●和田春樹氏インタビュー 朝鮮日報 2011/06/02
光州で「アジア共同体論」について特別講義
日本の代表的な進歩的知識人とされる東京大学の和田春樹名誉教授(73)は「北朝鮮の三代世襲、成功は難しいだろう」と予想した。
1日に湖南大学で「アジア共同体論」の特別講義を行うため光州を訪れた和田氏は「金正日(キム・ジョンイル)総書記はつらい時代を経験し、若いころからさまざまな分野で力を発揮したが、金正恩(キム・ジョンウン)氏ら3代目は王子様のように成長し、何の訓練も受けていない。そのため以前とはまったく状況が異なる」と述べた。
和田氏はさらに「竹島(独島)や北方領土などの領土問題は、“固有の領土”という考え方を捨て、現実的な観点から“共同管理・共同収益”の方式で迅速に解決することが望ましい」「日本は韓国の独島領有権を認め、日本の漁師が(独島周辺海域での)漁業権について一部保証を受けることの方が現実的だ」と語った。
以下は、和田氏へのインタビュー内容
-最近、東日本大地震や津波による被害への支援をきっかけに、韓日関係が好転するかのように思われたが、独島問題で再び後戻りしているようだ。
「残念なことだ。日本は隣国の韓国、中国、ロシアのいずれとも領土問題を抱えている。友人はいないと思っていたが、震災のときには各国が救助隊や支援を送ってくれた。このようなときこそ問題を解決しなければならないのだが、日本政府はこれまで染み付いてきた“固有の領土”という考え方から抜け出せない。領土問題は各国の主張を織り交ぜた上で、“共同管理・共同収益”という方法で解決していかなければならない。竹島や北方領土の問題については、韓国とロシアの領有権を認め、共同開発を行う方式が望ましい」
-今回の地震と津波で北朝鮮はどのような反応を示したのか。
「北朝鮮の新聞は日本について人道的な報道を行った。これは今回の地震が初めてだ。また、北朝鮮からは10万ドル(約810万円)の支援金も送ってきた。ところが日本は今年4月に北朝鮮に対する経済制裁を1年延長した。北朝鮮は日本との関係改善を望んでいるが、日本はそのつもりはないようだ」
-韓半島(朝鮮半島)問題の専門家として、現在の南北関係をどう見るか。
「現政権以前まで南北関係は良好だった。しかし米朝関係、日朝関係は今もよくない。そのため北朝鮮は不安と不満を感じ、より強硬な態度に出ているのだ。韓国は“南北当事者同士”を強調しているが、北朝鮮はそれだけでは不安と考えている。韓国が米朝関係、日朝関係の改善に向けて後押しすることが、長い目で見れば望ましいことだ」
-現在、北朝鮮の内部事情はどうなっているのか。
「現在、金総書記の健康状態は十分に仕事ができる状態にまで回復している。そのため今、北朝鮮にとっての懸案は三代世襲ではない。権力内部では正恩氏をナンバー2に擁立する動きが主流を占めているが、金総書記はこれに反対している。金総書記は“2012年強盛大国建設”の実現に全力を投入している。その中核が経済改革と住民生活の向上だ。今回の訪中もそのような流れで行われたものだ」
-光州への訪問は今回が4回目だそうだが、印象は。
「直接来る前に記録映画で1980年の光州の様子を目にした。その強い抵抗精神には驚いた。武力の前では誰もが従順になるものだが、光州は抵抗した。性格の激しい人たちだと考えたが、実際に来てみると、皆普通の人だった。しかし普通の人が特別な瞬間に特別な力を発揮できるという点が、光州の特別な点かもしれない」
■和田春樹教授
日本の代表的な進歩的知識人で、韓半島問題の専門家でもある。東京大学西洋史学科を卒業、同大学社会科学研究所の教授としてロシア史や韓国・北朝鮮の現代史などを研究してきた。著書には「金日成と満州抗日戦争」(1922)、「朝鮮戦争全史」(95)、「北朝鮮-遊撃隊国家の現在」(98)、「東北アジア共同の家-新地域主義宣言」(2003)などがある。
キム・ソンヒョン記者
http://www.chosunonline.com/news/20110602000028
http://www.chosunonline.com/news/20110602000029
●保坂祐二 - Wikipedia
保坂 祐二(ほさか ゆうじ、1956年 - )は、1988年より韓国に在住、2003年に韓国に帰化した日系韓国人である。現在は世宗大学校の副教授であり、日本の朝鮮、満州、台湾に対する支配政策研究、竹島領有権問題分析、日韓文化比較研究が専門。無宗教。
研究と主張 高麗大学校の大学院では、福澤諭吉と朝鮮開化派の相互関係研究、日本の植民地時代の朝鮮、満州、台湾に対する支配政策(特に、同化政策)を専攻した。日本の歴史認識を批判する発言が多い。
著書『日本に絶対やられるな』の序文において、「私は(中略)日本を愛していることを先ず述べておきたい。(中略)過去を正しく反省できなければ正しい未来など訪れるはずがない、という信念で日韓関係において過去は現在に通じ(中略)、(日韓の過去を研究する)ということは本人のアイデンティティーを見つける道でもある。」などと述べ、単純に自らを反日とする見方に異論を唱え、日本における良心的勢力・進歩的知識人と同じような立場であるとしている。
竹島問題研究 竹島問題に関しては、一貫して日本の主張を批判しており、竹島(韓国名:独島)は韓国領であるという立場をとっている。日本側が韓国側の主張の多くの部分を歪曲、または完全に隠蔽し、また日本側の竹島に関する領有権主張は表面的な事実を真実のように情報統制しているものであり、公開されない史料や真実があまりに多いと主張している。その代表的な例が1877年の太政官指令文の隠蔽と意図的な誤読、曲解であると主張する。特に同じ竹島問題の研究者である下條正男 拓殖大学教授(竹島問題研究所座長)が客観性を失っているとして、彼の主張を独自の根拠を挙げて批判している。例えば、下條が太政官指令文の中の「竹島外一島」をアルゴノートとダジュレーと主張していることに関して、保坂は太政官が竹島と松島をアルゴノートとダジュレーと見なしたという根拠は一切なく、指令文の内容や付図である<磯竹島略図>に示された竹島と松島は明確に鬱陵島と現在の竹島(独島)であるとして、下條が歴史的事実を意図的に隠蔽・誤読していると論文で主張している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%9D%82%E7%A5%90%E4%BA%8C
●韓日同盟が必要な理由 2011年06月03日 中央日報
李明博(イ・ミョンバク)大統領の就任後、韓日両国は友好的な関係が続いている。しかし新しい協定に関する限り、あいまいな状態だ。日本でさまざまな意見を聞いてみた私の結論は、李明博大統領と菅直人首相は公式的な同盟を追求しようと時間を浪費する時ではないということだ。
日本に対する韓国の敵対感は実際、克服されるのは難しい。歴史の影は現在でも暗い影を落としたりする。韓国は日本の地震後、最も早く救助隊を派遣した。しかし日本教科書の独島(ドクト、日本名・竹島)記述問題が浮上し、韓国人の救援熱気が冷めた。
日本政府は独島領有権を主張し続けているが、一般の日本人はそれほど関心がない。多くの人は地図上で独島を探すこともできないだろう。沖縄観光局の職員に「韓国人は自由に独島を出入りできる」という話をすると、驚いていた。「日本の民間人は中国と領有権紛争中の尖閣諸島に入れない」と言いながらだ。韓国とは違い、日本では小さな岩島にこだわる日本人は多くない。
私の講演を聞く日本人にこういう話をした。もし独島が日本のものだという希望のない主張を撤回すれば、韓国との親善は急速に進むという内容だった。しかし日本人は独島放棄が北方領土に対する日本の領有権主張に影響しないか憂慮している。慶応大学の添谷芳秀教授は本当のイシューは日本国内の政治だと指摘したりもした。右翼をなだめなければいけないということだ。日本人は韓国の食べ物やドラマ、少女時代に熱狂する。
もし相互不信が韓日関係の障害でなければ、両国が同盟を追求しなければならない3つの理由が生じる。
まず中国と北朝鮮が次第に好戦的に変わっているという事実だ。北朝鮮は昨年、韓国を2度攻撃し、中国も韓国・日本の領海に船を送った。金正日(キム・ジョンイル)は昨年以降、3度も中国を訪問した。前例のないことだ。中朝が永遠の同盟であることを確認しようとしている。不幸にも北東アジアで冷戦は現在進行形だ。
韓日同盟がなければならない2つ目の理由は米国だ。ブッシュ大統領のため米国政府は莫大な軍費支出で揺れている。オバマ大統領は米軍6000人の生命と数十億ドルの代価を支払った2つの戦争を受け継いだ。ワシントンが韓国・日本に駐留する米軍を減らしながら、さらに多くの分担金を要求している理由だ。力が弱まった米国ばかりに頼っていては、中国の漸増する脅威を確実に防ぐのが難しい。
昨年末ワシントンでは韓日米外相会談が開かれた。ここでオバマ政権は韓日米3者協力のための公式的な体系を作るのに特に関心を見せなかった。クリントン政権とは違う姿だ。韓国と日本が積極的に動かなければならないことだ。
幸い、韓日両国の首脳はこうした役割をする適任者だ。日本の民主党政権は韓国により友好的に接している。菅首相は就任後、韓国に謝罪しただけでなく、日帝強制支配期に略奪した1205点の朝鮮王室儀軌を返還することにした。また論争の中心にある靖国神社も参拝しなかった。
韓日同盟のイニシアティブは韓国が握っている。大地震と原発事故の災難克服に余念がない日本はこうした余裕がないからだ。李明博大統領に今後訪日する計画があるなら、絶好のチャンスを逃してはならない。軍需物資支援と軍事情報交換に原則的に合意した1月の韓日国防相会談が出発点になるかもしれない。米国のアジア最大同盟国である韓日両国がお互い最も親しい友人になる機会だ。
http://japanese.joins.com/article/522/140522.html?servcode=100
http://japanese.joins.com/article/523/140523.html?servcode=100
●「韓日中3カ国の通貨を統合した新通貨導入を」 2011年06月03日 中央日報
韓日中3カ国の通貨金融学者が地域内通貨金融協力に乗り出した。NEAR財団は2日、ソウルの韓国プレスセンターで韓日中専門家カンファレンス「A3トライアングルイニシアチブ」を開催した。この席で各国の通貨金融専門家15人は3カ国の通貨協力のための政策提案書を確定した。NEAR財団の鄭徳亀(チョン・ドック)理事長は、「韓国ウォン、日本円、中国元のすべてが東アジアの中心通貨として限界を持っている。単一通貨導入など新たな突破口を見つけるため3カ国の著名学者で構成された専門家グループが誕生したことに今回の会合の意味がある」と話した。韓日中の専門家らが出した通貨協力案はこうだ。まず韓日中の外貨準備高を活用し2000億ドル規模の共同基金(ACF)を作り、これを域内外の外国為替市場安定と金融危機時の緊急支援のための基金として活用しようというものだ。
韓日中バスケット通貨(ABC)を作ろうという主張も出てきた。ウォンと円、人民元を組み合わせて新しい通貨単位を作るものだ。円や人民元、ウォンなどひとつの通貨の力ではまだ基軸通貨の役割をするには足りないため、ABCを利用して主要20カ国(G20)会議の主要議題となっている新国際通貨体制議論に共同で対応しようという趣旨だ。また、長期的にはABCを国家間の取り引きや民間取り引きで使えるようにしようというものだ。 この日発表者として出席した一橋大学の小川英治教授は、「アジア単一通貨導入は外国為替リスクを分散し、域内金融・資本市場発展をもたらす効果があるだろう」と予測した。また、「アジア3カ国の金融統合のために市場とインフラを強化して資本自由化を高めなければならない」と主張した。
高麗(コリョ)大学のオ・ジョングン教授は発表文で、域内資本市場構築の必要性を強調した。彼は「北東アジアの債券市場が成長してきたが、まだ大規模な外貨準備高を循環させるには充分でない」とし、韓日中バスケット通貨債券を導入しなければなければならないと助言した。
http://japanese.joins.com/article/510/140510.html?servcode=A00
【私のコメント】
6月2日の朝鮮日報日本語版に、韓国で「進歩的・良心的知識人」と高く評価されている和田春樹氏のインタビューが掲載されている。このインタビューで彼は竹島問題について、韓国の領有権を認めた上で共同開発の道を探るべきと主張している。竹島領有権を手放すことのできない韓国にとってはこの主張は理想的なものである。竹島問題で一貫して韓国側に立つ保坂祐二氏、従軍慰安婦問題で韓国に謝罪した河野洋平氏も含め、日本人の中には一見して日本の国益を阻害し韓国の国益に貢献する人々が存在する。ネット右翼の人々はこのような「反日的日本人」を激しく批判している。しかし、私はその様な立場には賛成しない。私は心の底から韓国が嫌いであり、韓国が滅亡して北朝鮮に吸収され、韓国人が近未来の統一国家の中で底辺階層として地獄のような日々を送ることを夢見ている。その一方で、日本の国益を阻害している様に見える「進歩的・良心的知識人」を私は高く評価している。私のこの姿勢は一見すると矛盾しているのだが実際には全く矛盾していない。そのことを理解して貰うのが今回の記事の目的である。
中央日報は「韓日同盟が必要な理由」「韓日中3カ国の通貨を統合した新通貨導入を」という二本の記事を6月3日付けで掲載している。米国の世界覇権が近未来に消滅することを前提にして韓国が先進国として生き残るためには日本との軍事同盟と日中両国との経済同盟が必要であるとの主張は韓国の国益からは全く正しい。しかし、日韓の軍事同盟は韓国が一方的な受益者となるし、日本と韓国の経済同盟は日本にとって最大の敵である韓国の製造業が生き延びることを意味するのでやはり韓国が一方的な受益者になる。日本にとってはこの韓国の戦略を叩き潰し、韓国という国自体を消滅させていく必要があるのだ。
中央日報の二つの記事で重要なのは国の名前の順番である。「韓日米外相会談」「韓日米3者協力」「韓日中専門家カンファレンス」「韓日中バスケット通貨」という言葉に注目したい。日本が米国・中国の前に置かれている。これは反日感情が強く、日清戦争を清日戦争、日露戦争を露日戦争と呼んで日本を常に劣位に置いてきた韓国では異例のことである。21世紀の韓国を先進国として維持するためには日本との同盟が必須であるというコペルニクス的な意識転換が韓国知識階層内部で起きている可能性が高い。この意識転換は日本の国益にとって非常に危険なものである。米国の世界覇権消滅という国家存亡の危機に直面して日本にすり寄ってきた韓国を突き放していくことが日本に求められているのだ。
この様な視点から見ると、竹島問題、従軍慰安婦問題などの歴史問題での日韓の対立は日本にとって重要なカードである。国際法違反の竹島実効支配を正当なものであると韓国人に認識させ続けること、竹島問題と歴史問題で韓国人の反日感情を煽ることは日韓の軍事同盟を不可能にすることに繋がる。憲法第9条の維持、集団的安全保障の否定も重要である。これらの主張は全て左翼系の人々からなされている。一見反日的な「進歩的・良心的知識人」は実は日本の国益に最も貢献している人々なのだ。逆に、竹島奪還を主張する右翼系の人々こそ、竹島を韓国が日本に返還して日韓の軍事同盟が成立するという最悪の事態へと道を開く、反日的日本人であると私は認識している。
左翼系の人々は、このブログの読者の皆さんの多くからは馬鹿な人間だと軽蔑されているだろう。表向きは日本の国益に反することを主張しているのだから当然である。ただ、私はこの「左翼系の人々」は二種類いると想像している。一つは単なる馬鹿で、左翼系の活動家の多くはこれに含まれる。もう一種類は陰謀家である。表向きは反日的言論を主張しているのだが、実際には日本の国益を守るための戦略の要になっている。この様な陰謀家が日本の左翼勢力を指導し運営しているのではないかと私は妄想している。そして、和田春樹と保坂祐二は実はこの「陰謀家」なのではないかと私は考えている。
【2011年6月8日追記】
●李完用の「売国」は現実主義外交の帰結 朝鮮日報 2011/06/05
【新刊】キム・ユンヒ著『李完用評伝』(ハンギョレ出版)
「避けられない現実の中では、得られるものを得ていかなければならない」
愛国と売国の分かれ道で選んだのは「君主制の維持」
最近、朝鮮王朝の滅亡前後を扱った書籍が相次いで出版されている。高宗や徳恵翁主、英親王、厳皇貴妃にまで、改めて光が当てられている。しかしその中には、誰もが目をそらしたい人物が一人いる。李完用(イ・ワンヨン)=1858-1926=だ。その名前に必要な修飾語は「売国奴」だけで、これ以上言及すること自体、苦痛だった。本書は、その問題の人物に再び照明を当て、激動の歴史の中に送り返した。
6歳で千字文(子どもに漢字を教えるために用いられた漢文の長詩)を覚え、25歳で科挙に合格した李完用は、官僚生活を始めてからわずか5カ月後、新式学問を修めると決心したところから注目される。「私は20歳までは漢学を尊んだが、甲午改革の運命が巡ってきて儒教を尊ぶ気風が薄れた上、外国との交通が拡大したことで、西洋との交際が切に必要だと考えた。(中略)当時は米国との交流が必要だったため、その時新設された育英公院に入学し、米国に渡った」
1896年に改革派と保守派が衝突した時も、李完用は「体制内改革派」に属していた。独立門の定礎式で、李完用は次のように演説した。「朝鮮の人々は、米国のように独立し、世界第一の富強なる国となるのか、ポーランドのように滅ぶのか、いずれにせよ人の行動に懸かっている。朝鮮の人々は、米国にようになることを望むべし」
ところが、じわじわと圧迫を加えてくる列強や、朝鮮内部で起きた政治勢力同士の対立の中で、李完用は愛国と売国の危険な境界に近づいていった。李完用も最初は、乙巳(いつし)条約(1905年に締結された第2次日韓協約)の締結を拒否する考えだった。しかし、日本政府が貫徹の意志を強く持っていることを確認し、高宗も明確に拒絶できないことが分かったため、自分の役割を決定した。
李完用は、内閣会議で国王に次のように進言した。「もし、やむを得ず(乙巳条約を)許諾するのであれば、問題の条約の内容に、書き加えたり、訂正したりすべき極めて重大な事項があるはず。従って、あらかじめ相談しておかなければならない。条約を結ぶ席では、絶対に中途半端な振る舞いをなさらないように」
結局、乙巳条約は、高宗や大臣が誰も明確な賛成・反対を表明せず、決定も下さないまま、日本の圧力によって締結された。しかし、興奮した世論は、学部大臣の李完用らを「乱臣賊子」(人としての道を外れ、悪事をはたらく者の意)と見なした。続いて起きたハーグ密使事件の後、状況は韓国併合まで突き進んだ。
著者は「李完用の行為が売国であることは否定できない」と述べながらも、李完用が売国の頂点に立つことになった背景に触れた。当時、最終決定権者だった高宗は、時代が要求する政治改革は避けながらも、外部勢力を別の外部勢力でけん制するという危険な綱渡りを行った。表向きは日本に順応しながら、裏では反日政治官僚を通じ、秘密外交を行っていた。著者は、表のラインで王室を忠実に守ることが、李完用の役割だったと解釈した。
李完用は、与えられた状況の下で最大限の成果を考える現実主義者だった。乙巳条約を締結せざるを得ないなら、可能な部分については修正を求め、韓日併合が不可避なら、得られるものを得ることに尽力しなければならないというのが、李完用が考える「合理」だった。
著者は、これまでの李完用に対する評価は「欲深い個人」で固まり、その個人をめぐる関係の力学が看過されていたと指摘した。「当時、大韓帝国の政治構造に“関係する”李完用が消えた瞬間、構造の中で批判されるべきものが救済された。大韓帝国の政治システム、政治関係の総括者としての高宗、大韓帝国の世論を率いた知識人たちの妥協…」
李完用の生涯は「近代的合理性が極端な時代と出合ったとき、いかに発現し得るか」を示すケースだ。著者は「李完用は、単に“売国奴”としてではなく、“不条理な現実に怒ることを知らない”または“それを克服しようという人々が叫ぶ価値観に呼応することを知らない”人物として批判されなければならない」と指摘した。
著者は、本書の冒頭で「排除された他者の封印を解いてみたかった」と記した。封印が解かれた後、読者が見ることになるのは「他者」ではなく、まさしく自分たちの一部だ。本書は、ハンギョレ新聞社の子会社、ハンギョレ出版と、釜山大学の研究所が共同企画した「歴史人物評伝」の最初の成果だ。316ページ、1万6000ウォン(約1200円)。
http://www.chosunonline.com/news/20110605000000
http://www.chosunonline.com/news/20110605000001
●「売国奴」李完用に内在する近代的思考とは 朝鮮日報 2011/06/05
インタビュー:『李完用評伝』著者、キム・ユンヒ教授
『李完用(イ・ワンヨン)評伝』の著者、キム・ユンヒ江原大学研究教授(韓国史)=44=は、本紙の電話インタビューに対し「李完用を見て、40代に差し掛かり現実と妥協する自分の姿が思い浮かんだ。だが、本書が李完用の“売国”に対する弁護として読まれることは望んでいない」と語った。
-なぜ今、李完用なのか。
「企画者の依頼を受けて、個人的に好奇心が湧いた。私も40歳をとうに越え、生活の中で現実と妥協し、合理化しようとするところがあった。新たな決心が必要だという観点から、李完用を見詰めることにした」
-従来の研究との違いは?
「これまでの研究はおおむね、李完用が個人的栄華と欲望ゆえに韓国併合に臨み、政治的変身の鬼才だという視点からのものだった。私は、李完用の政治的変身より、普通の人間が社会生活を送る中で持つ悩み、つまり欲望と節制、所信と揺らぎというキーワードから見詰めた」
-新たに明らかになった点や浮き彫りになった点は?
「李完用の生活は、欲望とは隔たりがあった。当代第2の金持ちだったが、生活は概して簡素だった。趣味も、書や文房四宝(筆・墨・すずり・紙)の収集という程度だった。金を稼ぐことについて恥ずかしいとは思わず、野菜作りに直接投資して金を稼いだこともあった」
-李完用を「合理的近代人」と見るのは、どういう意味か?
「合理的だから肯定的というわけではなく、むしろ近代人の道具的合理性が持つ盲点を示したという意味だ。与えられた現実の中で最も実用的な選択をするのが最善、という信念に潜む盲点のことを言っている」
-李完用に対する弁護論として読まれる可能性もあるが?
「誤解がなければいいと思う。私も、売国奴という判断に異論はない。ただ“売国奴”の中に内在する、近代的思考体系の限界を示したかった」
http://www.chosunonline.com/news/20110605000002
【コメント追記】
この李完用に関する本が今韓国で発行された意味合いは重い。韓国支配階層は、日本による韓国統治こそが韓国を先進国に飛躍させる原動力になったという、従来強く批判されてきた植民地史観こそが正しかったのだと認識し始めている。正にコペルニクス的な意識転換である。この後に来るものは、韓国と日本の軍事的・経済的統合と見て間違いない。繰り返すがこれは事実上日韓併合の復活であり、韓国のみにとって有益で日本にとっては極端に不利益である。この韓国の政策を打倒するためには、日本の左翼系勢力がかつての大日本帝国の韓国統治を批判することしかない。日本の左翼勢力に日本の国運がかかっている。
↓↓↓ 一日一回クリックしていただくと更新の励みになります。
光州で「アジア共同体論」について特別講義
日本の代表的な進歩的知識人とされる東京大学の和田春樹名誉教授(73)は「北朝鮮の三代世襲、成功は難しいだろう」と予想した。
1日に湖南大学で「アジア共同体論」の特別講義を行うため光州を訪れた和田氏は「金正日(キム・ジョンイル)総書記はつらい時代を経験し、若いころからさまざまな分野で力を発揮したが、金正恩(キム・ジョンウン)氏ら3代目は王子様のように成長し、何の訓練も受けていない。そのため以前とはまったく状況が異なる」と述べた。
和田氏はさらに「竹島(独島)や北方領土などの領土問題は、“固有の領土”という考え方を捨て、現実的な観点から“共同管理・共同収益”の方式で迅速に解決することが望ましい」「日本は韓国の独島領有権を認め、日本の漁師が(独島周辺海域での)漁業権について一部保証を受けることの方が現実的だ」と語った。
以下は、和田氏へのインタビュー内容
-最近、東日本大地震や津波による被害への支援をきっかけに、韓日関係が好転するかのように思われたが、独島問題で再び後戻りしているようだ。
「残念なことだ。日本は隣国の韓国、中国、ロシアのいずれとも領土問題を抱えている。友人はいないと思っていたが、震災のときには各国が救助隊や支援を送ってくれた。このようなときこそ問題を解決しなければならないのだが、日本政府はこれまで染み付いてきた“固有の領土”という考え方から抜け出せない。領土問題は各国の主張を織り交ぜた上で、“共同管理・共同収益”という方法で解決していかなければならない。竹島や北方領土の問題については、韓国とロシアの領有権を認め、共同開発を行う方式が望ましい」
-今回の地震と津波で北朝鮮はどのような反応を示したのか。
「北朝鮮の新聞は日本について人道的な報道を行った。これは今回の地震が初めてだ。また、北朝鮮からは10万ドル(約810万円)の支援金も送ってきた。ところが日本は今年4月に北朝鮮に対する経済制裁を1年延長した。北朝鮮は日本との関係改善を望んでいるが、日本はそのつもりはないようだ」
-韓半島(朝鮮半島)問題の専門家として、現在の南北関係をどう見るか。
「現政権以前まで南北関係は良好だった。しかし米朝関係、日朝関係は今もよくない。そのため北朝鮮は不安と不満を感じ、より強硬な態度に出ているのだ。韓国は“南北当事者同士”を強調しているが、北朝鮮はそれだけでは不安と考えている。韓国が米朝関係、日朝関係の改善に向けて後押しすることが、長い目で見れば望ましいことだ」
-現在、北朝鮮の内部事情はどうなっているのか。
「現在、金総書記の健康状態は十分に仕事ができる状態にまで回復している。そのため今、北朝鮮にとっての懸案は三代世襲ではない。権力内部では正恩氏をナンバー2に擁立する動きが主流を占めているが、金総書記はこれに反対している。金総書記は“2012年強盛大国建設”の実現に全力を投入している。その中核が経済改革と住民生活の向上だ。今回の訪中もそのような流れで行われたものだ」
-光州への訪問は今回が4回目だそうだが、印象は。
「直接来る前に記録映画で1980年の光州の様子を目にした。その強い抵抗精神には驚いた。武力の前では誰もが従順になるものだが、光州は抵抗した。性格の激しい人たちだと考えたが、実際に来てみると、皆普通の人だった。しかし普通の人が特別な瞬間に特別な力を発揮できるという点が、光州の特別な点かもしれない」
■和田春樹教授
日本の代表的な進歩的知識人で、韓半島問題の専門家でもある。東京大学西洋史学科を卒業、同大学社会科学研究所の教授としてロシア史や韓国・北朝鮮の現代史などを研究してきた。著書には「金日成と満州抗日戦争」(1922)、「朝鮮戦争全史」(95)、「北朝鮮-遊撃隊国家の現在」(98)、「東北アジア共同の家-新地域主義宣言」(2003)などがある。
キム・ソンヒョン記者
http://www.chosunonline.com/news/20110602000028
http://www.chosunonline.com/news/20110602000029
●保坂祐二 - Wikipedia
保坂 祐二(ほさか ゆうじ、1956年 - )は、1988年より韓国に在住、2003年に韓国に帰化した日系韓国人である。現在は世宗大学校の副教授であり、日本の朝鮮、満州、台湾に対する支配政策研究、竹島領有権問題分析、日韓文化比較研究が専門。無宗教。
研究と主張 高麗大学校の大学院では、福澤諭吉と朝鮮開化派の相互関係研究、日本の植民地時代の朝鮮、満州、台湾に対する支配政策(特に、同化政策)を専攻した。日本の歴史認識を批判する発言が多い。
著書『日本に絶対やられるな』の序文において、「私は(中略)日本を愛していることを先ず述べておきたい。(中略)過去を正しく反省できなければ正しい未来など訪れるはずがない、という信念で日韓関係において過去は現在に通じ(中略)、(日韓の過去を研究する)ということは本人のアイデンティティーを見つける道でもある。」などと述べ、単純に自らを反日とする見方に異論を唱え、日本における良心的勢力・進歩的知識人と同じような立場であるとしている。
竹島問題研究 竹島問題に関しては、一貫して日本の主張を批判しており、竹島(韓国名:独島)は韓国領であるという立場をとっている。日本側が韓国側の主張の多くの部分を歪曲、または完全に隠蔽し、また日本側の竹島に関する領有権主張は表面的な事実を真実のように情報統制しているものであり、公開されない史料や真実があまりに多いと主張している。その代表的な例が1877年の太政官指令文の隠蔽と意図的な誤読、曲解であると主張する。特に同じ竹島問題の研究者である下條正男 拓殖大学教授(竹島問題研究所座長)が客観性を失っているとして、彼の主張を独自の根拠を挙げて批判している。例えば、下條が太政官指令文の中の「竹島外一島」をアルゴノートとダジュレーと主張していることに関して、保坂は太政官が竹島と松島をアルゴノートとダジュレーと見なしたという根拠は一切なく、指令文の内容や付図である<磯竹島略図>に示された竹島と松島は明確に鬱陵島と現在の竹島(独島)であるとして、下條が歴史的事実を意図的に隠蔽・誤読していると論文で主張している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%9D%82%E7%A5%90%E4%BA%8C
●韓日同盟が必要な理由 2011年06月03日 中央日報
李明博(イ・ミョンバク)大統領の就任後、韓日両国は友好的な関係が続いている。しかし新しい協定に関する限り、あいまいな状態だ。日本でさまざまな意見を聞いてみた私の結論は、李明博大統領と菅直人首相は公式的な同盟を追求しようと時間を浪費する時ではないということだ。
日本に対する韓国の敵対感は実際、克服されるのは難しい。歴史の影は現在でも暗い影を落としたりする。韓国は日本の地震後、最も早く救助隊を派遣した。しかし日本教科書の独島(ドクト、日本名・竹島)記述問題が浮上し、韓国人の救援熱気が冷めた。
日本政府は独島領有権を主張し続けているが、一般の日本人はそれほど関心がない。多くの人は地図上で独島を探すこともできないだろう。沖縄観光局の職員に「韓国人は自由に独島を出入りできる」という話をすると、驚いていた。「日本の民間人は中国と領有権紛争中の尖閣諸島に入れない」と言いながらだ。韓国とは違い、日本では小さな岩島にこだわる日本人は多くない。
私の講演を聞く日本人にこういう話をした。もし独島が日本のものだという希望のない主張を撤回すれば、韓国との親善は急速に進むという内容だった。しかし日本人は独島放棄が北方領土に対する日本の領有権主張に影響しないか憂慮している。慶応大学の添谷芳秀教授は本当のイシューは日本国内の政治だと指摘したりもした。右翼をなだめなければいけないということだ。日本人は韓国の食べ物やドラマ、少女時代に熱狂する。
もし相互不信が韓日関係の障害でなければ、両国が同盟を追求しなければならない3つの理由が生じる。
まず中国と北朝鮮が次第に好戦的に変わっているという事実だ。北朝鮮は昨年、韓国を2度攻撃し、中国も韓国・日本の領海に船を送った。金正日(キム・ジョンイル)は昨年以降、3度も中国を訪問した。前例のないことだ。中朝が永遠の同盟であることを確認しようとしている。不幸にも北東アジアで冷戦は現在進行形だ。
韓日同盟がなければならない2つ目の理由は米国だ。ブッシュ大統領のため米国政府は莫大な軍費支出で揺れている。オバマ大統領は米軍6000人の生命と数十億ドルの代価を支払った2つの戦争を受け継いだ。ワシントンが韓国・日本に駐留する米軍を減らしながら、さらに多くの分担金を要求している理由だ。力が弱まった米国ばかりに頼っていては、中国の漸増する脅威を確実に防ぐのが難しい。
昨年末ワシントンでは韓日米外相会談が開かれた。ここでオバマ政権は韓日米3者協力のための公式的な体系を作るのに特に関心を見せなかった。クリントン政権とは違う姿だ。韓国と日本が積極的に動かなければならないことだ。
幸い、韓日両国の首脳はこうした役割をする適任者だ。日本の民主党政権は韓国により友好的に接している。菅首相は就任後、韓国に謝罪しただけでなく、日帝強制支配期に略奪した1205点の朝鮮王室儀軌を返還することにした。また論争の中心にある靖国神社も参拝しなかった。
韓日同盟のイニシアティブは韓国が握っている。大地震と原発事故の災難克服に余念がない日本はこうした余裕がないからだ。李明博大統領に今後訪日する計画があるなら、絶好のチャンスを逃してはならない。軍需物資支援と軍事情報交換に原則的に合意した1月の韓日国防相会談が出発点になるかもしれない。米国のアジア最大同盟国である韓日両国がお互い最も親しい友人になる機会だ。
http://japanese.joins.com/article/522/140522.html?servcode=100
http://japanese.joins.com/article/523/140523.html?servcode=100
●「韓日中3カ国の通貨を統合した新通貨導入を」 2011年06月03日 中央日報
韓日中3カ国の通貨金融学者が地域内通貨金融協力に乗り出した。NEAR財団は2日、ソウルの韓国プレスセンターで韓日中専門家カンファレンス「A3トライアングルイニシアチブ」を開催した。この席で各国の通貨金融専門家15人は3カ国の通貨協力のための政策提案書を確定した。NEAR財団の鄭徳亀(チョン・ドック)理事長は、「韓国ウォン、日本円、中国元のすべてが東アジアの中心通貨として限界を持っている。単一通貨導入など新たな突破口を見つけるため3カ国の著名学者で構成された専門家グループが誕生したことに今回の会合の意味がある」と話した。韓日中の専門家らが出した通貨協力案はこうだ。まず韓日中の外貨準備高を活用し2000億ドル規模の共同基金(ACF)を作り、これを域内外の外国為替市場安定と金融危機時の緊急支援のための基金として活用しようというものだ。
韓日中バスケット通貨(ABC)を作ろうという主張も出てきた。ウォンと円、人民元を組み合わせて新しい通貨単位を作るものだ。円や人民元、ウォンなどひとつの通貨の力ではまだ基軸通貨の役割をするには足りないため、ABCを利用して主要20カ国(G20)会議の主要議題となっている新国際通貨体制議論に共同で対応しようという趣旨だ。また、長期的にはABCを国家間の取り引きや民間取り引きで使えるようにしようというものだ。 この日発表者として出席した一橋大学の小川英治教授は、「アジア単一通貨導入は外国為替リスクを分散し、域内金融・資本市場発展をもたらす効果があるだろう」と予測した。また、「アジア3カ国の金融統合のために市場とインフラを強化して資本自由化を高めなければならない」と主張した。
高麗(コリョ)大学のオ・ジョングン教授は発表文で、域内資本市場構築の必要性を強調した。彼は「北東アジアの債券市場が成長してきたが、まだ大規模な外貨準備高を循環させるには充分でない」とし、韓日中バスケット通貨債券を導入しなければなければならないと助言した。
http://japanese.joins.com/article/510/140510.html?servcode=A00
【私のコメント】
6月2日の朝鮮日報日本語版に、韓国で「進歩的・良心的知識人」と高く評価されている和田春樹氏のインタビューが掲載されている。このインタビューで彼は竹島問題について、韓国の領有権を認めた上で共同開発の道を探るべきと主張している。竹島領有権を手放すことのできない韓国にとってはこの主張は理想的なものである。竹島問題で一貫して韓国側に立つ保坂祐二氏、従軍慰安婦問題で韓国に謝罪した河野洋平氏も含め、日本人の中には一見して日本の国益を阻害し韓国の国益に貢献する人々が存在する。ネット右翼の人々はこのような「反日的日本人」を激しく批判している。しかし、私はその様な立場には賛成しない。私は心の底から韓国が嫌いであり、韓国が滅亡して北朝鮮に吸収され、韓国人が近未来の統一国家の中で底辺階層として地獄のような日々を送ることを夢見ている。その一方で、日本の国益を阻害している様に見える「進歩的・良心的知識人」を私は高く評価している。私のこの姿勢は一見すると矛盾しているのだが実際には全く矛盾していない。そのことを理解して貰うのが今回の記事の目的である。
中央日報は「韓日同盟が必要な理由」「韓日中3カ国の通貨を統合した新通貨導入を」という二本の記事を6月3日付けで掲載している。米国の世界覇権が近未来に消滅することを前提にして韓国が先進国として生き残るためには日本との軍事同盟と日中両国との経済同盟が必要であるとの主張は韓国の国益からは全く正しい。しかし、日韓の軍事同盟は韓国が一方的な受益者となるし、日本と韓国の経済同盟は日本にとって最大の敵である韓国の製造業が生き延びることを意味するのでやはり韓国が一方的な受益者になる。日本にとってはこの韓国の戦略を叩き潰し、韓国という国自体を消滅させていく必要があるのだ。
中央日報の二つの記事で重要なのは国の名前の順番である。「韓日米外相会談」「韓日米3者協力」「韓日中専門家カンファレンス」「韓日中バスケット通貨」という言葉に注目したい。日本が米国・中国の前に置かれている。これは反日感情が強く、日清戦争を清日戦争、日露戦争を露日戦争と呼んで日本を常に劣位に置いてきた韓国では異例のことである。21世紀の韓国を先進国として維持するためには日本との同盟が必須であるというコペルニクス的な意識転換が韓国知識階層内部で起きている可能性が高い。この意識転換は日本の国益にとって非常に危険なものである。米国の世界覇権消滅という国家存亡の危機に直面して日本にすり寄ってきた韓国を突き放していくことが日本に求められているのだ。
この様な視点から見ると、竹島問題、従軍慰安婦問題などの歴史問題での日韓の対立は日本にとって重要なカードである。国際法違反の竹島実効支配を正当なものであると韓国人に認識させ続けること、竹島問題と歴史問題で韓国人の反日感情を煽ることは日韓の軍事同盟を不可能にすることに繋がる。憲法第9条の維持、集団的安全保障の否定も重要である。これらの主張は全て左翼系の人々からなされている。一見反日的な「進歩的・良心的知識人」は実は日本の国益に最も貢献している人々なのだ。逆に、竹島奪還を主張する右翼系の人々こそ、竹島を韓国が日本に返還して日韓の軍事同盟が成立するという最悪の事態へと道を開く、反日的日本人であると私は認識している。
左翼系の人々は、このブログの読者の皆さんの多くからは馬鹿な人間だと軽蔑されているだろう。表向きは日本の国益に反することを主張しているのだから当然である。ただ、私はこの「左翼系の人々」は二種類いると想像している。一つは単なる馬鹿で、左翼系の活動家の多くはこれに含まれる。もう一種類は陰謀家である。表向きは反日的言論を主張しているのだが、実際には日本の国益を守るための戦略の要になっている。この様な陰謀家が日本の左翼勢力を指導し運営しているのではないかと私は妄想している。そして、和田春樹と保坂祐二は実はこの「陰謀家」なのではないかと私は考えている。
【2011年6月8日追記】
●李完用の「売国」は現実主義外交の帰結 朝鮮日報 2011/06/05
【新刊】キム・ユンヒ著『李完用評伝』(ハンギョレ出版)
「避けられない現実の中では、得られるものを得ていかなければならない」
愛国と売国の分かれ道で選んだのは「君主制の維持」
最近、朝鮮王朝の滅亡前後を扱った書籍が相次いで出版されている。高宗や徳恵翁主、英親王、厳皇貴妃にまで、改めて光が当てられている。しかしその中には、誰もが目をそらしたい人物が一人いる。李完用(イ・ワンヨン)=1858-1926=だ。その名前に必要な修飾語は「売国奴」だけで、これ以上言及すること自体、苦痛だった。本書は、その問題の人物に再び照明を当て、激動の歴史の中に送り返した。
6歳で千字文(子どもに漢字を教えるために用いられた漢文の長詩)を覚え、25歳で科挙に合格した李完用は、官僚生活を始めてからわずか5カ月後、新式学問を修めると決心したところから注目される。「私は20歳までは漢学を尊んだが、甲午改革の運命が巡ってきて儒教を尊ぶ気風が薄れた上、外国との交通が拡大したことで、西洋との交際が切に必要だと考えた。(中略)当時は米国との交流が必要だったため、その時新設された育英公院に入学し、米国に渡った」
1896年に改革派と保守派が衝突した時も、李完用は「体制内改革派」に属していた。独立門の定礎式で、李完用は次のように演説した。「朝鮮の人々は、米国のように独立し、世界第一の富強なる国となるのか、ポーランドのように滅ぶのか、いずれにせよ人の行動に懸かっている。朝鮮の人々は、米国にようになることを望むべし」
ところが、じわじわと圧迫を加えてくる列強や、朝鮮内部で起きた政治勢力同士の対立の中で、李完用は愛国と売国の危険な境界に近づいていった。李完用も最初は、乙巳(いつし)条約(1905年に締結された第2次日韓協約)の締結を拒否する考えだった。しかし、日本政府が貫徹の意志を強く持っていることを確認し、高宗も明確に拒絶できないことが分かったため、自分の役割を決定した。
李完用は、内閣会議で国王に次のように進言した。「もし、やむを得ず(乙巳条約を)許諾するのであれば、問題の条約の内容に、書き加えたり、訂正したりすべき極めて重大な事項があるはず。従って、あらかじめ相談しておかなければならない。条約を結ぶ席では、絶対に中途半端な振る舞いをなさらないように」
結局、乙巳条約は、高宗や大臣が誰も明確な賛成・反対を表明せず、決定も下さないまま、日本の圧力によって締結された。しかし、興奮した世論は、学部大臣の李完用らを「乱臣賊子」(人としての道を外れ、悪事をはたらく者の意)と見なした。続いて起きたハーグ密使事件の後、状況は韓国併合まで突き進んだ。
著者は「李完用の行為が売国であることは否定できない」と述べながらも、李完用が売国の頂点に立つことになった背景に触れた。当時、最終決定権者だった高宗は、時代が要求する政治改革は避けながらも、外部勢力を別の外部勢力でけん制するという危険な綱渡りを行った。表向きは日本に順応しながら、裏では反日政治官僚を通じ、秘密外交を行っていた。著者は、表のラインで王室を忠実に守ることが、李完用の役割だったと解釈した。
李完用は、与えられた状況の下で最大限の成果を考える現実主義者だった。乙巳条約を締結せざるを得ないなら、可能な部分については修正を求め、韓日併合が不可避なら、得られるものを得ることに尽力しなければならないというのが、李完用が考える「合理」だった。
著者は、これまでの李完用に対する評価は「欲深い個人」で固まり、その個人をめぐる関係の力学が看過されていたと指摘した。「当時、大韓帝国の政治構造に“関係する”李完用が消えた瞬間、構造の中で批判されるべきものが救済された。大韓帝国の政治システム、政治関係の総括者としての高宗、大韓帝国の世論を率いた知識人たちの妥協…」
李完用の生涯は「近代的合理性が極端な時代と出合ったとき、いかに発現し得るか」を示すケースだ。著者は「李完用は、単に“売国奴”としてではなく、“不条理な現実に怒ることを知らない”または“それを克服しようという人々が叫ぶ価値観に呼応することを知らない”人物として批判されなければならない」と指摘した。
著者は、本書の冒頭で「排除された他者の封印を解いてみたかった」と記した。封印が解かれた後、読者が見ることになるのは「他者」ではなく、まさしく自分たちの一部だ。本書は、ハンギョレ新聞社の子会社、ハンギョレ出版と、釜山大学の研究所が共同企画した「歴史人物評伝」の最初の成果だ。316ページ、1万6000ウォン(約1200円)。
http://www.chosunonline.com/news/20110605000000
http://www.chosunonline.com/news/20110605000001
●「売国奴」李完用に内在する近代的思考とは 朝鮮日報 2011/06/05
インタビュー:『李完用評伝』著者、キム・ユンヒ教授
『李完用(イ・ワンヨン)評伝』の著者、キム・ユンヒ江原大学研究教授(韓国史)=44=は、本紙の電話インタビューに対し「李完用を見て、40代に差し掛かり現実と妥協する自分の姿が思い浮かんだ。だが、本書が李完用の“売国”に対する弁護として読まれることは望んでいない」と語った。
-なぜ今、李完用なのか。
「企画者の依頼を受けて、個人的に好奇心が湧いた。私も40歳をとうに越え、生活の中で現実と妥協し、合理化しようとするところがあった。新たな決心が必要だという観点から、李完用を見詰めることにした」
-従来の研究との違いは?
「これまでの研究はおおむね、李完用が個人的栄華と欲望ゆえに韓国併合に臨み、政治的変身の鬼才だという視点からのものだった。私は、李完用の政治的変身より、普通の人間が社会生活を送る中で持つ悩み、つまり欲望と節制、所信と揺らぎというキーワードから見詰めた」
-新たに明らかになった点や浮き彫りになった点は?
「李完用の生活は、欲望とは隔たりがあった。当代第2の金持ちだったが、生活は概して簡素だった。趣味も、書や文房四宝(筆・墨・すずり・紙)の収集という程度だった。金を稼ぐことについて恥ずかしいとは思わず、野菜作りに直接投資して金を稼いだこともあった」
-李完用を「合理的近代人」と見るのは、どういう意味か?
「合理的だから肯定的というわけではなく、むしろ近代人の道具的合理性が持つ盲点を示したという意味だ。与えられた現実の中で最も実用的な選択をするのが最善、という信念に潜む盲点のことを言っている」
-李完用に対する弁護論として読まれる可能性もあるが?
「誤解がなければいいと思う。私も、売国奴という判断に異論はない。ただ“売国奴”の中に内在する、近代的思考体系の限界を示したかった」
http://www.chosunonline.com/news/20110605000002
【コメント追記】
この李完用に関する本が今韓国で発行された意味合いは重い。韓国支配階層は、日本による韓国統治こそが韓国を先進国に飛躍させる原動力になったという、従来強く批判されてきた植民地史観こそが正しかったのだと認識し始めている。正にコペルニクス的な意識転換である。この後に来るものは、韓国と日本の軍事的・経済的統合と見て間違いない。繰り返すがこれは事実上日韓併合の復活であり、韓国のみにとって有益で日本にとっては極端に不利益である。この韓国の政策を打倒するためには、日本の左翼系勢力がかつての大日本帝国の韓国統治を批判することしかない。日本の左翼勢力に日本の国運がかかっている。
↓↓↓ 一日一回クリックしていただくと更新の励みになります。
中国語版中央日報を見てみよう
現在の韓流ブームは日本にとって二つの目的があると思います。
一つ目は、自国文化の優越性にこだわるという愚かな現在の韓国政府の政策に協力することで、韓国の自滅を推進することです。台湾やシンガポールは決して自国文化の優越性を宣伝していませんが、中国語や英語に堪能な国民性を生かして繁栄しています。また、伝統的に朝鮮の知識人はハングルに代表される朝鮮の文化を蔑視し、中国の言語・文化を尊んで来ました。現在の韓国にとっても、自国の言語や文化の優越性にこだわるよりも、現在の世界覇権国である米国の言語・文化、あるいは近未来のアジアの覇権国になる日本や中国の言語・文化を尊ぶ方が有益であると思われます。韓国人にとっては、世界の辺境国家の言語である韓国語やハングルを学ぶことは壮大な労力の無駄遣いに他なりません。このような愚かな韓国の政策に協力することは、韓国が経済面から見て日本の最大の敵国であることを考慮するならば、日本の国益に合致しています。
二つ目は、日本で韓国ブームが起きていると韓国人に認識させることで、日本支配階層が韓国を経済的に最大の仮想敵国であると認識し、韓国を滅亡させるために着々と陰謀を推進してきたことに気付かせない様にすることです。韓国は日本に製造業でうち勝つことを国家目標にしており、日韓は経済戦争を戦っています。台湾が日本とは製造業で競合せずに協力する姿勢にあるのとは対称的です。恐らく日本支配階層は台湾は日本文明圏に含んだ形で将来も発展させるが、韓国は近い将来に滅亡させることで米国発世界大恐慌に伴う製造業の過剰設備を廃棄する計画を立てているのだと思います。このような日本政府の陰謀を隠蔽するためには、日本の一般大衆が韓国ブームに沸いていると韓国に認識させることは有用だと思います。
>中国語版中央日報を見てみよう
中国語版は呼んだことがないので分かりませんが、中央日報・朝鮮日報などの韓国の新聞は日本語版でも伝統的に中日、露日、米日などと日本を後に配置することで日本を劣位に置いてきました。
テレビで韓国を称賛する三流芸能人たちもここで言う進歩的文化人と同じ役割をしているのでしょう。
しかしよくしみったれた恋愛ドラマや昔の洋楽邦楽をパクった音楽を国を挙げて売り込もうとする考えますね
私には理解出来ません。
失笑を禁じえません。
http://chinese.joins.com/gb/article.do?method=detail&art_id=66836&category=001001
韩国、中国、日本三个国家的货币金融学者们为了区域内的货币金融合作聚到了一起。
Near财团于6月2日在首尔新闻中心(Press Center)召开了韩中日三国专家研讨会“A3 Triangle Initiative”。・・・
韓国の新聞の日本語版がかつては韓中日、韓米日だったのが韓日中、韓日米になったのは、日本国民の感情を損ねないことが韓国の国益に繋がるという打算によるものかもしれません。ただ、仮にそうだとしても、従来の「中国が最上位、韓国はその次で日本は最下位」という韓国型華夷秩序感覚を日本語版の記事に反映させて自尊心を満足させるという愚かさが韓国マスコミから失われたのは非常に残念であり、また警戒すべきことだと思います。
韓国は日本経済にとって最大の敵国です。この敵国が愚かであることは日本の国益であり、敵国が賢明であることは日本にとっての脅威です。我々日本人は韓国をもっと警戒心を持って見つめる必要があると思います。
それ自体に深い意味はない。ただ、それだけのことだ。というか、日本は情けないぞって話だけだ。
このブログの管理人さんの意見は深読みしすぎているだけのことです。
なんせ韓国政府が膨大な税金を使って広告打ってくれている訳ですから(笑)
すなわちユーラシア大陸の外縁をリムランドと定義し
常にそこで、シーパワーとランドパワーの衝突が起きていることから
リムランドを影響下に置く事が双方にとって合理的だとされてます
リムランド理論に従えば、日本は朝鮮半島諸国を味方に引き入れ
ランドパワー国(中国)に対抗するべきなんでしょうが
如何せん朝鮮族は事大主義で、自分たちが不利になるや否や
容易に裏切りに走るでしょうから信用できません
日本には一応、海洋という緩衝地帯がありますよw
歴史的にみて、朝鮮半島が中国の影響下にあっても、さほど日本の脅威になったことはありません。
前、中国の軍事専門家の方が言っていましたが、朝鮮半島を手に入れても、太平洋を日本列島でふさがれているために、中国が朝鮮半島を領国化するメリットはないとのことです。だから、せいぜい緩やかな属国程度にしていくのが良いとのこと。
中国が手に入れたいのは、やはり台湾なのです。台湾を手に入れることによって、太平洋への自由な出口が手に入り、そこを潜水艦の基地に出来る。中国の沿岸部は遠浅の海ばかりなので、潜水艦の基地としては適していないのです。だからこそ、台湾を手に入れたいとのこと。
朝鮮半島は不安定化すると、中国の安全にとっても脅威にはなるですが、だからといって、直接治めるのはメリットがない。貧乏な属国として、適度に飼い殺しにしておくべきだとか。