気の向くまま足の向くまま

できうるかぎり人のためになることを発信していきたいと思っています。

未来の別れ

2017-08-07 10:51:54 | 日記



 最近、いや、去年の暮ぐらいから僕のパソコンの調子が悪くなってきたので、買い替えを考えてきたのだが、ようやく昨日新しいパソコンに変えた。
今までのパソコンは実に10年の長きにわたって働いてくれた。ふつうハードディスクの寿命が4年ぐらいといわれたことがあるので、異例の長寿だといえるだろう。
 いや、実はまだ昇天したのではなく、モニターにつないで電源を入れれば普通に動く!!なのでしばらく捨てるつもりはない。

 そのパソコンは買った当時、メーカーの担当者からこれはかなり安くしているので、うちとしては儲けはほとんどないんです、とまで言われた特価のパソコンだった。
それが…なんと10年ももってくれた。元が取れたどころか、多大なお釣りまでもらった気分である。感謝感激である。

 パソコンを長く使うことはコストパフォーマンス的にはいいのだが、欠点としては保存してきたデータがかなり大きくなるので、その取捨選択と新しいパソコンへのデーターの移動が結構大変だ。僕はそのために外付けのハードディスクを買った。
 とくに写真や個人的日記の類は一度失われたら取り返しがつかないので、この保存には気を使わざるを得ない。

 昨日は1時間ぐらいでできるだろうと楽観していたら、新しいソフトをインストールする時間も含めるとなんと4時間ぐらいはかかったろうか。
手間取ったのはメールソフトの設定だった。「アカウント名」を入力してくれという指示が出るのだが、プロバイダーからもらった情報にはそんなものはなかった。
なので四苦八苦したのだが、最終的にプロバイダーのホームページに簡単設定ソフトがあることがわかって(これを見つけるのにかなり時間がかかった)、それで何とか設定できた。

 そのあとこれも以外に手間取ったのが、インターネットブラウザの「お気に入り」の移行だ。
これももしかしたら一発で移行できるソフトがあるのかもしれないが、なにぶんそういうことには詳しくないので、全部手動でやった。
 
 古いパソコンの電源を最後に切るときの心境は何とも言えないものがあった。
「シャットダウン」というボタンをクリックするところで、どうしてもすぐにはクリックできず……数秒間手が固まったままだった。
不思議なものだ、人間の心理というものは。機械でしかないものに、これだけの感情を移入してしまうとは……

 できれば最後まで使いたかったのだが、それでは貴重なデータが永遠に失われてしまう。
ただ、外した後もこの古いパソコンにはしばらく我が家にいてもらうつもりだ。
捨てる、ということがどうしてもできそうもない。

 もしこれが高度に知能の発達した未来のロボットだったら……それはもう生きた人間と別れるのとまったく同じ感覚になるに違いない。
ロボットはもちろん人間よりも長く生きるので、やがていやでも別れはやってくる。
その時のロボットの心境は……(知能だけでなく将来は感情もかなり人間に近いロボットができると僕は思っている)想像すると、非常につらくなる。
 
 これは人間同士の別れよりも悲劇的であろう。
人間同士なら自分もやがては死ぬので、その別れは永遠のものではない。
しかし、ロボットは機械自体が壊れるか、残った人間によって「処分」(便利な言葉である)されないかぎり、相当の長きにわたって生きるだろう。
その間ずっと喪失の悲しみを抱き続けるのだ…

 将来は親しい関係にあった人間を失った悲しみから「自殺」するロボットが現れても全然不思議ではない。
今回長きにわたって使いなじんできたパソコンを外すという経験をしてみて、そんなことをおもった。

 
コメント
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