国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

「ダレスの恫喝」を繰り返し報道するJBpress:北方領土問題の2+αでの解決は間近

2012年06月02日 | ロシア・北方領土
●「2島返還」に応じるなと日本を恫喝した人物 北方領土問題の解決が許されなかった冷戦の枠組み 2012.06.01(金)
筆坂 秀世 JBpress

北方領土問題など、長く対ソ外交、対ロ外交に携わってきた元外務省欧亜局長の東郷和彦氏の著書『北方領土交渉秘録――失われた五度の機会』(新潮社)を読んで、中曽根康弘元首相が、北方領土問題をスターリン主義の残滓(ざんし)と位置づけ、その趣旨をソ連時代のゴルバチョフ書記長に正面から提起していたことを知った。

 同書は次のように記している。

 1988年7月に訪ソした中曽根元首相は、「IMEMO(世界経済国際関係研究所)で講演を行い、『時代精神』という自身の世界観を披歴(ひれき)、スターリニズムの残滓としての北方領問題という鋭い切り口を提起した。さらに、この点をテレビ・インタビューでも明快に指摘した。スターリニズムの問題は、当時のソ連の言論界ではなお微妙な問題をはらんでいただけに、幅広い批判の自由を認める『グラスノスチ』政策に賭けた前総理の気迫には、凛としたものがあった」という。

 この後ゴルバチョフとの会談でも提起するのだが、対日政策が定まっていなかったゴルバチョフから前向きな回答を引き出すことはできなかった。

「スターリン主義の残滓」と決別したいロシア
 だが、中曽根元首相の提起は決して無駄ではなかった。91年12月、ソ連邦が崩壊してロシア連邦が成立し、そのトップにエリツィンが就任したことが、北方領土問題でも大きな変化をもたらした。

 鈴木宗男氏(新党大地代表)によると、エリツィン大統領の側近で国務長官や第一副首相を務めていたゲンナジー・ブルブリス氏が93年の8月から9月にかけて訪日し、当時、自由民主党の衆議院議員だった鈴木氏と食事をした際、次のような発言をしたという。

 「日本人が『北方4島を過疎の土地だからいらない』といっても、ロシアは日本に島を返さなければなりません。北方4島はスターリン主義のもとで、日本から盗んだ領土です。共産主義から絶縁し、『スターリン主義の残滓』と決別しようとしているロシアにとって、北方4島を日本に返すことがロシアの国益に適っている。なぜなら、北方4島を日本に返還することによって、対外的にロシアが正義を回復したと国際社会から認知されるからだ。たとえ日本人がいらないといっても、返さなければならないというのがロシア人としての正しい歴史観です」(鈴木宗男、佐藤優共著『北方領土「特命交渉」』講談社)。

実に明快である。ソ連時代には、領土問題は基本的に一歩も動かなかった。なすすべがなかった。しかし冷戦終結、ソ連邦崩壊によって、北方領土問題がようやく動き出したのである。

 「スターリン主義の残滓」からの決別は、日ロ双方の共通項になったからである。スターリン主義の災厄、共産主義国家の災厄を蒙(こうむ)ったのは、日本だけではない。旧ソ連邦の人々も同様だったからである。

冷戦体制下で日本は資本主義陣営の橋頭保とされた
 社会主義国家のソ連という存在および東西冷戦体制が、北方領土問題を解決するうえで最大の障害となってきたことは、日ソの国交回復を実現した「日ソ共同宣言」(1956年)当時から明瞭だった。

 1945年2月のヤルタ会談は、関連国を抜きにして、米ソが第2次世界大戦後の国際秩序を両国の利害調整を図りながら確立しようとするものであった。そのため、ドイツの東西分割や東ヨーロッパ諸国でのソ連の覇権確立などをもたらした。これが東西冷戦の発端となった。

 大戦後の1946年3月には、イギリスの前首相チャーチルが、「共産主義の脅威」に対抗して世界の資本主義体制を擁護するため、アメリカに積極的な対応を求める「鉄のカーテン」演説を行った。

 そして翌47年3月にはトルーマン米大統領が資本主義体制を維持、拡大するためには他国・他民族への干渉も辞さないという「共産主義封じ込め政策」、いわゆるトルーマン・ドクトリンを宣言した。

 これに基づき「ヨーロッパを共産主義から防衛する」として大規模なヨーロッパ援助政策である「マーシャル・プラン」が開始された。

 アジアでも、この時期、中国革命が進展する中で、アメリカは占領下にあった日本を「全体主義(共産主義)に対する防壁」(ロイヤル米陸軍長官)にすることを明確にし、占領政策を大きく転換していった。

 こうした中で1951年9月、「サンフランシスコ平和条約」が締結され、日本と連合国との戦争の終結、日本の主権の回復、千島と南樺太の放棄、沖縄や小笠原諸島をアメリカの信託統治に置くことなどが決定された。この講和条約にはソ連などは署名しなかった。

 同時に「日米安保条約」が調印され、武装解除されたままの日本に、アメリカ占領軍は在日米軍として引き続き駐留することとなった。日本は文字通り冷戦体制下で資本主義陣営の橋頭保とされたのである。

「国後、択捉の2島」を巡る解釈の変化
 北方領問題は、この東西冷戦体制の下で膠着状態に陥ってしまう。

 1956年10月、鳩山一郎首相がソ連を訪れ、「日ソ共同宣言」が作られ国交が回復する。そして歯舞諸島、色丹島が平和条約締結後に日本に引き渡されることに合意する。しかし、日本側は国後島、択捉島の返還も要求し、4島が返還されなければ平和条約を締結しないという立場であったので、交渉は暗礁に乗り上げてしまうことになる。

 実は、この交渉の中で日本側は、歯舞、色丹の2島返還がソ連の最終条件だと分かってきたため、これで決着しようという考えもあった。

 なぜならサンフランシスコ条約2条C項で、「日本国は、千島列島並びに日本国が1905年9月5日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」とうたっていたからである。

 この交渉のある段階までは、「国後、択捉の2島は、サンフランシスコ条約2条C項で日本が放棄した千島列島に含まれる」というのが、日本政府自身の解釈でもあった。

 ところが、日ソ間で平和条約が締結され、日ソ間に友好関係が生まれると戦略上大きな狂いが生じるのが、冷戦体制下でソ連、中国と厳しく対峙するアメリカであった。

 日ソ交渉が中断している最中の1956年8月、ダレス米国務長官は日本の重光葵外務大臣と会談し、日本が2島返還で決着させるなら沖縄は永久に返還しないと言い渡したと言われている。いわゆる“ダレスの恫喝”である。

そこで日本政府は、新解釈を打ち出すことになる。それが「国後、択捉の南千島はサンフランシスコ条約2条C項で放棄した千島列島には含まれない」というものだった。おそらくダレスの側が持ち込んだ理論建てだろうと言われている。

 これ以前に、1955年保守合同によってつくられた自民党も「4島返還」論の立場を明確にしていた。ここにもおそらくアメリカの意向が反映していたと思われる。1955年11月の自民党立党宣言には、「革命と独裁を政治手段とするすべての勢力又は思想をあくまで排撃する」とうたい、東西冷戦の中でアメリカの側に立ち、ソ連、中国などの社会主義陣営と対決することを党是としていた。

 他方、ソ連側も1960年の日米安保条約改定に対し、この新安保条約は「ソ連邦と中華人民共和国に向けられたものであることを考慮し、これらの諸島(歯舞、色丹)を日本に引き渡すことによって、外国軍隊によって使用せられる領土が拡大せられるがごときを促進することはできない。よってソ連政府は、日本領土からの全外国軍隊の撤退及びソ日間平和条約の調印を条件としてのみ、歯舞及び色丹が1956年10月19日付ソ日共同宣言によって規定されたとおり、日本に引き渡されるだろうということを声明する」(1960年1月27日、ソ連政府の対日覚書)として、日米安保条約が廃棄されない限り、歯舞、色丹も返さないという態度を取ることになる。

 さらにこれ以降も東西対決が厳しくなる中で、ソ連は「領土問題は解決済み」という立場を主張し、領土返還交渉の入り口にも立てない状態が冷戦終結まで続いたのである。

北方領土問題を解決させたくなかったアメリカ
 アメリカが国後、択捉の2島を日本が返還要求の旗印から降ろさないことを要求したのは、ソ連が絶対に呑まないことが分かっていたからだ。逆にソ連側も歯舞、色丹の引き渡し(本来は返還とすべき)を打ち出したのは、日米の友好関係にひびを入れることを狙ったからだと思われる。

 ソ連が北方領土を不法に占領し、返還要求を拒否しているという状態は、自民党やアメリカ政府からすれば、日本国内での反ソ宣伝、あるいは社会主義を目指す勢力である日本社会党や日本共産党に打撃を与えるうえでの格好の材料となった。

 もちろん歯舞、色丹だけでなく国後、択捉の返還を要求することは、かつてこれらの島々で暮らしていた住民の方々の切なる願いに応えるものであったことは疑いない。だが現実には、返還要求が一歩も進むことはなかった。

 前掲書の『北方領土交渉秘録』の解説で、佐藤優氏は、ソ連という国がソ連共産党中央委員会が多数の人々を支配、抑圧する国家社会主義の体制であったこと、また国家の廃絶という共産主義の目標に従って、単一の世界を作ろうという欲望が潜んだ国であったことを指摘したうえで、次のように述べている。

 「こうした状況の下で日本が国家としてソ連に対して、根源的に警戒心をもったのは当然のことだった。日本の国民世論がソ連よりになってはならない。北方領土問題は解決しないことによって西側資本主義陣営における日本のポジションを維持するという国益を守ることができたのである」

 「これらの交渉は、冷戦の大きな『ゲームのルール』の中で展開されたので、突き放して、第三者的に見るならば、最初から勝算のないゲームだった。当事者の政治家や外務官僚が、交渉を成功させようと努力したことは間違いない。しかし、下手に北方領土問題が解決してしまい、日本国民の反ソ・反共機運にヒビが入ることの方が日本の国益にとって余程危険であると考えたのが、外務省主流派であった」

 冷戦終結、ソ連邦崩壊が、北方領土問題の解決に大きく道を拓いたのである。この新しい条件を生かし、日本政府が本気でこの問題の解決に取り組めば、必ずや解決できる道があるはずなのである。

 次回は最終章として、その方途を考えてみることとする。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35320





●「2島返還でソ連と折り合うなら沖縄は米領に」 利権がらみ一括返還は国際法上非現実的。「2島+2島」への回帰を~佐藤優氏 2012.04.06(金)JBpress

マット安川 今回のゲストは作家で元外交官の佐藤優さん。月に何冊もの出版物や新聞や雑誌記事で、さまざまな問題を解説しておられる佐藤さんに、国防や外交問題をはじめ、領土問題の最新情勢などをうかがいました。

北朝鮮の「人工衛星」は金日成生誕100年の打ち上げ花火

佐藤 北朝鮮はミサイルを「人工衛星」と言い張っていますが、これはずるい言い方です。国際法上、あらかじめ落ちる場所を伝えておけば、人工衛星の打ち上げのために公海や上空を利用することに問題はありません。

 日本が文句をつけたら、自分たちだってやっていることじゃないかと諸外国が非難してくれるはず、という計算があるんですね。

 今回、北朝鮮がそれを打ち上げるのは、要するにお祝いムードを盛り上げるためです。4月15日は金日成の生誕100年ですから、その前に花火を上げよう、と。

 同じようなことは過去にもしていて、そのたびに「人工衛星打ち上げに成功した」と発表するんですけど、そんな衛星を確認した人はいない。今回も失敗します。それでも同じように、成功したとウソをつくでしょうね。

 単にお祭りを盛り上げようということだから、みんなそう文句を言わないだろうと思っていたら、ロシアや中国も厳しい反応をしたので、あちゃーと思ってるんじゃないですか。

 食糧支援を止められたら困りますから、終わったら「悪気はないんだから勘弁して」と言わんばかりのモミ手外交を展開するだろうと思います。

語学力は中学生レベル・・・外交官の能力低下を憂う
 在露日本大使館の公使が、ポノマリョフという反体制活動家と会っていた様子の隠し撮り映像が公開され、物議を醸しています。映像はユーチューブにも載っていますが、私はそれを見て外交官の能力低下はここまで来たかと、唖然としました。

 まずロシア語が下手。英語でいえば中学3年くらいのレベルです。加えて相手の情報をまったく調べていない。ああいう話は個室ですべきなのに、公の場所でやっているのもお粗末です。

 反体制派と付き合うなら、一方で政権側の偉い人とも付き合っておくのが外交官の常識なのに、彼はそれもしていません。

 国は1人の外交官を作るために、1500万円から3000万円の国費を投入します。3年間も仕事を一切せずに研修させてもらいながら、言葉もろくにしゃべれない。日本の恥です。

 北方領土問題について工作活動をしていると誤解されるのは心外だと、大使館がコメントしたのもおかしい。北方領土返還のために仕事をするのは外交官として当たり前のことなんですからね。

 どうしてこういうふにゃふにゃした対応になるのか? 私は別の映像が公開されるんじゃないかとビビっている大使館幹部がいるんだと思います。金髪のロシア女性と一緒にいるところとか、酔っ払って醜態をさらしてるところとか・・・。

 外交官がこんな風にふにゃふにゃしているからなめられるのであり、なめられているからこんな映像が表に出てくるんです。

 新聞は公使を被害者として取り上げていますが、私に言わせればそれは違う。エリート層の出来の悪さ、能力の欠如は国民に対する犯罪です。

日本は一時、国後・択捉を放棄していた。事実を踏まえた返還交渉を
 プーチンの再選でメドベージェフとのタンデム体制は終わり、これからはプーチンの一頭体制になります。日本嫌いのメドベージェフが去ってくれるわけですから、日本としてはやりやすくなります。

 何より北方領土問題が動きだします。プーチン自身、大統領になったらこの問題に最終決着をつけたいと言っていますから。

 日本の北方領土交渉はこの10年間でめちゃくちゃになっていました。特に安倍政権、麻生政権のときなど、まるでバナナの叩き売りみたいな提案をしていた。

 民主党政権になってから、そこがずいぶんまともになりました。1月28日の日露外相会談で、玄葉外相は「北方4島の日本への帰属が確認されてから平和条約を締結する」という日本の姿勢を明言した。これは10年前まで日本政府が掲げていた原理原則に立ち戻ったということです。

 もうひとつ、日本政府はロシアによる不法占拠ということを言わなくなりました。これを弱腰だと言う人がいますが、全然そんなことはない。

 というのも日本はサンフランシスコ平和条約で南樺太と千島列島を、すなわち国後、択捉を放棄してるんです。しかし1956年、ソ連との国交交渉のときになって、国後、択捉をよこせと方針を変えた。

 これは当時のアメリカ国務長官ダレスに、2島返還で折り合うなら沖縄をアメリカ領にすると恫喝されたからです。

 そんな経緯からいって、国後、択捉について不法占拠なんて言っても通用しない。国際法で議論したら負ける可能性が高いんです。

 日本政府はあの戦争でソ連に侵略された立場であることを前提に、1855年にロシアと国交を開くまで、あそこがロシア領だったことは一度もないということを主張すべきです。

まずは歯舞、色丹から取り戻す「2プラス2」の流れに
 大東亜戦争、あるいは太平洋戦争には3つの要素があると思っています。アメリカやイギリス、オランダとの関係においては、五分と五分の帝国主義戦争です。負けたのは確かですが、ことさら悪いことをしたと言われる筋合いはない。

 アジアとの関係では、彼らの国を戦場にして多くの人を犠牲にしてしまった。その結果には責任を取らないといけません。悪気はなかったとしても戦争をして迷惑をかけたのは間違いない。

 そしてソ連との関係でいえば、われわれは侵略された側です。ソ連は当時有効だった日ソ中立条約を破棄した。そして旧満州国や樺太にいた日本人、六十数万人が強制連行されました。

 極寒のシベリアなどで働かされて、6万数千人が亡くなった。そういうことの延長線上に、北方領土問題があるということです。

 いずれにしても戦争をするわけにはいかない以上、知恵を使った外交戦で4島を取り戻さなければいけません。

 その際、一度放棄した2島と別の2島を分けて、まずは確実に取り戻せる歯舞群島、色丹島から返してもらおうということで動いたのが、鈴木宗男さんや森喜朗さんでした。しかし10年前、鈴木さんが捕まったことで頓挫してしまった。

 このとき、国賊だなんだと鈴木さんを攻撃したのは、北方領土利権で潤っているような人がほとんどでした。

 北方領土返還運動には、例えば青少年に対する啓発事業とか、北方領土のビザなし交流事業とかに国の予算がついています。返還されたらこれがなくなるからと、邪魔する人がいるわけです。

 政権交代の結果、そうした人たちへのお金の流れが細ったのはいいことでした。野田政権の北方領土政策が「2プラス2」というかつてのやり方に戻ってきていて、それに目立った反発がないことからも、国民世論が10年前とは変わってきているのを感じます。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34924






●玄葉外相が北方領土2島先行返還論を容認、近づく在日米軍撤退と北方領土問題解決 - 国際情勢の分析と予測 2012年05月08日

【私のコメント】

玄葉光一郎外相は5月5日に北方領土2島先行返還論を容認する姿勢を示した。また、この路線を主張する森元首相を特使としてロシアに派遣することに期待感を表明した。民主党政権は小泉政権と同様に4島一括返還を主張していたはずである。この路線変更は何を意味するのだろうか?

国際政治の世界には強制力を持つ統一政府が存在しないため、国際法の有効性には限界がある。超大国は国際法に違反しても誰も罰することができないからだ。しかし、日本は残念ながら超大国では無いので、国際法を遵守することが国益にかなうと思われる。

北方領土問題に関する最も重要な国際法はサンフランシスコ平和条約である。この条約では日本は千島列島の領有権を放棄している。また、日本はこの千島列島と言う言葉が千島樺太交換条約の対象となったウルップ以北のみを指すと主張しているが、この条約の正文であるフランス語の条文ではその様な解釈は不可能であると聞く。従って、4島一括返還とは国際法を遵守しないという意思表示であるのだ。1956年の日ソ共同宣言ではソ連側が歯舞色丹は千島に含まれないとの解釈を示しサンフランシスコ条約を遵守する形で日ソの国境が画定する筈だったが、それにより日本が米国の属国から独立してしまうのを嫌がった米国のダレス国務長官が「2島返還で合意したら沖縄を返還しないぞ」と日本を恫喝したために日本はやむなく国際法違反の4島一括返還を主張し続けているというのが真相だと思われる。

このような状況を考えると、玄葉光一郎外相の方針転換はもはや米国からの恫喝に日本が従う必要がなくなりつつあることを示していると思われる。日本が北朝鮮(帝国陸軍亡命政権)の言う「米国の“特別下僕”という」屈辱的な地位からやっと離脱し始めたのだ。近日中に北方領土問題は間違いなく解決される。ソ連崩壊後にロシア軍が文字も宗教も異なる東欧文化圏から引き上げた様に、米軍も文字や宗教の異なる東アジア(場合によっては中東からも?)から引き上げることになる。引き上げ先は宗教や文字や言語から見て米国本土・オーストラリア・ニュージーランドに限定されるだろう。オーストラリアの基地強化やフィリピンでの自衛隊の活動はこの米軍の支配地域の劇的な縮小の前触れである。日韓の軍事情報共有や国債持ち合いという情報は一見韓国の生き残りを示しているように見えるが、日本を悪の国として罵倒するという韓国の建国目的から見て韓国の滅亡と北朝鮮による統一は避けられないと思われる。
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/541306a5f8e79b0b714741566c7d70ea





●中国に飲み込まれ、北朝鮮に併合されて滅亡する韓国 - 国際情勢の分析と予測 2012年05月25日

【私のコメント】
<前略>
現在、南沙諸島を巡るフィリピンと中国の対立が尖閣問題と並んで注目を集めている。一見すると米国の「オフショア・コントロール」戦略に基づいて親米シーパワーがランドパワーの中国と対立して封じ込めようとしているように見える。しかし、これは日本・フィリピンと中国がわざと対立を演出しているのだと考える。サンフランシスコ条約で米国が南沙諸島や台湾や千島・南樺太や朝鮮の帰属を明記しなかったこと、日ソ国交回復時の国際法に合致した2島返還案を「沖縄を返還しないぞ」と米国が恫喝して国際法違反の4島返還を日本に主張させたこと、沖縄返還直前に国際的に孤立していた台湾に(恐らく無理矢理)尖閣の領有権を主張させたことはいずれも東アジアで地域大国間の国境紛争の芽を作って地域大国の団結を阻止して弱体化させるという米国の一貫した戦略の反映である。もし尖閣問題や南沙問題や北方領土問題が解決したら、米国は日本やロシアや中国やASEANを弱体化させるための卑劣な嫌がらせを実行してくる。従って、表向きは米国の戦略通りに対立を演じつつ裏では友好関係を維持し、国際金融資本が滅亡したら一挙に対立を解消して団結して東アジアの国際金融資本勢力やその手先である韓国を滅亡させるのが正しい。
<後略>
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/4e6e572d95af472dd91a249a4fe1bc52







●プーチン新大統領が北方領土問題の最終解決に意欲 - 国際情勢の分析と予測 2012年03月04日

【私のコメント】
本日(2012年3月4日)はロシアの大統領選挙の投開票が行われる。世論調査ではプーチン前大統領・現首相の大統領への返り咲きが確実視されている。このプーチン新大統領が3月1日に北方領土問題の最終解決への意欲を示した。引き分けという言葉を使っており、日露両国が互いの主張で譲歩する形での解決を目指しているようだ。また、1956年の日ソ共同宣言に言及していることから、2島返還という解決策が一つのたたき台になるものと思われる。そして、その直後に行われた国会での答弁書で日本政府は従来の「不法に占拠」という表現を改め、「ロシアに法的根拠のない形で占拠されている」としている。これは何を意味しているのだろうか?

このブログで繰り返し述べてきたことだが、北方領土問題とは日露間の問題では無く日米間の問題である。1953年にベリヤによるスターリン暗殺とその直後のベリヤとカガノビッチがジューコフによって逮捕・処刑される政変が起こりソ連はユダヤ人独裁から解放されてロシアを中心とする国民国家になった。この新生ソ連が日本との友好関係樹立を目指して交渉を行い、両国はシベリアに抑留されていた日本軍人を日本に帰国させ、サンフランシスコ条約で日本が放棄した千島列島に歯舞色丹は含まれないというソ連側の譲歩によって2島返還で合意した。しかし、日本とソ連が友好関係になると米国は日本への影響力が低下してしまう。それを恐れたダレス国防長官は日本政府に対して「2島返還で合意するならば沖縄を返還しないぞ」と脅迫した。事実上米国の軍事占領下にある日本は米国のこの恫喝を拒否することができず、住民が全て日本に脱出した国後択捉よりも100万人近い住民の居住する沖縄を選択したのだ。ただ、ダレスが日本の敵であるかどうかは微妙である。当時のアイゼンハワー大統領は第二次大戦中の欧州戦線の最高司令官であり、太平洋戦線の最高司令官でありその後朝鮮戦争で中国への核攻撃を主張して解任され、その後「第二次大戦は日本にとって自衛戦争であった」と証言したマッカーサーの立場を反映していると思われるからだ。更に、1953年1月のアイゼンハワー大統領の就任は1913年のFRB設立以降に米国政府を事実上支配してきた国際金融資本が一時的に米軍に主導権を奪われたことを意味する。スターリン暗殺は謀反を恐れる国際金融資本の命令でベリヤが実行し、米軍の支援のもとにソ連軍欧州戦線最高司令官であったジューコフがそれに反撃したというのが真相だと思われる。

このような経緯を考えれば、プーチンの主張は全く妥当である。また、日本政府の答弁は、近未来に日本が米軍の支配から脱して独立を回復し、北方領土問題の解決が可能になる見込みがあることを示している。人口もそれほど多くない日本は軍事力では無く国際法に基づいて自国を防衛するのが有益である。2島返還は国際法に基づいておりたたき台として唯一無二の存在である。ただ、日露間の歴史的経緯、日本人の対露感情を考えれば、日本政府が何らかの対価を支払って国後択捉をロシアから買収するのが日露両国にとって有益であると思われる。その対価として最も適切なのは、宗谷海峡トンネルの建設とシベリア鉄道の日本への延伸である。日本とロシアを結ぶ大動脈が通過することでサハリン州の住民には鉄道関連の職場が生まれ、現地住民の返還反対論を抑制することが可能になるだろう。
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/ad559476e6c5f8c516ea543b002a980e






【私のコメント】

従来から私はこのブログで、北方領土問題を作り出して日ソ友好を阻害した米国は犯罪的国家であることを繰り返し指摘してきた。

1913年にFRB設立でロンドンの国際金融資本はウォール街と協力して米国を乗っ取り、1917年にはハザール系ユダヤ人と協力してロシア革命でロシアを乗っ取った。20世紀はこの二つのユダヤ革命によって作られた時代であり、イギリスの歴史学者エリック・ホブズボームが著作『両極端の時代』で指摘した「短い20世紀」は1914年では無く1913年に始まったと考えている。その終焉も、1989年では無く2008年のリーマンショックまたは来るべきFRB国有化とすべきだろう。ただ、米国では1953年1月のアイゼンハワー大統領の就任によって国際金融資本が弱体化し、ソ連では1953年のジューコフのクーデターによるベリヤやカガノビッチなどのハザール系ユダヤ人の一掃によって親国際金融資本勢力は完全に消滅した。1953年にソ連はユダヤ人独裁国家からロシア人の国民国家に復帰したのだ。まずはこの事実を念頭に置かないと北方領土問題は理解できない。ユダヤ人独裁から解放されたソ連は反国際金融資本の仲間であった日本と友好関係を結ぶことを望み、日ソ両国はサンフランシスコ条約に基づいて2島返還で国交を回復しようとしたのだ。それを許さなかったのがアイゼンハワー大統領の国務長官であったダレスである。ダレスは「2島返還で妥結するなら沖縄を返還しないぞ」と日本を恫喝した。それ故に日本はサンフランシスコ条約と矛盾する国際法違反の4島一括返還を主張することを余儀なくされてきたのだ。

ダレスはアイゼンハワーと同様に反国際金融資本の立場であったと思われるが、日本が独自の立場で行動することは許さなかったのだろう。そしてその後国際金融資本がケネディを暗殺し、恐らくイスラエルと組んで米国を核兵器で恫喝しはじめると、米国政府は国際金融資本・イスラエル連合の言いなりとなり、反国際金融資本の日本とソ連が手を組むことは絶対に許されなくなった。1953年以後の世界ではソ連・ロシアこそ正義の国家であり、イギリス・イスラエルが犯罪勢力であり、アメリカ・日本・西ドイツは犯罪勢力に占領されながらもソ連・ロシアと裏で交流し続けてきたのだと考えている。

Jbpressは今年の4月6日に元外交官の佐藤優氏を、6月1日に元共産党所属参議院議員の筆坂秀世氏を起用してこの「ダレスの恫喝」に触れている。日本の外交官やソ連やロシアを悪者にすることで日本人に反米感情が巻き起こらないように細心の注意を払っているが、実は北方領土問題で最も悪い国は米国であり、日本とソ連・ロシアは米国と戦ってきたことが賢明な人にはわかるようになっている。

日本人を含めて人間の知性には極端に大きな個人差がある。多くの愚かな大衆は低俗なテレビ番組を楽しみ、小泉純一郎や橋下などの劇場型政治家の愚かな政策(例えば郵政民営化や、公立中学の学力テスト成績の公表など)を絶賛する。しかし、その一方でテレビを見ない知識階層は劇場型政治家の政策の愚かさを嘆きつつ、国際金融資本という犯罪勢力に脅迫される日本の状況に薄々気づきつつある。Jbpressのこの二本の記事は、Jbpressの読者である知識階層に北方領土問題の真実を知らせて2+α方式での解決への理解を求めることが目的と考えられる。北方領土問題の解決は近い。





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81 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-06-02 23:19:40
管理人は協会派のシンパか?
返信する
Unknown (Unknown)
2012-06-03 00:08:29
だから主は戦略と戦術を間違えてるんだって。
主の分析はあくまで戦術レベル。(この部分はおおむね正しい。)
このブログの国際情勢に関する情報は国際政治の戦略段階での牽制レベルに過ぎない。
あまり熱くなりすぎないように。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-06-03 00:38:37
戦略と戦略の好みの違いだろ。
戦術の意味も分かってない人間がよく言う言葉で
「戦術的には正しいが、戦略的には間違ってる。」

上で述べられてるのは、どっちも戦略のカテゴリーに入る。
それと中身のない批判を言う暇があるなら、
自分の意見を言うべき。

返信する
舞台をご用意致しやした (普通の人々)
2012-06-03 00:41:50
〉↑2012-06-03 00:08:29

君が大層大事に秘匿し抱え込んでいるその戦略とやらをこの場で豪勢に披瀝したらいかがかな。
それとも斜に構えた否定販売屋の商品の中身は虚空かな。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-06-03 00:51:39
日本にとって、すべての国は味方であり敵でもある。
日本が一枚岩でないように、外国も一枚岩ではない。

対米では、中国やロシアと手を組み。
対中では、ロシアやアメリカと手を組み。
対露では、アメリカや中国と手を組む。

ただどの場合でも、日本国内で政治工作をする勢力は特に注意しなければならない。

アメリカが日本の政治家の生殺与奪の権を握っていては、日本の不利益が大きい。
中国も日本国内でスパイ活動をしているが、アメリカに比べると野党のような立場のスパイ活動。

アメリカから真の意味で独立することは、どの国と外交をする際でも日本の主体性を復活させることになり、利益を増やすことができる。
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Unknown (Unknown)
2012-06-03 02:00:31
全く関係ない事と皆さん思われるかもしれないが、最近ふと考えた。
江沢民が先かカストロが先か?
いずれにせよもうすぐお迎えであろう。
そして、日本でも大宗教団体のあのお方。
大きな重しが取れてしまう。

戦後体制崩壊間近!
かな?
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Unknown (Unknown)
2012-06-03 02:08:55
T協会のBも忘れるなよ
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日本自身の問題だよ (Unknown)
2012-06-03 09:08:35
もう米国云々は関係ない。

管理人が言うように、本当に
「国後が間違いなく千島であり」
でかつ
「日本の国後択捉要求はが不当」
なら、後は日本自身の問題だ。

今の米国にとって、「沖縄と国後択捉の関連付け」など、どうでもいい事だよ。
「そんな事、言ったっけ」(米国)である。
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Unknown (Unknown)
2012-06-03 09:30:48
日露のどちらの主張も万全ではないし、一方的に正しい訳でもない。

だから、残るは政治的妥協、例えば「面積折半(3.5島返還)」しかないよ。

ロシアには、最終的に「パパラム(ロシア語で折半の意味)」で妥協しる政治文化があり、受け入れやすい土壌がある。
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Unknown (Unknown)
2012-06-03 09:41:37
米国は日本のベビーシッターじゃないんだよ
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