「ええとですね」と彼はついに言った。「貴方が僕をかついでいるとすれば、人が悪いですね……。お金を借りている、ということは紛れもない事実です。貴方には二十五ルイの借りがあります……。だから今は何百万という大金の話をするときではないでしょう。僕の親戚は僕に仕送りを送ってくれなくなりました。僕の債権者たちは証紙を貼付した書類を送り付けてきます……もうにっちもさっちも行かない状態です……」
ド・コラルト氏は彼を圧し止め、もったいぶった様子で言った。
「名誉にかけて申しますよ。私は冗談を言っているのではありません。貴方はいかほど支払うつもりがおありですか……」
「ああ! その人がもたらしてくれる額の半分をお支払いしますよ……」
「それは多すぎます」
「いえいえ、そんなことはありません!」
彼は間違いなく本気だった。金がどうしても必要で喉から手が出るほどなのに一文もないというとき、金を約束してくれるという男が現れたら、心の底から正直な気持ちで謝礼を差し出さないことがあろうか……。どれほど手数料を要求されても法外とは思えないものだ。後になっていざその期日が来たときだ、その利率の高さに思いを致すのは。
「私が半分は多すぎる、と言うのは、このことが現実だからですよ。私以上にそのことをよりよく判断できる人はいません。貴方の手に巨大な富を握らせることの出来る人間は……この私だからです」
ウィルキー氏は一歩後ろに退いた。驚きでぼうっとして口もきけなかった。
「驚かれたようですね!」と子爵は言った。「どうしてですか? 私が手数料を要求するからですか?」
「ああ、いや、そんなことはありません」
「こういうことはあまり、その、品の良いことではありませんね。だが実際的なことだ。私も当事者の一人になってしまった。ビジネスはビジネスです。午後の時間には、私はレストランやクラブや綺麗どころを訪れ、そこでは単なる子爵であり貴族以外の何物でもありません。金の問題などは私をうんざりさせる。鷹揚で金に糸目をつけず、友人たちに義理を欠くこともない。しかし朝には、私は一市民のコラルト氏となり、請求書は厳しい目で精査してからでないと支払わず、財産管理はしっかりとする。投資で大損をしたくはないし、どこかの外人部隊で一兵卒として輝かしい経歴を終えたくはないのでね……」11.29