珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

山田正紀の「妖鳥(ハルピュイア)」を読んで

2009年03月23日 | 読む

山田正紀の「妖鳥(ハルピュイア)」を読んだ。
聖バード病院という病院で起きる謎めいた殺人事件を、先輩刑事を見舞いに来た若い刑事が解いてゆくという筋書き。
思いもかけないどんでん返しもあり、とてもおもしろかった。

おもしろかったのだけれど、気になったことが一つ。
登場人物の中に、主人公が、「老婆、いや老婆というほどではない60そこそこか、」と表現している女性がいる。
60そこそこで、一瞬とはいえ老婆に見えたというのもショックだが、なんと彼女は老人性痴呆だったのだ。
もちろん60そこそこで痴呆症の人はいるだろうけれど、ぴんとこない。
私の周りのアラ還の女性たちは元気溌剌で、老人でもなければ、痴呆症でもない。

これが書かれた時、山田氏は50代に入ったころだと思う。
その頃の彼の目には、60歳で老人性痴呆は不自然ではなかったということだろうか。
彼女が60だろうと何だろうとストーリーには関係ないのだけれど、自分がその年齢に近づきつつある私としては、妙に気になってしまった。

さて昨日、家の前を通りかかったご近所の奥様にご挨拶をしたのだが、彼女の後姿を見送りながら、あの方はおいくつなのかしらとふと思った。
私がここへ越してきた30年ほど前、彼女はすでにここに住んでいた。
20代だった私の目には、親ほども年長に見えた。
でも、今となってはそれほど年齢の差があるようには見えない。
せいぜい10歳もあるかないかだろう。
ずいぶんと失礼な見方をしていたものだ。
若さ故の傲慢だともいえるかもしれない。

山田氏を責められないな~。