珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

能ある鷹は・・・

2015年07月10日 | 日々のこと

先週、水彩画サークルの発表会があった。

水彩画を始めて8か月、堂々と展示できるような絵は描けていない。

額縁に申し訳ないくらいのものだわ。

「私はちょっと・・・」とやんわり拒否した人もいた。

でも、「皆さん、少なくとも1人1点は出してくださいよ~、何なら2点でも良いですよ~」

という、先生の有無を言わせぬ一声で、みんな1点はだすことになった。

前日に額縁負けした絵を持って会場に行ってみたら、すでに殆どの絵が飾られていた。

部長さんに私の絵を架けていただいた後で、見て回った。

すると、いつも私の隣の席に座っているKさんが、1枚の絵を熱心に見ている。

行ってみると、小樽運河と街並みが描かれている絵だ。

それがスゴイ!プロ級だ。

サークル歴8か月でも、絵を見れば描いた人はだいたいわかる。

うちのサークルにこんな上手い人がいるはずはない、先生の絵かしらと思った。

でも、先生の名前じゃない。

とは言え、先生以外の皆さんの名前を憶えていないから、

名前を見ても誰だかわからないけれど。

もしかして、作品数が少なくて、どこかからかお借りしたのかしら?

スゴイよね~、これなら、画廊に並べたら売れるよね~、誰の絵かしらね~?と

首を傾げながら、 Kさんとあれこれ言っていると、サークルの大先輩がやって来て

これね、○○さんのだよ、ほら、いつも×××に座っている人よ。

えええ~~!

これ、やっぱりうちのサークルの人の絵なの!

それも、あの方? 信じられない!

その方は60代半ば位の男性で、物静かで滅多に声も聞かないという方だ。

世間話をすることもなく、黙々とひたすら絵筆を運ぶ、

それなのに、なぜか、遅い・・・

約2時間半の中で、殆どの人は1枚の絵を、完成させる。

または、あと1歩か2歩というところまではこぎつける。

でも、彼の場合は、着色できた部分はほんの一部、

え、あんなに一生懸命なのに!と驚くほどの未完成さで、

それまで、私たちは完成した彼の絵を見たことがなかった。

その上、出品した作品はサークルで描いた絵ではなかったので、

尚更わからなかったのだ。

古くからのサークルメンバーは、彼の実力を知っていて、驚きもしない。

そうか、そうだったのか、いやもう御見それしました。

お家の一室で、黙々と絵筆を持つ孤高の姿が目に浮かぶ。

その筆の運びは遅い、でも、緻密で繊細、時間をかけてこそできる技か。

 

次のサークルの日、「素敵な絵を描かれるんですね~、びっくりしました」と、

聞きようによっては、失礼にもとれるんじゃないか、というようなことを言ってしまった。

あ、もっと違う言い方があったのに...と言った途端に後悔したけれど、

「いえいえ」と、にっこり笑って下さった。

ああ、よかった。

こういう褒められ方に慣れているのかも知れない。

 

能ある鷹は爪を隠す

いや、

能ある鷹は爪を出すのが遅い、か。

 

 

 

 

 

 

コメント (4)
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