国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

影島・巨済島・蔚山:韓国のシーパワーの拠点

2007年06月18日 | 韓国・北朝鮮
●釜山市の地図と影島





●釜山の影島区、政府指定のニュータウン開発地区に 2007/05/18 YONHAP NEWS

【釜山18日聯合】釜山市影島区が、地方としては初めて建設交通部が指定するニュータウン方式の再整備モデル地区になる見通しだ。ハンナラ党議員と影島区が18日に明らかにしたところによると、区の約120万7000平方メートルが、今月中にも指定を受けるとみられる。ソウル市鍾路区の世運電子商街や永登浦の新吉ニュータウンなど、首都圏を除く地域では初のニュータウンモデル地区となる。
 ニュータウン方式の再整備事業は、小規模な個別の都市整備事業の限界を克服し、バランスの取れた都市発展に向け行政が主導する広域開発計画の下で体系的に進められる。

 影島区は該当地区の再整備に要する予算の一部について、釜山市だけでなく政府からも支援を受ける。モデル地区に指定されるとみられる地域は区全体の4分の1に当たり、1万4475世帯の3万7496人が暮らす。この地域で建築から20年以上が経過した建物は68.7%に達する。区は来年までに基本計画をまとめ、2009年から本格的に事業に着手する方針だ。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Locality/2007/05/18/3000000000AJP20070518001300882.HTML




●釜山北港の開発計画を修正、親水空間拡大など 2007/06/11  YONHAP NEWS

【釜山11日聯合】釜山北港の再開発事業が、釜山港の開発計画と合わせて推進される。また、昨年に策定した北港再開発総合計画を取り消し、これに代わる2つの案が検討されている。釜山港湾公社が11日に明らかにした。
 代替案の第1案は、埋立面積の縮小と親水空間を拡大した人工島を造るもので、第2案は既存の埠頭(ふとう)を生かした上で埋立面積を増やし業務需要の拡大に備えることを主眼としている。

 一方、釜山港の総合土地利用計画は影島大橋北側の北港と南側の南港、影島海岸地域を含む約627万平方メートルの用地に休養施設や業務地域、海洋科学技術団地を造成する。子城台埠頭を含む複数のコンテナ埠頭は今後の需要拡大に対応できる施設やレジャー地域として開発する。また、チャガルチ市場周辺の南港72万6000平方メートルには海洋リゾートと水辺公園を、影島海岸地域の188万平方メートルには海洋科学技術団地を造成する計画だ。

 当初はランドマークとなる高層ビルを建て、商業施設や休養施設を設けるとしていた北港再開発総合計画は取り消され、親水空間の確保を優先する方針だ。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2007/06/11/0800000000AJP20070611002300882.HTML





●釜山 南浦洞・影島 影島大橋(ヨンドダリ)


釜山タワーより影島方面を望む。釜山大橋(左側)と影島大橋(右側)の間に広がる更地はかつての市役所跡地で、第2ロッテワールドの建設が予定されている。この再開発事業の進展によって、今後この景色も大きく変貌し、影島大橋の運命も決まるのである。
http://cgjbusan.hp.infoseek.co.jp/shiseki/Busan/Yeongdodari/12.html








●コジェド(巨済島)

韓国南東に位置する韓国で2番目に大きい島。外島海上農園、海金剛、点在する海水浴場、捕虜収容所遺跡公園、金永三元大統領生家などの観光スポットがある。また、統営市につながる740mの巨済大橋があり、船だけでなく車で行くことも出来る。2007年ごろには釜山と巨済をつなぐ橋が建設される予定。 ソメムルド行きの船が出ている。
面積:383.44平方km  人口:187,593 人(2003)

http://www.moon.sannet.ne.jp/paiza/koje1.html





●「巨済の太陽は造船所から昇り造船所に沈む」 人口20万人の巨済島、7割が造船所関係者とその家族 朝鮮日報 2007年4月29日

 巨済島東部には大宇造船海洋の玉浦造船所があり、西部にはサムスン重工業の古県造船所がある。そのため巨済の太陽は造船所から出て造船所に沈むといわれている。

 巨済はこの二つの企業なしには生きていけない都市だ。造船所に勤務する社員は巨済市人口の24%を占める。家族まで合わせれば13万人から15万人で人口の65%から75%が造船所関係者とその家族と推定される。

 地域経済に占める割合も大きい。サムスン重工業と大宇造船海洋の社員は巨済市内で年間1兆2500億ウォン(約1595億円)、毎月1040億ウォン(約133億円)消費している。

 巨済地域の若者の就職も造船所の役割だ。巨済工業高校と巨済大学の卒業生のほとんどが造船関連企業に就職し、これらの学校の実質的な就職率は100%近い。(進学、自発的就職延期などを除く)

 造船所のおかげで巨済島は10年前の経済危機も難なく乗り切った。ウォン安で国際的な競争力が急上昇し、逆に注文が急増したからだ。大宇造船海洋のパク・ジョンギ常務は「通貨危機をきっかけに韓国の造船産業が本格的な好況を迎えたとの見方もある」と語った。

 巨済は世界最高の造船地域とされている。温暖な気候で一年中野外での作業が可能だからだ。大宇造船海洋のキム・ヒョンシク課長は「半径100キロ内に必要なあらゆるものが得られる造船都市は世界で巨済だけ」と述べた。
http://www.chosunonline.com/article/20070429000003




●【社説】巨済島に見る大韓民国の未来像 2007年4月29日 朝鮮日報

 慶尚南道巨済市の今年の1人当たりの地域住民所得が、3万ドルを突破するという。これは、約2万ドルと予想されている今年の韓国全体の国民所得を、50%も上回っている。

 巨済市の人口は、2000年には17万5000人だったが、昨年10月末に20万人を超えた。多くの地方で住民が大都市へ流出し、人口が減っているのとは対照的だ。また毎月400-500人も人口が増えているにもかかわらず、失業率は全国平均の3.7%より低い2.3%にとどまっている。

 さらに巨済の世帯数7万世帯に対し、自動車の登録台数は6万5000台を超える。週末ともなれば、量販店や百貨店に大勢の人が集まり、外食産業も大きなにぎわいを見せる。学習塾や食堂、宿泊施設、娯楽施設も好景気が続く。いずれも、他の地域では見掛けない光景だ。

 ここ数年間、韓国経済が停滞している状況にあって、巨済島だけは新しい雇用が生まれ、地域経済も潤っている。その秘密は、サムスン重工業と大宇造船海洋という二つの造船企業にあった。

 出荷額でそれぞれ世界第2位と第3位を占める両企業に務める従業員の数は4万8000人に及ぶ。これは巨済市の人口の4分の1にあたる。彼らの平均年俸は約6000万ウォン(約771万円)で、昨年の都市部労働者の平均年俸3600万ウォン(約463万円)を60%以上も上回っている。世界的な造船業好景気もあって、こうした好条件の雇用が増加していることが、現在巨済市が好景気に沸く秘密だ。

 1987年の労働闘争の際、巨済島は全国の労働運動の中心地だった。しかしその後、不毛な紛争やストライキによる被害を身をもって経験した労使は対話と譲歩により対決を避ける、協力体制へと方針を変えた。大宇(テウ)造船では1991年以降、労使紛争が起きていない。サムスン重工業に至っては1979年に設立されてから一度も労使紛争を起こしたことがない。安定した労使関係も巨済島の経済を支える重要な柱となっている。

 巨済島の例は、企業が活発な経済活動を行ってこそ、地域の経済も生き返ることを実証した。これは大韓民国全体にも当てはまる話だ。多くの企業が活気を取り戻せば、国の経済も活力を得ることができる。つまり世界的な企業をいくつ誕生させられるかどうかで、大韓民国の将来が決まるということだ。巨済島の例は、今後この国が進むべき道をよく示している。
http://www.chosunonline.com/article/20070429000004





●【ソウルからヨボセヨ】捕虜体験コーナー?  2007/06/16 産経新聞

 韓国・南部の巨済島(コジェド)は韓国造船業のメッカで景気がいい。釜山から高速船で1時間足らず。昔はイワシ漁などがいいとこだったが、今や人口も20万近くに増え都市化が進んでいる。しかしこの島は歴史が面白く、久しぶりに歴史探訪に行ってきた。

 歴史とは、まず16世紀の豊臣秀吉軍の朝鮮侵攻の際、双方の水軍が戦ったところで、とくに韓国側では李舜臣将軍が日本水軍を撃退したとして有名だ。李舜臣は韓国偉人伝のベスト3に入っている。島には記念館がある。さらに20世紀初頭、日露戦争の際の日本海海戦では、東郷平八郎提督の連合艦隊がこの島で猛訓練をしながらロシアのバルチック艦隊を待ち受けた。東郷艦隊は出撃に際し名将・李舜臣の霊に戦勝を祈願したという故事もある。

 そして1950年代の朝鮮戦争では、北朝鮮軍などの捕虜収容所があった。一時は10万人もの捕虜が収容され、彼らが引き起こした「巨済島暴動事件」で島は国際的に有名になった。その捕虜収容所を再現した大規模な「史跡公園」があって観光客でにぎわっていた。朝鮮戦争の貴重な資料が多く展示され興味深いが、ただ「捕虜体験コーナー」は必要かな? そんな体験は北朝鮮側には教訓になるかもしれないが、韓国人には必要ないだろうに。(黒田勝弘)
http://www.sankei.co.jp/kokusai/korea/070616/kra070616000.htm




●韓国映画の舞台 巨済島事件-Blog韓国映画の部屋
http://yaplog.jp/korea0838/archive/248







●蔚山の地図





●韓国を代表する工業都市・蔚山

・造船業、自動車産業が盛んな工業都市

蔚山の都市の魅力を語る際に欠かせないのが、造船業や自動車産業など工業都市としての側面です。蔚山には港湾部に沿って、蔚山・尾浦、温山の2カ所に巨大な国家産業団地が整備され、これを中心に造船、自動車、化学のほか、その関連企業が集積しています。世界の造船業界の統計データをまとめたロイド統計によると、韓国の造船業は、05年の新造船竣工量は1,769万GT(総トン数)、新造船手持工事量は5,928万GTと、いずれも世界一となっています。蔚山広域市によれば、韓国における造船業の生産額のうち約40%が蔚山で生産されているとのことであり、韓国の造船業は蔚山によって支えられているといっても過言ではありません。

・韓国工業界を支える蔚山の現代グループ企業群

このように、蔚山は工業都市として、韓国経済において重要な役割を担っていますが、その原動力となっているのが、韓国財閥の現代グループ企業です。造船業では、世界のリーディングカンパニーと言われる現代重工業があります。敷地面積は約825万、従業員数は約2万5,000人を擁しています。三菱重工業長崎造船所の4工場と比較すると、敷地面積で約3.4倍、従業員数で約4.0倍の規模となっています。蔚山の尾浦湾の海岸沿いおよそ4にわたって工場が広がっており、構内には世界最大といわれる巨大なクレーンが6つある大型乾ドックが9カ所あるとのことです。ひとたび構内に入ると周囲は見渡す限り鋼材や工場に囲まれ、そのスケールの大きさは、見る者を圧倒します。現代重工業は、造船に関する技術や経験、資本など全くない状況から72年に設立された会社ですが、創業以来今日まで、1,170隻以上の船を45カ国、221の船主に引き渡し、85年には造船分野で売上世界一となりました。翌86年には36万5,000tの世界最大の鉱石運搬船を建造し、大型のタンカーやコンテナ船などの建造を中心に成長を続けています。また、韓国海軍の技術コンサルタントとして、潜水艦や軍艦等の設計、建造が認可されており、技術面でも高い評価を得ています。
http://www.skbk.co.jp/pdf/pdf_item/0612aj.pdf





【私のコメント】
世界一の規模を誇る韓国の造船業は、巨済島と蔚山の二カ所が中心である。また、韓国第一の貿易規模を誇る港湾である釜山港は、影島と本土に挟まれた海域であり、影島と本土を結ぶ影島大橋によって南北に分断されている。

海軍力という狭い意味から離れて、海上運送能力という視点から広義のシーパワーを評価するならば、韓国のシーパワーは釜山港・巨済島・蔚山の三カ所が拠点である様に思われる。このうち蔚山は大陸の一部だが、巨済島・影島は橋によって大陸と繋がった島であることが特徴である。

第二次大戦後の中国がランドパワーとシーパワーに明確に分断されたのとは対照的に、第二次大戦後の朝鮮はランドパワーの北vsランドパワー・シーパワー折衷の南という分断形式となり、巨大な陸軍を有する一方で世界有数の造船能力と釜山港という巨大港湾を有するようになった。


さて、韓国からの米軍撤退が近づきつつあり、日本も韓国に陸軍を駐留させる意図はないことから、韓国が北朝鮮と統一して安定した国家を形成するという未来像が予想される。しかし、歴史を振り返ると朝鮮半島統一国家は常にランドパワーであり、シーパワーであった時期はなかったと思われる。統一朝鮮国家はシーパワーを運営した経験が無く、それは大きな不安定要因になると想像される。例えば韓国がユーラシアの超大国の一つと同盟を結んだ上で、その造船能力を生かして多数の海軍艦船を建造し釜山周辺海域にそれを集中するならば、日本は朝鮮海峡を事実上封鎖されかねない。この危惧は蒙古襲来や日露戦争時の日本海海戦を想像して貰えばよいだろう。

これは私の妄想だが、統一朝鮮半島国家を純粋なランドパワーにして安定させるためにも、済州島・鬱陵島に加えて影島・巨済島などの大陸に近い諸島を領土とするシーパワーの小国を建国させることはできないものだろうか?もしそれが可能になれば、影島・巨済島と大陸の間に軍事境界線が引かれることによって釜山の港湾機能は消滅し、朝鮮半島国家は李氏朝鮮と同様の純粋なランドパワーに回帰することになる。朝鮮半島南岸のシーパワー国家は人口せいぜい200万人程度だろうから、日本の支援で国家を維持するのは不可能ではないだろう。その結果、南北朝鮮の軍事境界線が38度線から済州海峡・鎮海湾・釜山港などの重要な海域に移動することになる。

魏志倭人伝で「倭国の北岸」とされる狗邪韓国は、実は巨済島ではないかという説もある。影島は日本人の駐留施設である倭館が最初に設置された場所であるという。我々日本人は、巨済島や影島の戦略的重要性を再認識すべきではないだろうか。
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-06-19 12:32:05
狗邪韓国は、伽耶じゃないのか?
それと、そのサイトは、邪馬台国九州説だけど、近年は邪馬台国畿内でほぼ意見が固まりつつある。


邪馬台国=大和国
投馬国=出雲国

邪馬台国女王・卑弥呼=倭迹迹日百襲媛命
邪馬台国次女王・台与=豊鍬入姫命
邪馬台国大夫・難升米=梨迹臣命
邪馬台国大夫・都市牛利=丹波大縣主由碁理
邪馬台国・伊聲耆=彦五十狭芹彦命

狗奴国男王・卑弥弓呼=武埴安彦命
狗奴国官・拘右智卑狗=河内彦

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