●ブッシュ大統領一般教書演説 「脱石油」踏み込む 産経新聞 2007年1月25日(木)03:11
■ガソリン消費20%減、鍵握るエタノール開発
【ワシントン=渡辺浩生】ブッシュ大統領が一般教書演説でガソリン消費を10年以内に20%削減させる目標を掲げたのには、輸入石油への依存体質から脱却すると同時に温室効果ガスの排出削減につなげたいとの狙いがある。世界最大の石油消費国でその6割を中東などからの輸入に頼る米国の体質について、大統領は「敵対国家やテロリストから見て、われわれの弱点になる」と警告した。「米国は石油中毒」と警鐘を鳴らした昨年の一般教書演説からさらに踏み込んだ形で削減目標を掲げた。この目標を達成することが「地球の気候変動という深刻な課題に立ち向かう助けとなる」と指摘。「climate change(気候変動)」という環境用語を使ったのは就任以来初めてのことだ。米国は世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国で、2001年に先進国の排出削減目標を定めた京都議定書の枠組みから離脱した。CO2排出と地球温暖化の因果関係にも当初は懐疑的だったブッシュ政権の立場からすれば、軌道修正を図ったと言われても仕方がない。石油増産のためかつてはアラスカの北極圏野生生物保護区(ANWR)の範囲を狭めることも提案したブッシュ政権だが、この日は「国内増産は環境に配慮した方法で」と前言を撤回したかのようにも見える。
そんなブッシュ大統領の切り札がバイオ・エタノール。エタノールなど穀物からつくられる再生可能な燃料をガソリンに混入させる割合を増やし、17年までにエタノールの国内生産量を350億ガロンと現在の5倍以上に膨らませる方針だ。これでガソリン消費の15%を減らし、残りは乗用車の燃費向上でまかなう算段だ。ただし、昨年のエタノール国内生産量は53億ガロンに過ぎない。主要原料のトウモロコシは価格高騰が続き、エネルギーの代わりに食料の安定確保を揺るがす可能性もある。木くずや草を原料にしたセルロース・エタノールの開発など「技術的な突破口」(ホワイトハウス)を開くことが今後の課題となる。一方、大統領は、産業競争力の低下を招くという理由から温室効果ガス排出量の強制削減には反対の姿勢は変えていない。しかし、民主党が主導権を握った議会では複数の温暖化防止法案が提出され、GEなど米有力企業にも排出規制導入を求める声が上がっている。「国際的に削減に取り組むためには米国のリーダーシップが不可欠」(世界資源研究所のジョナサン・ラシュ理事長)という声が国内外から上がる中、ブッシュ大統領にさらなる政策転換を迫る圧力は一段と高まりそうだ。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/m20070125006.html
●エネルギーをバイオエタノールに代えたとしたら
太陽電池ではなく、今回の記事は、植物から作るエタノールでエネルギー問題が解決できるか考察してみました。日本で消費しているエネルギーをバイオエタノール(植物から作るエタノール)に代えたとしたら、一体どの位のエタノールが必要となるのでしょうか?
エネルギー白書2006によると、
1次エネルギー総需要 : 23.7E18 J
最終エネルギー消費 : 16.0E18 J
原油換算すると、1MJ = 0.0258 E-3 kl ですので
1次エネルギー総需要 : 23.7E18 J = 23.7E12 MJ = 61146万kl
最終エネルギー消費 : 16.0E18 J = 16.0E12 MJ = 41280万kl
また、日本の原油の輸入量は約25000万kl/年です。うち2割が化学用原料なので、燃料としては19980万klということになります。以上、4つのエネルギーをエタノールで賄おうとすると、どの程度のエタノールが必要になるか計算してみました。
アルコールの熱量はガソリンの6割しかないので、非常にざくっとした計算ではありますが、アルコールに代えたとした時の必要量を換算すると、
1次エネルギー総需要 : 61146万 / 0.6 = 101910 万kl
最終エネルギー消費 : 41280 / 0.6 = 68800万kl
燃料(原油) : 19980万 / 0.6 = 33300万kl
資料「エネルギー資源としてのてん菜 」によると、サトウキビから4500 l/ha のエタノールが生産できると記述されています。ちなみに、てん菜が5600 l/haです。上記のそれぞれの量のアルコールを生産するのに必要なサトウキビの作付け面積は、
1次エネルギー総需要 : 101910 万kl / 4500 l/ha = 22646万ha = 226万km2
最終エネルギー消費 : 68800万kl / 4500 l/ha = 15288万ha = 152万km2
燃料(原油) : 33000万kl / 4500 l/ha = 7333万ha=73万km2
となります。これらの面積は、どの位かというと下記のようになります。
1次エネルギー総需要 : 226万km2 (日本の面積の六倍)
最終エネルギー消費 : 152万km2 (日本の面積の四倍)
燃料(原油) : 73万km2 (日本の面積の二倍)
暑い地方ではサトウキビを、寒い地方ではてん菜を生産することにしても、日本のエネルギー需要をバイオエタノールに代えたとしたら、非常に広大な面積を必要とすることが判ります。エタノール製造技術については、穀物由来のほかに、木くずや他の食物を原料とする方法も検討されているそうです。
とはいえ、地球の人口は増加していて食糧問題もありますし、エネルギーのためにこれだけの耕作面積を確保するのは至難の業に思えます。
なお、ちなみに資源エネルギー庁の「バイオエタノールについて」によると、世界のエタノールの生産量は4100万kl程度で、うち2700万klが燃料用として使われています。
今回は、ここまでです。
「全てバイオエタノールじゃ、おかしい」とか、「アルコールを生産するのに必要なエネルギを無視していないか」とか、いろいろご意見はあろうかと思いますが、追々考えていこうと思います。
http://www.222.co.jp/netnews/article.aspx?asn=4002
●さとうきび 反収(単位:トン/ha)
キューバ 34.1
グァテマラ 87.3
メキシコ 72.8
アメリカ 73.1
ブラジル 74.2
コロンビア 123.0
http://sugar.lin.go.jp/japan/data/j_html/e_1_04.htm
●キューバのさとうきび収穫面積 (単位:1,000ha)2000/01年~2006/07年度、生産期間は10月~6月
キューバ
2000/2001:1007
2001/2002:1,041
2002/2003:644
2003/2004:700
2004/2005:360
2005/2006:349 (推定値)
2006/2007:440(予測値)
http://sugar.lin.go.jp/japan/data/j_html/e_1_03.htm
●キューバ - Wikipedia
2002年に生じた砂糖価格暴落とベネズエラ事態による石油供給中断等により、キューバは2002年に経済難を経験し、同年の経済成長は1.1%と低迷した。しかし、翌2003年は当初予想(1.5%)を上回って2.6%を達成し、2005年には「革命史上最高」の11.8%の経済成長を達成している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%90
●アルコール燃料 - Wikipedia
・アメリカ合衆国におけるエネルギー収支
多くの初期の研究では、トウモロコシ由来のエタノールを燃料として使用することは、エネルギー収支上赤字になるとされた。すなわち、エネルギー収支の総計は、アルコールになるまでの醗酵、耕作、農業トラクターの燃料、穀物の収穫と輸送、エタノールプラントの建設と操業そしてトウモコシ糖を蒸留するのに使用する天然ガスの収支を含み、コストは生産されたエタノールが発生するエネルギーを超過する。
批評家は生産エネルギーが大抵化石燃料から来るガソホールが金を浪費して、再生可能資源を急速に枯渇させることについて議論した。
これらの多くの研究は、1970年代と1980年代初めにおこなわれた。それと2001年に解析されたデータによると、エタノールのエネルギー収支の赤字は継続している。コーネル大学生態学教授David Pimentelの試算では、上記の結論を確認するにとどまった。Pimentel教授の研究は他の専門家に議論を巻き起こし、彼に算出数値の見直しを強いた。
2003年8月時点でもコーネル大学紀要の掲載によれば、トウモロコシ由来のエタノール生産は、費やしたエネルギーを29%上回るだけである。しかし、継続的なエタノール生産手法の改善は、利益/原価率を大きく改良した。そして、大部分の研究では現行システムでは正味のエネルギー収支が黒字を示すとしている。
他の多くの研究ではトウモロコシ由来エタノール生産の正味のエネルギー収支見積もりでは大きく変化したように、改良が進んだとしている。それらの多くは燃料生産プロセスを運転するのに必要な量の1/2ないしは2/3を上回る量の黒字をエネルギー収支は示している。
2002年のアメリカ合衆国農務省報告では、トウモロコシ由来エタノール生産が1.34のエネルギー係数を持つと結論づけている。これは生産されたエタノールが製造に要したエネルギーに比べて34%上回ることを意味する。 このことは単位あたり生産の75%(1/1.34)が製造の為のエネルギーに費やされるという意味になる。
MSUエタノールエネルギー収支調査(MSU Ethanol Energy Balance Study)ミシガン州立大学、2002年5月:ミシガン州立大学によって資金を供給された独立した包括調査では、ガロンあたり56%の製造に要したのに比べ余剰エネルギーがあるとされた。
・エネルギー政策
主としてイデオロギー的見地から、エタノール経済を嫌悪する批判者もいる。それは、トウモロコシ生産への政府の補助金を増大させるという理由のためである。イリノイ州Decaturにある、ADMとして広く知られている世界最大の穀物加工業者であるArcher Daniels Midland社は、合衆国内のガソホール製造に使用されるエタノールの40%を生産している。その会社と経営者は彼らのエタノール擁護に関して発言力が大きく、両政党へ多額の献金をしている。エタノールと石油に関する税的優遇措置(Tax Incentives for ethanol and petroleum):合衆国会計検査院, 2000年9月。 これは石油産業とエタノール産業との補助金についての調査であり、補助金の総額は石油産業への方が多いことが見て取れる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E7%87%83%E6%96%99
【私のコメント】
先日、米国のブッシュ大統領は石油代替エネルギーとして、バイオマスエタノール(=バイオエタノール)の生産とガソリンへの添加の推進を行うと宣言した。日本も同様にエタノールのガソリンへの添加を検討している。バイオマスエタノールはサトウキビからの生産が最も効率的であり、トウモロコシからの生産は効率が劣る。米国は国内ではサトウキビ生産に適した土地が少なく、自給を目指すならばトウモロコシから生産することになってしまう。これは米国国内の雇用拡大には役立つが、エネルギー自給率向上や石油節約には余り役立たない。
米国は年間に3億8千万キロリットルのガソリンを消費する。これは日本の約6.3倍の消費量であり、米国の人口一人あたりのガソリン消費は日本の約2.5倍である。この消費量の多さの理由は、米国住民の多くが住む郊外は公共交通機関が乏しく自家用車なしには生活できないこと、燃費の悪いピックアップトラックが減税により割安となりよく売れていることが挙げられる。ロサンゼルスのパシフィック電鉄廃止やロチェスター地下鉄廃止のように、かつて存在した大都市圏鉄道網が廃止された例も多く、国際石油資本や自動車会社の陰謀論が囁かれるほどである。米国のガソリン大量消費体質は偶然ではなく、国際金融資本が誘導してきたものであろう。そして、米国国民は日本や西欧の国民より多くのガソリンを消費するために少しでも安いガソリンを政治家に要求することになり、政治家はその声に答えて海外産油地帯の間接支配を続けることになる。世界覇権国の国民世論も、石油ドル体制を維持強化するための道具に過ぎないとも言えるのだ。
石油の枯渇が差し迫っている訳ではないが、今後は立地の不良な油田、小規模油田などのコストの高い油田(石油を掘り出すのに必要なエネルギーも嵩む)が増加し、必然的に石油価格は上昇する。このような状況に対応するには、バイオマスエタノールの添加は即効性があり有効だが、国内にサトウキビ作付け適地の少ない米国にとってはエネルギー自給率向上効果が小さい。また、もしエタノールを輸入に頼るならば、石油輸入がエタノール輸入に取って代わるだけである。
ブッシュ政権は2001年に京都議定書の枠組みを離脱しており、それは全世界から激しい非難を浴びている。そして今月に入って施政方針演説でガソリン消費削減とバイオエタノールのガソリンへの混入推進に方向転換している。この謎の行動の理由は一体なんだろう?私は二つのシナリオを考えている。
シナリオ1:
米国が京都議定書の枠組みを離脱したのは、ガソリン消費を減らさないことで石油消費を増やして石油価格を釣り上げ、国際石油資本を儲けさせるため。そして、石油供給不足による行き過ぎた値上がりを防ぐと共に、米国のトウモロコシ農家を儲けさせることを目的にバイオエタノール事業を2007年になってから解禁した。
シナリオ2:
キューバは2002年の砂糖価格暴落以後サトウキビの作付け面積を約6割削減している。また、キューバのサトウキビの反収は気候の類似したメキシコやグアテマラの半分以下と何故か異常に低い(肥料の不足?輸送用の石油の不足?)。仮に米国がキューバと国交を回復すれば、キューバはサトウキビの作付け面積を元に戻し、他の中米諸国並みの反収まで生産を増加させる潜在力があると想像される。もしキューバがその潜在力を全て発揮した場合、米国のガソリン総消費量の2%程度のバイオエタノールを供給することが可能になるだろう。米国国民にバイオエタノール輸入を目的とするキューバとの国交再開に賛成させるためには、米国国民がガソリン値上がりで痛い目にあいガソリン節約の必要に目覚めることが必要不可欠であり、その為にブッシュ政権はわざと2001年に京都議定書の枠組みから離脱した。また、米国民がガソリン節約の必要性に目覚めることは国際金融資本による米国支配を打倒することに繋がるはずだ。
シナリオ1はマスコミ等で広く主張されている内容である。ただ、石油価格が上昇すればカナダの油母頁岩などの新たな石油資源が開発されることになり、国際石油資本の利潤は増大すると想像される。石油価格上昇の行き過ぎを防ぐのは米国の消費者の利益になるが国際石油資本には損失である。ブッシュ政権がなぜ国際金融資本重視から消費者重視に突然方向転換するのかを説明できる理由はない。
シナリオ2は「ブッシュ政権はわざと戦争で負けるためにイラクを侵略した」というのと同様の私のオリジナルの陰謀説である。根拠は何もない。しかし、ブッシュ政権成立後間もなくキューバのサトウキビ作付け面積が急に激減しているのが非常に気になる。そもそも、1962年10月の「キューバ危機」がケネディ政権を追いつめるものであったこと、ケネディ政権が国際金融資本の米国支配を打倒しようと戦い暗殺されたと想像されることを考えると、キューバと米国の対立には何か隠された秘密がある様にも思われる。キューバ危機当時のソ連執行部はベリヤやカガノビッチが失脚し国際金融資本の支配から離脱していたと想像される。つまり、当時の米ソ両国は反国際金融資本で一致していたのであり、その両国がベルリン危機やキューバ危機で対立するのは奇妙だからだ。
「小国キューバとの国交回復のためになぜそんな手の込んだ演出が必要なのか?」という疑問は当然存在するだろう。しかし、「ベトナム戦争での米国の敗北は、共産中国との国交回復を実現するために実行されたもの」という陰謀説も存在することを考えると、「手の込んだ演出」を必要とする何らかの理由が存在してもおかしくない様にも思われる。
繰り返すが、上記のシナリオ2には何の根拠もない。恐らく、単なる陰謀マニアの妄想であろう。しかし、キューバの2002年のサトウキビ作付け面積の激減がどうしても気になる。これは単なる偶然なのだろうか?巨大なバイオエタノール供給潜在能力を有しながらそれを故意に発揮していないとも解釈できる現在のキューバ、キューバとの国交回復を求める法案が何度も提出されている現在の米国を見るとき、「近い将来にバイオエタノールの輸入目的に米国とキューバが国交を回復する」という陰謀説を私はどうしても捨て去ることができない。そして、それはケネディ暗殺の謎、スターリンの死の謎、ベルリン危機とキューバ危機の真相にも深く関わるものである。
■ガソリン消費20%減、鍵握るエタノール開発
【ワシントン=渡辺浩生】ブッシュ大統領が一般教書演説でガソリン消費を10年以内に20%削減させる目標を掲げたのには、輸入石油への依存体質から脱却すると同時に温室効果ガスの排出削減につなげたいとの狙いがある。世界最大の石油消費国でその6割を中東などからの輸入に頼る米国の体質について、大統領は「敵対国家やテロリストから見て、われわれの弱点になる」と警告した。「米国は石油中毒」と警鐘を鳴らした昨年の一般教書演説からさらに踏み込んだ形で削減目標を掲げた。この目標を達成することが「地球の気候変動という深刻な課題に立ち向かう助けとなる」と指摘。「climate change(気候変動)」という環境用語を使ったのは就任以来初めてのことだ。米国は世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国で、2001年に先進国の排出削減目標を定めた京都議定書の枠組みから離脱した。CO2排出と地球温暖化の因果関係にも当初は懐疑的だったブッシュ政権の立場からすれば、軌道修正を図ったと言われても仕方がない。石油増産のためかつてはアラスカの北極圏野生生物保護区(ANWR)の範囲を狭めることも提案したブッシュ政権だが、この日は「国内増産は環境に配慮した方法で」と前言を撤回したかのようにも見える。
そんなブッシュ大統領の切り札がバイオ・エタノール。エタノールなど穀物からつくられる再生可能な燃料をガソリンに混入させる割合を増やし、17年までにエタノールの国内生産量を350億ガロンと現在の5倍以上に膨らませる方針だ。これでガソリン消費の15%を減らし、残りは乗用車の燃費向上でまかなう算段だ。ただし、昨年のエタノール国内生産量は53億ガロンに過ぎない。主要原料のトウモロコシは価格高騰が続き、エネルギーの代わりに食料の安定確保を揺るがす可能性もある。木くずや草を原料にしたセルロース・エタノールの開発など「技術的な突破口」(ホワイトハウス)を開くことが今後の課題となる。一方、大統領は、産業競争力の低下を招くという理由から温室効果ガス排出量の強制削減には反対の姿勢は変えていない。しかし、民主党が主導権を握った議会では複数の温暖化防止法案が提出され、GEなど米有力企業にも排出規制導入を求める声が上がっている。「国際的に削減に取り組むためには米国のリーダーシップが不可欠」(世界資源研究所のジョナサン・ラシュ理事長)という声が国内外から上がる中、ブッシュ大統領にさらなる政策転換を迫る圧力は一段と高まりそうだ。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/m20070125006.html
●エネルギーをバイオエタノールに代えたとしたら
太陽電池ではなく、今回の記事は、植物から作るエタノールでエネルギー問題が解決できるか考察してみました。日本で消費しているエネルギーをバイオエタノール(植物から作るエタノール)に代えたとしたら、一体どの位のエタノールが必要となるのでしょうか?
エネルギー白書2006によると、
1次エネルギー総需要 : 23.7E18 J
最終エネルギー消費 : 16.0E18 J
原油換算すると、1MJ = 0.0258 E-3 kl ですので
1次エネルギー総需要 : 23.7E18 J = 23.7E12 MJ = 61146万kl
最終エネルギー消費 : 16.0E18 J = 16.0E12 MJ = 41280万kl
また、日本の原油の輸入量は約25000万kl/年です。うち2割が化学用原料なので、燃料としては19980万klということになります。以上、4つのエネルギーをエタノールで賄おうとすると、どの程度のエタノールが必要になるか計算してみました。
アルコールの熱量はガソリンの6割しかないので、非常にざくっとした計算ではありますが、アルコールに代えたとした時の必要量を換算すると、
1次エネルギー総需要 : 61146万 / 0.6 = 101910 万kl
最終エネルギー消費 : 41280 / 0.6 = 68800万kl
燃料(原油) : 19980万 / 0.6 = 33300万kl
資料「エネルギー資源としてのてん菜 」によると、サトウキビから4500 l/ha のエタノールが生産できると記述されています。ちなみに、てん菜が5600 l/haです。上記のそれぞれの量のアルコールを生産するのに必要なサトウキビの作付け面積は、
1次エネルギー総需要 : 101910 万kl / 4500 l/ha = 22646万ha = 226万km2
最終エネルギー消費 : 68800万kl / 4500 l/ha = 15288万ha = 152万km2
燃料(原油) : 33000万kl / 4500 l/ha = 7333万ha=73万km2
となります。これらの面積は、どの位かというと下記のようになります。
1次エネルギー総需要 : 226万km2 (日本の面積の六倍)
最終エネルギー消費 : 152万km2 (日本の面積の四倍)
燃料(原油) : 73万km2 (日本の面積の二倍)
暑い地方ではサトウキビを、寒い地方ではてん菜を生産することにしても、日本のエネルギー需要をバイオエタノールに代えたとしたら、非常に広大な面積を必要とすることが判ります。エタノール製造技術については、穀物由来のほかに、木くずや他の食物を原料とする方法も検討されているそうです。
とはいえ、地球の人口は増加していて食糧問題もありますし、エネルギーのためにこれだけの耕作面積を確保するのは至難の業に思えます。
なお、ちなみに資源エネルギー庁の「バイオエタノールについて」によると、世界のエタノールの生産量は4100万kl程度で、うち2700万klが燃料用として使われています。
今回は、ここまでです。
「全てバイオエタノールじゃ、おかしい」とか、「アルコールを生産するのに必要なエネルギを無視していないか」とか、いろいろご意見はあろうかと思いますが、追々考えていこうと思います。
http://www.222.co.jp/netnews/article.aspx?asn=4002
●さとうきび 反収(単位:トン/ha)
キューバ 34.1
グァテマラ 87.3
メキシコ 72.8
アメリカ 73.1
ブラジル 74.2
コロンビア 123.0
http://sugar.lin.go.jp/japan/data/j_html/e_1_04.htm
●キューバのさとうきび収穫面積 (単位:1,000ha)2000/01年~2006/07年度、生産期間は10月~6月
キューバ
2000/2001:1007
2001/2002:1,041
2002/2003:644
2003/2004:700
2004/2005:360
2005/2006:349 (推定値)
2006/2007:440(予測値)
http://sugar.lin.go.jp/japan/data/j_html/e_1_03.htm
●キューバ - Wikipedia
2002年に生じた砂糖価格暴落とベネズエラ事態による石油供給中断等により、キューバは2002年に経済難を経験し、同年の経済成長は1.1%と低迷した。しかし、翌2003年は当初予想(1.5%)を上回って2.6%を達成し、2005年には「革命史上最高」の11.8%の経済成長を達成している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%90
●アルコール燃料 - Wikipedia
・アメリカ合衆国におけるエネルギー収支
多くの初期の研究では、トウモロコシ由来のエタノールを燃料として使用することは、エネルギー収支上赤字になるとされた。すなわち、エネルギー収支の総計は、アルコールになるまでの醗酵、耕作、農業トラクターの燃料、穀物の収穫と輸送、エタノールプラントの建設と操業そしてトウモコシ糖を蒸留するのに使用する天然ガスの収支を含み、コストは生産されたエタノールが発生するエネルギーを超過する。
批評家は生産エネルギーが大抵化石燃料から来るガソホールが金を浪費して、再生可能資源を急速に枯渇させることについて議論した。
これらの多くの研究は、1970年代と1980年代初めにおこなわれた。それと2001年に解析されたデータによると、エタノールのエネルギー収支の赤字は継続している。コーネル大学生態学教授David Pimentelの試算では、上記の結論を確認するにとどまった。Pimentel教授の研究は他の専門家に議論を巻き起こし、彼に算出数値の見直しを強いた。
2003年8月時点でもコーネル大学紀要の掲載によれば、トウモロコシ由来のエタノール生産は、費やしたエネルギーを29%上回るだけである。しかし、継続的なエタノール生産手法の改善は、利益/原価率を大きく改良した。そして、大部分の研究では現行システムでは正味のエネルギー収支が黒字を示すとしている。
他の多くの研究ではトウモロコシ由来エタノール生産の正味のエネルギー収支見積もりでは大きく変化したように、改良が進んだとしている。それらの多くは燃料生産プロセスを運転するのに必要な量の1/2ないしは2/3を上回る量の黒字をエネルギー収支は示している。
2002年のアメリカ合衆国農務省報告では、トウモロコシ由来エタノール生産が1.34のエネルギー係数を持つと結論づけている。これは生産されたエタノールが製造に要したエネルギーに比べて34%上回ることを意味する。 このことは単位あたり生産の75%(1/1.34)が製造の為のエネルギーに費やされるという意味になる。
MSUエタノールエネルギー収支調査(MSU Ethanol Energy Balance Study)ミシガン州立大学、2002年5月:ミシガン州立大学によって資金を供給された独立した包括調査では、ガロンあたり56%の製造に要したのに比べ余剰エネルギーがあるとされた。
・エネルギー政策
主としてイデオロギー的見地から、エタノール経済を嫌悪する批判者もいる。それは、トウモロコシ生産への政府の補助金を増大させるという理由のためである。イリノイ州Decaturにある、ADMとして広く知られている世界最大の穀物加工業者であるArcher Daniels Midland社は、合衆国内のガソホール製造に使用されるエタノールの40%を生産している。その会社と経営者は彼らのエタノール擁護に関して発言力が大きく、両政党へ多額の献金をしている。エタノールと石油に関する税的優遇措置(Tax Incentives for ethanol and petroleum):合衆国会計検査院, 2000年9月。 これは石油産業とエタノール産業との補助金についての調査であり、補助金の総額は石油産業への方が多いことが見て取れる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E7%87%83%E6%96%99
【私のコメント】
先日、米国のブッシュ大統領は石油代替エネルギーとして、バイオマスエタノール(=バイオエタノール)の生産とガソリンへの添加の推進を行うと宣言した。日本も同様にエタノールのガソリンへの添加を検討している。バイオマスエタノールはサトウキビからの生産が最も効率的であり、トウモロコシからの生産は効率が劣る。米国は国内ではサトウキビ生産に適した土地が少なく、自給を目指すならばトウモロコシから生産することになってしまう。これは米国国内の雇用拡大には役立つが、エネルギー自給率向上や石油節約には余り役立たない。
米国は年間に3億8千万キロリットルのガソリンを消費する。これは日本の約6.3倍の消費量であり、米国の人口一人あたりのガソリン消費は日本の約2.5倍である。この消費量の多さの理由は、米国住民の多くが住む郊外は公共交通機関が乏しく自家用車なしには生活できないこと、燃費の悪いピックアップトラックが減税により割安となりよく売れていることが挙げられる。ロサンゼルスのパシフィック電鉄廃止やロチェスター地下鉄廃止のように、かつて存在した大都市圏鉄道網が廃止された例も多く、国際石油資本や自動車会社の陰謀論が囁かれるほどである。米国のガソリン大量消費体質は偶然ではなく、国際金融資本が誘導してきたものであろう。そして、米国国民は日本や西欧の国民より多くのガソリンを消費するために少しでも安いガソリンを政治家に要求することになり、政治家はその声に答えて海外産油地帯の間接支配を続けることになる。世界覇権国の国民世論も、石油ドル体制を維持強化するための道具に過ぎないとも言えるのだ。
石油の枯渇が差し迫っている訳ではないが、今後は立地の不良な油田、小規模油田などのコストの高い油田(石油を掘り出すのに必要なエネルギーも嵩む)が増加し、必然的に石油価格は上昇する。このような状況に対応するには、バイオマスエタノールの添加は即効性があり有効だが、国内にサトウキビ作付け適地の少ない米国にとってはエネルギー自給率向上効果が小さい。また、もしエタノールを輸入に頼るならば、石油輸入がエタノール輸入に取って代わるだけである。
ブッシュ政権は2001年に京都議定書の枠組みを離脱しており、それは全世界から激しい非難を浴びている。そして今月に入って施政方針演説でガソリン消費削減とバイオエタノールのガソリンへの混入推進に方向転換している。この謎の行動の理由は一体なんだろう?私は二つのシナリオを考えている。
シナリオ1:
米国が京都議定書の枠組みを離脱したのは、ガソリン消費を減らさないことで石油消費を増やして石油価格を釣り上げ、国際石油資本を儲けさせるため。そして、石油供給不足による行き過ぎた値上がりを防ぐと共に、米国のトウモロコシ農家を儲けさせることを目的にバイオエタノール事業を2007年になってから解禁した。
シナリオ2:
キューバは2002年の砂糖価格暴落以後サトウキビの作付け面積を約6割削減している。また、キューバのサトウキビの反収は気候の類似したメキシコやグアテマラの半分以下と何故か異常に低い(肥料の不足?輸送用の石油の不足?)。仮に米国がキューバと国交を回復すれば、キューバはサトウキビの作付け面積を元に戻し、他の中米諸国並みの反収まで生産を増加させる潜在力があると想像される。もしキューバがその潜在力を全て発揮した場合、米国のガソリン総消費量の2%程度のバイオエタノールを供給することが可能になるだろう。米国国民にバイオエタノール輸入を目的とするキューバとの国交再開に賛成させるためには、米国国民がガソリン値上がりで痛い目にあいガソリン節約の必要に目覚めることが必要不可欠であり、その為にブッシュ政権はわざと2001年に京都議定書の枠組みから離脱した。また、米国民がガソリン節約の必要性に目覚めることは国際金融資本による米国支配を打倒することに繋がるはずだ。
シナリオ1はマスコミ等で広く主張されている内容である。ただ、石油価格が上昇すればカナダの油母頁岩などの新たな石油資源が開発されることになり、国際石油資本の利潤は増大すると想像される。石油価格上昇の行き過ぎを防ぐのは米国の消費者の利益になるが国際石油資本には損失である。ブッシュ政権がなぜ国際金融資本重視から消費者重視に突然方向転換するのかを説明できる理由はない。
シナリオ2は「ブッシュ政権はわざと戦争で負けるためにイラクを侵略した」というのと同様の私のオリジナルの陰謀説である。根拠は何もない。しかし、ブッシュ政権成立後間もなくキューバのサトウキビ作付け面積が急に激減しているのが非常に気になる。そもそも、1962年10月の「キューバ危機」がケネディ政権を追いつめるものであったこと、ケネディ政権が国際金融資本の米国支配を打倒しようと戦い暗殺されたと想像されることを考えると、キューバと米国の対立には何か隠された秘密がある様にも思われる。キューバ危機当時のソ連執行部はベリヤやカガノビッチが失脚し国際金融資本の支配から離脱していたと想像される。つまり、当時の米ソ両国は反国際金融資本で一致していたのであり、その両国がベルリン危機やキューバ危機で対立するのは奇妙だからだ。
「小国キューバとの国交回復のためになぜそんな手の込んだ演出が必要なのか?」という疑問は当然存在するだろう。しかし、「ベトナム戦争での米国の敗北は、共産中国との国交回復を実現するために実行されたもの」という陰謀説も存在することを考えると、「手の込んだ演出」を必要とする何らかの理由が存在してもおかしくない様にも思われる。
繰り返すが、上記のシナリオ2には何の根拠もない。恐らく、単なる陰謀マニアの妄想であろう。しかし、キューバの2002年のサトウキビ作付け面積の激減がどうしても気になる。これは単なる偶然なのだろうか?巨大なバイオエタノール供給潜在能力を有しながらそれを故意に発揮していないとも解釈できる現在のキューバ、キューバとの国交回復を求める法案が何度も提出されている現在の米国を見るとき、「近い将来にバイオエタノールの輸入目的に米国とキューバが国交を回復する」という陰謀説を私はどうしても捨て去ることができない。そして、それはケネディ暗殺の謎、スターリンの死の謎、ベルリン危機とキューバ危機の真相にも深く関わるものである。
いつも面白い視点ありがとうございます。
そうすると、アメリカブッシュ政権の環境政策の変更は民主党優位への議会対策や水素燃料への変更を示唆するのではないということになりますか。
ありふれていますが、2001年の離脱は共和党政権が石油資本と結びつきが深いでいいのではないでしょうか。
>「近い将来にバイオエタノールの輸入目的に米国とキューバが国交を回復する」という陰謀説を私はどうしても捨て去ることができない。
これは当たっていそうです。ただキューバとの国交回復の最大の障害は、カストロ議長本人でしょう。すでに重病説が流れています。ときおり治療内容がもれてきますが、スペインから来た医師団が行っている治療内容はちょっと奇異なものです。しかし、管理人氏の説で謎がとけました。おそらくキューバ側とアメリカ側で利害が一致しているのです。
>そして、それはケネディ暗殺の謎、スターリンの死の謎、ベルリン危機とキューバ危機の真相にも深く関わるものである。
全くその通りです。1953年というのは極めて重要な年だとおもわれます。
ひとつはソ連でスターリンが暗殺されて、ベリヤが逮捕されたこと。
もうひとつ、アメリカでは前年の大統領選挙で、共和党が20年ぶり政権を握り、アイゼンハワーが大統領になったことです。特にアイゼンハワーに長い軍歴があり、軍中枢からそれほど時を経ないで大統領になったということが重要な点です。
マッカーサーが大統領候補にならなかったので、国際金融資本となんらかの妥協はあったのでしょうが、明らかにそれまでと異なっています。1956年のスエズ動乱での米国の行動にその一端が出ています。
米ソ両国がこの時期に国際金融資本のコントロールから離れていたと考えられます。
これがキューバ危機を境に変っていくのです。
またこのときの副大統領は後に大統領になる、ニクソンですが、1960年の大統領選挙で不正にあって負け、大統領になった後はウォーターゲート事件で失脚しています。
そしてこのアイゼンハワーの時代をピークにアメリカの国力は低下していきます。
ひるがえってキューバをみてみると、1953年がターニングポイントになっています。
wikipedeiaによると、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%90
>1952年、バティスタはクーデターで政権を奪取し、憲法を停止した上で独裁政治を開始した。これにより、米国のキューバ支配は頂点に達し、バティスタ政権・米国政府・米国企業・マフィアの4者がキューバの富を独占し、その富が米国本土に流れるような社会構造が形成された。1953年7月26日、このようなアメリカによる半植民地状態の克服を夢見て、弁護士フィデル・カストロ(Fidel Castro Ruz)率いる青年たちが蜂起(モンカダ兵営襲撃)したが失敗に終わり、関係者は投獄された。
なんとカストロ議長がこの1953年に歴史の表舞台に登場しています。上のエピソードはヒットラーのミューヘン一揆を思い起こします。国際金融資本とカストロ議長の関係ははっきりとわからないですが、キューバ危機前後のことにかかわる非常に重要な秘密を知っていそうです。アメリカの国民感情からいっても、カストロと手を結ぶのは難しいですが、アメリカは彼が生きている間には、きっと甘い顔はできないのでしょう。
もう一点、金正日の亡命先として、このキューバがもっとも良いのではないかと思っていました。もし、アメリカとキューバの国交が回復すれば、これが進めやすくなります。なお、朝鮮戦争は1953年に休戦となっています。
ではなぜ、米国がいまさらバイオエタノールなどというおろかな選択をしようとしているのか。確かにそこには国際金融資本の陰謀がありそうです。「ブッシュ政権はわざと戦争で負けるためにイラクを侵略した」このエネルギー版が発動した、とみることが正しいでしょう。むしろ、イラク侵略はというのは「前ふり」で、実はこの「エネルギー」問題こそが、アメリカに仕掛けられた本当の罠ではないでしょうか。
伝統的な村落に住む人々は、山で山菜を取るときに来年も再来年もきちんと山菜が取れるように、全部取ったりはしません。根っこや葉っぱを丁寧に残しておく。
しかし、ある日この持続システムが崩れる。そのきっかけは村がダムに沈む、という決定です。村人は来年のことを考えずに、山の幸をぜんぶ根こそぎとってしまい、山は荒れ果てます。村人は当面の資金を得て、別天地へと移りました。
国際金融資本は、先見の明がある村人です。しかも村をダムを沈める方が得か、沈めない方が得か、常に計算しながら、「風説の流布」を発する時期を見極めている。
しかし、移転先の村があるうちは良い。彼らの目下の課題は「地球の有限性」をどうするか、ということでしょう。
全く同意します。米国の場合は、サトウキビ適地が少なくトウモロコシからエタノールを製造することになるという悪条件も加わります。
>ではなぜ、米国がいまさらバイオエタノールなどというおろかな選択をしようとしているのか。確かにそこには国際金融資本の陰謀がありそうです。「ブッシュ政権はわざと戦争で負けるためにイラクを侵略した」このエネルギー版が発動した、とみることが正しいでしょう。むしろ、イラク侵略はというのは「前ふり」で、実はこの「エネルギー」問題こそが、アメリカに仕掛けられた本当の罠ではないでしょうか。
この点については、私は違う意見です。米国のバイオエタノール生産拡大は、農産物の需要増加による世界的な農産物価格の上昇をもたらし、その結果農業生産の拡大、農地の新規開墾推進などの効果があると思われます。その様にして生産された食料を備蓄し、来るべき地球環境激変に備えるのが米国の意図ではないかと思います。食糧危機対策をエネルギー対策に隠蔽することで世界的なパニックの発生を避けることができます。
現在は地球温暖化が話題になっていますが、これは1985年以降の傾向であり、それ以前は寒冷化傾向でした。しかし、大気中の二酸化炭素濃度は20世紀を通じて上昇し続けています。このことから考えて、現在の地球温暖化は化石燃料消費とは無関係である可能性があります。その場合、人類が化石燃料消費を増やすか減らすかに関わらず気候の変動が地球を襲うことになります。現在進行中の北大西洋の塩分濃度低下が継続すれば、近い将来の熱塩循環停止による北半球の急速な寒冷化・乾燥化とそれに伴う世界的食糧危機は避けられないでしょう。
食糧危機が本格的に訪れるまでは少なくともあと数年は余裕があると思われます。日本もバイオエタノール生産を口実に大量のトウモロコシ等を輸入し、あるいは国内での農業生産を拡大し、それを備蓄しておくべきではないでしょうか?
なるほど、それならありえますね。今後の孤立化に備えて、アメリカの保守派がリベラル派の意見を利用しているという見方ですね。ただ、アメリカの食料生産システム自身、実はエネルギー効率がかなり悪い構造になっているので、結局エネルギー危機と食料危機のダブルパンチに備えるためには、食料生産の根本的な構造改革が必要です。
土地の疲弊と水不足の問題がすでに始まっている中、「ガイア」に更なる負担を強いれば、やはり結果は見えています。経済理論で「ガイア」を操ることはできません。ここが食料生産と石油の増産ではまったく違うところであり、現代人が忘れがちな重要なポイントです。ここを読み間違えれば、やはり「収奪」を伴う「パニック」へ向かう道のみとなります。
もちろんこれはアメリカだけの話だけではない。
むしろ食料自給率の低い日本こそが、危ないというのは事実です。しかし、ここはただ食料を備蓄すればよいという話ではない。備蓄はがんばっても数年で底を突くでしょう。贅沢になってしまった現代人に主要穀物だけ与えて「大人しろ」と言ってもたぶん無理でしょう。
やはり国内食料生産の高効率化と分散型エネルギーの導入でなんとかするしかないと思います。白洲次郎が戦後の食糧難を見越して、農業に鞍替えした、その先見性を今まさに思い返すべきです。「温故知新」の技術とともに。
マッカーサーが大統領候補にならなかったので、国際金融資本となんらかの妥協はあったのでしょうが、明らかにそれまでと異なっています。1956年のスエズ動乱での米国の行動にその一端が出ています。
>米ソ両国がこの時期に国際金融資本のコントロールから離れていたと考えられます。これがキューバ危機を境に変っていくのです。またこのときの副大統領は後に大統領になる、ニクソンですが、1960年の大統領選挙で不正にあって負け、大統領になった後はウォーターゲート事件で失脚しています。
貴重なコメントありがとうございます。私は1956年の日ソ平和交渉へのダレス国務長官の介入から、当時のアイゼンハワー政権は国際金融資本の支配下にあると思い込んでいました。
アイゼンハワー当選の危惧が1952年3月10日のバティスタによる軍事クーデターの引き金となり、アイゼンハワー政権政権成立の衝撃がスターリン暗殺を引き起こしたのかもしれませんね。
1956年のスエズ動乱についても、アイゼンハワーが再選直前という微妙な時期にハンガリー動乱を陽動作戦として国際金融資本が強行したという解釈を行うべきなのかもしれません。ただ、当時もFRBは国際金融資本に支配されていたと考えられ、アイゼンハワー政権がどの程度国際金融資本から自由であることができたかは疑問も残るところです。
米国の国際金融資本派と反国際金融資本派はそれぞれのグループがある程度決まっていますが、それぞれに工作員が紛れ込んでいますので、外側の人間からすると「何をしたからという視点で判断するしかありません。19世紀と違って第2次世界大戦後の米国は覇権国となりましたので、外交の関係要素が非常に広大になりました。しかし広大な要素の中でも、江田島氏の指摘するように、地政学的要衝かつ石油の大産地である中東をめぐる政策と、一種のでき試合である米ソ対立にどのように向かったかということが重要な指標となると思います。
> ただ、当時もFRBは国際金融資本に支配されていたと考えられ、アイゼンハワー政権がどの程度国際金融資本から自由であることができたかは疑問も残るところです。
全く、おっしゃるるとおりです。国際金融資本側はある程度コントロールできる自信があったのでしょう。
>1956年のスエズ動乱についても、アイゼンハワーが再選直前という微妙な時期にハンガリー動乱を陽動作戦として国際金融資本が強行したという解釈を行うべきなのかもしれません。
単純に考えれば、コントロールすべく、選挙前のアイゼンハワーへの「踏み絵」だったのではないでしょうか。このときもイスラエルがつぶれるようなことはしていませんので、国際金融資本の影響が全くないとはいえません。
国際金融資本にとっては、アイゼンハワー大統領就任よりもソ連での政変のほうが深刻だったのでしょう。ハンガリー動乱は陽動作戦ではなく、ソ連新指導部への揺さぶりととらえるほうが良いと思われます。結局、ランドパワー的な発想で、国際金融資本の望む方向に当時のソ連新指導部が動いてしまったということになるでしょうか。
スエズ動乱は中東での影響もさることながら、結果的に1960年くらいからのアフリカ諸国の独立の呼び水になっています。最後まで抵抗していたフランスが貧乏くじをひいたのは間違いないですが、このアフリカ諸国の独立が国際金融資本にとって、損得がどうであったのかの評価が難しいところです。予定していたあるいは、得である場合には、国際金融資本が英国米国フランスをうまく操作したとも言えるでしょう。完全に支配するということではなく、自分たちに反発する力もうまく利用しているといえます。これは現在の状況にも当てはまることかもしれません。
>国際金融資本にとっては、アイゼンハワー大統領就任よりもソ連での政変のほうが深刻だったのでしょう。ハンガリー動乱は陽動作戦ではなく、ソ連新指導部への揺さぶりととらえるほうが良いと思われます。結局、ランドパワー的な発想で、国際金融資本の望む方向に当時のソ連新指導部が動いてしまったということになるでしょうか。
なるほど。教科書には書かれることのない冷戦の真実についての解説、ありがとうございます。
同様に考えると、1989年の天安門事件も中国への揺さぶりであり、ランドパワー的な発想で、国際金融資本の望む方向に当時の中国指導部が動いてしまったということになるのでしょうか?
これは難問です。結論からいうと、欧州での第2次世界大戦後の枠組みが崩壊することがわかっていて、この状況変化に中国共産党をゆさぶったといえるでしょう。問題は中国国内での主体もふくめて誰が望み、だれが、どんな目的で揺さぶったかということになります。
>> 地政学的要衝かつ石油の大産地である中東をめぐる政策と、一種のでき試合である米ソ対立にどのように向かったかということが重要な指標となると思います。
1989年は次の時代へ移り変わる最初の年で、この後段が使えません。また、中国情勢の分析は、かなり特殊な環境となる中国内の情勢と、国際金融資本との関係の両面からの分析が必要で、他の国よりはるかに難解です。
とはいっても
国際金融資本と中共の関係は、1)日本を第2次世界大戦に誘導するのに非常に重要な役割を果たした。2)国連など第2次世界大戦後の枠組みで大きな役割を担い、東トルキスタン、内蒙古、旧満州、チベットなどを自国の領土とした。3)中ソ関係の悪化が表面化するのはスターリン時代ではなく、フルシチョフ以降である。4)国際金融資本と深い関係にある米国民主党は中共よりの政策をとることが多いなどからすると、きわめて深い関係が想定されます。
米国のパパブッシュ政権は中東政策で1991年に湾岸戦争を遂行、イラクのサダムフセインをあと一歩で崩壊寸前まで追い込みました。この狙いのひとつがイスラエルの不要論につなげることにあったことと、最近ではめずらしく一期で政権を去り、これがユダヤ票に原因があると分析されていることなどを考えると、国際金融資本からやや遠い政権ではないかと考えられます。
もう一つ難しいのが、ニクソン政権が行った米中国交回復の意味です。あくまで一方向からみたとしてですが、でき試合だった米ソ対立を終わらせるために、米ソ間のデタントを推進し、国際金融資本陣営の中でカウンターパワーとして位置づけられていた中共を世界経済システムの中に組入れた重要な変化(実質的な面は田中角栄の仕事かもしれませんが)だった。また、金本位制をやめるなど、第2次世界大戦後の重要な枠組みを変化させようとしたので、国際金融資本からにらまれて、ウォーターゲート事件で失脚したが、それが1989年にその努力は実を結んだとしていいのでしょうか?
ただ一方で、国際金融資本からするとこれも「想定の範囲内」で、むしろ次への時代の扉としてニクソンを使ったとも考えられます。単に15年ほど時期を遅らせる必要があったということかもしれません。江田島氏は国際金融資本の大きな目標として、中東と中国を挙げていますが、これにも合致しています。ひとつのシステムにこだわらないからこそ、500年間ものあいだ世界システムを支配できたもいえます。米ソ対立のでき試合もちょっとした間の小道具ということなのかもしれません。
つまり国際金融資本からやや遠い政権であるパパブッシュ政権だとしても、変化の始まりとなる時期だけに、両方ともありそうなのです。米国内の非常に複雑な政治状況を鑑みると、両方の意志を反映させていたとしても不思議ではないかもしれません。
「上記の私の分析は確たる証拠のないものであり、単なる陰謀マニアの壮大な妄想に過ぎない可能性が高いことはお断りしておく。」という管理人氏のことばを引用します。
実証的に検証しようと思っても、各国の情報機関や裏での外交などは知るよしもありませんし、仮に漏れたとしても何らかのバイアスがかけられている可能性があり、ここからのアプローチは今のところ難しいです。しかし、欧米の報道機関は「色分け」がはっきりとしているので、ウォーターゲート事件でのワシントンポストのような報道機関を探していけば、この背後の本当の勢力がわかるかもしれません。残念ながらその努力をしていません。もうひとつのヒントは西欧の民主主義の国家でありながら、だいたい反国際金融資本陣営にあるフランスの態度です。ちょうどフランス革命開始200周年にあたると年だったとはいえ、この天安門事件にたいして非常に厳しかったと記憶しています。
あくまで想像の話ですが、米ソ冷戦を終結させたい米国内の反国際金融資本派が中共を揺さぶり、中共がまんまとそれに乗ってしまったとなります。しかし国際金融資本も「想定の範囲内だったということなのでしょう。
http://www.sankei.co.jp/keizai/sangyo/070521/sng070521003.htm
ガソリン値上げ、6月にも 調達コスト上昇で避けられず
2014年04月21日09:30 メキシコ湾は今でも石油が漏れており深刻な状態です。
アメリカは、土壌も大気も海も沼地も川も汚染まみれです。中国の次に汚染大国!
2010年のBP石油漏れ事故から既に4年が経っていますが。。。メキシコ湾にはBP社以外の石油会社の石油漏れが問題になっています。以下の写真の通り、水面が虹色に光っています。こんなところでは生き物は生息できません。メキシコ湾で魚の奇形が多いのもこのためでしょう。
BP社の石油漏れ事故による被害は甚大でした。被害の深刻度を隠すために政府はCorexit 9500A という有毒薬品をメキシコ湾に撒きました。その結果メキシコ湾は一層汚染されてしまいました。そして今でも、他の石油会社のパイプラインや油井から石油が漏れ出しているのです。
アメリカの石油会社が怠慢なのか、それとも、わざとメキシコ湾を汚染しているのかは分かりませんが、全体的に言って、米企業のやることは。。。地球汚染、環境破壊、人体毒化、大量殺人をビジネス戦略として実行しつつ、巨大な利益を得ているのです。まさに、最悪のビジネスです。こんな企業が日本に進出し、恐竜のように跋扈されたらたまりません!
http://readersupportednews.org/news-section2/318-66/23221-telltale-rainbow-sheens-show-thousands-of-spills-across-the-gulf
(概要)4月20日付け:
(ルイジアナ州沿岸の沼に通されたパイプライン)
湾岸復興ネットワークのジョナサン・へンダーソン氏は、ルイジアナ州沿岸で石油が漏れていないかどうかを調査したところ。。。大量の石油が漏れているのが分かりました。
ヘンダーソン氏によれば:
昨年だけでも、湾岸復興ネットワークにはメキシコ湾の石油漏れの報告が50件も寄せられました。しかし、これらの石油漏れは数年前のBPの石油漏れとは一切関係がありません。メキシコ湾の海面を注意深く見ると、虹色に光るものが浮いているのが分かります。
ルイジアナ州の沿岸やメキシコ湾沖には54000基もの油井が存在し、それらは何千本ものパイプラインとつながっています。これらは非常に漏れやすくなっています。
ルイジアナ州では少なくとも毎年30万バレルの石油が土壌や地下水に漏れていると報告されています。これは全米の石油流出量の20%にあたります。しかしこのデータは石油会社が自主的に提供したものですから、実際はさらに深刻でしょう。石油の漏れの問題に関しては、2010年4月に起きたアメリカ最大のBPの石油漏れ事故が起きるまでは注目されませんでした。"
クリーン・ウォーター法に従い、石油漏れにより石油会社が水を汚染した場合は必ず沿岸警備隊のナショナル・リスポンス・センターに報告しなければなりません。
しかし、少量の石油漏れに関しては一切報告されていないことが分かりました。
そのため環境団体は湾岸監視協会を設立し、メキシコ湾の石油漏れを監視することにしました。
湾岸復興ネットワークでは、ボランティア・パイロットの協力により上空から石油漏れを見つけ、その詳細を報告しています。さらにウェストバージニア州のテック・グループ(スカイトゥルース)はサテライト写真を観察することで石油漏れを見つています。彼らが見つけた石油漏れの詳細情報を元に専門家が実際に漏れている石油の量を算出しました。その結果、これまで石油会社が報告した量よりも遥に多い量(10倍以上)が漏れていたことが分かりました。
毎年、メキシコ湾で(平均で)1万件もの石油漏れの報告が彼らのところに届いています。我々が調査に行くと必ず、石油漏れを発見します。石油会社は石油漏れを放置してビジネスを行っています。今後は、我々のようなボランティアによる調査に任せるのではなく、政府が外部団体を使って真剣に対応すべき問題です。