XIII
殆どの人はあまり考えないが、被相続人がいない相続財産は毎年国に没収されることになる。このようにして国庫に入る額は相当なものだ。家族の絆がどんどん弱められ、個人が我欲に駆られ、かつて大切にされた血縁や家名による連帯は見向きもされなくなった昨今にあっては、これもまた頷けることだ。年長者たちはお互いに会うこともなくなり、子供たちはお互いを知らず、第二世代ともなればもはや赤の他人も同然となる。冒険的な気質を持ち故郷を離れる若者や父親の意に反した結婚をする娘は、たちまちその存在を忘れられる。彼らは一体どうなったのか?誰も心配する者はいない。彼らが幸せにしているのかそうでないか、確かめてみようとする者もない。ただ何らかの助けを求められたらどうしようと不安がるのみである。
このように忘れられた者たちは、彼らの方でもまた忘れてしまう。そして運命の女神が彼らに微笑んだとき、彼らは家族にそのことを知らせないようにする。貧乏になれば彼らは見捨てられるが、富を得れば彼らが見捨てる方だ。誰の助けも借りず独力で財をなした彼らは、自分だけで自分の好きなように金を使うという自己満足に耽る。
しかし、このような係累のない人間が死ぬとどうなるであろうか? 彼の召使たちや彼の臨終に駆け付けた人々は彼の孤独を利用し濫用する。家財道具に封印を貼付するために治安判事が到着するときには、もう盗めるものは盗んだ後である。やがて、受益者、債権者あるいは従僕たちによりこれらの封印の解除が求められ、財産目録が作成され、いくつかの手続きを経て相続人が名乗り出なければ、裁判所により相続人なしの決定がなされ、財産管理人が任命される。この財産管理人の仕事はいたって簡単である。彼は相続財産を管理し、裁判所がその財産の受領を宣言する日まで、相続人が現れて訴えを起こさない限り、そこから得られる収入を国庫に払い続ける。