国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

近未来にトルコは西部地域、中央部、東部のクルド人地域の三つに分裂する?

2007年05月29日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
●爆弾テロで6人死亡、クルド人勢力への強硬意見高まる トルコ  2007.05.25 CNN


アンカラ(CNN) トルコの首都アンカラで22日、死者6人を出す爆弾テロが発生し、関与が疑われるクルド人勢力への強硬意見が高まっている。軍部が軍事行動に出れば、クルド人独立を目指す武装組織、クルド労働者党(PKK)が拠点とするイラク北部にも攻撃が及ぶとみられ、周辺諸国への影響は必至だ。

爆弾テロは混雑した商店街で発生し、負傷者は100人以上に及んだ。政府当局者らはPKKによる犯行との見方を示している。PKKは関与を否定しているが、エルドアン首相は24日、「軍部が報復を要請すれば、議会もこれを認める」と発言。ビュユクアヌト参謀総長も最近、PKKの拠点であるイラクのクルド人自治区を攻撃する用意があると述べている。 バセル元トルコ軍将軍はCNNとのインタビューで、クルド人自治区への攻撃が数週間後に実行されるとの見通しを示した。

イラク国境には現在、1万5000人のトルコ軍部隊が展開。一方PKKはイラク側からの越境攻撃を激化させ、緊張が高まっている。トルコ軍によると、22日には国境近くのシイルトで路上爆弾が爆発、トルコ兵6人が死亡した。

こうした状況に加え、エルドアン首相が率いるイスラム主義政党、公正発展党が、大統領選をめぐって世俗派勢力と対立していることから、国内世論を味方につけるため、クルド人の脅威を強調して愛国心に訴える戦術に出ているとの指摘もある。
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200705250005.html







●地政学を英国で学ぶ : ベルギー第二日目:午前中

二日目からはあまりにも多くのことが起こりましたので、ここからは何日かに分けて説明していきます。

まず二日目の午前中なんですが、朝からEU Commission (欧州委員会)の見学でした。

ホテルのロビーに朝8:45分集合で、9時きっかりにバスに乗り込んで出発しました。10分ほど走ったところで、いきなり到着。以下はその建物の外観です。東京の地理でたとえると、私たちが泊まっていたのが東京タワーあたりだとすれば、欧州委員会の建物は増上寺とかのあたりにあるような感じでしょうか。ホテルから東側の丘を一つ越えた向こう側にありました。距離はそんなにあるわけでもなく、ちょっと気合を入れれば歩いていけそうな距離です。

さて、実際に見学に入ったのは上の写真の右側にうつっている見学者用の建物でした。ビルは古い教会かなにかを改造しただけのようなもので、いたってシンプルなつくりのもの。以下の写真が入り口の外からの様子と、中に入ってすぐのところでとったものです。もちろんここでは正装が義務付けられておりまして、みなさんビシッとした格好をしております。私も似合わないスーツを着ておりました。

ここから中は撮影禁止とのことで写真はとれませんでした。

中に入ると、会社の会議室のようなところに通されて、そこで二時間ばかりEUについての説明を色々と聞かされました。

この説明をしてくれたのが、ドイツ人の中年の女性でした。かなり流暢な英語で話してくれたので、わかりやすかったです。

ここでの彼女の説明を簡単に要点だけまとめると・・・・。

①EU内部で使われる共通語は三言語(英語、フランス語、ドイツ語)である。
②EUの究極の目的は、ヨーロッパの地域の武力紛争を防ぐこと。

③EUは国家を超えた超国家ではないが、国家よりも強い権限を持っている機関である。よってあいまいな存在。
④ドイツがマルクをあきらめた理由は、ベルリンの壁崩壊による東西ドイツ統一という政治的な問題による影響がかなり強い。
⑤先進国の人口問題の解決という要素もかなり大きい。
⑥EUがどのような形になっていくのか、まだ誰もハッキリとした提案をできていない。
⑦ヨーロッパというアイデンティティーが一番重要な問題。これは地理的な影響によるものが大きい。
⑧地中海より下には拡大しないが、東だとカザフスタンまで行く可能性もある。
⑨宗教による参加国の差別化は(建前上)行っていない。

⑩安全保障などの分野ではまだまだ統一ができていない。
⑪欧州委員会には(建前上)各国の国益の利害を持ち込んではならない。
⑫それでもポーランドの代表のように、国側から「国益と反した行動をしている」と批判されている委員もいる。
⑬それとは逆に、委員になってから突然国益をかなぐりすてて、EUのためだけに行動するえらい委員もいる。これは「トロイの木馬だ」と批判されたこともある。

などなどでした。

最後に質疑応答の時間があったのですが、私も一番最後に手を挙げて質問しました。その内容は、

「欧州委員会というのは、理想としてはジェダイの騎士(Jedi Knight)を狙っているのですか?」

というものでした。なぜかというと、彼女の説明を聞いているうちに、どうやらこれはローマの貴族院のようなものだと感じたからです。

民主主義的な手続きで選出されるのではなく、建前的にはEUのためだけを考えて行動する、という神政政治てきなところですな。

もちろんこの原型はローマの貴族院にあるのかも知れませんが、彼女の説明を拡大していくと、どうもスターウォーズに出てくるジェダイの騎士のほうがもっとその形に近いような気がしたのです。

彼女の反応でしたが、私のジェダイ・ナイトという言葉が出てきたところで爆笑しつつ、

「あなたの捉え方は好きだわ。そうね、ある意味で真実に近いかもね」

と答えてくれました。

私の声が小さかったせいか、後ろに座っている大半の仲間たちには質問の内容は聞こえなかったみたいでしたが・・・・・。

ここで昼になったので、われわれ一行は再びバスに乗りこんでホテルに帰ることになりました。

午後は待望の自由行動の時間です。
by masa_the_man | 2005-02-07 11:33 | 日記 | Trackback | Comments(0)
http://geopoli.exblog.jp/1948493/








【私のコメント】
私事で恐縮だが、先日トルコに旅行した。一般的な観光名所を数日間巡っただけではあるが、最近関心を持っていたトルコを直接自分の目で眺めることが出来たのは収穫だった。世俗主義とイスラム原理主義の政治的対立に加えて、クルド人問題、北キプロス問題、アルメニア人迫害問題、ギリシャ正教迫害問題などでトルコは内憂外患状態にある。上記のテロ事件で対立は緊迫化しており、もし本格的戦闘が勃発すればそれはイラク北部の米軍に支援されたクルド人自治政権との戦争になることは避けられない。結果的にトルコは惨めな敗北を喫し、クルド人地域の分離独立だけでなく、トルコに対して憎悪を持つギリシャやアルメニアに領土を奪われる悲惨な運命を辿りそうである。しかし、トルコ政府はこの内憂外患を打開するどころか、逆に煽っている様にすら思える。なぜだろうか?

イスタンブール、あるいはイズミルといったトルコ西部の大都市は他の地域に比べ物価が高い。そして、住民には肌の色の白い、金髪ないし栗色の髪をした人々が多い。金髪碧眼のどう見ても北欧人にしか見えないトルコ人学生が地元の高校らしき学校の門から出てきたりする。これは私にとって大きな驚きであった。対照的に、トルコ中部・東部ではサダム・フセインに似た中東風の人がより多くなる印象である。オスマントルコ帝国のスルタンはハレムの女奴隷として肌の色の白い女性を好み、その女性との間に生まれた子供のうちで帝位継承に関係しない女児は成長すると騎士養成学校?の卒業生達の妻に娶られたという。おそらく、スラブ系の女性が多数ハレムに入り、その結果スラブ人の遺伝子がオスマントルコの中枢階層に広く拡がったことだろう。それが、オスマントルコの首都であったイスタンブールに今も影響を残しているのではないか、などと考えた。

イズミルはイスタンブールより更に白人的外見の人々が目立ち、校門から出てくる女子高校生が皆膝上スカートでスカーフなしで欧米人的外見で、男子生徒と親しげに話している中央部のコナック駅前にあるizmir kiz lisesiという名の共学の高校(富裕階層が子弟を通わせる学校?)や、乳首・陰毛が危うく透けて見えそうな下着姿の女性の写真を使った巨大な広告が下の写真のように都心(地下鉄チャンカヤ駅東出口付近交差点)のビルに存在するなど世俗性も非常に強い印象であった。



これはトルコ建国時に住民交換でギリシャから移住した人々の影響なのかもしれない。その一方で、膝下の長いスカートと黒いストッキング、スカーフをした女子高校生三人組(肌の色は少し浅黒い印象)も見かけた。皮膚の色・階層・宗教的信条などによって子弟の通う学校が分かれているのかもしれない、などと考えた。

私は、トルコはもし将来分裂するとすればクルド人地域vs他の地域の二分裂ではないかと考えてきた。しかし、トルコ西部の物価高(それは賃金の高さにも反映しているはず)や肌の色の違いを考えると、本来は別の国になってもおかしくないとも考えられる。つまり、現在のトルコはイスタンブール・イズミルなどの西部地域、アンカラなどの中央部、東部のクルド人地域の三つに分裂する可能性を秘めているのではないだろうか?私は素人なので知識不足だが、私の想像がもし正しいならばトルコ国内で肌の色と所得、世俗主義に対する支持度などの間に相関関係があるはずである。

トルコの若者たちの中で、西部に居住し白人的容貌を持つ者は、フランスでアラブ系住民が起こす暴動を見て、「あんなに肌の色の黒い連中がフランス国籍なのに、自分のように金髪碧眼の人間が何故EU外のトルコ国籍なのか」と心の中で考えているのではないだろうか。ナチスドイツは「金髪碧眼のゲルマン人」を至上とする人種差別的とも言える思想を持っていたが、それは欧州人の本音を口に出したに過ぎず、現在の欧州人も心の中では「欧州人はやはり肌の色の白い人間でなくてはいけない」と考えているのではないかと想像する(これは、人種差別と言うより単なる親近感でも説明できるかもしれない。例えば、日本人は国民性が全く異なるにも関らず、外見が似ていると言う理由だけで韓国人・中国人・モンゴル人などに親近感を持つ傾向がある。)。だとすれば、欧州がトルコのEU加盟に反対する最大の原因は、イスラム教ではなく、トルコの中部・東部を中心に非欧州的容貌の持ち主が多いことではないだろうか(もし私の想像が正しいならば、イスラエルのアシュケナジーも同様の理由で欧州に受け入れられることになるだろう)。そして、その理由は明らかに人種差別的であるために、それを隠すために「宗教的寛容性」という別の理由が必要なのだろう。



トルコは第一次大戦後の建国戦争によって、自国領から失われるはずであったボスポラス・ダーダルネス両海峡沿岸地域とイズミル地区を自国領土に奪還し、その後も国際金融資本との親密な関係を保つことでイスラム圏の中では例外的な経済発展を実現させてきた。21世紀を迎え、国際金融資本が没落するであろう来るべき新世界秩序のもとで如何にして自国が繁栄できるかをトルコ政府中枢階層は考えているはずである。そして、トルコ政府中枢階層がオスマントルコ中枢階層を受け継いでいるならば、彼らが不良資産と化したトルコ中部・東部を切り捨てて、トルコ西部だけがEUに加盟し繁栄できればよいと考えていてもおかしくない。現在のトルコはクルド問題で分離独立運動を激しく弾圧しているが、弾圧が無くなればクルド人地域だけでなく西部地区も独立を考えてもおかしくないと想像する。そして、トルコ国内で優勢であるイスラム主義政党に対抗する世俗主義支持派の運動がそのきっかけになるのではないだろうか。私はここで、トルコの中枢階層はクルド問題やアルメニア人迫害問題、ギリシャ正教徒迫害問題、北キプロス問題などの火種を自ら煽り立てることで、自国を破滅的な対外戦争戦争にわざと敗北させて(あるいは破滅的な内戦に追い込んで)その結果三分裂させ、自らの居住するトルコ西部だけをEU支配圏内に留めるというシナリオを実現するためにドイツやロシアを含めた欧州、更には米国とも協力して活動しているのではないかという大胆な陰謀論(妄想?)を提案したい。対外戦争シナリオではドイツ敗戦後の分割占領が、内戦シナリオでは朝鮮戦争が参考になるだろう。

無論、ドイツやロシアが陰謀を企て、トルコは内憂外患状態のためそれに逆らえないでいるという可能性もあり得ると思う。しかし、私はトルコ軍部がNATOの中心である米国に逆らってイラク北部のクルド人地域への攻撃を何度も警告している事が気になる。このような激しい対立というのは不測の事態を招きかねない危険なものであり、トルコ軍部と米軍との間に緊密な友好関係がなければ安心して行えないとも考えられるからだ。つまり、トルコ軍部も裏ではこのシナリオに協力・参加していると想像する。今日5月29日は554年前の1453年に東ローマ帝国の首都コンスタンチノープルがオスマントルコに占領され滅亡した日であるが、5月30日から6月3日までのビルダーバーグ会議開催を控えてイスタンブールに欧米の支配階層達が集合する日でもある。欧米支配階層とトルコ軍部の間で最終打ち合わせが行われるのかもしれない。東ローマ帝国がベネチアやジェノバの商人の支援を受けていたこと、東ローマ帝国の滅亡によりベネチア・ジェノバの商人の通商ルートが遮断され、新たなインド航路を求めた大航海時代と国際金融資本の世界支配の引き金になったことを考えると実に興味深いビルダーバーグ会議の日程・開催地である。

冷戦終了後に国家分裂を経験した旧チェコスロバキアと旧ユーゴスラビアは、国内の大きな経済格差を有していたことが分裂の理由の一つになっている。トルコでは経済格差の大きさに加え、欧州人的容貌の有無という公にしにくいが欧州人に支持される理由も抱えているとすれば分裂の可能性はますます高まりそうである。また、同じトルコ民族が居住する旧ソ連領中央アジアも、ロシア人の移住や混血の多いカザフスタン、よりトルコ的なウズベキスタン等、クルド人と同様のペルシャ系民族であるタジキスタンに今では分かれている。カザフスタンのみが将来のEU加盟を検討されているという話が「地政学を英国で学ぶ」にかつて挙げられていたことも参考になる。トルコ民族はスラブ人とアラブ・ペルシャ系民族の境界地域に住む重要な民族であり、それを分割した上で複数の緩衝国家をより欧州的な地域のみをEUの構成員に含めるというのは欧州世界と中近東北アフリカのイスラム世界との安定した境界線形成のために有用なのかもしれない。この境界線はアナトリア半島、カフカス地域、カザフステップ、ロシア-新彊ウイグル自治区国境という長大な陸上国境を経てモンゴルに繋がることになるだろう。そして、モンゴルから東はドイツではなく日本が影響力を行使することになる筈だ。

冷戦時代が米ソ二極対立という建前のもとで繁栄する先進国世界と窮乏する後進国世界の二極化を作りだしたのと同様、来るべき日米欧三極を中心とする多極化世界も繁栄国家群と窮乏国家群の線引きが行われる可能性がある。アラブ地域・ペルシャ地域から成る中近東北アフリカイスラム地域が石油・天然ガス資源の枯渇後も繁栄できるどうかがかなり微妙である以上、欧州としてはアラブ・ペルシャからの様々な脅威に対抗できる万全の体制を準備する必要があるということだろう。イエメンにはユダヤ人が大量におり、オサマ・ビン・ラディンも元々は家族がイエメン出身であるという興味深い情報も、将来のイスラエルのスファラディのイエメン等への移民によるパレスチナ問題の最終解決シナリオを暗示している可能性が考えられる。




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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-05-30 07:57:33
スペインにもトルコ人と見分けの着かない顔をしている人も居ますよ。
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Unknown (Unknown)
2007-05-30 05:41:19
ヒトラーの予言で
東方が新しい実験場になる、と言う指摘があるが、日本国民も根本から真っ二つに分かれていると言う感じが、ネットの書き込みを見ると感じる。

進化する、出来る人間、地域、環境と
いつまで経っても、進化しない、出来ない人間、地域環境とに分かれている、としか思えない。

そこに人間以外の神や知的な存在が介入したり
助けているのか分からないが
日本は、他国に比べ自然災害が少なく抑えられ
守られている、という感覚を強く感じる。




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