あらためて、明けましておめでとうございます。
昨日の「あけおめ」は、年末に作成したエントリなので、
実際に今年初めてのエントリ作成になります。
例年海外に旅行に行ってしまう我が家ですが、三年に一度くらいは
日本で迎えており、その際には都内にホテルを取ってそこから初詣に参ります。
今年大晦日に年越しのために泊まったホテルは、カウントダウンパーティがありました。
わたしは部屋でエントリを作成するのに忙しかったのですが、
息子が興味があるというので降りてみました。
思わず「晩ご飯食べなきゃよかった」と思うほどの豪華なお料理が
迷うくらい並んでいます。
息子はどうも小腹が空いていたらしく早速サンドウィッチをパクリと。
しかし、時間はと言うと12時10分前。
いつもなら飲んだり食べたりは厳として慎む時間です。
「うーん・・・・美味しそうだけどな」
と迷っているとTOが
「明日の朝のお節とお雑煮を美味しく食べたいならやめといたら?」
そうそう、朝はここの和食のお正月膳を予約していたんだったわ。
いつもはそういった理性を働かせることなく、目の前にあるものを
なんでも頂いてしまうTOも、こういうことになると怖いくらい自制心が働きます。
勿論わたしも言われていつもの自分を取り戻し、素直にウーロン茶だけを啜っていました。
カウントダウンには音楽も入っていました。
なんとお洒落な。
アコーディオンとヴァイオリンのデュオで、アストル・ピアソラの
「リベルタンゴ」「オブリビオン」、和製タンゴの「奥様お手をどうぞ」
などのレパートリーをもつ女性二人(しかも見た目もオシャレ)が、
年を越すにはぴったりに思われるライブ演奏をしていました。
カウントダウンが始まる前に、シャンパンが配られます。
20秒前からカウントダウンは始まり・・・・
2014年、日本の年明けぜよ。
というわけでその瞬間、わたしはカメラのシャッターを押していましたが、
皆様はどのようにお過ごしでしたでしょうか。
起きて目覚めると、初日の出が・・・・・。
といいたいところですが、ここは東京のビル街。
太陽も素直に出てきません。
初日の出のように見えるのは、じつはビルのガラスにうつった「にせ日の出」。
昨夜、カウントダウンの後部屋でいろいろと仕事をしていたので、
睡眠時間は短くなりましたが、目覚めは爽やか。
美味しいお正月のお膳をいただく予定の前には、眠気も吹っ飛びます。
すっかりお正月のしつらえをした和食レストランに赴くと、
皆さん「あけましておめでとうございます」とご挨拶をしてこられます。
うちや海外で迎えるお正月もそれなりですが、こういう朝を迎えると、
やはりお正月は日本で迎えるのが一番いいかな、と思います。
食事の前にはお屠蘇が出てきました。
甘くてかすかな薬草のような香りがして、食欲が進みそう。
ただ、わたしはこの後着物を着ると言う大事業が控えているので、
顔を赤くするわけにはいきません。
残念ですが、一口まねごとだけ頂きました。
お待ちかねのお雑煮。
すまし汁の京風で、何と鴨肉が底から出てきました。
そしておせち。
しんじょや紅白蒲鉾、黒豆に数の子、ごまめ。
どれも関西風のあっさりした味付けです。
窓の下には東京駅舎。
この美しい駅舎を見るたび、往時のままに建築を保存してくれた関係者に
心から感謝したい気持ちに鳴ります。
食事のあと、少しだけ時間があったのでラウンジでお茶を一敗いただいて
部屋に戻ろうとすると、ロビーでなにやらにぎやかな音が。
獅子舞が来ていました。
写真を撮るためだけにロビーに降りて見ていたのですが、
このおかめひょっとこの無言劇が、なかなか面白く、
思わず見入ってしまいました。
宿泊している外国人観光客は実に興味深そうに写真を撮っていましたが、
お正月に日本に観光に来る外人は日本人ですら今やみることのできない
こういった伝統芸能を見ることが出来て、ラッキーですよね。
エレベーター前で獅子舞チームとばったり。
カメラを構えたとたん皆でポーズしてくれました。
さて、このあとは初詣に備えて着物の着付けと髪を結ってもらいました。
着物を着る、というのは、特に普段着慣れない人間に取っておおごとで、
用意から始まってすべてを人に頼まないといけないため、
わりとやる気というか気力が要ります。
しかし、わたしには今年着物を着なければいけない理由(わけ)があったのです。
そのわけはこの帯。
鳳凰と獅子の紋様が金糸銀糸で織り込まれたものです。
金は糸を着色したものですが、銀は箔。
し・か・も!
獅鳳瑞彫文 たつむら
と書いてあります。
「龍村の帯」。
これは、着物に詳しい方ならご存知かもしれません。
三越ならばとんでもないお値段で売っている「ブランド品」。
この帯、実はTOが某クラブの忘年会のくじ引きで当てたものなのです。
年末のある日、立派な桐の箱を抱えて帰って来たTOが、
「くじ引きで一等賞品の帯当たった!」
去年、奇しくも当ブログで最近わたしはくじ運がいいみたいなので、
年末ジャンボ宝くじでも買ってみようか、と書いたことがありますが、
昨年のくじ運のよさは留まるところを知らず。
ついにTOの運までが本人のTOではなくわたしに向いてしまったと見えます。
某クラブの忘年会賞品はよほどどれも豪華なものだったらしく、一等とはいえ、
このようなものがいただけるなんて。
まことに暮れから?縁起がいいわい。
せっかくこんな素晴らしい帯が手に入ったのだから、
この帯を締めるためだけにもお正月は着物を着ましょう。
というわけで、久しぶりに着物を着て初詣にいくことになった我が家でした。
三年前にもご披露しましたが、わたしの(唯一の)着物は貝紫。
かいむらさき、とは文字通り貝から抽出した紫色のことで、英語名はロイヤルパープル
(王の紫)、またはティリアンパープル(Tyrian purple)とも言います。
この名前は、この色がもともとプルプラ貝という巻貝の鰓下腺(パープル腺)
から得られた分泌液を化学反応させて染色に用いたことに由来します。
貝紫染料は10㎝ほどのプルプラ貝12,000個からわずか1.5gしか採れません。
ですから、貝紫を部分ではなく、総身に使ったこの着物は大変希少なものなのですが、
これも何となく初めて着物を買うことになったときわたしの元にやってきました。
この話にも帯の話にも言えることですが、わたしは分不相応なものやことが、
人のご縁のおかげで手に入るということがわりとよくあります。
こういうのを「棚ぼた体質」とでもいうのでしょうか。
朝、部屋に着付けと髪結いの方に来てもらい、支度が整いました。
かんざしは組紐でできています。
昨日お話しした長野の温泉旅館のショップで購入したばかリ。
ホテルのフロントロビー。
車に乗る前に、ホテルのお嬢さんたちと皆で記念写真。
成人式の振り袖を自前で持ち込み、朝着付けをしてもらうのだそうです。
ただし、誰でもきることができるのではなく、フロントとかゲストリレーションとか、
『目立つ係の従業員だけ」なのだとか。
勿論真ん中がわたしですが、やはり若いお嬢さん方の振り袖とは
なんと言うか落ち着き方が違うっていうか。
わたしにもかつてこんな煌びやかな大振り袖を着た日がありましたが。(遠い目)
タクシーで靖国神社に向かいます。
これは、丸ノ内にある「三菱系」のビル。
ここは皇居から東京駅にかけて「国粋企業」の一つである三菱系が
がっつりと皇居を守るかのように取り囲んでいます。
何でも皇居の周りに「外国企業」を置かせないためだとか。
そして靖国神社に到着。
ハイヤーをチャーターしたので、駐車場で待ってもらおうとしたのですが、
それどころではありません。
駐車場を待つ車は靖国通りに延々と列を作り、
とてもではないけどわたしたちが参詣している間に入れそうにありません。
仕方ないので運転手さんには電話番号をもらい、適当なところで
待機してもらうことにしました。
うーん・・・・それにしても今年は以前と何やら様子が違う・・・。
なんと。
参拝の順番を待つ団体の長い列ができています。
手を洗う手水場より遥か後ろ、二の鳥居のあたり。
ここから約20人くらいが横一列の大変な列です。
それは8月15日の靖国と全く同じような混雑ぶりで、
三年前のお正月に訪れたときとは全く違った眺めがそこにはありました。
「何これすごい」
「前、こんなに混んでなかったよね」
「これってもしかしたら・・・・安倍さんが参拝したから?」
「ああ・・・そうなのかも」
一週間前に安倍総理が靖国参拝をし、それを新聞やテレビが大騒ぎしたこと。
それを「平和への逆行」だの「近隣諸国(じつは二カ国)への配慮がない」だの、
実にくだらぬ非難をすればするほど、多くの日本人が
「靖国神社とはなんなのか。
日本のメディアがなぜこんな大騒ぎをするのか」
と考えるきっかけとなり、そういった人たちがテレビや新聞でなく、
インターネットによってメディアの「魂胆」を知ることになったのかもしれません。
そして、その結果多くの人こうやって靖国神社を訪れ「日本人の意思」を
一人一人が表明しようとしているのではないか。
もし中国や韓国が言うように実際「日本が右傾化している」のだとすれば、
それは日本をそうやっていわれの無い非難で貶める中韓と、
またその中韓におもねる主要メディアによって気づかされたせいで、
外圧に対する反感が「憂国」へと変わったからではないのか。
そんな皮肉な因果関係を思い、わたしは内心苦笑いする思いでした。
三人で代わる代わる手を洗ってその後も並び続け、
ようやく山門のところまで来ました。
そこでわたしがふと、靖国神社から送られて来ていた
「福引き券」に「昇殿参拝」ができるということが書いてあるのを思い出したのです。
「もしかしたら列にこのまま並ぶより、いっそ昇殿参拝した方がいいんじゃない?」
何のために毎年更新して崇敬奉賛会に入っていると思っていたのか。
こんなときに昇殿参拝できるという「会員特典」をわたしはすっかり忘れていました。
というわけで、列を離れ、昇殿参拝を申し込むために、
わたしたちは参集館に移動しました。
そして、そこでわたしは非常に印象深いある光景を目撃したのです。
続きます。