英国大使のロバート・クレイギーを取り上げている。ロバート・クレイギーが日本を中立化させることで極東での大英帝国の権益の温存を狙ったのに対して、チャーチル首相とイーデン外相は日本を対米英戦争に突入させることを狙っていた。チャーチルらはなぜ大英帝国を温存しようとしなかったのだろうか? 私の考える答えは、第一次大戦後の英国は既に米国に対抗する力を失っており、米国の戦略に従う他に選択枝はないと考えていたから、というものである。政府単位での力ではなく、国内に本拠を置く金融資本の総勢力で考えた方が良いだろう。第一次世界大戦を境として、世界の政治を運営していく力は英国から米国に既に移っていたと、英国の金融資本は理解しており、その意向がチャーチル等に反映されたのだと私は考えている。 では、米国の金融資本はどの様な世界戦略を立てていたのだろうか?ロシア革命をウォール街が大々的に支援していたこと、ハルノートで米国が日本に支那大陸からの撤退を要求していたこと、朝鮮戦争で中国軍に原爆を使用すべきと主張したマッカーサーが解任されて共産中国が維持されたこと(原爆が使用されれば共産中国は崩壊していただろう)などから考えて、彼らは中露を中心にユーラシア大陸を共産化し、それを米国が海洋から包囲する二極体勢を当初より目指していたのだと思われる。それは冷戦という形で第二次大戦後に実現した。冷戦を一時的に強化した上でソ連を崩壊させて冷戦を終結させた1981-1993年のレーガン・ブッシュ両政権の戦略は金融資本の戦略と対立するものであり、1981年のレーガン暗殺未遂はニューヨークの金融資本が実行者であった可能性が考えられるだろう。 従って、仮にロバート・クレイギーの日本中立化政策が成功していたとしても、あるいは1940-1941年に日本が英国のみに対して宣戦布告して米国を第二次大戦に巻き込まなかったとしても、日本は第二次大戦で敗北することはなかっただろうがその後に朝鮮戦争と類似した形で日米戦争が発生し、日本は米国に敗北することになっていただろうと予想する。 . . . 本文を読む
コメント (8)