●米大統領選の焦点はテロ戦争の継続可否 2008年2月12日 田中 宇
▼テロ戦争の続行をめぐる米中枢の暗闘
クリントンは、イラク撤退を主張する一方で、テロ戦争は続行すると表明している。テロ戦争は「911事件のようなテロが二度と起きないよう、イスラム社会の民主化やテロ組織退治を世界的・長期的に進める」という世界戦略である。だが、そもそも911事件は米政府の自作自演的な色彩が強く、911の犯人とされるテロ組織「アルカイダ」も実体が非常に曖昧で、おそらく米英イスラエルの諜報機関に操られた存在である。
「テロ戦争」は、自作自演的な911事件をきっかけに、自作自演型のテロ組織アルカイダとの何十年もにわたる長期の世界的な低強度戦争を展開する、自作自演型の「第2冷戦」である。テロ戦争を何年も続けるうちに、最初は自作自演的だったテロ組織は、しだいにイスラム世界の一部の人々の支持を集めるようになり、自作自演のテロ戦争は本物のテロ戦争になり、何十年も続けられるようになる。
この「第2冷戦」は、米ソ間の「冷戦」と同様、米英が敵を挑発扇動することで、米英による「火力調整」が可能であり、だからこそ長続きさせられる。テロ戦争の世界体制を作ることで、米英は「テロ対策」の名目で、あらゆる国々の諜報機関に手を突っ込んで軍事・政治の情報を得られる。反米的な国々に「テロ支援国家」の濡れ衣を着せられ、国連やNATOをテロ戦争のための国際機関に作り替え、米英中心の世界体制を強化できる。
テロ戦争は、ブッシュ政権の発明ではない。クリントン前政権の1998年ごろから「タリバン敵視」「ならず者国家戦略」などが打ち出され、オサマ・ビンラディンによるテロが相次ぎ、テロ戦争の原型ができている。おそらくテロ戦争は、アメリカの二大政党、軍事産業、財界、米CIA、英MI6、イスラエル・モサドなど、米英中枢の諸勢力が合意した長期戦略である。
ブッシュ政権は、911以来テロ戦争を遂行してきたものの、やり方が非常に稚拙である。敵であるイスラム世界を怒らせるのはテロ戦争の一環ではあるが、ブッシュ政権はイスラム世界を怒らせすぎて、エジプトやヨルダンなどの親米政権を危機にさらし、トルコを親欧米から反欧米に転換させ、イスラエルの国家存続を危うくし、中東での米英の影響力を低下させた。
ブッシュ政権は、表向きは米英中枢が合意したテロ戦争の任務を遂行したものの、任務を過激にやりすぎて、テロ戦争を米英イスラエルの敗北として終わらせようとしているように見える。おそらく、米英中枢の諸勢力の中には、テロ戦争に賛成の勢力(米英中心体制で儲かる人々)と、反対の勢力(米英中心より多極的な世界体制の方が儲かる人々)がおり、賛成勢力の押し切りで911が起こされてテロ戦争が始まったが、反対勢力がチェイニー副大統領あたりを動かし、イラク戦争など各種のやりすぎによってテロ戦争を失敗させようとしている。
テロ戦争をめぐる米中枢の暗闘は、米次期政権を決める大統領選挙に反映されている。クリントンはテロ戦争の立て直しを目指し、マケインはブッシュ式のやりすぎを続けてテロ戦争を壊そうとしている。
▼正体不明のオバマ
それでは、民主党のもう一人の主要候補であるオバマはどうなのか。マケインとクリントンは、ワシントンの国際政治の世界での活動歴が長いので、2人の戦略は大体わかる。しかしオバマは新人なので、どんな指向の戦略を持った人なのかわかりにくい。イスラエルのマスコミも「オバマは何者なのか?」「イスラエルの味方のふりをした敵ではないか」といぶかる記事を出している。(関連記事その1、その2)
オバマは昨年夏、他の2人に先駆けて、フォーリンアフェアーズに外交戦略に関する論文を書かされているが「アメリカは世界を主導せねばならない」「テロ戦争のために国際的な同盟関係を強化する」など、覇権回復とテロ戦争立て直しを目指す方向性のことを書いている。クリントンと大きな違いがあるようには感じられない。
しかし歴史的に見て、米大統領選挙で意表を突く台頭をして大統領になる人は、それまでの米政界の流れを大きく変える新戦略を、米中枢の勢力から託されて立候補し、大統領になるケースがよくある。冷戦体制を途中まで壊したニクソンがそうだったし(いったん引退したのに、ロックフェラーから頼まれて返り咲き、中国やソ連との和解を進めた)、冷戦後に米英中心の金融覇権戦略を実行したビル・クリントンも、選挙戦で意表を突く台頭をした。オバマも、何か新戦略を持たされて出てきた可能性がある。
オバマがクリントンの対抗馬として出てきたということは、オバマを担ぎ出したのは、おそらく米中枢でテロ戦争に反対の勢力である。ケネディ家がオバマ支持を表明したが、ジョンFケネディと同じ役割がオバマに期待されているのだとしたら、それはテロ戦争を終わらせることであるとも考えられる。
▼オバマはケネディの再来?
1960年代初頭に大統領だったケネディは、選挙では対ソ連強硬派として当選したが、就任後、キューバ危機後にソ連のフルシチョフと和解した。キューバ危機は、まずアメリカに亡命しているキューバ人を武装させ、最初から失敗するものとしてキューバ侵攻させ(ピッグス湾事件)、キューバ政府に危機感を抱かせてソ連に軍事援助を求めるように誘導し、キューバにソ連のミサイルを配備させて、米国民が身近にソ連の脅威を感じられる状況を実現し、冷戦の恒久化に役立てようとした。これはケネディの立案ではなく、軍産複合体が先代のアイゼンハワー政権時代から進めていたことだった。
ケネディ政権下でこの作戦が実行されると、ケネディは軍産複合体の意に反して、ソ連のフルシチョフと交渉し、アメリカがトルコからミサイルを撤去する代わりに、ソ連はキューバからミサイルを撤去する話をまとめてしまい、冷戦の緊張は緩和されてしまった。
またケネディは、ベトナム戦争の泥沼に入りかけたところで撤退しようとして、おそらく戦争激化を画策していた軍事産業(国防総省)に敵視され、暗殺された。ケネディ暗殺後に副大統領から昇格したジョンソン大統領は、ケネディのベトナム撤退案を即座に破棄し、米政府は戦争激化の方向に再転換している。ケネディは、米英中心主義勢力の一つである米中枢の軍産複合体による冷戦を恒久化する戦略に反対で、禁じ手のはずの「敵との交渉」「途中での撤退」を大胆に進めようとした。
ケネディが、米英中心主義派による冷戦の恒久化戦略を、敵との交渉や途中での撤退によって破綻させようとしたのと同様、オバマは、米英中心派によるテロ戦争(第2冷戦)の恒久化戦略を、敵(イランや北朝鮮など)との交渉よって終わらせようとするかもしれない。オバマは選挙戦中の発言で、あらゆる敵対国の指導者と話し合う準備がある、と述べている。
オバマの外交政策顧問団で最も有名な人は、カーター政権で外交戦略を決めたブレジンスキーであるが、ブレジンスキーは1979年のソ連のアフガニスタン侵攻を誘発し、ソ連をアフガンで10年間の泥沼のゲリラ戦に陥らせ、ソ連崩壊の原因を作った人である。
冷戦の恒久化には、米ソ間の力の均衡が大事だったが、ブレジンスキーはソ連の力をアフガンで浪費させ、ソ連に冷戦を終わらせたいと思わせた点で、共和党レーガン政権以来のネオコンと同類である。ブレジンスキーは「強硬派」と言われるが、イラク戦争だけでなく、テロ戦争にも反対している。
http://tanakanews.com/080212USpol.htm
【私のコメント】
田中宇氏は2月12日の記事「米大統領選の焦点はテロ戦争の継続可否」で、ヒラリー候補=米英一極主義者、オバマ候補=多極主義者という明解な分析を提示している。911以後の米国国内での闘争が民主党大統領候補者選を舞台に繰り広げられているという内容である。ヒラリー候補の外交政策はクリントン政権時代の延長線上にあるという想定はもっともなものだ。
私は、米国の次期大統領はオバマ氏に内定しているのではないかと想像している。根拠は、オバマ氏の外交顧問にキッシンジャーと並ぶ国際政治専門家であるズビグニュー・ブレジンスキー氏が就任していることである。ブレジンスキー氏が負け馬に乗るとは思えないのだ。対抗馬のヒラリーが健闘しているのは、大統領選を盛り上げるという役割、あるいはヒラリーを支援する米英一極主義者のあぶり出しなどの理由が考えられるだろう。
田中宇氏はオバマはケネディの再来ではないかと主張している。しかし、私はオバマはカーター政権の再来ではないかと想像している。カーター政権の前任は不人気な共和党のニクソン・フォード政権であり、その外交政策はキッシンジャーが主導していた。ニクソンはベトナム戦争での敗北、ドルと金の交換停止を通じて米国の国力を大きく低下させ世界を多極化させた人物である。現在のブッシュ政権がイラク戦争での敗北やドルの下落を通じて米国の国力を大きく低下させていること、ブッシュ政権の外交政策にキッシンジャーが深く関与していること、ブッシュ政権の不人気を考えると、ブッシュ大統領はニクソン政権の再来という性格を持つ。それならば、次の政権はブレジンスキーが外交顧問に就任しているオバマになるのが自然だと思われる。
カーター大統領は元州知事で中央政界にはほとんど縁のない人物であった。オバマ氏も上院議員に当選して日が浅く、目立った政治的業績を残していない点で類似している。クリントン政権時代から現在まで一貫して中央政界に関与してきたヒラリーとは対照的である。
なお、ブッシュ政権の不人気、ブッシュ政権が8年間続いたことから考えて、共和党候補が次期大統領に選ばれる可能性は低いのではないかと想像する。
▼テロ戦争の続行をめぐる米中枢の暗闘
クリントンは、イラク撤退を主張する一方で、テロ戦争は続行すると表明している。テロ戦争は「911事件のようなテロが二度と起きないよう、イスラム社会の民主化やテロ組織退治を世界的・長期的に進める」という世界戦略である。だが、そもそも911事件は米政府の自作自演的な色彩が強く、911の犯人とされるテロ組織「アルカイダ」も実体が非常に曖昧で、おそらく米英イスラエルの諜報機関に操られた存在である。
「テロ戦争」は、自作自演的な911事件をきっかけに、自作自演型のテロ組織アルカイダとの何十年もにわたる長期の世界的な低強度戦争を展開する、自作自演型の「第2冷戦」である。テロ戦争を何年も続けるうちに、最初は自作自演的だったテロ組織は、しだいにイスラム世界の一部の人々の支持を集めるようになり、自作自演のテロ戦争は本物のテロ戦争になり、何十年も続けられるようになる。
この「第2冷戦」は、米ソ間の「冷戦」と同様、米英が敵を挑発扇動することで、米英による「火力調整」が可能であり、だからこそ長続きさせられる。テロ戦争の世界体制を作ることで、米英は「テロ対策」の名目で、あらゆる国々の諜報機関に手を突っ込んで軍事・政治の情報を得られる。反米的な国々に「テロ支援国家」の濡れ衣を着せられ、国連やNATOをテロ戦争のための国際機関に作り替え、米英中心の世界体制を強化できる。
テロ戦争は、ブッシュ政権の発明ではない。クリントン前政権の1998年ごろから「タリバン敵視」「ならず者国家戦略」などが打ち出され、オサマ・ビンラディンによるテロが相次ぎ、テロ戦争の原型ができている。おそらくテロ戦争は、アメリカの二大政党、軍事産業、財界、米CIA、英MI6、イスラエル・モサドなど、米英中枢の諸勢力が合意した長期戦略である。
ブッシュ政権は、911以来テロ戦争を遂行してきたものの、やり方が非常に稚拙である。敵であるイスラム世界を怒らせるのはテロ戦争の一環ではあるが、ブッシュ政権はイスラム世界を怒らせすぎて、エジプトやヨルダンなどの親米政権を危機にさらし、トルコを親欧米から反欧米に転換させ、イスラエルの国家存続を危うくし、中東での米英の影響力を低下させた。
ブッシュ政権は、表向きは米英中枢が合意したテロ戦争の任務を遂行したものの、任務を過激にやりすぎて、テロ戦争を米英イスラエルの敗北として終わらせようとしているように見える。おそらく、米英中枢の諸勢力の中には、テロ戦争に賛成の勢力(米英中心体制で儲かる人々)と、反対の勢力(米英中心より多極的な世界体制の方が儲かる人々)がおり、賛成勢力の押し切りで911が起こされてテロ戦争が始まったが、反対勢力がチェイニー副大統領あたりを動かし、イラク戦争など各種のやりすぎによってテロ戦争を失敗させようとしている。
テロ戦争をめぐる米中枢の暗闘は、米次期政権を決める大統領選挙に反映されている。クリントンはテロ戦争の立て直しを目指し、マケインはブッシュ式のやりすぎを続けてテロ戦争を壊そうとしている。
▼正体不明のオバマ
それでは、民主党のもう一人の主要候補であるオバマはどうなのか。マケインとクリントンは、ワシントンの国際政治の世界での活動歴が長いので、2人の戦略は大体わかる。しかしオバマは新人なので、どんな指向の戦略を持った人なのかわかりにくい。イスラエルのマスコミも「オバマは何者なのか?」「イスラエルの味方のふりをした敵ではないか」といぶかる記事を出している。(関連記事その1、その2)
オバマは昨年夏、他の2人に先駆けて、フォーリンアフェアーズに外交戦略に関する論文を書かされているが「アメリカは世界を主導せねばならない」「テロ戦争のために国際的な同盟関係を強化する」など、覇権回復とテロ戦争立て直しを目指す方向性のことを書いている。クリントンと大きな違いがあるようには感じられない。
しかし歴史的に見て、米大統領選挙で意表を突く台頭をして大統領になる人は、それまでの米政界の流れを大きく変える新戦略を、米中枢の勢力から託されて立候補し、大統領になるケースがよくある。冷戦体制を途中まで壊したニクソンがそうだったし(いったん引退したのに、ロックフェラーから頼まれて返り咲き、中国やソ連との和解を進めた)、冷戦後に米英中心の金融覇権戦略を実行したビル・クリントンも、選挙戦で意表を突く台頭をした。オバマも、何か新戦略を持たされて出てきた可能性がある。
オバマがクリントンの対抗馬として出てきたということは、オバマを担ぎ出したのは、おそらく米中枢でテロ戦争に反対の勢力である。ケネディ家がオバマ支持を表明したが、ジョンFケネディと同じ役割がオバマに期待されているのだとしたら、それはテロ戦争を終わらせることであるとも考えられる。
▼オバマはケネディの再来?
1960年代初頭に大統領だったケネディは、選挙では対ソ連強硬派として当選したが、就任後、キューバ危機後にソ連のフルシチョフと和解した。キューバ危機は、まずアメリカに亡命しているキューバ人を武装させ、最初から失敗するものとしてキューバ侵攻させ(ピッグス湾事件)、キューバ政府に危機感を抱かせてソ連に軍事援助を求めるように誘導し、キューバにソ連のミサイルを配備させて、米国民が身近にソ連の脅威を感じられる状況を実現し、冷戦の恒久化に役立てようとした。これはケネディの立案ではなく、軍産複合体が先代のアイゼンハワー政権時代から進めていたことだった。
ケネディ政権下でこの作戦が実行されると、ケネディは軍産複合体の意に反して、ソ連のフルシチョフと交渉し、アメリカがトルコからミサイルを撤去する代わりに、ソ連はキューバからミサイルを撤去する話をまとめてしまい、冷戦の緊張は緩和されてしまった。
またケネディは、ベトナム戦争の泥沼に入りかけたところで撤退しようとして、おそらく戦争激化を画策していた軍事産業(国防総省)に敵視され、暗殺された。ケネディ暗殺後に副大統領から昇格したジョンソン大統領は、ケネディのベトナム撤退案を即座に破棄し、米政府は戦争激化の方向に再転換している。ケネディは、米英中心主義勢力の一つである米中枢の軍産複合体による冷戦を恒久化する戦略に反対で、禁じ手のはずの「敵との交渉」「途中での撤退」を大胆に進めようとした。
ケネディが、米英中心主義派による冷戦の恒久化戦略を、敵との交渉や途中での撤退によって破綻させようとしたのと同様、オバマは、米英中心派によるテロ戦争(第2冷戦)の恒久化戦略を、敵(イランや北朝鮮など)との交渉よって終わらせようとするかもしれない。オバマは選挙戦中の発言で、あらゆる敵対国の指導者と話し合う準備がある、と述べている。
オバマの外交政策顧問団で最も有名な人は、カーター政権で外交戦略を決めたブレジンスキーであるが、ブレジンスキーは1979年のソ連のアフガニスタン侵攻を誘発し、ソ連をアフガンで10年間の泥沼のゲリラ戦に陥らせ、ソ連崩壊の原因を作った人である。
冷戦の恒久化には、米ソ間の力の均衡が大事だったが、ブレジンスキーはソ連の力をアフガンで浪費させ、ソ連に冷戦を終わらせたいと思わせた点で、共和党レーガン政権以来のネオコンと同類である。ブレジンスキーは「強硬派」と言われるが、イラク戦争だけでなく、テロ戦争にも反対している。
http://tanakanews.com/080212USpol.htm
【私のコメント】
田中宇氏は2月12日の記事「米大統領選の焦点はテロ戦争の継続可否」で、ヒラリー候補=米英一極主義者、オバマ候補=多極主義者という明解な分析を提示している。911以後の米国国内での闘争が民主党大統領候補者選を舞台に繰り広げられているという内容である。ヒラリー候補の外交政策はクリントン政権時代の延長線上にあるという想定はもっともなものだ。
私は、米国の次期大統領はオバマ氏に内定しているのではないかと想像している。根拠は、オバマ氏の外交顧問にキッシンジャーと並ぶ国際政治専門家であるズビグニュー・ブレジンスキー氏が就任していることである。ブレジンスキー氏が負け馬に乗るとは思えないのだ。対抗馬のヒラリーが健闘しているのは、大統領選を盛り上げるという役割、あるいはヒラリーを支援する米英一極主義者のあぶり出しなどの理由が考えられるだろう。
田中宇氏はオバマはケネディの再来ではないかと主張している。しかし、私はオバマはカーター政権の再来ではないかと想像している。カーター政権の前任は不人気な共和党のニクソン・フォード政権であり、その外交政策はキッシンジャーが主導していた。ニクソンはベトナム戦争での敗北、ドルと金の交換停止を通じて米国の国力を大きく低下させ世界を多極化させた人物である。現在のブッシュ政権がイラク戦争での敗北やドルの下落を通じて米国の国力を大きく低下させていること、ブッシュ政権の外交政策にキッシンジャーが深く関与していること、ブッシュ政権の不人気を考えると、ブッシュ大統領はニクソン政権の再来という性格を持つ。それならば、次の政権はブレジンスキーが外交顧問に就任しているオバマになるのが自然だと思われる。
カーター大統領は元州知事で中央政界にはほとんど縁のない人物であった。オバマ氏も上院議員に当選して日が浅く、目立った政治的業績を残していない点で類似している。クリントン政権時代から現在まで一貫して中央政界に関与してきたヒラリーとは対照的である。
なお、ブッシュ政権の不人気、ブッシュ政権が8年間続いたことから考えて、共和党候補が次期大統領に選ばれる可能性は低いのではないかと想像する。
ニクソン政権の時に在中国米国大使だったパパブッシュが、副大統領になったレーガン政権とブッシュ政権時代は、上記の人たちが、民間企業に転出したラムズフェルドとポールソンを除いて政権内に職を得た。また彼らは次世代の人材も発掘した。チェイニーは、下院議員から国防長官に転出した。パウエルは、国家安全保障担当補佐官を務め、統合参謀本部議長に昇格した。アーミテージは、パールとともに国防次官補になった。ウルフォウィッツは、シュルツ国務長官の元で国務次官補になり、ブッシュ政権で国防次官を務めた。そのときつれてきた彼の教え子が、スクーター・リビー国防次官補だった。パパブッシュ政権で、キッシンジャーの部下だったスコウクロフト大統領補佐官にNSCに迎えられたのが、コンドリーザ・ライスだった。
共和党政権の中枢の顔ぶれは、約30年間ほとんど変わっていない。
アメリカは覇権国の座から降りることになるだろう。それは日本だ。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/5de7baffb2c7a5e7011264ba506a458f
さてさて、日本も四面楚歌
メディアが注目するのも、それ故、という側面も大きいと考えます。
こう言っちゃ悪いですが、ヒラリーとオバマは大統領選挙というお祭りを盛り上げるための色物じゃないでしょうかね。
確かにあの二人の存在は革新的、刺激的です。
しかしアメリカの現状でその選択を選ばない確率も少なくは無いはずです。
これまで民主党に逆風が吹き続けたというならいざ知らず、先の議員選挙では民主党が勝っています。
そこで溜飲を下げた人もいることでしょう。
アメリカ経済に陰りが見え始めた昨今、再び保守に戻ることもあり得ます。
共和党候補のマケインはリベラル層からの支持もそこそこあると聞きます。
今、マスコミについて誰も語ろうとしないのは、なんとも不思議に思います。
マスコミは、多かれ少なかれそれ自体が思想を持っていますから、必ずしも民意を汲んでいるとは言えません。
選挙を決定する流れは、もしかするとなかなかシビアな所にあるのかもしれませんよ。