2021年初夏のブログです
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北方謙三さんの『檻』(1987・集英社文庫)を久しぶりに読みました。
先日、北方さんの『煤煙』を読んでしまい、恐れていたとおりに(?)、北方ワールドにはまってしまいました。
もっとも、『檻』は北方さんの小説の中でじーじが一番好きな作品。
忘れん坊のじーじにはめずらしく、まだあらすじをぼんやりと覚えていたので、後に取っておいたのですが、今回、読んでしまいました。
いい小説です。ラスト、不覚にも久しぶりに泣いてしまいました。
あらすじは当然書きませんが、感想を書くのもなかなか難しい小説です。
男の生きかた、男の友情、度胸、暴力、仕事、愛情、などなど。いろんなテーマが内包されています。
それらが北方さん特有のスピード感のある、かつ、奥深さを伴った文章で表現されます。
男なら憧れるような登場人物が何人か出てきます。
アウトロー、刑事の一人も含めて、アウトローの世界です。
いろんな意味での暴力を否定しませんので、男女差別ではありませんが、女性には少し理解しにくい世界かもしれません。
言ってみれば、オスの世界。優しい、平和主義の女性は眉をひそめるかもしれません。
しかし、男の生きざまというやつは、本能に支えられている部分もあるので、きれいごとではすまないのも事実でしょう。
勁さがあっての優しさなのかもしれません。
と、まあ、いろんなことを考えさせられる小説です。
しかし、文句なしにいい小説です。幸せ! (2021.6 記)