本状況で展開される模擬戦闘において「敵」となるちゅ、じゃなくて某国が、
巡航ミサイルをこちらに向かって発射してきたので中SAMこと
03式中距離地対空誘導弾
が迎撃態勢を取ると同時に、本日の「メイン」であるヒトマルこと10式戦車が
偽装して投入され、第一空挺団降下始め訓練展示は佳境に。
この頃になると彼方此方で火の手が上がり始め、時折榴弾砲の轟音が鳴り響き、
そして、空中には入れ替わり立ち替わり我が最強のヘリ軍団が飛来。
この日の天気は基本晴れでしたが、青空と曇天が繰り返されました。
アパッチの操縦席は後ろで、前は銃撃手です。
二人とも視線はしっかり敵に占拠されたせんか、じゃなくて
「日本固有の領土である或る島」の方向を捉えております。
ようやくこの辺りに来て、マニュアルフォーカスでピントを合わせることが
できるようになってきました。
もう訓練展示終わりかけだっつの(笑)
かなり低空を飛んでいたので、私のいる場所から
まるで隣を飛んでいる航空機から見るような角度の写真が撮れました。
やはりヘリ部隊隊員も、「観客サービス」「カメラサービス」を
少しは意識しているのかも。
10式戦車はいきなり左手から登場し、あっという間に前を通り過ぎたので、
正面からの写真を撮り損ないました。
発砲!
ところで、昨年の秋、朝霞に観閲式を観に行ったのですが、その終了後、
敷地内に展示されていた陸自装備品の数々をまだアップしていなかったので、
ここぞと10式の写真を投入したいと思います。
注目の10式戦車。
動的展示する時間に戻ってくることにしました。
ここで知っておくとちょっと便利な戦車の登り方その1。
まず脚を所定位置にかけます。
その2、アンテナみたいなのを掴んで正しく登ります。
その4、脚を挙げて柵を乗り越えます。
その5、戦車の上に立ちます。
その6、登って訳もなく点検するふりをします。
・・・・いや、自衛隊員の行動に「わけもなく」などとあるはずはない。
これはきっと仕業点検でちゃんと決まっているに違いない。
動かす時間になり戻ってみれば、そこはすでに戦車好きやカメラ&ミリオタクによって
ぎっしりとカメラの放列ができており、こんな場所しかありません。
まあわたしはこれで十分。
砲塔を前方向に向けてくれています。
ヘルメットが同色でまるで戦車の一部となっているかのような隊員。
前後左右、どの方向にも車体を沈ませることができます。
これは前にかがんで「お辞儀」をしたところ。
うーん、結構なベテランと見た。
戦車に乗ってこのかた20年!というところかな。
眼光炯々とした戦う男の貌です。
展示が終わったら三人の隊員がヒトマルから降りて来て敬礼。
この敬礼を見るかぎり、手のひらが下外向きで肘角45度、
話に聴く陸軍式敬礼はそのまま伝承されているようですね。
前列にいる女性のうっとりした様子をご覧下さい。
さて、このときも大注目だったヒトマルアニキですが、当状況には二台投入です。
今「二台」と書きましたが、戦車の数え方ってやっぱり車と同じでいいの?
道交法的には「車」扱いではない、というのは確かなんですが。
実は自衛隊の戦車は全て「道交法に準じる」という配慮から、
ウィンカーがついている
のですが、別にこれは道交法で決まっているわけではないのです。
自衛隊法第114条と昭和45年の防衛庁(当時)の訓令によって、
戦車は平時でもウインカーを免除されているのです。
しかしそれでもあえて、陸自の全戦車が装着しているのです。
勿論この10式にもちゃんとありますよ。
なぜ除外規定があっても自主的に取り付けるのかというと、
やはり戦後社会の憲法で認知されてこなかった自衛隊が、
一般対象の法令に対する「過度の配慮」をしている、ということだと思います。
まあ勿論、戦車にウィンカーを付けていたからといって戦闘に支障はないでしょうし、
せいぜい外国軍人に笑われる程度のことでしょうが。
しかし、戦後日本が憲法の「軍隊否定」「身分保証されない自衛隊」ゆえに陥った矛盾は
この戦車のウィンカーの例よりずっとたちの悪い事態にもつながっていると言えます。
つまり、有事や緊急事態への対処を誤らせかねない問題、たとえば
有事に備えて滑走路に転用できるような道路計画などは全くしない、
道路や橋は戦車の重さなど全く考慮していないためいざという時に通れない、
ミサイル防衛のためのシェルターを作るなどもってのほか、
原発だって、テロはともかく軍事攻撃にはまったく無防備であることなどなど。
左翼の大好きな(といっても2014年現在、社民党を除く全ての政党はこれを認めていない)
「無防備都市宣言」
というのは「相手の善意を前提とした」、まあ言って見れば、
犬が強い相手にお腹を見せて転がるに等しい、絵に描いた餅のような理想主義なわけですが、
この戦車のウィンカーの話に象徴されるような自衛隊不在の戦後憲法が作ったのは、
つまり「我が国は無防備都市である」と世界に向かって宣言しているような、
おめでたい国防の現状であるとわたしは思います。
という話が始まったら今日中に状況終了できないのでこの辺にして。
おお!
10式、荒野を往く、って感じでかっこいいですねえ。
向こうに民家が見えてますがそれはないことにして。
あちらこちらで煙があがり、10式も遠慮なく撃ちまくり、
当たりが煙幕で真っ白になってしまいました。
10式の後を追いかけるように競輪装甲車が派手に偽装して登場。
車輪上部にまるで寝癖のようにぴこっと角が立っているように見えるのは、
たとえばMINIMIなどの機関銃を上部に装備した際、銃身を出す
防弾スリット(って言うのかどうか知りませんが)だと思われます。
それにしても隊員が張り切っているのか、偽装が盛ってます。
盛り盛りです。
なんにでも葉っぱで偽装するのは旧陸軍からの伝統。
何しろ陸軍は海軍に反発して作った輸送潜水艦「まるゆ」に、
なぜか潜行させず上に葉っぱや木切れで偽装して航行していたくらいで・・・。
ヒトマルを戦陣に、敵陣に乗り込んでいったようです。
もう一度アパッチロングボウ。
ヒューイのドアからは対物狙撃銃らしき装備を構える姿が。
ただ撃つだけでも的に当てるのはかなり難しいものだと思いますが、
飛来するヘリの上から狙撃するなんて無理ゲーすぎる。
今回エアコブラの勇姿をたくさんカメラにおさめることができて、
本当にレンズを買ってよかったとまたもや実感しました。
敵陣となっている擂鉢のような小山のまわりには(子供の戦争ごっこに使われるような山ですが)
ぐるりと10式と軽装甲車が包囲しています。
と、この大きさでは全く見えませんが、その擂鉢山の頂上に、
敵国国旗の降参の印が降られました。
ここでどうして白旗が出てこなかったのでしょうか。
日本海大戦のときのベドウィン号だって、日本軍相手に白旗が必要な事態になるとは思わず、
仕方がないので世界共通の降伏の色として白いテーブルクロスを使ったという話があるくらいなのに。
これも「戦車のウィンカー」みたいなものかなあ。
つまり「戦争の勝ち負け」を想像させるので白旗は使いませんでした、ってこと?
じゃ、今までどんぱちやっていたのはあれはなに?
「戦争」じゃなくて、単なる「ショー」だったんですか?
相変わらず重爆の隅をつつくようにこういったことが気になるエリス中尉の
もやもやした気分とはうらはらに・・・・、
さあさあ、状況終了しましたよっと、皆さん途端に平時モード。
こちらも一仕事終えて平時モード。
すぐさま撤収に入りました。
このときこういう態勢の人もいましたが。
そして不穏な空気を感じて(修辞的表現)左手を見ると、
そこには本作戦に配備された全てのヘリが、
不気味にホバリングを続けているのであった・・・・・・。
続く。