マルグリット嬢の顔は見違えるようになっていた。老判事の簡潔にして的を得た言葉に目の前の霧が晴れ、今や真実が指で触れられるほどに明らかに見えるように思われた。
「ああ、そうですわ!」と彼女は叫んだ。「あなた様の仰るとおりです!」
判事は一瞬思いを巡らしていたが、やがて言った。
「ド・フォンデージ氏の考えについては、それほど明確には分かりません。が、気がついたことがあります。彼は使用人たちに問い質してはいない。その証拠は、彼がここに着いたとき貴女が遺産の受遺者であると信じて疑っていなかったことです。よろしいかな、ここが肝心ですぞ。貴女には知らせずにド・シャルース伯爵はなんらかの予防措置を取っていたのですよ。そして彼もそのことを知っていた。貴女が彼に伝えたことは彼を混乱させた。で、すぐに彼は伯爵の不用意さによって被る被害を修復しようとし始めた。そのあまりの熱心さは、彼自身が伯爵の不用意さの原因を作ったのではないかと思わせるほどでした。息子の妻になってくれと貴女に懇願しているときの彼の動揺した表情からは、貴女の零落の原因を作ってしまった後悔を早く振り払いたいという一念が読み取れるようでした。さあ、ここから先は貴女が自分で結論を出すのです」
可哀想なマルグリット嬢は問いかけるようなまなざしで判事を見た。彼が明確に言い切ることをしなかった考えの中味を誤って解釈するのではないかと怖れるかのように。
「そ、それは、判事様」と彼女はひどく躊躇しながら言った。「あなた様のお考えでは、その、御推測では、将軍はあの二百万フランがどうなったか知らぬわけではない、と……」
「そのとおりです」と彼は答えた。それから、言い過ぎたのではないかと怖れるかのように、またあまりにも断固として意見を述べたことを悔いるように付け加えた。
「ご自分でよくお考えになることです」と彼は言った。「今夜一晩ゆっくりお考えなさい……明日になったらまた話をしましょう。もし貴女のお役に立てるなら、幸いです……」
「ですが、判事様……」
「ああいやいや、すべては明日ということにしましょう! 私は食事を取りに戻らねばなりません。私の書記もうすっかり待ちくたびれているでしょう……」7.5