人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

ホセ・クーラ フェイスブックでファンの質問に答える(2) / Jose Cura answered the questions of his fans

2017-01-22 | ファンの質問に答えて



前回に続いて、ホセ・クーラが昨年6月にフェイスブックで開設した、フォロワーからの質問に、何でもクーラ自身が答えてくれるコーナー「QUIZ ME ABOUT...」から、いくつかの質問と回答を、抜粋して紹介したいと思います。
掲載順や質問者などは、まったくばらばら、順不同です。  → 前回の「質問に答える(1)」

まずは、細かい質問から・・。

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――あなたの好みは?

Q、ワインは赤?白?
A、赤

Q、犬か?猫か?
A、猫

Q、昼?夜?
A、昼

Q、暑い?寒い?
A、なし

Q、ヒーロー?悪者?
A、本当のヒーロー

Q、ケーキか?パイか?
A、パイ

Q、シェイクスピア?セルバンテス?
A、シェイクスピア


――オペラの作曲

Q、オペラを作曲することについて考えたことがある?


A、私はそれをしている...


――スケジュール管理

Q、各地を旅行しながらの公演、リハーサル、演出、作曲、指揮・・たくさんの活動をしながら日々のスケジュールをどうやって整理する?


A、イエス、時にはあまりにも多い。私はそれを受け入れる。
しかし私は、私の巨大な好奇心のリストを、箱の中に閉じ込めたままにする方法を知らない。
私には1つのルールがある――潜在的な結果が平凡でない限り、仕事から逃げない。そうであれば、ストップして、自分自身に対して正直であること。
これまでのところ、うまくいっている。

あなたたち、私が愛する聴衆は、私が創造的な道のりを終える時を誰よりも先に知るだろう......しかし、それは、まだ長い道のりだ!!!





(次に紹介するのは、実は私の質問です(*^_^*) 同じ質問を2回とりあげて回答してくれました。)




――役柄と演技について

Q、舞台で役を演じる時は、あなたは完全にその人になりきる?それとも、冷静に演技と歌をコントロールする?
誰かが、あなたはキャラクターを「歌う」のではなく、キャラクターを「生きる」といっていたが、それは本当?


A、有名な逸話がある。
ダスティン・ホフマンは、映画「マラソン マン」(1976)の撮影の時、シーンの前にスタッフに言った。
「5分待ってほしい。周りを2、3回走ってくれば、撮影のために、本当に疲れて赤くなる。」
そして彼のパートナー、ローレンス・オリヴィエは答えた。
「ダスティン、ふりをするだけで十分じゃないの?」
私は、ホフマンの「アクターズ・スタジオ」のトレーニングと、オリヴィエの「ロイヤルアカデミー」のトレーニングの間に、舞台上またはカメラの前で、あなたの必要とするものが何であるかを見つけ出す余地があると推測する。

しかし、一つの事は真実だ。映画の中では、目的に応じて、多かれ少なかれダメージを与えて自分自身を追い込むことができるが、オペラではできない。なぜなら、何をするにしても、その後まだ、ちゃんと歌を歌えなければならないからだ。

私は、何度か、深く、役に入り込んでいった経験がある。感情のために歌をおろそかにしたと後に批判されることはわかっていたが、私は言わなければならない。完全に感情移入している瞬間を体験する感覚は、他の何事にもかえられない。疲れ果てるが、達成感で満たされる。
とはいえ、それは健康的なことではないので、いつもそうすることはできない...。


(こちらは、同じ私の質問への2回目の回答)




Q、ポジティブなキャラクターを演じる時には、それは甘美な言葉だが、しかし、異常な精神状態におかれた役を演じるたび、あなたがその人物に“なりきる”と、最後を精神病院で迎える危険がある。もし正直であれば、そうだという俳優はいないだろう。

それと違うやり方は、リハーサルの期間や訓練中に、特定の態度や、特定の「極端な」感情を「試してみる」ことによって、パフォーマンスの中でそれらを再現するための正しい「カラ―」を見つけること。
演技は、ふりをすること。説得力があるかないかはあっても、ふりをすることだ。ここに芸術がある。成功を収めている俳優が、そうでない俳優との違いをつくるものがここにある。その逆のことは、演奏家にとって壊滅的だ。


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多くの仕事にチャレンジする忙しい日々の中で、このように、私を含む、ファンからのいろんな質問に、ひとつひとつ誠実に答えてくれたことに、またクーラ自身もそれを楽しんでいるようにみえることに、とても驚きました。

特に、私の質問への回答で、演技についての理論的な解説、彼の“演技論”に加えて、批判を承知で役柄に没入した体験、それには何物にも代えがたい魅力があることを、正直に語ってくれたことが、たいへん印象的でした。
リアルな演技と歌唱を統一的に追求してきた、クーラというアーティストの生きた精神、心のうち、彼の魅力の源泉にちょっと触れたような気がして、嬉しかったです(*^_^*)

日本語訳が不十分なために、誤訳やニュアンスの違いが少なくないのが残念ですが、興味がおありのかたは、ぜひ、クーラの公式フェイスブックの2016年6月頃の投稿をご覧ください。

この「質問に答える」シリーズ、次回は(まだ続く・・)、若いアーティストから寄せられた質問に対するアドバイスや、オペラ歌手としての歌唱と演技の関係に関する回答を紹介したいと思います。次回が最後の予定です(笑)




*写真は2016年7月のドブロヴニク・サマーフェスティバルの際の報道からお借りしました。
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