国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

週刊アカシックレコードの提唱する中朝開戦説について考える

2007年06月20日 | 中国
●安倍晋三 vs. 米民主党~シリーズ「中朝開戦」  週刊アカシックレコード

領土問題、海洋資源問題、(核)軍拡問題、歴史問題、拉致問題、環境問題、不法入国者問題などで何かにつけて日本の国益を侵害する中国、韓国、北朝鮮の3つの隣国を「3つとも嫌い」な日本人が増え、日本国民のあいだに閉塞感が広がっているのは筆者も承知しているが、さりとて、3つまとめて敵にまわして戦争しようとしても日本に勝算はなく、現実的な打開策にはならない(もちろん、インターネット上で中国、韓国、北朝鮮の悪口を書くだけでは、何も解決しない)。
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ところが、「3つのうちどれかとどれかを戦わせて(最大の脅威を)弱体化させる」という地政学上合理的な計算をすれば、様相は一変し、日本の安全保障上の国益を追求する道が開ける。
米国本土まで届く核ミサイルを保有する中国という大国を日米が直接手を下して「始末」しようとすると、自国民の生命の犠牲も含めて莫大なコストがかかるが、北朝鮮に任せれば比較的安く済む(少なくとも日米両国民の生命の犠牲はゼロで済む)。また、たとえそのあと生き残った北朝鮮が日米にさからったとしても、米国がその気になれば、あのような小国は10分で壊滅させることができるので、さほど心配する必要はない。とすれば、日米が「始末」すべき国家の優先順位はおのずと決まる。
日本の政官界にはこういう合理的な計算のできる勢力が当然存在し、そういう勢力が中朝戦争支持派なのだ(べつに彼らは中国が嫌いなわけでも北朝鮮が好きなわけでもない。彼らの「北朝鮮支持」は左翼共産主義者の「北朝鮮礼賛」とは異なり、「まったく尊敬していないが利用価値があるので利用する」という発想だ)。
他方、韓国に本拠を置く新興宗教(カルト)教団の言いなりになっている安倍には、そういう合理的な計算は一切できない。
http://www.akashic-record.com/y2007/avsusd.html






●陳良宇氏、党大会前に党籍はく奪か 上海汚職めぐり  産経新聞 (2007/06/18 21:22)

 香港紙、星島日報は18日、中国共産党が秋の党大会前に開く第16期中央委員会第7回総会(7中総会)で、昨年9月に汚職事件への関与で上海市党委書記を解任された陳良宇氏の処分を審議すると伝えた。党籍をはく奪し、司法機関に刑事処分を求めることを決めるという。

 同紙によると、胡錦濤国家主席(党総書記)が7中総会で同氏の処分を決めることを決定。事件を調べていた党中央規律検査委員会が現在、報告書を作成している段階という。(共同)
http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070618/chn070618000.htm








●羽田―上海間チャーター便、今秋就航か 2時間以上短縮  朝日新聞 2007年06月18日22時44分

 羽田空港と、中国・上海市中心部に近い国内向け空港・虹橋(ホンチアオ)空港を結ぶチャーター便が早ければ秋にも就航する見通しとなった。日本政府側に、中国政府が「年内実現へ準備を整える」と連絡してきた。実現すると、東京都心と上海市中心部との所要時間が、成田空港と上海の国際空港・浦東(プートン)空港経由より2時間以上短くなり、最短で約4時間半になる。

 羽田空港は深夜・早朝時間帯の発着も認める方向で検討し、ビジネス上の利便性が高まりそうだ。この構想は06年秋、安倍首相と温家宝(ウェン・チアパオ)首相が検討で合意。中国側は上海市中心部から約1時間かかる浦東に国際線を集約しているため、調整に時間がかかっていた。

 具体的な就航時期や便数は今月末、冬柴国土交通相が訪中して中国の民用航空総局長(閣僚)と会談して決める。事務レベルでは、日中双方の航空会社が毎日2便ずつ計4便運航することで検討している。
http://www.asahi.com/business/update/0618/TKY200706180344.html









【私のコメント】
週刊アカシックレコードの佐々木敏氏が中朝開戦説を打ち出している。仮に近い将来に開戦となれば、過剰流動性や円キャリートレード、更に中国庶民の株式投資ブームなどで膨らみきった世界の株式バブルが一挙に破裂して劇的な終焉を迎えることだろう。もっとも、昨年私がブログ記事に書いたように日本では三大銀行及び郵便局のATMからの現金引き出し金額が既に50万円という水準まで厳しく制限されており、バブル崩壊の衝撃による銀行の取り付け騒ぎの防止は準備万端状態であろう。それどころか、(必要性の有無は別として)第二次大戦直後に行われたような「新通貨への強制的切り替え」さえ不可能ではないかもしれない。

現在の世界的な株式ブームは日本の低金利政策や中国の米国債買い支え、米国の暴落阻止チームなどによって人為的に維持されているものだと思われるが、ブームが終焉して大きな経済的損失を被る人々が続出する場合、彼らが日銀や米国政府、中国政府などをその損失の元凶として非難する可能性がある。そのような危険を避けるためにも、予想外の戦争開始による株式バブル崩壊というのは十分あり得るシナリオだと想像する。

ところで、その「戦争シナリオ」の舞台が中朝国境である可能性はどの程度存在するのだろうか?私は専門家ではないのでこの問題については「分からない」と答えるほかはない。ただ、現在の中国政府の内部で上海閥がどの程度の力を有しているのかという点からの分析は重要ではないかと思われる。

昨年9月の失脚が上海閥の凋落の証拠とされている元上海市長の陳良宇氏が党籍を剥奪され刑事処分を受けることになるというニュースが6月18日に流れている。これは上海閥の失脚と北京閥の台頭を示すものかもしれない。しかし、その一方で羽田―上海虹橋間の航空便が今秋にも就航するというニュースも同じ日に流れている。

北京閥が上海閥を叩き潰すには、その経済力の秘密である上海地区と日本との密接な関係を妨害するのが有効であろう。もし私が北京閥の指導者ならば、直ちに羽田虹橋線の就航計画を停止させて羽田北京線就航を日本に働きかける。しかしながら、実際には上海閥没落後にも関らず羽田虹橋線就航計画は進められている。この現状を考えると、「上海閥の凋落」というのは実は見せかけであり、実際には現在も上海閥が実権を握っている可能性が高いと私は想像する。また、昨年ブログの記事で触れた内容であるが、反日政策で悪名高かった江沢民政権時代に江沢民氏の地元である上海に日本企業の膨大な投資が行われて上海の経済的優位が形成されたことを考えると、江沢民は実は日本とは良好な関係にあった可能性が考えられるのだ

上記のような根拠から、私は江沢民政権以後現在に至るまでの中国は日本政府と非常に親密な関係にあり、江沢民氏の大げさな反日的行動や現在の歴史問題・東シナ海の天然ガス問題などの対立点は友好関係を隠すための演技であったのではないかと考えている。従って、「中国・韓国・北朝鮮の反日三カ国」という週刊アカシックレコードの分析に私は同意しない。



一方の北朝鮮はどうだろうか?私はつい最近、朝鮮総連本部売却問題での公安調査庁元長官と元日弁連会長の関与は、日本と北朝鮮の同盟関係を示している?という陰謀シナリオをブログで取り上げた。今も半信半疑なのだが、日本と北朝鮮が同盟関係にある可能性は十分あり得ると思っている。論壇の目安箱では、「総連の実質の代表である許宗萬副議長の依頼を受けたのは二人ではなく、土屋元日弁連会長と緒方元公安調査庁長官と小泉元総理大臣だったと思われる」という驚くべき情報もある。


では、私の想像通りに北朝鮮・中国が共に日本と非常に親密な関係にあるとするならば、中朝両国も友好国であると想像され、両国間の戦争はあり得ない様にも思われる。しかし、私はその場合でも中朝戦争シナリオはあり得ると想像する。中国・北朝鮮が友好関係にあるからこそ両国間の緊張を演出して小規模な軍事衝突のシナリオを立て、軍人達にシナリオどおりに行動させることが可能だと思う。逆にもし中朝両国の関係が不良であるならば、両国間の軍事的緊張は収拾不可能な破滅的結末に至りかねず、軍人は紛争突入を躊躇するのではないか。

長くなったのでまとめよう。私は週刊アカシックレコードの「中国・北朝鮮・韓国の反日トライアングル」仮説には賛成しないが、中朝戦争の可能性はあり得ない訳ではないと想像する。中朝両国の間に深い信頼関係と密接な情報交換があればこそ、軍事衝突+その後の和平成立まで含めた綿密なシナリオに基づいた迫真の演技が可能になる。それは北朝鮮に隣接する中国や韓国、日本の地政学的リスクを上昇させることで株式バブルを一挙に破裂させる引き金になりうる。北朝鮮がバブル破裂の原因となることで、日銀・米国政府・中国政府などはバブル破裂の責任を問われずに済むのである。大損した投資家に批判されたら、「北朝鮮が戦争を起こしたのがバブル破裂の原因だから、文句は北朝鮮に言え」と言い返せばよいのだ。

なお、北朝鮮の攻撃対象としては他に日本や韓国も考え得る。しかし、日米安保、日韓相互防衛条約が存在する現状では、米軍の自動的参戦(それは北朝鮮の破滅を意味する)の引き金になる日本や韓国への攻撃シナリオは常識的には考え難い。米中間・米朝間に軍事同盟が存在しないからこそ、中朝戦争勃発シナリオは十分可能性があると思われる。また、米国の自動的参戦をともなわないであろうもう一つの東アジア戦争シナリオは日韓戦争(日韓戦争では日米安保と米韓相互防衛条約が両立しないため、米国は中立せざるを得ないと予想する)であり、竹島問題などがその引き金になる可能性もあるが、空想的平和主義の日本人を戦争に同意させるのはかなり困難だろう。

日中両国に朝鮮半島や台湾を含めた東アジア沿海部は製造業の巨大な集積が存在する地域であり、この地域で地政学的リスクが増加することは世界経済に大きな衝撃を与えるだろう。それに匹敵する衝撃を生み出しうる他の戦争シナリオとしては、主要核大国間の核戦争や、米国とイランの全面戦争によるホルムズ海峡封鎖などの地球文明自体を破滅させかねない危険でコントロール不能なものしか残されていない様にも思われる。
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15 コメント

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めでたい (oink)
2007-06-20 17:29:29
楽しそうでいいね。
何でも陰謀論で片付けられる。
返信する
oinkさんへ (princeofwales1941)
2007-06-20 22:13:18
「対立が深まっているから戦争が起きる可能性が高い」というほど国際社会は単純ではない、というのが私の主旨です。


また、国際政治は陰謀とプロパガンダに満ち満ちている以上、陰謀の可能性を前提に物事を考えるのが当然でしょう。
返信する
Unknown (ベイオウルフ)
2007-06-21 01:04:07
陰謀の無い国家は存在しない。
http://park1.wakwak.com/%7Edupuy/sunbbs/index.html
スパイ天国の日本に未来はあるのか?
返信する
日朝の親密さ (moovik)
2007-06-22 02:13:46
自民党の金丸さんが訪朝したとき、芸能人の「電撃結婚」のような「日朝電撃同盟」「電撃合併」という想念が頭に浮かんだ事があります。

また数年前、日テレの夕方のニュースで「恐い北朝鮮の恐いアナウンサーのニュース」の映像を毎日流しており、一見、北朝鮮の悪い印象を植え付けるためのようでしたが、毎日見ていて「日テレは本当は北朝鮮が好き」な感じがしました。
返信する
Unknown (Unknown)
2007-06-24 03:59:05
盛り上がってきてますね

http://money6.2ch.net/test/read.cgi/seiji/1180728616/417
417 :名無しさん@3周年:2007/06/24(日) 03:57:04 ID:X/ARfWr9
さてさて面白くなってきたよー(笑)  安倍もこれで終わりだな。

http://park1.wakwak.com/~dupuy/sunbbs/index.html
帰国直後に大会議
No. : 1065 [返信]
Name : koji
Date : 2007/06/24(Sun) 03:55

本日は日曜日だがアブダビ大使館は開いている。
キーパーソンの経済班は全員揃って出勤している。
真実が知りたければ担当班と担当員に電話して聞け!

時差は5時間だ。国際電話たった500円で済む。

【記録】日本のエネルギー外交を破壊する人々
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/omnibus/sealane.html
(在アブダビ日本大使館ハイドライド担当3名の書記官名記載)

私が6月27日に松村に会うのでさえも機密扱いで知る人は少ない。
誰が漏らしたかは知らないがこの国には情報管理というものが存在しない。

自分たちが歴史的に見て、何をしたのかゆっくりと考えるがいい。
返信する
Unknown (Unknown)
2007-06-27 00:22:43
朝鮮半島に存在した政権でここ1000年くらい
中国に攻め入ったことは まったくありません
チャンスはいくらもあったとおもいますが
親戚の満州族やモンゴル族は 乾坤一擲 中国の首都に進軍 みごと大帝国を 築きました
ゆえに中朝戦争なんて まずありえません
朝鮮は常に中国の手下で満足しているのですから
返信する
疑問 (ドグマ)
2007-06-27 04:32:29
なかなか斬新で、毎回、面白く読んでいます。こういった発想も有るのだと。
しかしながら、北朝鮮が支那に攻める理由が分かりません。高句麗に代表される歴史問題でしょうか。領土問題でしょうか。確かに、上の方が言われたように、事大主義の北朝鮮が中華である支那に楯突くとは思えません。
だとしますと、支那側からの程度を超えた挑発が必要になります。度を越えた事となりますと、朝鮮族に何らかの惨劇が起こるのでしょうか?物事とは、原因があってこその結果です。
しかしながら、支那にメリットはあるのでしょうか。
北朝鮮を侵略する口実作りのためですか?
少数民族への弾圧は今も続いていますが情報は封鎖されています。朝鮮族への弾圧だけは意図的に、北朝鮮にリークさせるのでしょうか。
可能でしたら、時系列で色々な例を出していただけたらと思います。

理想論としては好感が持てますが、現実的にはどうなのうでしょうか。

支朝韓は反日ですが、考え方によっては、それ以外の国家は親日ですよね。
だとしますと三国相手でも、日本には世界的世論が見方なのですから、勝ち目があります。
戦争とは軍事力だけではありませんし、政治力を行使した上での最終的なものではないでしょうか。
返信する
Unknownさんとドグマさんへ (princeofwales1941)
2007-06-27 06:44:54
>しかしながら、北朝鮮が支那に攻める理由が分かりません。

ちょっと文章が不味かったかもしれません。私は基本的には「中朝戦争はあり得ない」と考えています。最大の理由は御指摘の通り、戦争を実行することの利益が小さすぎるからです。

>中朝戦争なんて まずありえません。朝鮮は常に中国の手下で満足しているのですから


前半については同意します。しかし、第二次大戦後の北朝鮮が上海閥と同様の親日派であると仮定すれば、緊密な連絡を取りながら中朝両国が限定的な紛争を演出する可能性は完全には否定できないように思います。逆に言うと、その様な陰謀シナリオ以外では中朝戦争はあり得ないのではないか、ということです。


陰謀シナリオの具体例を挙げましょう。

1.中朝国境で両国軍隊が限定的な武力衝突を演出、その後北朝鮮軍は空に向かって発砲しながら退却、中国軍を自国内に引き入れる。

2.中朝国境地帯での激戦という偽情報を流しながら、実際には両国軍隊が戦闘を停止、逆に協力して38度線北側に展開する。

3.国内政治で窮地に陥った盧武鉉大統領が北朝鮮と中国に支援を依頼、それを受けて北朝鮮軍と中国軍が38度線を越えて韓国になだれ込み一挙に占領する。中国の製造業のライバルである韓国の消滅は中国にとって非常に利益が大きい。
返信する
Unknown (面白い発想だが)
2007-06-28 23:34:07
>朝鮮は常に中国の手下で満足しているのですから

これは事実に反します。北朝鮮国内に中国やソ連ロシアの軍事基地はありません。
朝鮮戦争後に中国共産党から朝鮮労働党に送られた幹部(主に朝鮮族)はことごとく粛正されています。これは1970年くらいまでの金正日の権力掌握で起こったとされています。

北朝鮮は仕方なく手下のように振る舞っているのです。日米韓国などからのなにがしかの援助がなければ、石油などもふくめて中国からの援助に頼らざるを得ないためです。米国と北朝鮮の接近は中共政権と金正日政権の関係をふまえています。つまり北の核は北京にも向いています。

このことを理解しないと北朝鮮の核問題の本質は見えてこないです。
返信する
「反日トライアングル」仮説なんてないぞ (いい加減なこと書くな)
2007-08-23 12:30:31
週刊アカシックレコードの「中国・北朝鮮・韓国の反日トライアングル」仮説なんて、 < http://www.akashic-record.com/y2007/avsusd.html > のどこに書いてあるんだ? 佐々木さんはただ「中国、韓国、北朝鮮の3つの隣国を「3つとも嫌い」な日本人が増え、日本国民のあいだに閉塞感が広がっているのは筆者も承知している」って言ってるだけだろうが。べつに「佐々木さん自身が3つも嫌い」だとは書いてない。他人のブログを不正確に引用して、というかパクって記事を書くからこんなウソ記事ができるんだ。反省しろ。
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