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鳥とミイラ〜ピーボディ博物館

2016-02-18 | 博物館・資料館・テーマパーク

イエール大学構内にあるピーボディ博物館は「自然博物館」なので、
イエール大の研究の成果が展示されているという面もあります。

ちょうどこれを書くときにHPを調べてみたら、「ミュージアム・トーク」として、
「ドーターズ・オブ・サムライ」(サムライの娘たち)という、1871年、
明治政府から留学のために岩倉使節団として派遣された5人の少女たち
(山川捨松や、津田塾を作った津田梅子ら)についての本の著者である 
ジャニス・ニムラの講演があるというお知らせがありました。

ジャニス・ニムラHP

彼女のHPには岩倉使節団の珍しい写真がたくさん掲載されています。
彼女もイエールのアラムナイ、つまり卒業生で、日本にいたこともあるそうです。


先日、考古学コーナーについてご紹介しましたが、今日は主に鳥類などが
膨大な数の剥製で紹介されている二階部分についてお話しします。



ピーボディ自然博物館は、イエール大学の考古学者、オスニエル・マーシュが、
裕福な彼の叔父、チャールズ・マーシュに「おねだり」して作ってもらったそうですが、
この肖像はおそらくピーボディの方だと思います。



ニューギニアの土着民族の宗教や呪術に使った品の展示。



続いてのコーナーは、いきなり太古の昔の想像ジオラマです。
この巨大なトンボは、恐竜の時代に生息していた「メガネウラ」というそうで、
「ゴキブリトンボ」というトンボには嬉しくない日本名でも呼ばれています。

羽を広げた大きさが約60センチメートルから最大で約75センチメートルに達し、
現在知られている限りの史上最大の昆虫であったと言われています。

しかし70センチのトンボ。

近くに飛んできたら全力で叫ぶ自信ある。

トンボの下にナマコみたいなのがいますが、これはなんだかわかりません。
このころの虫は大きなものも多く、アースロプレウラという節足動物は
大きなもので3mあったといいます。

我が家は周りに緑が多く、よく虫が入り込んでくるのですが、
ちょうど昨日、よりによって風呂場に5センチのヤスデがいて、
ちょっとしたパニックになりました。

排水溝のゴミ取りを外し、シャワーをかけて速やかに流れて行っていただきましたが、
2度ほど必死で穴から這い上がってきたので死ぬほど怖かったです。
5cmの虫であんなに怖いのに、3m・・・・。

 

空気中の酸素って、45億年前はほぼゼロだったんですね。
カンブリアン期にはほぼ今とおなじになったようです。 



ここからは剥製を使った本格的なジオラマが展開します。
まずヒグマとシロクマがなかよく並んでいる実際にはありえないコーナー。





牛か羊かわかりませんが、ウシ科ヒツジ属のアルガリという動物。
モンゴルとかタジキスタンとかそのあたりにいます。
標高5000m以下の山岳地に少数の群れを作って生息しています。



雷鳥かわいい。



熱帯ジャングルですね。
チータを見ている鳥はチョコボールのキャラクターだったなあとおもって
「チョコボールの鳥」で検索したらちゃんと「キョロちゃん」という名前が出てきました。

鳥の名前は「オオハシ」といいますが、「キョロちゃん」は実は架空の鳥だそうです。
そんな馬鹿なーー!



実際のジオラマと絵を組み合わせて、大変よくできている展示です。
水辺の鳥が大集合している、ここはカリフォルニアかな?



アメリカ中西部ってところですね。
上が切り取られたようになっている地形を「mesa」といいます。
mesaはアメリカ西部とメキシコにしかありません。



カナダのクマー、グリズリーベアーです。
昔「グリズリー」という、「ジョーズ」の柳の下のドジョウ狙い映画がありましたが、
ドジョウは2匹くらいはいたらしく、この映画、結構流行ったようです。
「ジョーズ」以降、いくつかこういったアニマル・パニック映画が作られました。 



これもカナダでしょうか。



プレーリードッグ。
これがプレーリードッグですよね。



これ、ノーウォークの公園で撮った写真ですが、これは何?
確かにプレーリードッグと言われるとそんな気もするのですが、
なんかシェイプが違いすぎるような・・・。

プレーリードッグという生き物も、リスなのかネズミなのかはっきりせい!
名前はドッグだし・・・とおもったら、一番近いのはリスだそうです。
道理でカリフォルニアジリスに似ていると思った。



えーと・・・・・・ヤク?
ヤクは犛牛(りぎゅう・ぼうぎゅう)という日本名もありますが、
多分漢字を読める人はあまりいないと思う。 



サボテンがあるのでメキシコとかだと思いますが、イノシシがいるとは知らなんだ。



ジオラマに散々感心してコーナーを抜けたら、ここ所蔵の鳥類図鑑がありました。
この図鑑の凄いのはとにかく大きいこと。

縦1m20、横90cmといったところでしょうか。
こんなものを装丁した方もした方だけど、一体どうやって閲覧したのか。
普段はどうやって収納しておいたのか。
そもそも何のためにこんな大きな本にする必要があったのか。



というわけでここから鳥のコーナーなのですが、
展示の仕方がなんか変。




と思ったら、この一羽だけでした。
あとはこのような、まるで鳥が生きているような展示。 



水もないのに泳いでいるような展示方法は素晴らしいですね。
ちなみにloonsというのは「スカイラーク」(アゲヒバリ)というジャズの曲で

「Crazy as a loon, Sad as a gipsy serenading the moon」

という歌詞で「ムーン」と韻を踏んで登場し、「馬鹿者」とかいう意味なんですね。 
鳥の場合は「アビ」という水鳥を指します。 

「アビ」は漢字では「阿比」と書き、別名「平家鳥」。
その鳴き声が、平家の没落を悲しむ声のようだということで付けられたとか。



笑ってしまったのが、この「キツツキ的な鳥コーナー」。
皆に木をつつかせています。 



いや普通こんな風には止まらないだろうっていう。
アニメなら皆で調子を合わせてカルテットをしそうですが。



フクロウ的ミミズク的な鳥類。 



白フクロウや普通のフクロウは可愛いんですが、この右下の、
メンフクロウがネズミを丸呑みしているユーチューブを見てから、
少し考えが変わりました。



そういえば "To kill a mockingbirds" という小説がありましたっけね。
日本の題名はなぜか「アラバマ物語」になっていたりするんですが。
タイトルは

「モッキンバード(マネシツグミ)は真似をするだけで、悪いことはしないから殺してはいけない」

というセリフから取られています。
人種差別の激しかったアラバマで、レイプの無実を訴えるも射殺される黒人青年がいる一方、
子供達をかばって殺人を犯した障害者の罪を見逃す警官もいる、というストーリー 。

障害者が白人である、というところが突っ込みどころでしょうか。



雛まで剥製にするなよお!
と思わず叫んでしまったCommon Tern (アジサシ)の展示。
マウンテンビューの湖の上で何度もダイブして魚を取っていた鳥です。



コンドルですかね。 



絶滅してしまった「ドードー鳥」。
マダガスカルのモーリシャスに生息していたのですが、入植したオランダ人が塩漬けにしたり、
イギリス人が持ち込んだ動物に捕食されたりして、1600年代には絶滅してしまいました。

「ドードー」というのはポルトガル語で「のろま」だそうですが、
飛べなかったことが絶滅の道を早めました。

全くろくなことをせんな白人というやつらは。




ネイティブアメリカンに対しても「いうことを聞かないやつらは絶滅な」
という政策を堂々と掲げたのがアメリカ人というやつです。

シャーマン将軍とか、ジャクソン大統領とか、アメリカ人にはどうか知りませんが、
随分と残虐なことをやっていたと見えるんですがね。

1000年恨むのが世界のスタンダードなら、アメリカ人って未来永劫
アメリカンインディアンには許してもらえないよね。
「アラバマ物語」だって一体なん年前の話なのかっていう。 



ここでいきなりエジプトコーナー。
ピラミッドからの出土品を展示し、当時の埋葬慣習について説明しています。



副葬品の内臓入れ各種。



一番外側の蓋を開けたところで展示されているミイラ。

この中身を好奇心に駆られて?開けてしまわないのが文明人。

開けてしまったらもう取り返しがつかないからですね。
現地では「mummy unwrapping」と説明されています。



中身をレントゲンで撮ることができ、中のミイラがどんな状態かもわかります。
説明
を全く読まずに、この骨格から男性ではないかと推測してみる。



副葬品の中には「アニマル・ミイラ」もありました。




左のちまきはibisつまり「トキ」、右側のはは猫です。



これ、なんだと思います?
地表に雷がおち、その時には砂を溶かした跡なのです。
何かの発掘現場でたまたま見つかったので、その部分ごと採取してきたんですね。


さて、というわけで二階部分を全部見学したわけですが、
この二階に階段を登って行く時、わたしたちはあることに気づきました。

「・・・・変な匂い」

「なんか臭いね」

なんとも言えない生臭いようなわずかな異臭が鼻をついたのです。
二階に展示されているあまりにも多くの剥製のせいであることがわかったのは、
帰りに階段のところに戻ってくるとその匂いが全くなくなったからでした。


どんな博物館でもこんな体験をしたことがなかっただけに、ここの展示品は
種類数ともに群を抜いて膨大であることを改めて知った次第です。
ピーボディ自然博物館、おそるべし。