長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

相応のハードル上げ!! でも不安…… ~映画『ゴジラ 決戦機動増殖都市』~ かんそう

2018年06月16日 20時48分38秒 | 特撮あたり
 え~、はい、毎度おなじみの『長岡京エイリアン』的時間感覚ということでありまして……観てから実にかれこれ1ヶ月になろうかという今、えっちらおっちらと感想でございます。
 まぁ~、あいかわらずのヒドさですね。されどここは、この世のどこかに存在するという融通無碍、自分勝手の境地、個人ブログ! やりたいようにやらせていただきます。


 のっけから特撮ファンにあるまじき告白をするのですが、わたくし、このアニメゴジラ3部作の最初の『怪獣惑星』を、まったく観ておりません!

 理由は完全なる食わず嫌いみたいなもんで、なにはなくとも「今から2万年後」という時代設定に重だるさを感じて、しかも「植物性のゴジラらしい」という前情報と、だいぶハリウッド版ゴジラに寄せているようなマッチョなデザインに、勝手ながらも期待感を下げてしまったる次第。
 結局、どうしても比較してしまうのはゴジラシリーズの前作にあたる『シン・ゴジラ』なわけでありまして、あの作品で端的に表現されていたのは、怪獣という存在のどうしても理解しきれない「異物感」のようなものだったと思うのです。そのためには、可能な限り、怪獣の周辺の日常世界は平々凡々な現実そのもののリアルさをどこかに必ず持っていなければならない。少なくとも、わたくしはそういった「日常と非日常」の関係がなければ特撮映画をおもしろいと感じられないんだな、と再認識いたしました。

 いやいや、ゴジラシリーズがフィクションである以上、もちろん、未来の日本国総理大臣とアメリカ大統領がまるでヒーローとヒロインみたいに親しいとか、町の発明家の作った変な妨害電波が世界を救うとか、ゴジラと戦うために作られたはずのロボット兵器の胸のど真ん中にパイロットの操縦席があるとかいう「んなあほな」な要素はあって当然であるわけで、怪獣以外ぜ~んぶつまんなくなってもしょうがないとは思います。
 でも、怪獣周辺の世界設定が「2万年後」ということで、すべて SF要素抜きには考えられないリセットぶりになってしまったら、普通じゃないことが多すぎて、最終的に「それ、怪獣の怖さ、いる?」っていう埋没感にさいなまれるんじゃなかろうかという気がしていたのです。


 何の変哲もない世界の中にある日突然に現れた、たった一滴の「あるべきでない異端」が、見る見るうちに周辺を侵して黒いしみを広げていくという、恐怖。


 これこそが怪獣特撮の理想だと、あたしゃ感じているんだなぁと、『シン・ゴジラ』をおもしろがって『怪獣惑星』にさほどの魅力を感じなかった、自分の好みを再認識いたしました。

 振り返れば、確かにそうだなぁ。
 わたくしは幼年期、例えばウルトラシリーズの何かのエピソードを観たあとの楽しみと言えば、寝るときに「もしウルトラ兄弟がいなかったらとしたら」、あの怪獣を人類(防衛チーム)はどうやったら倒せただろうか? という妄想ストーリーを展開させることでした。「宇宙のかなたから地球人を救いに来てくれるスーパーヒーロー」という神さま仏さまみたいな存在は、子供だとしても、当時のわたくしはさすがに信じがたい都合のよさを嗅ぎ取らずにはいられなかったのです。だいたい、一番好きなのが『ウルトラQ』ですからね。
 ……我ながら余りにも暗すぎる子供時代です。そりゃあ駆けっこでも足もおそいわ。

 あ、あと、話の本筋とはまるで関係ありませんが、1980~90年代にいっぱい出ていた怪獣関係の子供向けムック本(ケイブンシャとか小学館とかの、怪獣の能力設定とか足跡とか解剖図とかが載ってあるやつ)に記載されてるのに、映像本編ではまるで怪獣が使わなかった武器能力って、よくあるでしょ?(キングギドラの足の爪の毒袋とかガイガンのおでこからビームとか)あれをもしちゃんとフル活用してたらどんだけ強いのかっていう妄想も大好きだったなぁ!
 そういう時にほんとに(ひとりで)熱くなるのが、「物語の都合上かなりザツに扱われる再生怪獣枠が、初代なみの能力をちゃんと持って暴れたら?」っていうルールで、2代目ゼットンとか、初代メフィラス星人の容赦ない3星人フル動員侵略とか、ジェロニモンの全怪獣復活計画とか……寝るのが惜しくなるくらい楽しかったなぁ。一番盛り上がったのは、やっぱり改造巨大ヤプールの改造怪獣・超獣軍団だったねぇ!! 改造サボテンダー倒すのに2ヶ月かかったもんね。これにはさすがの ZATも苦労しました。


 閑話休題。
 ともかく、そんなわたくしだからこそ、『怪獣惑星』は敬遠し、それとは打って変わって今回の『決戦機動増殖都市』には逆にやや前のめり気味で跳びついたわけだったのであります。

 だって、2万年前のメカゴジラが復活するんですってよ!? しかも、ブラックホール第3惑星人製の! なんだそれは! 燃えるじゃないか!!
 だからもう、その設定だけでもう、100点満点なんです。正直言って、復活した後のメカゴジラの姿がどうなってようが、もういいじゃないかと。見てくださいよ、メカゴジラが生きてたってわかった時の、ブラックホール第3惑星人の皆さんの、『プロジェクトX』みたいな目の輝き。もう涙が出てきましたね。

 そして、おさらいでノベライズ版からバーッと見ていって、誰がどう見ても「あぁ、あの金色が最後に出てくんだな。」という期待値を十二分の高めた上での、エンドロール後のおたのしみ。最高じゃないですか。これももう、実は個人的には、第3作でおギドラさまがどんな格好で出てこようがもういいや、っていう満足感までいただきました。

 「口にするのもはばかられる存在」……怪獣として、これ以上の誉め言葉があるでしょうか。

 1964年の誕生以来、「金星を3日で滅ぼしたにしてはそんなに強くない」、「金星の自転速度は243日だから、もしかすると滅ぼすのに地球時間で2年くらいかかってる」、「いろんな宇宙人にホイホイ操られてる」、「いくら(デビュー時からメーサー殺獣光線車に殺されかけている)ガイガンが弱いといっても、2対2の戦いでゴジラとアンギラスに負けるのはいかがなものか」、「せっかく平成に復活したかと思ったら、ペット3匹が融合しただけとか、子供誘拐犯とか、日本の守り神とか……なにそれ?」、「最終形態だとかいうカイザーギドラが、ジャンボキング並みに機動力が下がってるだけでぜんぜん強そうに見えない」などという毀誉褒貶にまみれて生きてきたおギドラさまが、ついに!! ついに、ごくごく正当な評価をされる時がやってきたのであります。これに涙をしないわけには、いかない。

 これでまぁ、次回作『星を喰う者』でのおギドラ様が「ふつうの」格好をしているわけは……やっぱりないんでしょうが、「ふつうじゃない」のはもう、今回のメカゴジラがじゅうぶんやっちゃっているので、できればかなり正統派な、額に三日月のツノがちゃんとあるお姿になって欲しいなぁ。でも、ホントに初代のまんまのお姿で「ぴろぴろ、けろけろ、かろかろ」っていう鳴き声だったら、ゴジラ・アースも大地を鳴動させてずっこけますよね。


 いや~、それにしても、ノベライズ版のガイガンは、そりゃもう気持ちいいくらいに噛ませ犬な設定になってましたね。M宇宙ハンター星雲人なんか……あんな扱いになっちゃったし。
 でも、わたくしもう無駄に年を取っちゃって、今や自他ともに認めるおっさんなわけですが、こうなるとほんとにこういうガイガンみたいなぼろぼろの存在がいとおしくなってくるんですよね。ノベライズ版の中でガイガンのくだりがいちばん心に沁みました。
 そして、なにげに活躍の場がまるでなかったラドンとアンギラスも哀しかったですね……おギドラさまがこういう方々と同じ轍を踏まなくて、心の底から安堵いたしました。

 でも、こうなると気になってくるのが、「キラアク星人」の枠なのよね。X星人、ブラックホール第3惑星人、そしてノベライズ版には Mハンター星雲人……じゃあ、規模で言えばいちばん凶悪だったはずの彼女たちは、どこに顔を出すのでありましょうか。ここだけ完全無視ということはないような気がするのですが……どうなんだろう。


 もう、秋の答えは、どうでもいい! ここまで期待(妄想ともいう)に胸を膨らまさせてくれた『決戦機動増殖都市』には感謝しかありません。ごちそうさまでした~。
 2万年前のメカゴジラのソフビ……買いますか? どうしようかな……

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