●中国の台頭と米中衝突のリスク――バランスを維持するには日韓との同盟関係を維持し、台湾は手放すべきだ フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年5月号 チャールズ・グレーザー ジョージ・ワシントン大学教授
中国の台頭はたしかに危険をはらんでいるが、それが伴うパワーバランスの変化によって覇権競争が起きて米中の重要な国益が衝突することはおそらくない。核兵器、太平洋による隔絶、そして現在比較的良好な政治関係という三つの要因のおかげで、現在のアメリカと中国はともに高度な安全保障を手にしており、あえて関係を緊張させるような路線をとることはないだろう。米中間の緊張の高まりを抑えつつ、地域バランスを維持するには、事態をやや複雑にするとはいえ、ワシントンはアジアでもっとも重要なパートナーである日本と韓国に信頼できる拡大抑止を提供し、一方で、台湾防衛のような最重要とは言えないコミットメントについては従来の政策を見直し、アメリカは台湾から手を引くことも考えるべきだろう。何よりも、アメリカは中国の影響力と軍備増強によって生じるリスクを過大視し、過剰反応しないようにする必要がある。
<米中衝突の理論と現実(部分公開)>
中国の台頭は21世紀の国際関係を規定するもっとも重要な出来事になるかもしない。問題は、それがハッピーエンドになるかどうかだ。そうならない場合、どうなるのか。大国間戦争のリスクを高めてしまうのか。米中関係の緊張は冷戦同様に危険なものになるのか。それとも、ソビエトとは違って地政学的ライバルとなるだけでなく、経済的にもライバルとなる中国との関係に規定される時代は、さらに深刻で危険に満ちたものになるのか。
これまで、地域研究、歴史、経済などさまざまな分野の専門家が、こうした疑問の一面については優れた洞察を示してきた。だが、中国の特異性、過去の行動、そして経済的軌道からみると、中国は、多くの専門家が想定するほど、時代を規定するような重要な役割を果たすことはないかもしれない。というのも、中国が超大国としてどのように振舞うか、その行動と他国の行動が最終的に衝突するかどうかは、国際政治のパターンだけでなく、その国の特有の要因にも左右されるからだ。
どのような状況ならグローバルなパワーバランスの変化が紛争に行き着くのか。この大きなテーマはまさに国際関係理論の研究対象であるだけに、分析対象にそうした特有の要因を加味すべきだろう。国際関係理論を用いた中国の台頭をめぐるこれまでの論争には、リベラル派が将来を楽観し、リアリストが今後を悲観するという構図があった。
リベラル派は、「現在の国際秩序は開放的な政治・経済体制によって規定されており、この体制なら、中国の台頭を前にしても平和的に順応していける」と主張してきた。「アメリカをはじめとする主要国は、中国が既存の秩序に参加し、その枠組みのなかでの繁栄を遂げることを歓迎すると表明できるはずだし、実際に、そうするはずだ。・・・中国も、自らが好ましいと考える秩序を確立しようと、危険でコストのかかる現状変革を試みるよりも、既存の国際システムに自らを織り込んでいく可能性が高い」。リベラル派はこのように考えてきた。
これに対してリアリストは、激しいせめぎ合いが生じると予測している。「力をつけた中国はより強引に国益を模索し始め、アメリカをはじめとする国々はこの動きへの対抗バランスを形成しようとする。この悪循環は、控えめにみても冷戦期の米ソの対立に準じた状況を作り出し、覇権戦争を招き入れる恐れがある」。中国が東シナ海と南シナ海における領海権を強く主張する一方で、アメリカとインドが接近しているのは、その悪循環がすでに始まっている証拠だとリアリストはみている。
だが、より洗練されたリアリストの視点に立てば、事態を楽観してもよさそうだ。
中国の台頭が、厳格なリアリストが主張するほど競争的で危険な環境を作り出すわけではないだろう。主要国を紛争へと向かわせるような構造的力学はそれほど大きくはない。むしろ危険なのは、覇権戦争のような、国際関係理論が示唆するリスクではなく、北東アジアにおける特有の論争がいかなる事態を引き起こすかだ。
幸い、国際システムにおける安全保障秩序がこれらの論争を米中が管理していく助けとなる。別の言い方をすれば、中国の台頭がどのような結末を招き入れるかは、国際システムが作り出す圧力よりも、アメリカと中国の指導者がどのように問題に対処するかで決まる。米中が衝突すると決まっているわけではない。アメリカが新しい国際政治のリアリティに配慮し、不本意ながらも譲歩に応じ、危険を過大視しなければ、大規模な衝突は回避できるはずだ。
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201105/Glaser.htm
<安全保障のジレンマ>
純然たるリアリストの理論では、国家の行動は国際システムが作り出す圧力と機会という点から説明され、国家間紛争において国内要因が配慮されることは基本的にない。混沌とした世界では、各国が自国の安全保障を強化するためにとる行動が、戦争を引き起こすと考えられている。もちろん常にそうなるわけではない。
それに「各国が自国の安全を強化しようとすると戦争に陥る」というのはそもそも奇妙な話だ。自国の安全を確保したいのなら、むしろ戦争ではなく協力や平和の恩恵を選ぶはずではないのか。この謎を説明する理屈が、ある国が安全保障を高めようとすると、他国の安全保障は低下するとされる「安全保障のジレンマ」だ。
「安全保障のジレンマ」がどれだけ説得力があるかは、どれだけ相手を攻撃し、強制しやすい環境にあるかに左右される。他国を攻撃しやすい環境にある場合、特定国の軍事力のわずかな増強が他国の安全保障を大幅に低下させ、不安と軍拡競争という負のスパイラルに拍車がかかる。一方、防衛や抑止力が機能している環境なら、特定国の軍備増強が必ずしも他国を脅かすわけではない。むしろ、この環境で国際システムのメンバー間で良好な政治関係が維持される場合もある。
「安全保障のジレンマ」は、ある国が他国の動機や目標をどう受け止めるかにも左右される。「敵国を突き動かしているのは支配欲ではなく、自国の安全保障を確保したいという欲求だ」とみなされる場合には、敵国が軍事力を強化しても、相手国は、これをさほど厄介な問題とは考えない。「敵に対抗して軍事力を強化しなければ」と考えることもなく、この場合、政治的・軍事的な負のスパイラルに陥るのを回避できる。
「安全保障のジレンマ」にもさまざまなレベルがあることを理解すれば、リアリストの理論も大きく変化し、いつものように憂鬱なシナリオばかりが示されることも少なくなるだろう。「安全保障のジレンマが大きければ、国家間の競争は激しくなり戦争の可能性は高まる」。これが、悲観的リアリストの典型的な「予測」だ。だが安全保障のジレンマが小さい場合には、国際システムが自制と平和の機会を与えてくれる。
さらに「安全保障のジレンマ」を適切に理解すれば、敵国が安全だと考える環境では自国の安全も強化されることがわかるはずだ。敵国が不安を抱くような状況を作り出せば、相手を競争的で脅威に満ちた路線へと駆り立ててしまう。逆に言えば、「自制と協調」が魅力的な選択肢となる。自国が求めているのは支配ではなく、ささやかな安全保障に過ぎないと相手に理解させれば、緊張感と危機感をあおり立てることもない。
この理屈を中国の台頭に当てはめればどうなるだろうか。
まずもっとも大きな意味では、明らかにグッドニュースだ。現在の国際環境からみると、相手に大きな脅威を与えることなく、米中両国は自らの中核利益を守れるからだ。米中の場合、核兵器を保有しているために、効果的な抑止力を維持できることも安定を維持していく上でプラスに作用する。
今後、中国のパワーがアメリカのパワーを大きく上回るようになっても、アメリカは依然として中国の先制攻撃を生き延び、相手に大きなダメージを与える核による報復攻撃戦力を保有し、抑止力を失うことはあり得ない。一方で、広大な太平洋を越えて中国がアメリカ本土に対する通常兵器による大規模な攻撃を試みるのは事実上不可能だ。この二つの制約を克服できるような圧倒的な軍事パワーを中国が整備するとは当面考えられない。
アメリカも克服しがたい制約を持っている。軍事面では、現在の中国はアメリカに大きな後れをとっているが、いずれ核戦力の増強を通じて対米抑止力を形成するだろう。さらに中国にしてみれば、アメリカの圧倒的な通常戦力も(地理的に離れていることを考慮すれば)それほど大きな脅威ではない。戦力、ロジスティクス機能の多くは、太平洋の向こう側の米大陸に配備されているに過ぎない。
こうした特有の条件ゆえに「安全保障のジレンマ」は大きく低下している。中国がいずれ超大国の地位を手に入れても、米中は現在同様に高度な安全保障を維持していくだろう。その結果、ワシントンと北京は地政学的関係が極度に緊張するのを回避できるし、「安全保障のジレンマ」も抑制され、むしろ、協調が促される。
例えば、アメリカは、中国が核戦力を近代化しても、あえてそれに反応しないという選択をすることもできる。この路線をとれば、「アメリカは中国の安全保障を脅かすつもりはない」というメッセージを送れるし、核の軍拡競争という負のスパイラルに陥るのを回避できると考えられる。
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20110603-01-1601.html
(以下省略)
<同盟関係をめぐる論争>
<台湾を手放して米中和解を>
<過剰反応を避けよ>
●台湾放棄論-世界の論調批評 2011年03月06日(日)
Foreign Affairs3‐4月号で米ジョージ・ワシントン大学のCharles Glaser教授が、中国が軍事大国となっても、太平洋の彼方の米国と戦争になる可能性は低く、あるとすれば台湾をめぐる戦争だろう、そこで、米国は台湾から手を引くことを考えるべきだ、と論じています。
すなわち、太平洋を隔てた米中が直接戦争をすることは考え難い。他方、台湾の危機は、容易に核戦争につながる可能性があり、この危険を避けるために、米国は台湾へのコミットメントを止めることを検討すべきだ。それによって米国の信頼性が落ちるという言う説は間違いだ。ただ、米国は日本と韓国の防衛にコミットしており、これは維持すべきだ。中国は米国以上に日本を怖れているのだから、米国がそうした形でアジアに残ることは、日米同盟で日本の軍事力が抑えられるという点で、中国にも他の選択肢より受け容れ易いだろう、と述べ、
中国はヒットラーではなく、領土要求は限られているのだから、台湾を手に入れれば、それ以上の要求は無く、新たな現状維持、緊張の緩和が生まれるだろう。中国脅威論は自己実現的な予言であり、米国にとって大事なことは、台湾のような米国にとって死活的利益ではないものが問題を起こさないようにして、中国の脅威を大げさにとらえない政策調整をすることだ、と結んでいます。
従来から米国の言論界、経済界、そして政府部内の一部にはこうした意見がありましたが、これほどはっきりと台湾切り捨てによる対中宥和政策を論じた論説は稀です。
しかしその論旨には全く賛同できません。台湾切り捨ては、東アジア、ひいては世界のバランス・オブ・パワーに地殻変動的影響を与えるでしょう。まず経済面では、台湾のコンピュータ-部品、液晶、各種化学工業等の高い技術水準から言って、台湾の併合は中国の経済技術力を飛躍的に増大させることになり、それは、ドイツがベルギーを併合した場合、あるいはそれ以上の影響があるでしょう。
また、最も重大なのはシー・レインへの影響です。中国が南シナ海の制海権を握れば、沿岸諸国は中国の圧力に抗し得ず、フィンランド化が起きることになります。日本も当然影響を受けますが、華僑が経済の実権を握っているインドネシアやマレイシアなどでは、国家が中国の圧力を受け入れざるを得なくなるでしょう。と言うことは、かつての大東亜共栄圏に大中華帝国が出現するということで、ほぼ半世紀の繁栄を享受し、インドネシアの民主化で自由民主主義への道も歩み始めた東南アジアの自由と繁栄の体制は一挙に崩れることになります。
そして何よりも自由民主主義国である台湾を、一党支配の中国に手渡せば、世界における米国の信用は致命的な打撃を受けることになるでしょう。
もっとも、この種の議論が米国の政策として実施される可能性は低いと思われます。なぜなら、これはまだ米国の政治、軍事専門家の中で多数意見とはなっておらず、直接政策を担当している太平洋軍地域の軍事関係者もはっきりと反対だと思われるからです。
また、米国の政策は、最終的には世論と議会によって決められます(大統領さえも世論と議会の動向には逆らえない)が、中国が実際に武力行使もしくは武力による脅迫を行い、自由民主主義国である台湾が、共産党一党支配の中国に売り渡されるような事態に至れば、世論と議会がどう反応するかは、十分に予測できることです。
http://blog.canpan.info/okazaki-inst/archive/1240
●米中軍トップ会見「中国は米に挑戦する能力なし」 2011/05/19 18:01 テレビ朝日
アメリカを訪問している中国人民解放軍のトップが18日にマレン統合参謀本部議長と共同会見を行い、「アメリカに挑戦する能力はない」と強調しました。
中国人民解放軍・陳総参謀長:「我々は(米軍に)挑戦する能力はない」
人民解放軍の陳総参謀長は、「米軍の兵器や装備、運用の洗練ぶりに驚いた」と話し、中国の軍備拡大に対してアメリカで広がる警戒感にくぎを刺しました。
一方で、「台湾はあくまでも中国の一部だ」と改めて強調したうえで、「台湾への武器売却は内政干渉にあたる」と訴えました。今回の軍事交流で、アメリカと中国は、参謀本部同士をつなぐホットラインを設置することや、災害救助を想定した合同軍事演習を来年中に行うことに合意しています。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210519037.html
●朝鮮戦争 - Wikipedia
韓国に到着したマッカーサーを迎える李1950年1月12日、アメリカのトルーマン政権のディーン・アチソン国務長官が、「アメリカが責任を持つ防衛ラインは、フィリピン - 沖縄 - 日本 - アリューシャン列島までである。それ以外の地域は責任を持たない」と発言し(「アチソンライン」)、韓国のみを含めなかった(これは、アメリカの国防政策において「太平洋の制海権だけは絶対に渡さない」という意味であったが、朝鮮半島は地政学上、大陸と海の境界線に位置している関係や、長く日本の統治下にあったこともあって、判断が難しい地域でもある)。金日成はこれを「アメリカによる西側陣営の南半部(韓国)放棄」と受け取った。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%88%A6%E4%BA%89
【私のコメント】
フォーリンアフェアーズ2011年5月号で、注目すべき記事がある。チャールズ・グレーザ氏の、「米中のバランスを維持するには日韓との同盟関係を維持し、台湾は手放すべきだ」という記事である。フォーリンアフェアーズ誌は米国の外交政策を立案するCFRが発行しているので、この記事は決して見逃せないのだ。
台湾が共産中国の勢力圏ではなく米国の勢力圏に存在することは中国にとっては太平洋への出口を閉ざす障害物であり、米国にとっては中国包囲網の一環であった。中国の脅威に怯える米国などの西洋諸国にとっては、台湾の重要性はますます高まっていると思われる。そして、仮に台湾が中国の勢力圏になれば、日本と東南アジア・ペルシャ湾を結ぶ航路は中国海軍の支配下に転落し、日本は米国の属国から中国の属国に移行することになる。これは世界覇権が米国から中国へと移行することを意味する。西洋文明の世界覇権の帰趨は台湾にかかっていると言っても良いだろう。これに対して、韓国は仮に北朝鮮や中国に占領されても米国の覇権には影響は出ない。重要性の低い韓国を維持して重要性の高い台湾を手放すべきと言うチャールズ・グレーザ氏の論文の真意は何だろうか?て
私が第一に疑っているのは、これは米国が台湾を放棄すると見せかけて中国の台湾侵攻を誘発し、台湾を巡る米中戦争を勃発させるという米国の陽動作戦の陰謀であるというものだ。1950年6月の朝鮮戦争勃発の直前の1月にアチソン米国務長官がアチソンライン演説で米国の韓国放棄を事実上宣言して朝鮮戦争の引き金を引いた歴史が思い起こされる。米国としては、軍事力・経済力での優位がある今のうちに中国を叩いて弱体化させ、西洋文明の優位を維持したいという考えが大きいのだと思われる。中国の保有する米国債を踏み倒したい、米中戦争で日本も巻き込んで東アジア文明圏を消滅させたいという考えもあるだろう。更に、台湾を国家の生命線とする日本を脅迫して、日本から金を巻き上げ、日本企業を乗っ取ることも考えているかもしれない。現在の大不況を打開するには米国には米中戦争以外の選択枝は残されていないのかもしれない。ただ、中国側は米国との直接対決を回避する意志が強い様だ。今戦えば米国に負けるのは確実だが、時間がたてば米国は衰退し台湾は自動的に中国のものになる。従って中国は米国の陽動作戦に決して乗ることはないだろう。
私が第二に疑うのは、韓国を油断させるための陰謀だ。台湾を手放すことと同時に日本・韓国との同盟を維持することが主張されていることが重要だ。日本との同盟、台湾への軍事支援は米国にとってコストが小さく見返りが大きいが、韓国との同盟は膨大な陸軍の駐留を必要とし、米国にとってコストが大きく見返りが小さい。合理的に考えるなら、韓国を放棄して、海空軍で防衛可能な日本と台湾を維持するのが米国にとって賢明である。それにも関わらず韓国との同盟維持が主張されていることで、韓国人は安心して日本や中国などの周辺国への強硬政策を継続することができる。それは韓国外交の方向転換の機会を失わせ、韓国の滅亡を避けられないものにする効果がある。
日本政府としては、米国の真意が上記のいずれなのかを知ることが必要である。米国も一枚岩ではないので、どの勢力がどの様な意図を持っているかを把握し、その上で日本の国益に合致した方向へと米国外交を誘導すべきである。日本の国益を考えると最も望ましいのは日中露印の四大国が並立するアジア国際政治システムであり、これは中国の世界覇権を不可能にする点で西洋諸国にも有益である。また、米国衰退後に台湾を中国圏ではなく日本圏に維持する必要があり、その為に日本は第七艦隊の購入とロシア・インド海軍との共同作戦を行う必要があると思われる。
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中国の台頭はたしかに危険をはらんでいるが、それが伴うパワーバランスの変化によって覇権競争が起きて米中の重要な国益が衝突することはおそらくない。核兵器、太平洋による隔絶、そして現在比較的良好な政治関係という三つの要因のおかげで、現在のアメリカと中国はともに高度な安全保障を手にしており、あえて関係を緊張させるような路線をとることはないだろう。米中間の緊張の高まりを抑えつつ、地域バランスを維持するには、事態をやや複雑にするとはいえ、ワシントンはアジアでもっとも重要なパートナーである日本と韓国に信頼できる拡大抑止を提供し、一方で、台湾防衛のような最重要とは言えないコミットメントについては従来の政策を見直し、アメリカは台湾から手を引くことも考えるべきだろう。何よりも、アメリカは中国の影響力と軍備増強によって生じるリスクを過大視し、過剰反応しないようにする必要がある。
<米中衝突の理論と現実(部分公開)>
中国の台頭は21世紀の国際関係を規定するもっとも重要な出来事になるかもしない。問題は、それがハッピーエンドになるかどうかだ。そうならない場合、どうなるのか。大国間戦争のリスクを高めてしまうのか。米中関係の緊張は冷戦同様に危険なものになるのか。それとも、ソビエトとは違って地政学的ライバルとなるだけでなく、経済的にもライバルとなる中国との関係に規定される時代は、さらに深刻で危険に満ちたものになるのか。
これまで、地域研究、歴史、経済などさまざまな分野の専門家が、こうした疑問の一面については優れた洞察を示してきた。だが、中国の特異性、過去の行動、そして経済的軌道からみると、中国は、多くの専門家が想定するほど、時代を規定するような重要な役割を果たすことはないかもしれない。というのも、中国が超大国としてどのように振舞うか、その行動と他国の行動が最終的に衝突するかどうかは、国際政治のパターンだけでなく、その国の特有の要因にも左右されるからだ。
どのような状況ならグローバルなパワーバランスの変化が紛争に行き着くのか。この大きなテーマはまさに国際関係理論の研究対象であるだけに、分析対象にそうした特有の要因を加味すべきだろう。国際関係理論を用いた中国の台頭をめぐるこれまでの論争には、リベラル派が将来を楽観し、リアリストが今後を悲観するという構図があった。
リベラル派は、「現在の国際秩序は開放的な政治・経済体制によって規定されており、この体制なら、中国の台頭を前にしても平和的に順応していける」と主張してきた。「アメリカをはじめとする主要国は、中国が既存の秩序に参加し、その枠組みのなかでの繁栄を遂げることを歓迎すると表明できるはずだし、実際に、そうするはずだ。・・・中国も、自らが好ましいと考える秩序を確立しようと、危険でコストのかかる現状変革を試みるよりも、既存の国際システムに自らを織り込んでいく可能性が高い」。リベラル派はこのように考えてきた。
これに対してリアリストは、激しいせめぎ合いが生じると予測している。「力をつけた中国はより強引に国益を模索し始め、アメリカをはじめとする国々はこの動きへの対抗バランスを形成しようとする。この悪循環は、控えめにみても冷戦期の米ソの対立に準じた状況を作り出し、覇権戦争を招き入れる恐れがある」。中国が東シナ海と南シナ海における領海権を強く主張する一方で、アメリカとインドが接近しているのは、その悪循環がすでに始まっている証拠だとリアリストはみている。
だが、より洗練されたリアリストの視点に立てば、事態を楽観してもよさそうだ。
中国の台頭が、厳格なリアリストが主張するほど競争的で危険な環境を作り出すわけではないだろう。主要国を紛争へと向かわせるような構造的力学はそれほど大きくはない。むしろ危険なのは、覇権戦争のような、国際関係理論が示唆するリスクではなく、北東アジアにおける特有の論争がいかなる事態を引き起こすかだ。
幸い、国際システムにおける安全保障秩序がこれらの論争を米中が管理していく助けとなる。別の言い方をすれば、中国の台頭がどのような結末を招き入れるかは、国際システムが作り出す圧力よりも、アメリカと中国の指導者がどのように問題に対処するかで決まる。米中が衝突すると決まっているわけではない。アメリカが新しい国際政治のリアリティに配慮し、不本意ながらも譲歩に応じ、危険を過大視しなければ、大規模な衝突は回避できるはずだ。
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201105/Glaser.htm
<安全保障のジレンマ>
純然たるリアリストの理論では、国家の行動は国際システムが作り出す圧力と機会という点から説明され、国家間紛争において国内要因が配慮されることは基本的にない。混沌とした世界では、各国が自国の安全保障を強化するためにとる行動が、戦争を引き起こすと考えられている。もちろん常にそうなるわけではない。
それに「各国が自国の安全を強化しようとすると戦争に陥る」というのはそもそも奇妙な話だ。自国の安全を確保したいのなら、むしろ戦争ではなく協力や平和の恩恵を選ぶはずではないのか。この謎を説明する理屈が、ある国が安全保障を高めようとすると、他国の安全保障は低下するとされる「安全保障のジレンマ」だ。
「安全保障のジレンマ」がどれだけ説得力があるかは、どれだけ相手を攻撃し、強制しやすい環境にあるかに左右される。他国を攻撃しやすい環境にある場合、特定国の軍事力のわずかな増強が他国の安全保障を大幅に低下させ、不安と軍拡競争という負のスパイラルに拍車がかかる。一方、防衛や抑止力が機能している環境なら、特定国の軍備増強が必ずしも他国を脅かすわけではない。むしろ、この環境で国際システムのメンバー間で良好な政治関係が維持される場合もある。
「安全保障のジレンマ」は、ある国が他国の動機や目標をどう受け止めるかにも左右される。「敵国を突き動かしているのは支配欲ではなく、自国の安全保障を確保したいという欲求だ」とみなされる場合には、敵国が軍事力を強化しても、相手国は、これをさほど厄介な問題とは考えない。「敵に対抗して軍事力を強化しなければ」と考えることもなく、この場合、政治的・軍事的な負のスパイラルに陥るのを回避できる。
「安全保障のジレンマ」にもさまざまなレベルがあることを理解すれば、リアリストの理論も大きく変化し、いつものように憂鬱なシナリオばかりが示されることも少なくなるだろう。「安全保障のジレンマが大きければ、国家間の競争は激しくなり戦争の可能性は高まる」。これが、悲観的リアリストの典型的な「予測」だ。だが安全保障のジレンマが小さい場合には、国際システムが自制と平和の機会を与えてくれる。
さらに「安全保障のジレンマ」を適切に理解すれば、敵国が安全だと考える環境では自国の安全も強化されることがわかるはずだ。敵国が不安を抱くような状況を作り出せば、相手を競争的で脅威に満ちた路線へと駆り立ててしまう。逆に言えば、「自制と協調」が魅力的な選択肢となる。自国が求めているのは支配ではなく、ささやかな安全保障に過ぎないと相手に理解させれば、緊張感と危機感をあおり立てることもない。
この理屈を中国の台頭に当てはめればどうなるだろうか。
まずもっとも大きな意味では、明らかにグッドニュースだ。現在の国際環境からみると、相手に大きな脅威を与えることなく、米中両国は自らの中核利益を守れるからだ。米中の場合、核兵器を保有しているために、効果的な抑止力を維持できることも安定を維持していく上でプラスに作用する。
今後、中国のパワーがアメリカのパワーを大きく上回るようになっても、アメリカは依然として中国の先制攻撃を生き延び、相手に大きなダメージを与える核による報復攻撃戦力を保有し、抑止力を失うことはあり得ない。一方で、広大な太平洋を越えて中国がアメリカ本土に対する通常兵器による大規模な攻撃を試みるのは事実上不可能だ。この二つの制約を克服できるような圧倒的な軍事パワーを中国が整備するとは当面考えられない。
アメリカも克服しがたい制約を持っている。軍事面では、現在の中国はアメリカに大きな後れをとっているが、いずれ核戦力の増強を通じて対米抑止力を形成するだろう。さらに中国にしてみれば、アメリカの圧倒的な通常戦力も(地理的に離れていることを考慮すれば)それほど大きな脅威ではない。戦力、ロジスティクス機能の多くは、太平洋の向こう側の米大陸に配備されているに過ぎない。
こうした特有の条件ゆえに「安全保障のジレンマ」は大きく低下している。中国がいずれ超大国の地位を手に入れても、米中は現在同様に高度な安全保障を維持していくだろう。その結果、ワシントンと北京は地政学的関係が極度に緊張するのを回避できるし、「安全保障のジレンマ」も抑制され、むしろ、協調が促される。
例えば、アメリカは、中国が核戦力を近代化しても、あえてそれに反応しないという選択をすることもできる。この路線をとれば、「アメリカは中国の安全保障を脅かすつもりはない」というメッセージを送れるし、核の軍拡競争という負のスパイラルに陥るのを回避できると考えられる。
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20110603-01-1601.html
(以下省略)
<同盟関係をめぐる論争>
<台湾を手放して米中和解を>
<過剰反応を避けよ>
●台湾放棄論-世界の論調批評 2011年03月06日(日)
Foreign Affairs3‐4月号で米ジョージ・ワシントン大学のCharles Glaser教授が、中国が軍事大国となっても、太平洋の彼方の米国と戦争になる可能性は低く、あるとすれば台湾をめぐる戦争だろう、そこで、米国は台湾から手を引くことを考えるべきだ、と論じています。
すなわち、太平洋を隔てた米中が直接戦争をすることは考え難い。他方、台湾の危機は、容易に核戦争につながる可能性があり、この危険を避けるために、米国は台湾へのコミットメントを止めることを検討すべきだ。それによって米国の信頼性が落ちるという言う説は間違いだ。ただ、米国は日本と韓国の防衛にコミットしており、これは維持すべきだ。中国は米国以上に日本を怖れているのだから、米国がそうした形でアジアに残ることは、日米同盟で日本の軍事力が抑えられるという点で、中国にも他の選択肢より受け容れ易いだろう、と述べ、
中国はヒットラーではなく、領土要求は限られているのだから、台湾を手に入れれば、それ以上の要求は無く、新たな現状維持、緊張の緩和が生まれるだろう。中国脅威論は自己実現的な予言であり、米国にとって大事なことは、台湾のような米国にとって死活的利益ではないものが問題を起こさないようにして、中国の脅威を大げさにとらえない政策調整をすることだ、と結んでいます。
従来から米国の言論界、経済界、そして政府部内の一部にはこうした意見がありましたが、これほどはっきりと台湾切り捨てによる対中宥和政策を論じた論説は稀です。
しかしその論旨には全く賛同できません。台湾切り捨ては、東アジア、ひいては世界のバランス・オブ・パワーに地殻変動的影響を与えるでしょう。まず経済面では、台湾のコンピュータ-部品、液晶、各種化学工業等の高い技術水準から言って、台湾の併合は中国の経済技術力を飛躍的に増大させることになり、それは、ドイツがベルギーを併合した場合、あるいはそれ以上の影響があるでしょう。
また、最も重大なのはシー・レインへの影響です。中国が南シナ海の制海権を握れば、沿岸諸国は中国の圧力に抗し得ず、フィンランド化が起きることになります。日本も当然影響を受けますが、華僑が経済の実権を握っているインドネシアやマレイシアなどでは、国家が中国の圧力を受け入れざるを得なくなるでしょう。と言うことは、かつての大東亜共栄圏に大中華帝国が出現するということで、ほぼ半世紀の繁栄を享受し、インドネシアの民主化で自由民主主義への道も歩み始めた東南アジアの自由と繁栄の体制は一挙に崩れることになります。
そして何よりも自由民主主義国である台湾を、一党支配の中国に手渡せば、世界における米国の信用は致命的な打撃を受けることになるでしょう。
もっとも、この種の議論が米国の政策として実施される可能性は低いと思われます。なぜなら、これはまだ米国の政治、軍事専門家の中で多数意見とはなっておらず、直接政策を担当している太平洋軍地域の軍事関係者もはっきりと反対だと思われるからです。
また、米国の政策は、最終的には世論と議会によって決められます(大統領さえも世論と議会の動向には逆らえない)が、中国が実際に武力行使もしくは武力による脅迫を行い、自由民主主義国である台湾が、共産党一党支配の中国に売り渡されるような事態に至れば、世論と議会がどう反応するかは、十分に予測できることです。
http://blog.canpan.info/okazaki-inst/archive/1240
●米中軍トップ会見「中国は米に挑戦する能力なし」 2011/05/19 18:01 テレビ朝日
アメリカを訪問している中国人民解放軍のトップが18日にマレン統合参謀本部議長と共同会見を行い、「アメリカに挑戦する能力はない」と強調しました。
中国人民解放軍・陳総参謀長:「我々は(米軍に)挑戦する能力はない」
人民解放軍の陳総参謀長は、「米軍の兵器や装備、運用の洗練ぶりに驚いた」と話し、中国の軍備拡大に対してアメリカで広がる警戒感にくぎを刺しました。
一方で、「台湾はあくまでも中国の一部だ」と改めて強調したうえで、「台湾への武器売却は内政干渉にあたる」と訴えました。今回の軍事交流で、アメリカと中国は、参謀本部同士をつなぐホットラインを設置することや、災害救助を想定した合同軍事演習を来年中に行うことに合意しています。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210519037.html
●朝鮮戦争 - Wikipedia
韓国に到着したマッカーサーを迎える李1950年1月12日、アメリカのトルーマン政権のディーン・アチソン国務長官が、「アメリカが責任を持つ防衛ラインは、フィリピン - 沖縄 - 日本 - アリューシャン列島までである。それ以外の地域は責任を持たない」と発言し(「アチソンライン」)、韓国のみを含めなかった(これは、アメリカの国防政策において「太平洋の制海権だけは絶対に渡さない」という意味であったが、朝鮮半島は地政学上、大陸と海の境界線に位置している関係や、長く日本の統治下にあったこともあって、判断が難しい地域でもある)。金日成はこれを「アメリカによる西側陣営の南半部(韓国)放棄」と受け取った。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%88%A6%E4%BA%89
【私のコメント】
フォーリンアフェアーズ2011年5月号で、注目すべき記事がある。チャールズ・グレーザ氏の、「米中のバランスを維持するには日韓との同盟関係を維持し、台湾は手放すべきだ」という記事である。フォーリンアフェアーズ誌は米国の外交政策を立案するCFRが発行しているので、この記事は決して見逃せないのだ。
台湾が共産中国の勢力圏ではなく米国の勢力圏に存在することは中国にとっては太平洋への出口を閉ざす障害物であり、米国にとっては中国包囲網の一環であった。中国の脅威に怯える米国などの西洋諸国にとっては、台湾の重要性はますます高まっていると思われる。そして、仮に台湾が中国の勢力圏になれば、日本と東南アジア・ペルシャ湾を結ぶ航路は中国海軍の支配下に転落し、日本は米国の属国から中国の属国に移行することになる。これは世界覇権が米国から中国へと移行することを意味する。西洋文明の世界覇権の帰趨は台湾にかかっていると言っても良いだろう。これに対して、韓国は仮に北朝鮮や中国に占領されても米国の覇権には影響は出ない。重要性の低い韓国を維持して重要性の高い台湾を手放すべきと言うチャールズ・グレーザ氏の論文の真意は何だろうか?て
私が第一に疑っているのは、これは米国が台湾を放棄すると見せかけて中国の台湾侵攻を誘発し、台湾を巡る米中戦争を勃発させるという米国の陽動作戦の陰謀であるというものだ。1950年6月の朝鮮戦争勃発の直前の1月にアチソン米国務長官がアチソンライン演説で米国の韓国放棄を事実上宣言して朝鮮戦争の引き金を引いた歴史が思い起こされる。米国としては、軍事力・経済力での優位がある今のうちに中国を叩いて弱体化させ、西洋文明の優位を維持したいという考えが大きいのだと思われる。中国の保有する米国債を踏み倒したい、米中戦争で日本も巻き込んで東アジア文明圏を消滅させたいという考えもあるだろう。更に、台湾を国家の生命線とする日本を脅迫して、日本から金を巻き上げ、日本企業を乗っ取ることも考えているかもしれない。現在の大不況を打開するには米国には米中戦争以外の選択枝は残されていないのかもしれない。ただ、中国側は米国との直接対決を回避する意志が強い様だ。今戦えば米国に負けるのは確実だが、時間がたてば米国は衰退し台湾は自動的に中国のものになる。従って中国は米国の陽動作戦に決して乗ることはないだろう。
私が第二に疑うのは、韓国を油断させるための陰謀だ。台湾を手放すことと同時に日本・韓国との同盟を維持することが主張されていることが重要だ。日本との同盟、台湾への軍事支援は米国にとってコストが小さく見返りが大きいが、韓国との同盟は膨大な陸軍の駐留を必要とし、米国にとってコストが大きく見返りが小さい。合理的に考えるなら、韓国を放棄して、海空軍で防衛可能な日本と台湾を維持するのが米国にとって賢明である。それにも関わらず韓国との同盟維持が主張されていることで、韓国人は安心して日本や中国などの周辺国への強硬政策を継続することができる。それは韓国外交の方向転換の機会を失わせ、韓国の滅亡を避けられないものにする効果がある。
日本政府としては、米国の真意が上記のいずれなのかを知ることが必要である。米国も一枚岩ではないので、どの勢力がどの様な意図を持っているかを把握し、その上で日本の国益に合致した方向へと米国外交を誘導すべきである。日本の国益を考えると最も望ましいのは日中露印の四大国が並立するアジア国際政治システムであり、これは中国の世界覇権を不可能にする点で西洋諸国にも有益である。また、米国衰退後に台湾を中国圏ではなく日本圏に維持する必要があり、その為に日本は第七艦隊の購入とロシア・インド海軍との共同作戦を行う必要があると思われる。
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>21世紀版「桂・タフト協定」が必要ではないか?
台湾…完全日米圏
北朝鮮…完全中国圏
韓国…相対的中国圏
とか
それと、馬英九は信用できない人物だ。
CNNとのインタビューで「有事の際、米軍に支援と求めない」という趣旨の発言をしている。
中国にわざと攻撃させ=>台湾軍に応戦を停止させ=>中国に降伏宣言し=>台湾を中国軍に占領させ=>自らは台湾特別行政区長に就任
という、シナリオだって平気で実行するだろう。
来年1月に馬英九が再選されれば、やるかもしれない。
在韓米軍に関しては、2015年に作戦権を韓国側に譲渡することが既に決められている。
最近の在韓米軍の関係者の話でも、それが既定路線になっているが、その一方で、アメリカ側が日本に韓国防衛の責任の一端を担わせようとしている。(ただし、日本は憲法九条があり、同時に領土問題も存在しているため、なかなかすすまんだろうが)
http://japanese.joins.com/article/039/140039.html?servcode=A00§code=A20
このブログで紹介された、アメリカの台湾切り捨て論に関しては、このブログの管理人さんの言うような推論は、けっこう、成り立つように思う。アメリカってのは、常に相手に手を出させて、また、第三者的な立場から紛争を解決しようとしたりして、利益を得てきた国だから。アメリカの兄弟国のイギリスなんかも、アメリカと似たような作戦が得意みたいだが...
尖閣問題の件でも、あれも遠いところでは、日本や中国が主役ではなく、アメリカが韓国系勢力を使って、やらせたように思う。中国に対して強硬策をとろうとしたのは、韓国との関係が深い親米派の前原氏だし、また、動画を流出させた海保の人は、奥さんが韓国人で、本人も韓国語が得意だということだ。
しかし、アメリカや韓国が期待したほどに日中の対立は進まなく、あえて、アメリカ側に成果があったとすれば、あれを切欠に日本側のアメリカ依存が高まったことぐらいか?しかし、それでも、沖縄の基地問題は不透明であるし、その後の大地震と原発で、再び、日本側のアメリカ依存を高める切欠になりかけたが、いまだに、沖縄の基地問題はいまだに未知数だ。だから、あわてて、前原がアメリカ側に呼び出されたりしている。
そんなこんなで、アメリカが突破口を開こうとするのなら、もはや、台湾しかないのだ。というか、アメリカにとっての最大の競争相手である中国が一番重視しているのは、台湾問題であり、中国をおびき出すのに、一番適している問題だからだ。一方で、アメリカは西太平洋での覇権を諦めてはおらず、それが分るのは、日本と韓国への米軍駐留を継続させようとしていることだ。日本に米軍を駐留させ続けるのは、むろん、西太平洋での覇権を継続させるためであり、また、台湾紛争が起これば、いつでも介入しやすくするためだ。また、韓国への米軍駐留は、日本を中国側に寝返らさせないため、または、日本で米軍撤退の機運が高まるのを防ぐためだ。
ASEAN10ヶ国国防相会議でも、標準装備の共通化が提案された。
中国に対し、南シナ海での行動規範の遵守徹底も要求している。
これは結構、一大勢力になるのではないか?
親中国家のミャンマーでさえ、庶民レベルでは、中国人は嫌われている。
ミャンマー人死亡者戸籍の中国密航者による乗っ取り、ミャンマー人成りすまし、も常態化している。
日本は迷わず、ASEANの側に立つべきだ。
日本切り捨て論、は大丈夫か?
まずは、自分の国を心配しな。
最後まで読み終わるまでに、もう“お決まりの結論”が分かるからだ。
最初に小難しい、外国の雑誌や新聞から引用するが、
最後の“私のコメント”に行き着くと、途端にレベルダウンする。
その結論についても、
1)韓国、イスラエルは滅亡させるべき
2)米国と国際金融資本は敵だ
3)ロシアと同盟すべき
と決まっている。
また、管理人の過激な対韓国、対金融国際資本攻撃に合わせ、より突っ込んだ提案をすると、
怖気づいたのか、二言目には
「私はそれには反対です」
である。
それなら最初から勇ましいこと言うなよ、と言いたくなる。
要は、いくら過激なことを言っても、所詮は「現状維持」から抜け出せない、小心者なんだよ。
マスコミでは日本はダメだ、日本は米国に切り捨てられるという悲観論が圧倒的ですが、私はこれは日本支配階層による対米プロパガンダだと考えています。日本は一見不景気や少子化に苦しんでいますが、国家繁栄の基礎となる科学技術分野では着々と実績を積み重ねています。基礎的な研究の弱い韓国や中国は表面的には繁栄していますが、その基盤は非常に脆いです。
日本が不景気に苦しんでいるのは、米国に仮想敵国視されないことが最大の目的だと考えています。米国は1990年代に日本を仮想敵国と認識して激しく攻撃を行いました。今や日本に代わって中国が米国の仮想敵国となり、欧米マスコミは中国脅威論が溢れています。日本の戦略は成功したのです。
今後の日本の戦略としては、米国の世界覇権喪失までは目立たないように不景気を続けるべきでしょう。そして、米国の世界覇権が崩壊した後には、世界経済の中心は日中印+ASEANを中心とする東アジアに移ります。その時こそ、日本が新たな成長を開始することでしょう。
今回の地震攻撃と原発テロを促された、ですよね!?
戦艦プリンス・オブ・ウェールズを
あの時期マレー沖で撃沈したのは非常に重要な意味が・・・・・
アメリカの覇権を継続したがっている勢力は、イスラエルの存続を願っている勢力や石油ドル基軸通貨体制を維持したい勢力、一方、アメリカの覇権の終焉を願っている勢力は、あの有名なロンポールもそうだが、アメリカモンロー主義勢力であり、アメリカ伝統的保守勢力であり、アメリカ国内に引きこもっていたい勢力だ。両者は常に対立しているので、アメリカの政策が常に変動している。
現在のオバマ政権の本心は分らないが...でも、オバマ政権の中東での民主化支援や撤退をみて分ったのだが、オバマ自身は後者のほうだろう。前任者のブッシュは、前者のように思えるのだが、でも、ブッシュの宗教基盤を調べれば、前者の政策を進めるふりをして、わざと失敗させて、結果的に後者へ導こうとしている勢力のようにも思える。アメリカ宗教右派は、親イスラエルのようにもみえるが、彼らの最終的な目標はハルマゲドンであり、イスラエル人がキリスト教に改宗することだったのでは?
東京kittyのブログ見たら説明してあったが、現在、IMFでの主導権を巡って、アメリカとEUがガチンコ勝負している。このアメリカの動きは、アメリカの世界覇権を願っている勢力の動きであり、東京kittyの指摘どおりフランスのサルコジがアメリカのスパイならば、やはり、イスラエルの存続を願っている勢力の働きだ。
アメリカの世界覇権を誰よりも願っている勢力は、イスラエルの存続を願っている勢力である。なぜなら、アメリカが世界覇権をやめる、中東から撤退するとなると、もはや、イスラエルのような小さな人造国家の存続は100パーセント不可能だからだ。
それ以外にも、アメリカの国力が世界最強であるべきと単純に願っている勢力も、アメリカの世界覇権を願っている勢力だといえるが、でも、イスラエルの存続を願っている勢力ほど、動機が曖昧だ。なぜなら、アメリカという国は、世界最大の可住面積を誇る超大国であり、資源も豊富で、大西洋と太平洋という二つの大きな海で守られており、わざわざ、世界の警察なんかせずとも、アメリカ単独、自給自足でも、十分に他の国々よりも超大国であることを維持できるのだ。
アメリカの引きこもりたい勢力や伝統的な白人保守勢力にとっては、アメリカが世界覇権を目指すことによって、世界中の第三世界から移民が大量に流入し、自分達のアイデンティティを脅かされることのほうが、遥かに恐怖なのである。逆にイスラエルの存続を願う勢力にとっては、そんなことなど、どうでも良いことなのだ。
ここでだが、このブログの管理人であるprinceofwalesさんの意見についてだが、イスラエルの存続を願う勢力と似たような考えをもつマイナーな勢力がある。それは、韓国の存続を願う勢力である。韓国という国もまた、イスラエルがそうであるのと同様、アメリカが世界覇権を目指して極東アジアに関与し続けることによって存続が許されている国家なのだ。もし、極東にアメリカの存在がいなかったら、朝鮮半島は、隣国の日本か中国の属領になるしかなく、おそらく、最も可能性が高いのは、中国の属領になることだろう。また、中国から朝鮮半島での統治を任される勢力は、北朝鮮の勢力ということになる。実際に朝鮮戦争でアメリカが関与するまでは、北朝鮮が勝利していて、彼ららが朝鮮半島を統一していたであろう。
そういうふうに考えていくと、イスラエルの存続を願う勢力と韓国の存続を願う勢力とは、非常によく似ているのだ。ちなみに、アメリカがイスラエルの存続のために中東情勢に関与し続けようと思えば、サンフランシスコから中東までの太平洋航路の確保は重要であり、その途中にある日本近海の覇権を確保することは重要条件なのだ。そういう意味で、ここのイスラエルの存続を願う勢力と韓国の存続を願う勢力の利害は一致しているともいえる。
オバマやブッシュは俳優に過ぎません。裏で大統領の政策を決めている役人やCFRの人々が重要だと思います。
私は、国際金融資本=親イスラエル派が米英の世界覇権を維持しようと考えており、最近ではクリントン政権がそれに該当すると考えています。レーガン・ブッシュ父・ブッシュ子・オバマは反国際金融資本派だと思います。
まあ、そういうふうに考えると、クリントン政権が独裁者の政権に甘かったことも理解できますよね。というか、クリントン政権は、独裁者に甘かったというよりは、いかにイスラエルを存続させるのか?それには何が最善なのか?で動いており、その過程で一部の独裁者には甘かっただけです。
つまり、クリントン政権は、独裁者に甘いのではなく、イスラエル存続の戦略で都合のよい独裁者の政権に甘かっただけなのです。イスラエル存続に不必要な独裁者の政権は容赦なく潰して民主化を起こしているのです。
アメリカが何を考えているのか?......このイスラエル存続派と、イスラエル存続否定派との抗争の中で、アメリカの国家戦略は動いていること踏まえて、日本は行動しないといけない。これを理解していると、アメリカの作戦が手に取るようによめ、日本はもっとうまく立ち回れますが、残念なことに、それを理解している日本の政治家や官僚は少ないのではないでしょうか?なぜかというと、戦後の日本のエリート教育は、アメリカ占領軍によって立て直されたものであり、日本のエリート教育に勝ち上がっていくものほど、アメリカの属国体制にどっぷりハマるような仕組みにのなっているのです。
日本がアメリカを見る時、極東情勢、対中国関係を重視しすぎる傾向があるのですが、アメリカの勢力にとっては、あくまでもイスラエルをめぐる問題が最重要問題であり、極東情勢、対中国関係も、その付属にすぎません。関ヶ原の戦いに例えるのなら、中東こそが関ヶ原であり、極東は上田城攻防戦にすぎない。上田城攻防戦ばかりに目をとらわれると、関ヶ原に遅参した徳川秀忠の二の舞になる。
日本にはアメリカからの独立を願う勢力がいるが...それを実現させたいのなら、このイスラエル問題を最上位の問題としてとらえ、作戦を立てないといけないでしょう。日本独立は、すべてイスラエル問題にかかっていると言っても過言ではない。