マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ドビュッシーの後期のピアノ小品について

2023-04-21 00:49:14 | ラ・プロムナード・ミュジカル
ドビュッシー(1862~1918)の曲は、全曲演奏しようと思っているので、ここ最近は小品に取り組んでいます。
小品の中でも比較的演奏される曲はあるのですが、晩年の作品はホントに小品で、演奏される機会も少ないですね。

1曲目は、演奏会用小品です。
タイトルとしては、フランス語では「Morceau de concours」なので、「コンクールの小品」とする方が正しいように思いますけど。
この曲は、後期ではなく、1904年の作曲で、雑誌「ムジカ」1905年1月号に掲載された、作曲者当てコンクールのために書かれたものです。
雑誌の読者が、無記名の6曲の小品の作曲家を、18名の作曲家リストから当てる…というコンクールでした。
1ページに収まる、ホントに小品です。
ドビュッシーらしさ…う~ん、あるかなぁ…。

2曲目は、英雄の子守歌-ベルギー国王アルベール1世とその兵士達をたたえて です。
1914年に勃発した第一次世界大戦中の1914年11月に作曲されました。
ドイツ軍に抵抗したベルギー国王アルベール一世と、兵士たちの勇気をたたえて、イギリスの文筆家ホール・ケインが「アルバート王の書」を編集しましたが、その際、作曲を依頼されて書かれたのが、この曲です。
重々しく暗い色調ですが、途中にハ長調でベルギー国家が引用されています。
作曲者自身により、管弦楽編曲もされています。 
   
3曲目はアルバムのページ(負傷者の服のための小品)です。
第一次世界大戦は、ドビュッシーを精神的にも経済的にも苦しめました。
1915年に負傷者の服のための小品」というタイトルで作曲され、1933年に出版されたときは「アルバムのページ」とされたようです。
戦争中ではなかったからタイトルを変えたのでしょうか。
第一次大戦で被害にあった人々を救うための団体「負傷者の衣服 Vêtement du blessé」のための作品です。
この慈善団体には妻エンマが参加していて、楽譜の最後に「愛する妻の『負傷兵の衣』のために クロード1915年6月」と書かれています。
ドビュッシーもこの作品を献呈したほか、コンサートを開催するなど、意欲を持って団体のために活動をしていました。
わずか38小節の、メランコリックなワルツです。





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