明治の宗学者、清沢満之は宗教の役割を
「宗教は人心をしてその根蔕を自覚せしむるものなり」
と言われる。
根蔕(こんたい)は樹木の根っこ
蔕は果実と枝や茎とをつなぐ「ヘタ」
一本の樹木に実を結ぶ多くの果実は、
一つ一つがそれぞれの形や大きさ、
色や味を持っているが、
その一つ一つは「蔕」(へた)を通して
一本の幹につながるものであり、
同一の「根」から生じたものです。
私たち人間という存在も、
それと同様に、一人一人がそれぞれに独立した存在でありつつ、
その根源においては、いのちを共にしながら生きている。
清沢満之はそのことを「根蔕」という言葉で表現され、
「宗教」とはそのような存在の事実・根拠を
私たちに明らかにするものであると言われる。