《前回までのあらすじじゃないです》
今日から公開になった映画『電人ザボーガー』、おもしろそうだねぇ!
これは必ずスクリーンで観よう。なんかボロボロ大泣きしながら歯を食いしばって楽しむことになりそう。
1970年前後の数年間に水木しげる作品『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』などの複数メディアでの大ヒットによって巻き起こった、昭和の「第1次妖怪ブーム」。
それにのっかって名前を広めることに成功した妖怪ぬらりひょんだったのですが、伝承とマンガと図鑑本とでいまいちキャラクターが一致しないまま、「なんだかよくわかんない爺さん妖怪」というイメージどまりで最初のブームは過ぎ去ってしまいました。
そして、それから10年以上の時がたった1985年。
高度成長の果てに日本がたどりついたバブル期も本格的なものとなり、ちょっと前だったはずの1960~70年代さえもが、はるか昔か別の国のことでもあるかのように遠くなってしまったこの頃、「だからこそ!」日本古来の妖怪の恐ろしさや存在意義を復活させるべきだという動きが持ち上がったのです。
そんな盛り上がりの中で生まれたのが、あの「歴代最も鬼太郎らしくない鬼太郎」、正義のスーパーヒーロー鬼太郎が邪悪な妖怪たちに闘いをいどんでいくアニメ第3期『ゲゲゲの鬼太郎』(1985年10月~88年3月 全115話)だったというわけなのです! うひょお~。
いやーもう、この第3期こそが! 私そうだいがリアルタイムで観て楽しんだ『ゲゲゲの鬼太郎』なんでございますよ。ただ、残念ながら本物のガキンチョだったために第3期のオリジナルヒロイン「天童ユメコちゃん」の魅力は全然わからなかった……修行が足りぬ。
前回シリーズの第2期から実に13年ぶりの復活となった第3期だったわけなのですが、純粋なる「水木しげる原作マンガの忠実なアニメ化」だった第1~2期と違って、第3期は多少複雑な作品設定となっています。
第3期は、「バブル期日本を舞台にした『ゲゲゲの鬼太郎』物語のアップデートリメイク」。
つまり、毎回起こる妖怪事件の大筋は原作と同じなのですが、妖怪が出現した背景や登場人物のキャラクター設定などに必ず1980年代当時の社会風潮が影響しているのです。たとえば、人間側の強引な土地開発のために妖怪が古くからの住みかを破壊されたとか、お受験戦争の毎日がイヤになった子ども達が妖怪の誘惑に負けて異世界にさらわれてしまうとか。
こういった感じで全エピソードが放映当時の事件に書き換えられているため、アニメ第3期は、前回に紹介した原作マンガ第1~7シリーズやアニメ1~2期の内容とはパラレルな関係にあります。それらの過去の作品と時間軸でつながっているということではないんですね。
今でも思い出しますね……第3期『ゲゲゲの鬼太郎』を目の当たりにした時の驚きといったら。
私は当時、幼稚園を出るか出ないかの幼児だったわけなのですが、おぼえたての日本語力を駆使してその日の新聞のテレビ欄をながめていたところ、夕方の項目に「(新)ゲゲゲの鬼太郎」とあるのを発見しました。アニメ第3期の初回放映日は1985年10月12日なのですが、私の暮らしていた実家は山形県なので、もしかしたらもうちょっとあとの日だったのかも知れません。
そのころから常に「講談社マガジンコミックス」版の『ゲゲゲの鬼太郎』をかたわらに置いており、レンタルビデオやTVの再放送でアニメ第1~2期の『鬼太郎』をビクビクしながら楽しんでいた私はてっきり、
「あぁ、またあの古いのの再放送をやるのかな。」
と思いこんでコタツに入りながら放送の時間を待っていたのですが、オープニングが流れだしたのを観てまぁ~ビックラこいた。
ダンツツダンッ! ひょお~チャラッチャーチャチャひょお~ダダツツダンッ、ひょお~チャラッチャーチャチャひょお~チャラララチャラララ、
「んゲッ、んゲッ、んゲッゲ~ゲんのっ、んゲェ~!!」
な、なんだ、このビート&気合い入りまくりのヴォーカルは!? こんな打ち込みシンセバリバリの『ゲゲゲの歌』は、今までかれこれ5年生きてきたが、聴いたことがねぇ!
また、オープニングアニメもカットバックがめまぐるしくてカッコイイ。明らかに過去のものではない、現代の高層ビル街を背景に雄々しくゲタをブッ飛ばす鬼太郎の勇姿を目撃して非常にドキドキしたのをおぼえています。
吉幾三の歌声といいスピーディな画面構成といい、かつてのすべてのイメージを一新したあのオープニングにはイチコロになっちゃったねぇ。
それに続いて始まった第1回の本編も、名エピソード『妖怪城』を現代にアレンジしたもので、マンガで前に読んだことがあるようでどこか新しい絶妙なバランス感覚には思わず「うむぅ……!」とうなってしまったことを記憶しています。幼稚園児だけど。
ところで今回は、そういった感じで大幅にリニューアルされたアニメ第3期にいく前に! それとシリーズ化をあらそう形で企画された「実写特撮ドラマ版『ゲゲゲの鬼太郎』」に登場した妖怪ぬらりひょんのことを紹介していきたいと思います。
今でこそしっかり定着している「鬼太郎=アニメ」イメージなのですが、実は1985年当時は、『ゲゲゲの鬼太郎』をもとにした新シリーズを始めるにあたって、制作会社の東映とそれを放映するフジテレビとのあいだで、「実写特撮ドラマ」にするか「アニメ」にするかの議論がなされていたというのです。
まぁ結局は、上のとおりにフジテレビの主張する「アニメ」化案に落ち着いたわけなのですが、「スーパー戦隊シリーズ」や「仮面ライダーシリーズ」を擁する日本特撮界の大看板・東映は当時、1982年の『宇宙刑事ギャバン』から続いていた「宇宙刑事シリーズ」を大ヒットさせており、その流れで、バトルヒーロー鬼太郎がゴテゴテの着ぐるみで立体化した悪の妖怪たちをビームサーベルみたいな武器や火薬系攻撃で退治していく(闘う場所は、もちろん採掘場!)アクションものとしての『ゲゲゲの鬼太郎』リメイクを推していたのです。
そうなってたら……どうなってたんでしょうね。まぁ、今みたいな幅広い「鬼太郎カルチャー」はおそらくできなかったでしょう。
ただ、ここで却下されたからといって「鬼太郎物語の実写化」がなくなったというわけではなく、東映は単発ドラマという形で、アニメ第3期にさきがけた1985年8月(アニメ放映開始の2ヶ月前)に、フジテレビの『月曜ドラマランド』(夜7時30分~9時)の中で実写バトルアクション版『ゲゲゲの鬼太郎』を制作することとなりました。『月曜ドラマランド』は先月の『おれがあいつであいつがおれで』特集にも出てきましたが、要するにおニャン子クラブなどの当時のアイドルタレントさんたちが出演するゆる~い感じの単発ドラマを毎週放送していくという番組枠でした。
ここで放映されたのが史上初の「実写版『ゲゲゲの鬼太郎』」だったわけなのですが、主人公の鬼太郎役を演じたのは子役俳優で、人形で立体化された目玉の親父役はアニメ版と同じ田の中勇。他のキャスティングとしては、ねずみ男役を若き日の竹中直人(29歳)、砂かけ婆役を「おしゃまんべ。」の由利徹(64歳)が演じたことでも有名な作品となっています。
この作品が「史上初の実写化」と同時に重要なのは、「悪の妖怪たちを率いるラスボスぬらりひょん」が史上初めて登場した作品だった、ということなのです!
以上のような経緯で、東映の「バトルヒーロー路線」の文法にのっとって制作された実写版のストーリーは完全なオリジナル展開で、脚本は『ルパン三世 カリオストロの城』を手がけたことで有名なアニメ・特撮界のベテラン山崎晴哉が担当しています。
そして、「バトルヒーローなら強力な悪役がいなきゃあねぇ。」ということで物語のラスボスとなったのが我らがぬらりひょん!
実写版での彼は、ふだんは人間のセクシーな美女(演・夏樹陽子 32歳)に変身して進学塾「ぬらり塾」を経営しており、通ってくる子どもを洗脳して人間界の侵略をねらう凶悪妖怪に設定されています。前回は「校長」だったし、教育関係が得意なのか?
と同時に、ぬらりひょんは「吸血鬼エリート(演・佐渡稔)」「おっかむろ(大首)」「あみきり」「見越し入道」といった強豪妖怪も使役しており、まさしく「妖怪の親玉」としての面目をかちえています。
そういった悪事が鬼太郎に露見したあと、ぬらりひょんは本来の「和服にヘンな頭」の正体をあらわすわけなのですが、この作品ではまさにバトルアクションもののボスキャラといった感じで、おじいちゃんとは思えない身のこなしで激しい殺陣をズビズバこなしながら日本刀から怪光線をビカビカ撃ちまくって鬼太郎と激闘を展開する若々しさを見せてくれています。正体を現した時のぬらりひょんの声を演じたのは、壮年の悪人の危険さのただよう桑原たけし(48歳)でした。カッコイイ。
この作品でのぬらりひょんは、その頃に水木しげるによってイラスト化された「ニヤリとほくそ笑みながら民家に入ってくる、ダンディで怖い面構えのぬらりひょん」を忠実に立体化した特殊メイク造型で、かつて基本的にどの作品にでも反映されていた鳥山石燕の『画図百鬼夜行』でのニヘラ~っとした緊張感のない「ぬうりひょん」とはまるで似ても似つかない風格を持っています。実は、ここで登場した「ダークぬらりひょん」こそが現在に伝わっているぬらりひょんイメージの中心をなすものなんですよねぇ。
このように、アニメ第3期に先行して「勧善懲悪もの」設定を導入した『月曜ドラマランド』版で、水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』の世界観とはまっっっったく関係のない文脈によって「悪の親玉」として復活してしまった妖怪ぬらりひょん。
21世紀の現在にいたる「妖怪総大将ぬらりひょん」の本当のサクセスストーリーはここから始まった!!
次回はいよいよ、そんな実写版初代ぬらりひょんのイメージを継承して、満を持して登場したアニメ第3期版のぬらりひょんのご登場だ~い。
あれ、最初だけ、声が青野武さんじゃない……
今日から公開になった映画『電人ザボーガー』、おもしろそうだねぇ!
これは必ずスクリーンで観よう。なんかボロボロ大泣きしながら歯を食いしばって楽しむことになりそう。
1970年前後の数年間に水木しげる作品『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』などの複数メディアでの大ヒットによって巻き起こった、昭和の「第1次妖怪ブーム」。
それにのっかって名前を広めることに成功した妖怪ぬらりひょんだったのですが、伝承とマンガと図鑑本とでいまいちキャラクターが一致しないまま、「なんだかよくわかんない爺さん妖怪」というイメージどまりで最初のブームは過ぎ去ってしまいました。
そして、それから10年以上の時がたった1985年。
高度成長の果てに日本がたどりついたバブル期も本格的なものとなり、ちょっと前だったはずの1960~70年代さえもが、はるか昔か別の国のことでもあるかのように遠くなってしまったこの頃、「だからこそ!」日本古来の妖怪の恐ろしさや存在意義を復活させるべきだという動きが持ち上がったのです。
そんな盛り上がりの中で生まれたのが、あの「歴代最も鬼太郎らしくない鬼太郎」、正義のスーパーヒーロー鬼太郎が邪悪な妖怪たちに闘いをいどんでいくアニメ第3期『ゲゲゲの鬼太郎』(1985年10月~88年3月 全115話)だったというわけなのです! うひょお~。
いやーもう、この第3期こそが! 私そうだいがリアルタイムで観て楽しんだ『ゲゲゲの鬼太郎』なんでございますよ。ただ、残念ながら本物のガキンチョだったために第3期のオリジナルヒロイン「天童ユメコちゃん」の魅力は全然わからなかった……修行が足りぬ。
前回シリーズの第2期から実に13年ぶりの復活となった第3期だったわけなのですが、純粋なる「水木しげる原作マンガの忠実なアニメ化」だった第1~2期と違って、第3期は多少複雑な作品設定となっています。
第3期は、「バブル期日本を舞台にした『ゲゲゲの鬼太郎』物語のアップデートリメイク」。
つまり、毎回起こる妖怪事件の大筋は原作と同じなのですが、妖怪が出現した背景や登場人物のキャラクター設定などに必ず1980年代当時の社会風潮が影響しているのです。たとえば、人間側の強引な土地開発のために妖怪が古くからの住みかを破壊されたとか、お受験戦争の毎日がイヤになった子ども達が妖怪の誘惑に負けて異世界にさらわれてしまうとか。
こういった感じで全エピソードが放映当時の事件に書き換えられているため、アニメ第3期は、前回に紹介した原作マンガ第1~7シリーズやアニメ1~2期の内容とはパラレルな関係にあります。それらの過去の作品と時間軸でつながっているということではないんですね。
今でも思い出しますね……第3期『ゲゲゲの鬼太郎』を目の当たりにした時の驚きといったら。
私は当時、幼稚園を出るか出ないかの幼児だったわけなのですが、おぼえたての日本語力を駆使してその日の新聞のテレビ欄をながめていたところ、夕方の項目に「(新)ゲゲゲの鬼太郎」とあるのを発見しました。アニメ第3期の初回放映日は1985年10月12日なのですが、私の暮らしていた実家は山形県なので、もしかしたらもうちょっとあとの日だったのかも知れません。
そのころから常に「講談社マガジンコミックス」版の『ゲゲゲの鬼太郎』をかたわらに置いており、レンタルビデオやTVの再放送でアニメ第1~2期の『鬼太郎』をビクビクしながら楽しんでいた私はてっきり、
「あぁ、またあの古いのの再放送をやるのかな。」
と思いこんでコタツに入りながら放送の時間を待っていたのですが、オープニングが流れだしたのを観てまぁ~ビックラこいた。
ダンツツダンッ! ひょお~チャラッチャーチャチャひょお~ダダツツダンッ、ひょお~チャラッチャーチャチャひょお~チャラララチャラララ、
「んゲッ、んゲッ、んゲッゲ~ゲんのっ、んゲェ~!!」
な、なんだ、このビート&気合い入りまくりのヴォーカルは!? こんな打ち込みシンセバリバリの『ゲゲゲの歌』は、今までかれこれ5年生きてきたが、聴いたことがねぇ!
また、オープニングアニメもカットバックがめまぐるしくてカッコイイ。明らかに過去のものではない、現代の高層ビル街を背景に雄々しくゲタをブッ飛ばす鬼太郎の勇姿を目撃して非常にドキドキしたのをおぼえています。
吉幾三の歌声といいスピーディな画面構成といい、かつてのすべてのイメージを一新したあのオープニングにはイチコロになっちゃったねぇ。
それに続いて始まった第1回の本編も、名エピソード『妖怪城』を現代にアレンジしたもので、マンガで前に読んだことがあるようでどこか新しい絶妙なバランス感覚には思わず「うむぅ……!」とうなってしまったことを記憶しています。幼稚園児だけど。
ところで今回は、そういった感じで大幅にリニューアルされたアニメ第3期にいく前に! それとシリーズ化をあらそう形で企画された「実写特撮ドラマ版『ゲゲゲの鬼太郎』」に登場した妖怪ぬらりひょんのことを紹介していきたいと思います。
今でこそしっかり定着している「鬼太郎=アニメ」イメージなのですが、実は1985年当時は、『ゲゲゲの鬼太郎』をもとにした新シリーズを始めるにあたって、制作会社の東映とそれを放映するフジテレビとのあいだで、「実写特撮ドラマ」にするか「アニメ」にするかの議論がなされていたというのです。
まぁ結局は、上のとおりにフジテレビの主張する「アニメ」化案に落ち着いたわけなのですが、「スーパー戦隊シリーズ」や「仮面ライダーシリーズ」を擁する日本特撮界の大看板・東映は当時、1982年の『宇宙刑事ギャバン』から続いていた「宇宙刑事シリーズ」を大ヒットさせており、その流れで、バトルヒーロー鬼太郎がゴテゴテの着ぐるみで立体化した悪の妖怪たちをビームサーベルみたいな武器や火薬系攻撃で退治していく(闘う場所は、もちろん採掘場!)アクションものとしての『ゲゲゲの鬼太郎』リメイクを推していたのです。
そうなってたら……どうなってたんでしょうね。まぁ、今みたいな幅広い「鬼太郎カルチャー」はおそらくできなかったでしょう。
ただ、ここで却下されたからといって「鬼太郎物語の実写化」がなくなったというわけではなく、東映は単発ドラマという形で、アニメ第3期にさきがけた1985年8月(アニメ放映開始の2ヶ月前)に、フジテレビの『月曜ドラマランド』(夜7時30分~9時)の中で実写バトルアクション版『ゲゲゲの鬼太郎』を制作することとなりました。『月曜ドラマランド』は先月の『おれがあいつであいつがおれで』特集にも出てきましたが、要するにおニャン子クラブなどの当時のアイドルタレントさんたちが出演するゆる~い感じの単発ドラマを毎週放送していくという番組枠でした。
ここで放映されたのが史上初の「実写版『ゲゲゲの鬼太郎』」だったわけなのですが、主人公の鬼太郎役を演じたのは子役俳優で、人形で立体化された目玉の親父役はアニメ版と同じ田の中勇。他のキャスティングとしては、ねずみ男役を若き日の竹中直人(29歳)、砂かけ婆役を「おしゃまんべ。」の由利徹(64歳)が演じたことでも有名な作品となっています。
この作品が「史上初の実写化」と同時に重要なのは、「悪の妖怪たちを率いるラスボスぬらりひょん」が史上初めて登場した作品だった、ということなのです!
以上のような経緯で、東映の「バトルヒーロー路線」の文法にのっとって制作された実写版のストーリーは完全なオリジナル展開で、脚本は『ルパン三世 カリオストロの城』を手がけたことで有名なアニメ・特撮界のベテラン山崎晴哉が担当しています。
そして、「バトルヒーローなら強力な悪役がいなきゃあねぇ。」ということで物語のラスボスとなったのが我らがぬらりひょん!
実写版での彼は、ふだんは人間のセクシーな美女(演・夏樹陽子 32歳)に変身して進学塾「ぬらり塾」を経営しており、通ってくる子どもを洗脳して人間界の侵略をねらう凶悪妖怪に設定されています。前回は「校長」だったし、教育関係が得意なのか?
と同時に、ぬらりひょんは「吸血鬼エリート(演・佐渡稔)」「おっかむろ(大首)」「あみきり」「見越し入道」といった強豪妖怪も使役しており、まさしく「妖怪の親玉」としての面目をかちえています。
そういった悪事が鬼太郎に露見したあと、ぬらりひょんは本来の「和服にヘンな頭」の正体をあらわすわけなのですが、この作品ではまさにバトルアクションもののボスキャラといった感じで、おじいちゃんとは思えない身のこなしで激しい殺陣をズビズバこなしながら日本刀から怪光線をビカビカ撃ちまくって鬼太郎と激闘を展開する若々しさを見せてくれています。正体を現した時のぬらりひょんの声を演じたのは、壮年の悪人の危険さのただよう桑原たけし(48歳)でした。カッコイイ。
この作品でのぬらりひょんは、その頃に水木しげるによってイラスト化された「ニヤリとほくそ笑みながら民家に入ってくる、ダンディで怖い面構えのぬらりひょん」を忠実に立体化した特殊メイク造型で、かつて基本的にどの作品にでも反映されていた鳥山石燕の『画図百鬼夜行』でのニヘラ~っとした緊張感のない「ぬうりひょん」とはまるで似ても似つかない風格を持っています。実は、ここで登場した「ダークぬらりひょん」こそが現在に伝わっているぬらりひょんイメージの中心をなすものなんですよねぇ。
このように、アニメ第3期に先行して「勧善懲悪もの」設定を導入した『月曜ドラマランド』版で、水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』の世界観とはまっっっったく関係のない文脈によって「悪の親玉」として復活してしまった妖怪ぬらりひょん。
21世紀の現在にいたる「妖怪総大将ぬらりひょん」の本当のサクセスストーリーはここから始まった!!
次回はいよいよ、そんな実写版初代ぬらりひょんのイメージを継承して、満を持して登場したアニメ第3期版のぬらりひょんのご登場だ~い。
あれ、最初だけ、声が青野武さんじゃない……