国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

崩壊し始めた中国経済のバブル

2010年08月16日 | 中国
●一斉にボロを出し始めた中国経済の行く末  WEDGE infinity 2010年07月21日 石 平

国国家統計局は7月15日、今年上半期の中国経済の実績に関する諸数値を発表した。それによると、上半期(1月~6月)の国内総生産(GDP)の伸び率は11.1%で、依然として高い成長率を維持しているが、第2四半期(4月~6月)の国内総生産伸び率は前年比10.3%で、第1四半期の11.9%から鈍化した。鉱工業生産の伸び率も前年比13.7%と、5月の16.5%から減速し、予想の15.3%を大きく下回ったという。

 この一連の数値から、中国経済の現状をどう捉えるのかは意見の分かれるところとなっている。「上半期に2ケタ成長維持」を根拠にして「中国経済は吉」と認定する人は大勢いるようだが、筆者はむしろ、「凶」であると判断したいところである。

 というのも、第2四半期における成長率の鈍化と連動して、今年の4月当たりから、中国経済のあらゆる面から、まさに「凶兆」ともいうべき一連の異変が生じてきたからである。

中国経済の「凶兆」
 まず注目すべきなのは、2010年に入ってからの株式市場の低迷である。年初には3300ポイント台であった上海指数は、この原稿を書いている7月21日朝の時点ではすでに2528ポイントに下がってしまい、2割以上の大幅な下落となった。

 09年に米国を抜いて世界一となった中国の自動車市場にも翳りが見え始めた。今年の4月における全国の自動車生産量と販売台数は前月比でそれぞれ9.85%減と10.37%減となった。5月になると、その減少幅は14.36%減と13.95%減へと拡大した。6月にも販売台数は前月比5.25%減で、減少傾向が続いている。

 不動産バブルの崩壊も進行中である。今年の4月中旬、中国政府が「3軒目の物件購入への住宅ローンの停止」を柱とする不動産投機抑制策を打ち出して以来、全国の不動産市場は急速に冷え込んだ。5月には、国内主要都市の不動産成約面積は前月比で44.18%減少し、うち北京、上海、杭州、南京の成約面積は史上最低水準に縮小した。

 6月になると、全国のあちこちの不動産市場で前代未聞の「ゼロ成約」現象が起きてしまい、不動産市場は超氷河期に入った。

 こうした中で、北京の不動産価格は20%程度、深圳の不動産価格は40%程度下落したとの報告がある一方、「今後3カ月以内に中国の不動産価格は40%~50%下落する」との予測が国内から出されている。

秒読み段階に入った不動産バブルの崩壊
 中国における不動産バブルの崩壊は秒読み段階に入っている様相である。

 それと同時進行的に、本格的なインフレ発生の危険性も迫ってきている。去年の11月に0.6%の低水準に止まった消費者物価指数は、今年の4月に2.8%に上昇し、5月にはとうとう、中国政府の設定した「インフレ警戒線」の3%を越えて3.1%となった。6月には多少下がったものの、折からの大水害発生が原因で、7月に入ってからは物価の上昇はふたたび始まり、インフレの懸念が依然として高い。

 このように、中国のさらなる「繁栄と発展」の起点となるはずの上海万博の開催を前後にして、中国経済はむしろさまざまなボロをいっせいに出して風雲急を告げるような重大な局面となった模様である。

 もちろんそれは、起きるべくして起きた事態である。筆者が常に指摘してきたように、2010年になって中国経済はこのような深刻な局面を迎えるようになったのはむしろ、中国経済自体の抱えるジレンマと矛盾と、09年の経済危機を救うために中国政府が行ったあまりにも無謀な「景気対策」の必然の結果である。

 つまり、無理に無理を重ねてきた結果、そのツケがまとまって回ってきた、というだけのことである。

限界にぶちあたった「二つの牽引力」
 考えてみれば、この十数年間、慢性的な内需不足が続く中で、中国政府はずっと、「固定資産投資」と「対外輸出」の継続的拡大という二つの牽引力によって高い成長率を維持してきた。が、投資のやり過ぎは供給と消費のバランスを崩してしまい、成長の牽引力としての限界にぶつかった。輸出頼りの成長戦略もやがて、08年秋以来の世界同時不況の発生によって大いに頓挫した。

 09年になると、輸出の急減で転落の崖っぷちに立たされた中国経済を救うために、政府は各銀行に大号令をかけて、総額9.6兆元(当年度の国内総生産の3割以上に相当)という世界金融史上前代未聞の放漫融資を行わせた。が、資金の一部が不動産投機に注ぎ込まれて史上最大の不動産バブルを膨らませ、実体経済からかけ離れた資金の大量供給はまた、インフレ発生の火種をまいた。

 その結果、今年に入ってからの中国経済は、不動産バブルの膨張とインフレ発生の危険という二つの深刻な問題に同時に直面することとなった。そして、不動産バブルの崩壊が進んでいく中で中国経済はいよいよ、その「繁栄」の化けの皮を剥がされて貧弱な正体をさらけ出し、本格的な危機を迎えようとしているのである。

本音を吐いた温家宝首相の抱える「ジレンマ」
 このような深刻な状況の中で、中国の経済運営の最高責任者である温家宝首相は最近になってついに、政府の経済政策の抱える「ジレンマ」について語りはじめたのである。

 2010年7月3日、中国の温家宝首相は地方視察の途中で開いた経済座談会の席上で、世界金融危機の影響を受け、「(中国の)景気回復の複雑さは予想を越えている」と認めた上で、中国の経済政策の「直面するジレンマは増えつつある」と語ったことが中国の国内メディアによって大々的に報じられている。

 中国の総理大臣が自国の「景気回復の複雑さ」や経済政策の「ジレンマ」について率直に語ることはまさに異例中の異例であり、いわば「重大発言」に属するようなものであろう。彼はいったい、何を言おうとしているのか。

 温首相は、自らのいう「ジレンマ」とは一体何かについて具体的言及をしなかったが、温首相発言の2週間前の6月19日、中国社会科学院経済研究所の劉樹成所長が別の経済フォーラムで行った報告は、それに対する恰好の「注釈」となるのである。

中国の経済成長が直面する6つのジレンマ
 劉所長は報告の中で、中国の経済政策の直面する「6つのジレンマ」を挙げている。1つ目はすなわち、景気刺激のための金融政策の抱えるジレンマである。

 曰く、インフレの圧力が高まる中で、金融緩和政策からの転換(出口戦略)が必要となっているが、それを本当に実施してしまえば経済成長の鈍化が避けられないから、どうすれば良いのかは深刻なジレンマとなっているという。

 2番目に挙げられたのは不動産バブルへの対応策である。バブルの膨張を容認すれば金融リスクが増大し民衆の不満も高まるが、それを押え付けたことで不動産市場が萎縮すれば経済が落ちる。どちらを選ぶのか、それが問題なのである。

 3番目は人民元引き上げの問題である。人民元の相場をそのまま固定化すれば国際社会からの圧力に直面するが、人民元の価値を急速に引き上げれば輸出の悪化に拍車をかけ、国内の失業拡大を招くこととなる。それもまた、頭の痛い問題である。

 劉所長はさらに、資源価格の引き上げや労働者賃金の引き上げなどの政策課題にまつわる「ジレンマ」についても分析を行ったが、とにかく今の中国で、重要な経済政策のほとんどすべては、「進むも地獄、退くも地獄」のような苦しい立場に立たされているのである。

 とくに景気対策の出口戦略と不動産バブル対策の場合、対応を一つでも間違えば中国経済の命取りとなりかねないから、中国政府の悩みは実に深いものである。

 こうした中で温首相もついに、「われわれはジレンマに直面している」との「弱気発言」を吐いたわけであろう。しかしそれは本来、一国の指導者としては口にしてはならないセリフである。人々に明確な方向性を示すことこそが指導者の最大の仕事であるが、経済政策の抱える「ジレンマ」に関する温首相の発言はむしろ、「ジレンマ」に陥っている中での政府の無定見さと方向性のなさを露呈したことになった。

国内で広がる「中国経済悲観論」
 指導者がこのような弱気になっていれば、中国経済の行き先はもはや知れたものであろう。実際、この温家宝発言を前後にして、中国経済に対する中長期的な悲観論が国内外の専門家の間で急速に広がっている。

 たとえば、兪正声・上海市共産党委員会書記は6月26日、上海市内で開かれた経済関連のフォーラムで、中国経済は自律的回復力が不足しており、構造的な問題は深刻だと発言した。

 その2日後の6月28日、今度はJPモルガン・アジア・パシフィック社長は、「中国経済の今後の動向は楽観できるものではない」と指摘したうえで、今後2~3年の間に、中国経済は「かつてない大きな壁に直面して大変厳しい時期を迎えるだろう」との深刻な予測を行ったのである。

 中国人民大学経済学院副院長の劉元春教授に至っては、「今年の第4四半期(10月~12月)から、中国経済は予想を超えた大きな下落があるだろう」との警告を発しているところである。

 国家統計局の馬建堂局長もまた、「不透明な要因が増えている」ことを理由に、「中国経済は回復を強固にするうえで重要な局面にある」と指摘した。

最大の試練に直面する中国
 中国の経済成長の持続性に対するさまざまな異論の中で、とくに注目されているのは、北京科学技術大学経済学部の趙暁教授の論説である。
 趙教授はまず、これまでの30年間にわたる中国の経済成長は、実は「輸出の拡大」と「人口の優勢」と「不動産業の急速発展」という3つの「好運」によってもたらされたものであったとの認識を示している。しかし今、この3つの「好運」のいずれも効果の低減あるいは効力の喪失に直面しているという。

 「輸出の拡大」は結局、欧米諸国の経済繁栄の上に成り立つものであるが、アメリカ金融危機が発生して世界同時不況となってからは中国の輸出が激減した。今後、輸出はある程度回復できるかもしれないが、以前のような高度成長に戻ることはもはやない。中国はこのような「好運」に恵まれることはもう二度とないだろう、と趙教授は言うのである。

 今まで、「人口の優勢」も中国の高度成長を支えてきた大きな要因の1つである。労働力が安くて豊富だからこそ、中国は「世界の工場」となり得たのである。しかし今、中国はすでに高齢化社会の入り口にさしかかって、労働力のコストも徐々に上昇してきているし、若い世代の労働者の意識も変わりつつある。「安くて豊富な労働力」をもって経済の繁栄を支えるような時代はそろそろ終わりを告げようとしているのである。

 そして最後に、中国の急成長を牽引してきたもう一つの要素である不動産業の繁栄もすでに風前の灯であると趙教授は指摘する。今まで、あたかも「発狂」しているかのような不動産価格の暴騰に支えられて不動産業が急速な成長を遂げ、それが多くの関連産業の成長を牽引して経済の繁栄を支えてきた。しかし今、不動産価格の急騰がすでにその頂点に達し、バブルが崩壊するかしないのかの崖っぷちに立たされている。このような状況下では、成長要因としての不動産業の役割はすでに終わったのである。

 以上の3つの「激変」をもって、趙教授は今まで30年にわたる中国の経済成長が「かつてない大変局」にさしかかっていると指摘して、「中国経済は今後、30年以来の最大の試練を迎えることになるだろう」との不気味な予言を言い放ったのである。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/977





●中国人観光客激増はハッピーなのか 〔前篇〕  WEDGE infinity(ウェッジ)

現在中国共産党が進めている党・国家主導の重商主義的な政策も、基本的には1980年代以降諸先進国やアジアNIESの経験、とりわけ自民党を中心とした政権党・官僚中心の経済政策を参考とし、それらの得失を推し量りながら、過去にとらわれずに(むしろ、停滞することがすなわち政治と社会の危機に直結するという激しい緊張感とともに)推進されているものだと言えよう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1012?page=3





●中国バブル間もなく崩壊―エンロン破綻の予言者が予測 【新唐人2010年7月28日付ニュース】

 中国の不動産バブルははじけるのか。本日はハーバード大学の教授やエンロン事件を予測した投資家などにお伺いします。
あるドイツの新聞は、かつてIMFの経済顧問を務めたことのある、ハーバード大学のロゴフ教授の話として、中国バブルの崩壊を伝えました。
中国の経済学者、茅さんも「中国の不動産バブルは、近い将来崩壊するだろう」と予測します。
茅さんによると、2~3年前に出現した中国の不動産バブルは、一部富裕層が不動産の値上がりを待って売り抜けたのが原因です。政府の景気刺激策による銀行の貸付金の増加も、バブルに拍車をかけました。
しかも、バブルは消化よりも崩壊する可能性のほうが高く、その上、崩壊したら長期的な不況を招く恐れがあると指摘します。
中国の著名経済学者 茅於軾「バブルが崩壊したら、その影響は長期化し、10~15年にわたるかもしれません。各産業がこの影響を受けます。中国経済がここまで来たら、仕方がありません…消化するなど、不可能に近いです」
ロゴフ教授は、バブル崩壊後の中国経済成長率は2%にまで下がるとし、高度成長に慣れた中国にとって、これは深刻な経済危機だと指摘。これには茅さんも同感します。
中国の著名経済学者 茅於軾「バブル崩壊後は、家の新規着工が減ります。中古物件が売れ残るから、そうなると、雇用に響きます。建設業は雇用を創出しますから。家電や内装、家具業界も関係があるので、影響を受けます。だから雇用が大きく減り、GDPも下がります」
実際今、中国の建設業界は需要が低迷しているため、鉄鋼価格も下落しています。
中国政府は不動産投機を防ぐ一連の対策を発表。中国の中央銀行、人民銀行は今年、貸付を22%減らす予定です。しかしロゴフ教授は、「これらは不動産市場の低迷とインフレを招くだけだ」と述べます。
また、バブル崩壊の危険はすでに現れ、しかも崩壊すれば銀行にとっては大打撃だとも予測。しかし、その打撃を和らげるのは、簡単なことではないと指摘しました。
当時、アメリカ史上最大といわれたエンロン社の破綻を予言したアメリカの投資家、チャノスさんは、「過剰な刺激策を受けた中国経済は崩壊に向かっている。多くの経済学者が言うような繁栄は続かない」と予測。投機マネーに支えられている中国は、「ドバイ危機よりも1000倍以上深刻だ」と警告します。さらに、中国バブルの最大の原因は資産価値の過大評価ではなく、過度な貸付だといい、中国より深刻な国は他にないとも指摘しました。
http://www.ntdtv.jp/ntdtv_jap/zgjw/2010-07-28/165895293399.html





●上海の新規住宅ローン、7月は前年比98%減少-政府措置で 8月12日(ブルームバーグ)

 中国の上海市で営業している銀行が7月に供与した新規住宅ローンは前年同月比で98%落ち込んだ。政府による不動産投機への取り締まり強化で投資家の住宅購入が抑制された。

中国人民銀行(中央銀行)の上海支部が12日電子メールで公表した資料によると、新規ローンは2億7000万元(約34億円)と前年同月から114億元減少した。少なくとも1年で最低だった。ローン額は前月比でも91%減少した。

中国の銀行監督当局は6日、頭金の最低基準および複数住宅を購入する場合の住宅ローン金利の引き上げや、「行き過ぎた価格上昇」がみられる地域で3軒目の住宅向けのローン停止を銀行に命じるなどの措置をあらためて周知徹底した。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920010&sid=aShZtP5MPwws





●中国不動産価格、3カ月連続伸び鈍化 7月10.3%上昇  日本経済新聞 2010/8/10
 【北京=高橋哲史】中国国家統計局は10日、7月の主要70都市の不動産販売価格が前年同月比10.3%上昇したと発表した。伸び率は6月の11.4%より縮小し、3カ月連続で鈍化した。中国政府が4月に導入した住宅融資規制の効果で販売が大幅に減っており、高騰が続いていた不動産価格の頭打ち感が一段と強まっている。

 不動産販売価格はマンションなど居住用と、オフィスなど商業用の両方を含む。7月の70都市の販売価格は前月比でみると横ばい。6月には1年4カ月ぶりに下落(0.1%)しており、一部では値下げ販売が始まっているもようだ。

 7月の販売価格の前年同月比の伸び率を都市別にみると、海南省海口47.7%、北京12.4%、浙江省杭州12.6%などとなっている。いずれも6月より伸びが鈍った。

 7月の販売面積は前年同月比15.4%減、販売額は19.3%減だった。中国政府が4月に2軒目以降の住宅購入への融資条件を厳しくする規制を導入して以来、投機目的の購入が大幅に減っている。「一段の値下がりを期待した買い控えの動きも広がっている」(北京の不動産業者)という。

 一般庶民の間ではなお住宅価格高騰への不満が根強い。当局が実施した銀行の資産査定(ストレステスト)では北京など大都市の不動産価格が30%下がっても銀行経営への影響は小さいとの結果が出た。当局は3割程度の値下がりを容認するとの観測も浮上している。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE3E2E2E09F8DE3E2E2EAE0E2E3E29494E0E2E2E2




●米とベトナム 合同訓練へ 南シナ海、中国反発も 2010年8月12日 東京新聞

 ベトナムと米国両海軍は十二日から、南シナ海で救難活動などを目的にした合同訓練を開始する。米国は非軍事演習としているが、ベトナムと南シナ海の南沙、西沙両諸島の領有権を争う中国を強く刺激しそうだ。
 AFP通信などによると、訓練は両国の国交正常化十五年記念行事の一環で、米海軍の駆逐艦ジョージ・マケインなどが参加し、救助や消火訓練などを約一週間実施する。ジョージ・マケインは十日、停泊先のベトナム中部ダナンから訓練海域に向かった。
 ベトナム戦争を戦った両国は一九九五年の国交回復後、二〇〇三年に米軍艦船が戦後初めてベトナムに寄港し、その後、軍事協力を活発化している。今回の記念行事でも、米海軍横須賀基地配備の原子力空母ジョージ・ワシントンがダナン沖合に寄港し、ベトナム指導部が同艦を視察した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2010081202000033.html






【私のコメント】
中国の不動産価格の伸びが停止した。前月比で6月は0.1%低下、7月も横這いである。また、上海市の新規住宅ローンは、7月は前年比98%減少、前月比でも91%減少となった。中国政府が4月に導入した住宅融資規制の効果と考えられる。これによって新規住宅建設は減少し、建設関連産業は大不況に見舞われることになるだろう。中国経済を支える柱であった建設業の衰退は中国経済に大打撃を与えるはずだ。

冒頭の石平氏のコラムでも指摘されている様に、中国経済は三つの柱によって高度成長を成し遂げてきた。それは「輸出の拡大」と「人口の優勢」と「不動産業の急速発展」であった。しかし、不動産業の発展には終止符が打たれた。また、輸出の拡大も、先進国が揃って不況に陥る中でもはや限界に達している。賃金の上昇やストライキによって、安価で勤勉な労働力という強みも失われつつある。三つの柱を失った中国は高度成長時代から低成長時代に移行すると考えられる。その衝撃は、中国共産党への国民の支持を低下させ、腐敗した役人たちへの不満が暴発して中国の治安は悪化することになるだろう。人民解放軍は海洋への拡張政策どころではなくなり、国内の治安対策に忙殺されることになると想像される。しかし、富裕な沿海地区やチベット・ウイグルなどの少数民族地区の分離独立志向を押さえ込む事は出来ず、結果的に中国は近未来に分裂していく事になると思われる。

このように考えるならば、中国にとって不動産バブルを今崩壊させることは決して得策ではない。にも関らず、住宅融資規制が厳しく絞り込まれているのは何故だろうか?私は、中国政府内部には日本や米国との内通者がおり、わざと中国のバブル経済を崩壊させて中国を分裂させることを狙っているのだと妄想している。最近の米国海軍のベトナムとの合同訓練でも分かるとおり、米国の中国包囲網は強化されており、中国がこれにうち勝つことは不可能である。だとすれば、第二次大戦で日本がわざと負けた様に中国政府も米国にわざと負けることを狙っているのだと思われる。その主目的はおそらく、貧困な内陸地区や西部の少数民族地区の切り捨てを通じて、沿海地区の繁栄を維持することであると思われる。中国の支配階層は全て都市戸籍であり、大部分が沿海部の大都市に住んでいるからである。沿海地区の独立は、恐らく上海の分離独立運動、あるいは香港と同様の一国二制度を要求する運動から始まることだろう。





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1 コメント

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歴史の無い国 (名無しの経営者)
2010-08-16 15:04:33
支那共産党は、Mandarin(満州語)を共通語にしようとしているのですが、そうすると、もう漢文による4千年の歴史は消失します。

Mandarinによる支那の歴史は、4百年弱(中華民国はおよそ40年、共和国は61年目)です。

つまり変化するのが当たり前の世界が、支那だということになります。qazxブログは、8月13日付で、「支那経済の崩壊に備えるべきだろう」と書いています。http://qazx.blog.eonet.jp/docdoc/2010/08/post-84bd.html

反共団体の機関紙「大紀元日本」の記事から、以下のように書いています。

ーーーーー

(7月29日号)新華社通信が、先ごろ北京の中南海で、支・共産党全国党史工作会議が開かれたと伝えた。その会議には、胡錦濤党総書記を含めて4人の共産党常務委員や軍の最高指揮者のほか、全国各省の長が参加していた。つまりこの会議は、党にとってとても重要なものであった可能性がある。

その議題の一つが、「資料館が「攻撃」を受けた際、大量の党史資料をどのように処理すべきか」というもので、これについて支那人の一人は、「彼らは、党が崩壊した後に清算されることを恐れ、それぞれ逃げ道を作り始めている。党の存続に自信をもつ者はもういない」と話したのだという。

そして(8月10日号)支・国防大学学長の劉亜州中将がこのほど、香港誌「鳳凰週刊」の中で、「支・共産党は現在の政治体制を改革しなければ、その政権は必ず崩壊してしまう」「今後十年以内に、共産党の権威政治から民主政治への転換はもはや避けられない」「支那政権内でまもなく大変革が起こるにちがいない」と予告ともとれる発言をしたという。

軍内から発せられた支那共産党への批判は、共産党指導部の権力闘争が激化しているシグナルだと考えられている。世界的な経済問題が、支那が共産主義であることさえ忘れさせるほどに深刻であったために、支那政権の中枢部に、大きな変化が起きようとしていることを、見逃していたようだ。

しかし、支・共産党は、経済問題を解決する能力を持っているということに、その正当性の根拠を主張しているので、この党幹部の自信喪失振りからすると、どうやら、経済政策に行き詰った可能性がある。

ーーーーー

と書いているのです。2002年に何セイレン女史が、同じように、「共産党幹部で共産党がこのまま存続すると信じているものは一人も居ない」と言っていた言葉がようやく実現する可能性が出てきたことになります。

党幹部がわざとそうしているのかは分かりませんが、党内部に、新たな変化が起きようとしているのは本当なのではないかと考えています。
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