2018年のブログです
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河合俊雄さん編著の『ユング派心理療法』(2013・ミネルヴァ書房)を再読しました。
たぶん2回目だと思うのですが(?)、例によってあまり自信はありません。
以前読んだ時には当時のじーじの力不足のせいで、あまり理解できたとはいえなかったように思うのですが(河合さん、ごめんなさい)、今回は少しだけ以前より理解できた箇所もあったように思います。
解説編と事例編の二部構成で、解説編では、心理療法における第三のもの、という論点に興味をひかれました。
精神分析のウィニコットさんのいう中間領域やオグデンさんや藤山直樹さんのいう第三の主体、あるいは、クライン派の考えなどをめぐって、ユング派から見たイメージの考えなども含めて、考察がなされます。
イメージから物語、象徴との関連など、考察は広がって、こちらの想像力も喚起される感じがしました。
心理療法における、今、ここで、の重要性も指摘されており、今、ここでの、クライエントさんの気持ちより、今、ここでの、クライエントさんの事実が重要であって、さらには、今、ここでの、クライエントさんとカウンセラーの両者の事実が重要である、と述べられているように思いました。
おそらく、その事実の理解や体感のために、第三のもの、が大切になるのだろうと思うのですが、まだまだじーじの力では理解が難しいところです。
また、事例編でも、クライエントさんが内面を語るより事実を語る中で変化していく事例が紹介されています。
ここでも、内面にアプローチするより、事実にアプローチをする中で治療的展開が起こっており、これまでの神経症を対象とした内省的な心理療法から発展をしている様子がうかがえます。
もっとも、じーじのつたない理解では、精神分析でも同様のことが述べられているように思われ、神経症から境界例、統合失調症、そして、発達障碍へと心理療法の対象が広がるにつれて、心理療法のありかたも変わらざるをえないのかもしれません。
あるいは、本書が主張していることも、そういうところにあるようにも思います。
難しいですが、なかなか刺激的な、さらに勉強をしたくなる、いい本でした。 (2018 記)