突然、ドラマの話。
『BG 身辺警護人』は、この頃の日本のドラマの中では、例外的な佳品だと思う。
本筋も見るべきものは多いけど。
マニアックな見方としては、私的に、主人公の息子役の少年と、主人公のやり取り部分を、一番面白く見た。
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別件で、ギマン的ファミリー像をあます所なく描いて苦笑を誘う、西島秀俊と女優さんと子役の、パナソニックのCM。
西島と知らない女優が、ぜんぜん夫婦に見えないとか、リアリティに欠ける家庭像が出てくるが。
あれは、クライアントの要請に基づいての広告代理店が作った商品宣伝用だから、仕方ないとはいっても、ちょっと、かゆい。
仕事と家庭を両立させる、仲良しファミリー。みたいなの。高い家電が幾つか出てくる。
ああいう、実際に、こんな家庭ってあるんかなあ???と思う様な、絵空事的、「理想的家庭像」が、フィクションの世界や、たてまえの世界に蔓延する中、今回の「BG」の父子像は、新鮮味があって良かった。
※ついでに西島秀俊のCMでは、パナソニックのみたいな嘘っぽい理想の夫なんかより、「ラ王」で、妻の作る食事よりラ王が食べたい、と言って妻を怒らせる夫役を演じてたりとかの、とぼけたCMの方が、面白くて良かった。理想の夫なんてツマラナイ!
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かつて、木村拓哉という俳優を、「シャイ」を演じる男優と思ったことがあり、その後、寅さん映画で有名な山田洋次監督が起用したことで、その感を強くしたことがあった。寅さんは、好きな女性が出来ても、コクれば振られてしまうんじゃないか?と思って、告白したり、堂々と口説いたり、ができない男性(昔の日本人男性の属性の表出、なのでしょうね。)なのだそうで。
たぶん系統的には、山田監督の好みなのかもね?と思った。
今回も、山口智子と元夫婦を演じていての回想シーンで、プロポーズっぽい場面で、木村の役の人は、恋人の目を見ずに、目を伏せて、一生守りたい、とか言ってた。
木村拓哉という役者の、もう一つの特徴が、この役者さんは、相手役が凄く重要なんだなあ、ということ。
「BG」は、特にそのことを痛感させたドラマで、主役の木村だけでなく、その周りの仲間役の俳優たちが、皆、良く見える。
こういうチームじゃないと、いい仕事ができない役者さんなのかもしれない、とは思った。
「BG」の良い所は、台本だけじゃなく、脇の俳優さんの何人かが、前に見た別のドラマより光って見える事。
ドラマの始まりの頃、主人公と、周囲が関係性がいいわけでなく、反発、反目から始まっているのが、緊張感を生んでよかったのかもね。
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ただ、私のお気に入りは、あの13歳の息子さん役とのやり取り部分。
海外ドラマには、びっくりするほど上手い子役、美形の子役等、出てくる。日本の子役でも、今回の中学生役の男の子より、目立つ子役はいるのかもしれない。
「BG」の父子関係は、良好でもなく、最初は、ママにパパが捨てられてしまった、離婚されてしまった家庭で父子家庭になってる親子の設定なので、息子が父親に呆れているような、情けないと思ってそうな、そんな親子として登場した。
よそのイケてる男と再婚した母親からスマホで連絡があり、「自分で洗濯してるから大丈夫」、とか返してて、警備の仕事の父と暮らしながら、完ぺきではなくてもそれなりにやってる息子がいて、父らしいことをそんなにできないけど、親ぶった説教やアドバイスはして、空振りする父がいて。
人生ってきれいごとじゃないし、家庭って生活共有して、絵空事の「理想の家族」風にはならないことも多いと思う。完璧じゃない家庭の中で、彼らなりの共存の形が、この父子の間で見えて、いい芝居だったと思う。
最初の頃、家にいる息子、帰宅した父、の会話で、離婚した妻の再婚相手の話になった時、「若くてかっこよくて優しくて金持ち」という話になって、「あ、それじゃ、俺と正反対みたいな奴?」と、父が言ったら、子は、その卑屈な物言い為を、情けな~く思ったのか、言葉で何も答えずに、一瞬、独特の嫌そうな表情、名状しがたい表情を見せて(この表情とかが、見て不快になるような「嫌な顔」でもなく、なかなかできないような、いい演技をしていた。)、シャーッと自室のしきりらしいカーテンを閉めて、拒絶の意を示した。見ていて意表を突く演技で感心した。
こういう場面の、この子役さんの演技が味があって良かった。(他にも、別にかっこよくもなく、学校では一人で情けない顔をして下校したり、部活ではレギュラーになれなかったり、凡庸な男の子の役を、なまなかでない演技で演じている。海外ドラマで、凄い美系の子役とか、とても演技力のある子役は見ていたのだけど、こういう、凡庸なようで親を彼なりに思ってたり、美男でも優秀でもない、平凡な中学生の子を、等身大の演技で飽きさせない子役パターンというのは、ちょっと私的に新味があった。)
8話では、エッグちゃんとかいう新商品のカップ麺を親子で食べて、何となくそういう所から微妙な距離感を縮めていく様も、二人の食べ方の違いも含めて、味があった。
妻に捨てられた中年男。元妻から、子へ、「戻ってきては?」と打診があって、でも、戻らない理由は、父親に向かって「あなたがかわいそうだから」と言ったり。小説、映画、ドラマの中で描かれた中では、わりと新しい父子像なのではないかな。フィクションの中のリアリティ。理想の家庭像とはかけ離れているけれど、これはこれで、妙に納得できたり、見ていて共感しやすい部分があった。
少し、関係の距離感が縮まりそう、彼らなりの絆が確認できそうな矢先に、仕事がらみの危険から、この父子家庭の二人の、別れが来る。
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今日の本題。前置きが長かった。「BG」は、ドラマとしては、他に見せ場も良いシーンもあるのだが。
第8話の、川べりでの父子の別れの場面は、詳述しないが、丁寧に作られていて、ここだけTVドラマを見ている気がしなかった。映画の別れのシーンのようで、胸が詰まった。動感溢れる、ドラマティックなシーンでなく、静かなシーンだったが、静かな中に、やっと関係性を修復、築きかけていたものが、失われるかもしれない、明日がないかもしれない、そういう胸に迫るものを感じさせることができていた。この場面に至るまでの、なにげないこの父子家庭の日常を描く、細かいシーンの一つ一つ、演技での小さな積み上げがあってこその、感動だったのかも。
繰り返しになるが、木村拓哉という役者さんは、相手役との関係性が、とても重要なタイプなのだと思った。今回の子役さんは良かった。
『BG 身辺警護人』は、この頃の日本のドラマの中では、例外的な佳品だと思う。
本筋も見るべきものは多いけど。
マニアックな見方としては、私的に、主人公の息子役の少年と、主人公のやり取り部分を、一番面白く見た。
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別件で、ギマン的ファミリー像をあます所なく描いて苦笑を誘う、西島秀俊と女優さんと子役の、パナソニックのCM。
西島と知らない女優が、ぜんぜん夫婦に見えないとか、リアリティに欠ける家庭像が出てくるが。
あれは、クライアントの要請に基づいての広告代理店が作った商品宣伝用だから、仕方ないとはいっても、ちょっと、かゆい。
仕事と家庭を両立させる、仲良しファミリー。みたいなの。高い家電が幾つか出てくる。
ああいう、実際に、こんな家庭ってあるんかなあ???と思う様な、絵空事的、「理想的家庭像」が、フィクションの世界や、たてまえの世界に蔓延する中、今回の「BG」の父子像は、新鮮味があって良かった。
※ついでに西島秀俊のCMでは、パナソニックのみたいな嘘っぽい理想の夫なんかより、「ラ王」で、妻の作る食事よりラ王が食べたい、と言って妻を怒らせる夫役を演じてたりとかの、とぼけたCMの方が、面白くて良かった。理想の夫なんてツマラナイ!
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かつて、木村拓哉という俳優を、「シャイ」を演じる男優と思ったことがあり、その後、寅さん映画で有名な山田洋次監督が起用したことで、その感を強くしたことがあった。寅さんは、好きな女性が出来ても、コクれば振られてしまうんじゃないか?と思って、告白したり、堂々と口説いたり、ができない男性(昔の日本人男性の属性の表出、なのでしょうね。)なのだそうで。
たぶん系統的には、山田監督の好みなのかもね?と思った。
今回も、山口智子と元夫婦を演じていての回想シーンで、プロポーズっぽい場面で、木村の役の人は、恋人の目を見ずに、目を伏せて、一生守りたい、とか言ってた。
木村拓哉という役者の、もう一つの特徴が、この役者さんは、相手役が凄く重要なんだなあ、ということ。
「BG」は、特にそのことを痛感させたドラマで、主役の木村だけでなく、その周りの仲間役の俳優たちが、皆、良く見える。
こういうチームじゃないと、いい仕事ができない役者さんなのかもしれない、とは思った。
「BG」の良い所は、台本だけじゃなく、脇の俳優さんの何人かが、前に見た別のドラマより光って見える事。
ドラマの始まりの頃、主人公と、周囲が関係性がいいわけでなく、反発、反目から始まっているのが、緊張感を生んでよかったのかもね。
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ただ、私のお気に入りは、あの13歳の息子さん役とのやり取り部分。
海外ドラマには、びっくりするほど上手い子役、美形の子役等、出てくる。日本の子役でも、今回の中学生役の男の子より、目立つ子役はいるのかもしれない。
「BG」の父子関係は、良好でもなく、最初は、ママにパパが捨てられてしまった、離婚されてしまった家庭で父子家庭になってる親子の設定なので、息子が父親に呆れているような、情けないと思ってそうな、そんな親子として登場した。
よそのイケてる男と再婚した母親からスマホで連絡があり、「自分で洗濯してるから大丈夫」、とか返してて、警備の仕事の父と暮らしながら、完ぺきではなくてもそれなりにやってる息子がいて、父らしいことをそんなにできないけど、親ぶった説教やアドバイスはして、空振りする父がいて。
人生ってきれいごとじゃないし、家庭って生活共有して、絵空事の「理想の家族」風にはならないことも多いと思う。完璧じゃない家庭の中で、彼らなりの共存の形が、この父子の間で見えて、いい芝居だったと思う。
最初の頃、家にいる息子、帰宅した父、の会話で、離婚した妻の再婚相手の話になった時、「若くてかっこよくて優しくて金持ち」という話になって、「あ、それじゃ、俺と正反対みたいな奴?」と、父が言ったら、子は、その卑屈な物言い為を、情けな~く思ったのか、言葉で何も答えずに、一瞬、独特の嫌そうな表情、名状しがたい表情を見せて(この表情とかが、見て不快になるような「嫌な顔」でもなく、なかなかできないような、いい演技をしていた。)、シャーッと自室のしきりらしいカーテンを閉めて、拒絶の意を示した。見ていて意表を突く演技で感心した。
こういう場面の、この子役さんの演技が味があって良かった。(他にも、別にかっこよくもなく、学校では一人で情けない顔をして下校したり、部活ではレギュラーになれなかったり、凡庸な男の子の役を、なまなかでない演技で演じている。海外ドラマで、凄い美系の子役とか、とても演技力のある子役は見ていたのだけど、こういう、凡庸なようで親を彼なりに思ってたり、美男でも優秀でもない、平凡な中学生の子を、等身大の演技で飽きさせない子役パターンというのは、ちょっと私的に新味があった。)
8話では、エッグちゃんとかいう新商品のカップ麺を親子で食べて、何となくそういう所から微妙な距離感を縮めていく様も、二人の食べ方の違いも含めて、味があった。
妻に捨てられた中年男。元妻から、子へ、「戻ってきては?」と打診があって、でも、戻らない理由は、父親に向かって「あなたがかわいそうだから」と言ったり。小説、映画、ドラマの中で描かれた中では、わりと新しい父子像なのではないかな。フィクションの中のリアリティ。理想の家庭像とはかけ離れているけれど、これはこれで、妙に納得できたり、見ていて共感しやすい部分があった。
少し、関係の距離感が縮まりそう、彼らなりの絆が確認できそうな矢先に、仕事がらみの危険から、この父子家庭の二人の、別れが来る。
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今日の本題。前置きが長かった。「BG」は、ドラマとしては、他に見せ場も良いシーンもあるのだが。
第8話の、川べりでの父子の別れの場面は、詳述しないが、丁寧に作られていて、ここだけTVドラマを見ている気がしなかった。映画の別れのシーンのようで、胸が詰まった。動感溢れる、ドラマティックなシーンでなく、静かなシーンだったが、静かな中に、やっと関係性を修復、築きかけていたものが、失われるかもしれない、明日がないかもしれない、そういう胸に迫るものを感じさせることができていた。この場面に至るまでの、なにげないこの父子家庭の日常を描く、細かいシーンの一つ一つ、演技での小さな積み上げがあってこその、感動だったのかも。
繰り返しになるが、木村拓哉という役者さんは、相手役との関係性が、とても重要なタイプなのだと思った。今回の子役さんは良かった。