ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

アメリカで寝てきた

2016-02-04 | アメリカ

といっても差し支えないくらい、今回の滞在は悲惨でした。
そもそも渡米直前にディズニーランドで風邪をもらい(この風邪も
目の前を通った子供が口を覆わずに嫌な咳をした瞬間、あ、今うつったな、
とはっきり分かった)、それが発病したのが出発前日。
明らかに高熱が(しかも計らなかったけど38度以上)出ているのに
よりによってユナイテッドのプラスクラスとはいえエコノミー、
夜中の12時過ぎに出発という踏んだり蹴ったりな旅程です。

そもそもマイレージ特典の期限が近づいていて使うためというのが目的の一つ。
1月中に使わないと西海岸2往復分が失効してしまうと思っていたので、 
ここしかないという日にわたし一人で渡航する予定を立てたのですが、
後から考えたらマイレージを購入でもすれば期限は伸ばせたのよね・・・。


まあ、行くなら行くで用事もあることだし、程度の理由だったので、
この体調不良は気は楽だったけどとにかく堪えました。



サンフランシスコ空港から車で10分くらいにあるマリオット系のチェーンホテルで、
ベッドはキング、部屋はリクエストで一階にしてもらいました。
多少なりともまともなホテルで良かったと思ったのは、ベッドのシーツが良かったことです。

特に着いてすぐの夕方から翌日の夕方4時まで、ほとんどをこのベッドの上で
わりと苦しみながら寝たり起きたりを繰り返していた病人にとっては、
シーツが安いホテルのザラザラしたものでない、エジプト綿のツルツルであっただけで
この綿の肌触りには救われたという感じでした。

少し元気になってからは、当ブログに上げるためのエントリを添削しながら
テレビを見ていましたが、前回にはなかった新番組もできていました。
やはりサバイバルものですが、全裸の男女では冬場に見たくないという声でもあるのか、
三人の太った男がインストラクターと一緒に限界にチャレンジするというものです。
(誰得)



元気になってから、ホテルにちゃんとしたレストランがあることに気づき、
夕ご飯を食べに来てみました。
まだ5時でオープンしたばかりなのでわたししかいません。
テレビではウィンタースポーツの放映をしていましたが、



合間にアメリカ海軍のかっこいいコマーシャルをガンガンやっていました。
テレビで自衛隊の宣伝ができるようになって初めて普通の国よねえ、
とこんな広告をみながらわたしは思うのでした。

ところでこの地図って、日本が完璧に字の影に・・・(怒)



こんなものしか食欲がわかなかった、チャイニーズチキンサラダ。
こちらで言う所のこれとは、甘い酢のようなドレッシングがかかった
チキンサラダのことで、必ずナッツや揚げた「揚げ」などのパリパリする
ものが歯ごたえのために混入している、という代物です。

他に何も食べていなかったのでゆっくり咀嚼しながらそれでも4分の3は食べました。
(だいたいアメリカで出てくるものをわたしは全部食べられた試しがない)
決しておいしいとは言えませんでしたが、体力をつけるためには食べなくては。

三人の太った男のサバイバルで、インストラクターに言われて体力温存のために
無理やり虫を食べさせられて

「うええええ!これまずい!ゲロマズ!」

と唸っていたおっさんの姿がなぜか浮かびました。



今回はレンタカーにもトラブルがありました。
着いてみると予約しておいたはずの車、ありません。
あとからわかったのですが、夜中の12時過ぎに出発してアメリカ時間の前日夕方到着、
という変則便だったため、TOがレンタカーの予約をカード会社に頼む際、
間違って1日あとを予約してしまったのです。

「明日の夕方からなら車借りられますが」

とデスクは言うのですが、この体の状態で明日生きていられるかどうかもわからないのに
わざわざタクシーで車を借りに来れるかどうかさらに自信がありません。
しかも、今日借りられるクラブメンバー枠の車はもうない、と係はぬかしやがります。

背に腹は変えられん!と割引のない車を借りて、次の日、熱をおして
もともとの予約の車に交換に来ました。

長くもない滞在でまったくなにやってんだか。



しかも翌日からずっと雨の降りっぱなし。
夏の間の記憶しかもはやない息子に雨だったというと「へえ!」と
驚いたくらい、夏の間雨の降らないのがカリフォルニアですが、
この時期は雨期でもあるので、結構な確率で雨に遭遇します。
サンフランシスコに住んでいたある年のクリスマスには、
すごい大雨の上台風が来て街路樹が倒れたこともあります。

とにかく、寝ているばかりで日程が終わってしまっては死んでも死にきれないので、
わたしは3日目にして初めて外に出ました。
これも目的の一つである、友人の店に行くためです。

彼女はわたしが日本に帰ってから知り合うようになったコンサイメントショップの
オーナーで、去年の夏行くと、

「来年の3月にはリタイアしてフロリダに行くからこれでお別れね」

と言っていました。
そのときはグッドラック、といって別れを惜しんだのですが、メールが来ていたので
リタイア前に買い物に行ってあげたらさぞ喜ぶだろうな、
と思いついたのが、今回の旅行のもう一つの理由になりました。

電話もメールもせずいきなり現れたわたしに、彼女は驚きながら喜んでくれました。



「かぜなの?辛そうね」

うつしてはいけないと直前にドラッグストアにマスクを買いに行くと、
この50枚入りの大箱しか売っていませんでしたが、(これがアメリカ)
とにかくマスクをして入店すると、

「いい心がけね。みんな風邪ひいてるけどマスクしないの」

確かに店内で盛大に咳をしているひとがいる・・・(−_−#)
しかし日本人と違ってアメリカ人はほんとマスクしませんな。
もしディズニーでもらっていなかったとしても、彼女の店でうつってたと思う。

最後のご祝儀買い物という意味もあって、わたしが最後に選んだのは
新品のヴィトンのヴェルニ、シャネルのジャケット、ロロピアーナのワンピース。



旅行鞄以外のモノグラムのバッグは好きではないので一つも持っていませんが、
このヴェルニタイプならエンボスだけで色は単色。
深い深いバーガンディが最近のわたしの「トレンド」なのでピンときました。
今までに彼女から買った幾つかの洋服やバッグとともに、これからも
彼女の思い出となってわたしと一緒に年を取ってくれるでしょう。

ところで、この店では買い物しながらあれこれとおしゃべりするのが楽しかったのですが、
今回わたしは気になっていたことをアメリカ人の代表として彼女に聞いてみました。

「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど、アメリカ人ってドナルド・トランプの事どう思ってるの?」

「トランプ?」

彼女は肩を震わせてイヤイヤをするような仕草をしながら「Ewwww!」と叫び、

「嫌だわ。大っ嫌いだわ。この辺の(サンフランシスコ市内)人だって
誰も支持してないのに、一体アメリカ人の誰が支持してるのかさえわからない」

「実際誰が支持してんだろう」

「そりゃ、頭の悪い人たちとか黒人やヒスパニックじゃない?」

「でも移民反対してなかった?」

「これから入ってくるのはね。今いるのはもう関係ないし」

まったく話に加わっていなかった他のお客さんも怒り出しました。

「本当にあれがアメリカの次の大統領になったらアメリカはもう終わるわ。
だいたいねえ、あのヘアがキモいのよ!!!」

予想通りの返事です。

「日本では、もしあれが大統領になるようならアメリカ人はバカだなって言ってるよ」

「そうでしょ?ああなんとかしてやめさせたい。
つい昨日もね、サラ・ペイリンとのディベートから逃げたのよ。勝てないから」

「ヒラリーはどう?」

「もちろんトランプよりはマシだし、頭もいいけど、あの女は嫌い。
あれが知り合いだったらできるだけ口聞きたくないレベル」

そういえば車のステッカーに

「もし妻がヒラリーだったら俺だってクリントンと同じ事をする」

と書かれていたのを見た事があるなあ。
いわゆる悪妻の見本ってやつですか。

しかし、トランプはきっといろいろとスキャンダルもあるはずなのにまったくそれが
出てこないのは不思議なくらいで、つまりメディアの応援も、得体の知れない支持層も、
すべてお金を持っているから、と皆は諦めているということみたいです。

いいのか。そんなやつが大統領になって。




今日は帰る、という日、サンフランシスコは素晴らしいサンフランシスコ晴れでした。
初めて室内プール付きのこんな庭のあるホテルであることを知るわたし。



目的のもう一つ、改装相成ったアップルストア(本社)に行ってTシャツを買う。

前日「明日息子に頼まれているのでアップルのシャツ買いに行くんだ」
というと、彼女が

「あーわかる、わたしも頼まれるのよねー。
ただのTシャツなんだけどなんで?っていうんだけど、なんかみんな欲しがるの」

まあ、世界のどこにもアップルストアはありますが、Tシャツを売っているのが
世の中でここだけだからでしょうな。



一昨年前までの方がサイズもデザインにもバリエーションがあったのに・・・。
各Tシャツの背中には「ワン・インフィニティドライブ」の住所入りです。



グッズももっといろいろ面白いものがたくさんあったのに、改装後は
ほとんどなくなってしまって、一体何のためだったのか・・・。



アップルの改装には少しがっかりしてしまいました。
今回、わたしがいた頃にはスーパーボウルが行われていたようです。



少し早めに空港に着きました。
チェックインゲートの前のコーナーでは、日本の民芸品を展示してありました。
元気なら見て回りたかったのですが・・・。



招き猫が「Beckoning Cats」であることを初めて知ったサンフランシスコ空港。



今回の目的の(なんだかいろいろと目的があったのね)もうひとつ、
サンフランシスコ空港に新しくできていたカードラウンジに行ってみること。
今回のように病気にもかかわらずクラスラウンジが使えないというときも、
とりあえずここさえあればある程度の食事と休憩場所が得られるので貴重です。

 

ターミナル3という国内線にあると聞いていたのでどう行くのか謎でしたが、
チェックインの時にカウンターの親切な黒人のお兄さんに聞いたところ、
インターナショナルGとターミナル3は廊下で繋がっていると教えてくれました。

「あのラウンジはとてもいいよ!楽しめると思う」



受付ではカードを見せるだけで、アメリカでは信じられないくらい丁寧に

「いつも当社のご利用ありがとうございます」

と三つ指付かんばかりのにこやかさでお迎えいただき(笑)、
お酒ならシャンペンでもなんでもお好きなだけお楽しみいただけますし、
WiFiはお使いになりますか?でしたらパスワードはこちらです、と
至れり尽くせりの(アメリカにしては)サービスの良さ。



さすがに寿司職人はいなかったけど、いつも温かいスープやキリッと冷えたサラダが食べられると。



スープはとても美味しかったですが、他のものはこれも「アメリカにしては」
という注釈付きのお味でした。



トイレタリーはTOTOだ!
これは褒めてつかわす。



もっと早く来てここにずっといてもよかったかな、というくらい居心地は良かったです。
ちなみに窓ガラスの下は第3ターミナル。



壁にはトニー・ベネットの録音の時のフォトが飾ってありました。
何の録音かって? もちろん!

「I Left My Heart In San Francisco 」



さようなら、サンフランシスコ。またすぐ帰ってくるよ。
今度はもう少しマシな状態で(笑)