昨年買ったニコンのローンがちょうど今月で終わるので、意を決して(笑)新しいカメラを買った。
今度はCanonである。
機種はEos Kiss X10 Canonのカメラの中では初心者向けの一眼レフである。
腕はともかく経験の長さから言うと僕はもう初心者ではないが、どうしてこのカメラを買ったかというと、まずはデザインが気に入ったからだ。
いやデザインというよりもこの色、ホワイトが気に入った。
どうだろう、まず僕のような中年といわれる年代で、しかも男で、しかも日本人で、こういうカメラを買いたいと思う人はかなり稀なのではないだろうか。
そう、僕は変わりものなのかもしれない(笑)それは十分認識している。
あと、なぜいまさらエントリー機を買ったかというと、要は経済的事情である(笑)
それと軽さだ。写真を撮るときは結構歩く。そのときに重いカメラだとこれが結構こたえるのだ。
プロのカメラマンでもこのことを指摘する人は多く、僕もその例外ではない。
特に僕は肩こりがひどく、すぐに肩に鉛が入ったような感覚に苦しめられる。
そういう人間にとっては軽量のカメラはありがたい。
このロゴに愛着を感じる人も少なくないだろう。そう、ちょうどパソコンのappleのロゴに愛着を感じるように。
あと、これを言ったらカメラメーカーに嫌われると思うが、今のカメラはエントリー機でも風景写真を撮るだけなら、ほぼほぼ高級機と同程度の性能があるからだ。スポーツ写真や動物、子供、鉄道などの動きのある物を撮る人はやはりそれなりのカメラを買わなければいけないと思う。
ただ僕はそういう写真はほぼ撮らないのでこれで十分だと思った。
ちなみにその値段はレンズも合わせて8万円台である。
ストラップもつけたところ。
一つ残念なのはこの色にあうレンズ(18~55mm)がこれだけらしいのだ。
やはりこういう色のカメラを使おうとするのは僕のような変わり者だけなのだろうか、ほかのレンズはほぼ黒かキャノン独特のあの灰色というか肌色というかあのレンズだけなのだ。これが残念で仕方がない。
キャノンさんにはぜひこのカメラにあうレンズ群を作ってほしい。オーダーメイドで多少高くなってもいいから、と思っているのは実は僕だけではないのではないか。
それとこれはニコンに対する僕なりの苦言なのだが、今回なぜキャノンのカメラを買ったかというと、ニコンのカメラにはエントリー機でいいものが少ないということである。そこから『僕が』感じ取れるのは、やはりニコンはわかる人だけが使ってくれればいい、やがては我々のカメラを使うようになるから、という姿勢である。
そういう姿勢を否定するつもりはない。ないが、それはつまるところ自社のユーザーを限定していくということであろう。
レンズ交換式のカメラの場合、それぞれのメーカー独自のレンズがあって他社のレンズはアダプターを買わない限りつけられない。
それがつまりは、一度自社のカメラを買った人はずっと自社のカメラを使い続けていく傾向が強くなり、ユーザーが逃げていきずらいということで、ある意味メーカーはそれにあぐらをかいてきた面もあるのではないかと思う。
特にニコンのような100年近い伝統があるメーカーでそのレンズ群が質、量ともに一つの資産といっていいほどのハイレベルなものを作ってきたメーカーであればよけいそう考えるのも無理はない。
だが、だがである。それはつまるところ、ニコンも営利を追求しなければならない私企業である以上、新たなユーザーをどんどん増やさなければならないという、まぁ、資本主義の原則を無視していくことになりはしまいか。
自社のレンズしか原則的には使えないというのはたしかにユーザーの囲い込みには有利に働く。だが、同時にそれは新規のユーザーが他社のエントリー機に惹かれてそのメーカーのカメラを買ってしまった場合、逆の効果をもたらすだろう。
そう、その新しいユーザーは当然ニコンのレンズを付けられないので(アダプターを使えばできるが、そこまでして使う人はかなり少数派であろう)そのメーカーのカメラを使い続けるだろう。ニコンさんはそこがわかっているのだろうか?と僕は思うのだ。
キャノンはやはり新規ユーザーの獲得に力を入れてきたのだろう、エントリー機の品ぞろえは多彩である。
だからこそ、いま最もシェアの大きいメーカーはキャノンであり、それに反してニコンの営業利益が悪化しているのは広く知られている。
確かにそういう姿勢を否定はしない。たとえば、Leicaのようにやはりわかる人が使ってくれればいい、というメーカーもあるから。
ただ、はたしてニコンにライカのようなブランド力があるのだろうか……という点で僕には不安がある。
というのも、もしそういう姿勢を貫くのならもう少しニコンにしかない個性のようなものを創造しなければならないのではないか。
正直に言って、ニコンのカメラからはそういうものを感じないのだ。
わが社の個性はその性能である!と言いたげではある。ではその性能はそれほど傑出しているのだろうか、それほどユニークなのだろうか……
これはニコンだけでなく、いや、カメラ業界だけでなく、車なども含めた日本の工業製品全体から感じるのだが、個性が乏しい気がするのだ。
どのメーカーもそのデザインはみんな似たり寄ったりに見える。丸っこいデザインが流行ればどのメーカーも丸っこい車を作る、カクカクした車が流行ればどのメーカーもカクカクした車を作る。ヘッドランプあたりのデザインも同様である。
大衆車を作るメーカーならそれもいい、しかし、「わかる人だけが乗ってくれればいい」という姿勢を貫くのであれば、それではいけないのではないか、そのメーカーにしかない性能的特性(カメラであればフジフィルムなどやオリンパスなど)やデザイン上の特性(これもフジフィルムはとてもユニークだ)パソコンメーカーであればやはりアップルである。
正直言えば、ニコンはどっちつかずなのだ。どっちつかずであるにもかかわらず、わかる人だけが使ってくれればいい、という高尚なプライドを持っておられる。
ブランド力をつけるには、ユニークでなけらばならない。ユニークであるには独自の価値観を持ちそれを貫く強さがなければならない。
あのアップル創業者、スティーブ・ジョブスがいったように、Crazy enogh to change the world. でなければならないのではないか。
これは、空気を読むことを重視し、周りから浮き立つこと、人と違うこと、を特に嫌う文化的雰囲気の中にいる日本人には特に困難を伴うだろうとおもう。
だが、もしニコンのような姿勢を貫こうとするのであれば、それは絶対に持たなければならない。
Leicaのように性能面では日本のカメラメーカーの後塵を拝してきたメーカーが、なぜいまだに同程度かそれ以上の性能を持つ日本製カメラの数倍の値段で売られているのか、なぜ人々が(もしかしたら日本人は特にかもしれないが)いまだにLeicaのカメラを神器のように重々しく崇め奉っているのか......
なぜ、性能面では日本車より劣る欧州製の車がいまだに高値を付けてうれているのか……
ここのところを深く分析しないでニコンのような姿勢を貫くのは危ない、と僕は思う。
以上、ずっと愛用してきたニコンに対して辛口の苦言を呈してしまったが、それも、世界に冠たる性能を誇ってきたそしていまでも誇っているニコンに対する日本人としての思いゆえである。
Are you crazy enogh to chage the world?