Bach : Air on the G String (Piano)
例によってユーチューブを見ていたらひとりの素晴らしいピアニストの演奏が目に留まった。
名前はBeatrice Berrut, クラシック界ではすでに名の知れた人だと思うが、僕にとっては初めての人。この演奏を見てまず感じるのは彼女のこの作品に対するDevotion(日本語でなんて言ったらいいのかいい言葉が見つからない)しいて言うなら「無私のまごころ」である。
完全に「私(わたくし)」を去り、ただこの曲を作曲したバッハの魂に共振し、それをただ忠実に再現したいと全身全霊で思いながら演奏している。
こんな「いい演奏」はそうそう多くはない。そこにはバッハの魂がたしかに現われ出ている。この曲を書いたときのバッハのこころがふたたび現出している。
こんなに美しい演奏というものはそうそう多くはないと思う。作曲家の立場から見れば、これほどありがたい演奏はないだろう。
演奏家のまごころというものをこれほど深く感じるのは、久しぶりである。僕らはこの演奏家のおかげでバッハがまるですぐそばにいて僕らのこころに寄り添っているかのように感じることができる。
この演奏家に心底から感謝の気持ちをささげたい、そういう思いでいっぱいである。