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HMS「モントローズ」一般公開@晴海埠頭〜艦載ヘリコプター

2019-03-20 | 軍艦

HMS「モントローズ」見学記、最終回です。

早めに列に並んだため、前から約三十人くらいの一団にいたわたしは、
その甲斐あってこのように比較的人の少ないうちに館内を一周し、
余裕を持って格納庫内の艦載ヘリコプターを見学することができました。

「モントローズ」が搭載しているのは

アグスタ・ウェストランド AW 159

といい、紹介の説明にも書いてあったように通称「リンクス」、
(リンクス・ワイルドキャット)という紹介ヘリです。

海上自衛隊で運用しているMCH-101は、同じアグスタ・ウェストランド社製。
ちなみにアグスタ社はイタリア、ウェストランドはイギリスの会社です。

「モントローズ」は海自と同じAW101を搭載することもあります。
イギリスではこのヘリを「マーリン」(Merlin、隼の一種)と呼んでいるとか。

この紹介バナーによると、海軍でも「汎用ヘリ」という位置付けのようですね。

格納庫に納まっている様子を中に入って見学することができます。

リンクスシリーズの輝かしい伝統の上に建造されたAW159は
次世代型の双発エンジン搭載小型ヘリであり、海洋での運用における
多様な場面において”Best -in-class"  (同級の最高峰)です。

最先端のセンサー、統合された任務管理システム、そして先進のコックピット。AW159は深海、沿岸、そして陸地のいずれにおいても捜索、確定、そして攻撃をすることができます。

兵器の整備、ウェポン・エンジニアリングという部署があります。

WEは「モントローズ」が多目的な戦闘能力を発揮することで
その使命を果たすという使命をサポートするのが任務です。

WEの初期的な責務とは、光学機器で武器、センサー、通信、
およびコンピューター機器の複雑な配列を把握することです。

対戦武器システム

マガジン・トルピード・ランチ・システム(MTLS)は近接距離で
素早いリアクションが可能な対潜システムで、

スティングレイ・トルピード(写真)

を使用します。
発射チューブは4つ、マガジンに完全に収納されており、
艦体を横切るように二つが左舷、二つが右舷に位置します。

固定されたシーウルフのサイロと同様に、この配置は
魚雷間のリロードに必要な人員が外に露出し
危険に遭う確率を劇的に減少させることができます。

スティングレイは軽量かつ高速の魚雷で、MTLSのみならず
リンクスヘリコプターに搭載することもできます。

そのものの形状はシャープで、30cm×250cm、
頭部と尾部は平らになっており、尾部には
誘導システムとして4枚のフィンが付いています。

初期の動力は「シーウォーターバッテリー」。
(前回ご紹介した舷側のラックにあった電池です)
弾頭は標的との衝突で爆発するように設計されています。

格納庫の内壁には所狭しと機材や器具が機能的に並べられています。
洗眼のための器具が目立つところに設置されていますね。

SH-60の全体的に流麗なヘリコプターや、アメリカ製の丸っこいヘリ
などを見慣れていると、ゴツゴツして戦車っぽい機体が新鮮です。

いまさらですが、イギリス海軍というのは正式名称が
「ロイヤルネイビー」であり、日本語で「王立海軍」ということはあっても
他の英語名称は存在しません。

今回、「モントローズ」を見学した人たちの挙げたSNS界隈で話題になっていた
VOW的日本語の注意書き。

DO NOT TOUCH ME!

という書きぶりから想像するに、

「さわるときれるぜ!」

という日本語をフレンドリーな感じで書きたかったのでしょう。
最近、amazonの業者に、これに近い日本語の説明を書いているのがいて、
あ、こりゃパンダの国の業者なのね、と隠していてもわかってしまいますが、
どうも外国人は「る」と「ら」「ろ」の見分けがつかない模様。

危険の「険」の不思議なフォントもツッコミどころですが、それより
ただ危険と書けばいいものをなぜ「危険人物」?

これも推測してみるに、彼らは日本語の辞書で「Danger」と引いて、
「危険、危険人物」と出てきたので、後者を選んじゃったんだろうな。

みんなにものすごくウケていたし、可愛いので皆和んでたから
結果として親しみを持ってもらうという目的は果たせたと思う。

危険であるということも十分通じてるしね。

格納庫に入ってすぐ、

「パイロットですか?」

と質問すると、

「僕エンジニア」

と答えてくれた乗員さん。
この人が近くにいたので、つい我慢できなくなって、

「ねえねえ、このボードの意味知ってる?
”デンジャラス・パーソン”になってるんですけど」

と声を掛けると

”I know ." (知ってる)

多分昨日1日で何度も英語の喋れる人に同じことを言われたんだね。

「だからきた人が皆写真を撮ってるのよ」

というと彼は少し悲しそうに、

「でも、とりあえず僕ら頑張ってみたんだよ」
”But anyway, we tried."

わたしも、

” Year, it's nice work!"

と慰めておきました。
これが大人気だったのは事実だし。

前方にはなんの苦労もなく行くことができました。

カバーで隠してあるのは、説明ボードのいうところの

「ソフィスティケートされたセンサーシステム」

の一つだと思われます。
ノーズの下のレドームもセンサーですね。

レール状にヘリを引っ張る拘束装置。

前方からテールを見ると、やはり直線で構成されている機体だと感じます。
言い方はなんですが、紙で作った模型みたい。

AVTUR AVTAG AVCAT・・・・謎の記号。

ローターのたたみ方が独特です。
日本には小型と大型(CH-47)のヘリしかないので、
中型ヘリというのが結構大きなのにちょっとびっくりです。

それともう一つ驚いたのは尾翼のローターが縦に回ること。
尾翼の左側に付いていて、縦回転するローター。

飛んでいるところを見ると、改めて変わったシステムだと思います。

格納庫内側にあったモニター。

外に出てみました。
このラッパみたいなのは格納庫の両側に同じだけ設置されていたので、おそらく
ヘリの着艦などを補助する装置だと思います。
が、結局何かわかりませんでした。

海自のヘリ搭載艦にある、甲板に半地下で埋まったブース、
あれに相当するものがここにありました。
格納庫の左側にブースがあります。

後ろはどうなっているんだろうと思ってのぞいてみたら、
カーテンで覆われているだけのスペースでした。

これなんだかプリクラ撮るブースみたい・・・。

しかも、海自のと違って、ここでの監視、立ったままやるんですね。

リンクスヘリはデコイを発射するシステムももちろん搭載しています。
あまりに綺麗なので、バナーの写真を拡大してみました。

というわけで見学できるスペースの見学は終了。
右舷側の舷側は立ち入り禁止になっています。
ここを通れるようにすると何周もして出て行かない人がいるからです。(確信)

「モントローズ」の時鐘。実際に時鐘の役割をするのでしょうか。

ここから退艦します。

ラッタルが甲板に傷をつけないように、下にはマクラメのマットがかましてあります。
滑り止めにもなって一石二鳥。

階段を下りながら右舷側を撮ってみました。

そして艦尾と後甲板。
まだこの時にはあまり人はいません。

わたしたちの後にきた人は格納庫のヘリを見学して出てくるのに
何十分もかかってしまったそうです。

こちらには「モントローズ」の椿と王冠をあしらった艦のマークが燦然と。

チャフフレアランチャー発見。

これは海自の護衛艦と同じような感じですね。

先ほどの「弟分」くん、まだ舷門で任務中。
全体的に無表情な他の乗員の中で、比較的朗らかな彼でした。

岸壁に降りて振り返ると、舷側では動かない列が。
しかもまだ地面で順番を待っている人の多いこと。

いっそお昼過ぎから行った方が空いていたかもしれませんね。

彼女が主に日本海で制裁違反監視任務に置いて成果を上げられることを期待し、
その健闘をお祈りして、HMS「モントローズ」見学記を終わります。