長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

金田一耕助に帰ってきてほしいオレの事件簿  Vol. YOKI (よき)

2012年05月17日 15時18分45秒 | ミステリーまわり
 いや~、すっかりあったかくなりまして……っていうか暑い!? どもども、そうだいです~。
 今日も夜から天気が崩れるっていう話なんですけど、今のところはそんな気配はありませんなぁ。

 でも、たぶん明日は涙雨なんだろうねぇ……

 明日……武道館には行ってみるけどさぁ。ムリだろうなぁ~!!
 今回はなんと、ライヴビューイングも全国各地の映画館で同時開催されるということでね。私の近場では東京の「新宿バルト9」と、わが『長岡京エイリアン』でもすっかりおなじみの桜木町「ブルク13」の2つでやるらしいんですが、すでに新宿バルト9のチケットは完売してしまっているようです。ライヴビューイングでさえチケット入手が困難なんだぜ!? まいったねぇ~コリャ。

 たぶん、今から大急ぎでチケットぴあに申し込んだら、気心の知れたブルク13で、安心して表情が大スクリーンいっぱいに映し出された新垣リーダーや光井さんの晴れ姿が観られるんだと思います。いっぽう、万が一の奇跡が起きて明日、日本武道館の中に入ることができたのだとしても、おそらく相当厳しい鑑賞条件になるであろうことは間違いありません。どっちが快適かっつったら、そりゃあ絶対にライヴビューイングのほうです。

 でも!! 私は明日、日本武道館に行きます。映画館に行く方々もまごうことなき熱い血潮の流れるファンであることは申すまでもないわけなのですが、私はやっぱり、満足にコンサートの内容が楽しめなかったとしても、一瞬だけだったとしても、その場の空気だけは体感して自分のこれからの糧にしていきたいのです。

 と、まぁ、鼻息だけは荒いのですが、たぶん、結局は明日お昼すぎくらいに泣き顔でぴあの窓口に駆け込んで、「ブルク13の座席、あいてますか!?」って訴えることになるんじゃないっすか。
 いいよいいよ、最終的にはどっちつかずのアイウォンチュウになって帰宅することになってもいいっすよ。チャレンジできただけよかったんだから。でもTシャツくらいは買ってこか。


 さてさて、こんな感じの出だしから始まる今回のお話は、予告の通りの映画『星砂の島、私の島』についてのつれづれ……

では、ありません!!

 大変申し訳ないっす。実は今月あたまの「短観」でもちょっとだけ触れた、自分の中での「横溝正史ブーム」がだいぶ昂じてきてしまいましたので、ここから数回は島は島でも「かわいいアイドルがいる星砂の島」ではなく、

「あやしげな美人がいる獄門島とか悪霊島(星砂はないけどホシは必ずいる)」

 のほうが出てくる話題にしたいと思います。どんよりどよどよ、梅雨っぽくっていいねぇ!


 突然ですがみなさん、ここ数年、はかま姿にお釜帽、モジャモジャ頭にゲタばきの名探偵「金田一耕助」のメディア露出がとんとなくなっていることについて、どう思いますか? 私は大変に憂慮しております。

 しかし、昨今の TV放送事情では、かつての大ブームの中でしょっちゅう見られたような「血しぶきドバー! 生首ごろりん☆」的な描写がなかなかしづらくなっているという状況も無視できないようで、これもまぁ仕方のないことなのか、という気にもなってしまいます。

 こんな今だからこそ、あの園子温監督の『冷たい熱帯魚』のように、映画の世界が単にグロテスクなだけでなく、犯罪という手段を選ばざるをえない人間の業を活写した横溝正史ワールドを積極的に再発見していく時代なのではないかと思うのですが、私個人としては誰よりもいちばん金田一耕助ものを手がけてほしかった森田芳光監督も去年に彼岸に旅立たれてしまったし。

 そういった状況でいいかげんに私の中での「金田一耕助成分」も欠乏してきてしまいましたので、ここらでひとつ、今までの長い歴史の中で映画、 TVドラマ、ラジオドラマ、舞台などといった別の世界で「3次元の姿を獲得した金田一耕助もの作品」を、自分でざざーっと整理してながめてみたいと思います。ザッツ・個人ブログ!! いえ~。

 ルールとしては、ジャンルを問わず時期の早い順に一律に並べております。
 そのため、「映画と TVドラマだけ」というしばりになっていることの多い先行資料の中で規定されている「~代目・金田一耕助」とはナンバリングが大きくズレている役者さんも出てくるかと思うのですが、ラジオドラマや舞台などもあわせた結果ですのでご了解ください。

 あと、「舞台の中での金田一耕助」なのですが、ここでは「一般に認知度の高い役者さんが演じている場合」のみを採用しています。もっとぶっちゃけて言ってしまえば、「私そうだいが知らない役者さん」は挙げません。それだけ舞台は記録が残りにくい生ものですし、「小説の舞台化」というよりは「小説の各シーンをつまんでリミックスした舞台」もあるので、横溝正史が決して忘れることのなかった「謎解き」を旨としているかどうかという点では、小説を純粋に3次元化したとはいえない作品も多いからです。忠実かどうかは別としても、映画やドラマはやっぱり観客を「謎」で引っぱろうとする態度ははずしていませんからね。そういう意味ではどんなにヒドい出来でも、やっぱり横溝印はついてるわけですよ。

 んじゃあ、ちゃっちゃといっちゃおうぜぇ~!
 オール金田一耕助大行進の前半戦、カウントぉ~、ダウンっ。


これで全部ですか!? 金田一耕助ものメディア化作品リスト・草創期 ~1940年代から70年代初頭~


映画『三本指の男』(1947年12月公開 監督・松田定次 東映)
 初代・金田一耕助   …… 片岡 千恵蔵(44歳 1983年没)
 初代・磯川常次郎警部 …… 宮口 精二(34歳 1985年没)
 初代・白木静子    …… 原 節子(27歳)
 金田一耕助もの第1作『本陣殺人事件』(1946年4~12月連載)の初映像化
 ※白木静子は東映版オリジナルの金田一耕助の助手(同名の人物は原作小説の『本陣殺人事件』のみに登場している)

映画『獄門島(前篇)』『獄門島 解明篇』(1949年11・12月公開 監督・松田定次 東映)
 初代・金田一耕助    …… 片岡 千恵蔵(46歳)
 2代目・磯川常次郎警部 …… 大友 柳太郎(37歳 1985年没)
 2代目・白木静子    …… 喜多川 千鶴(18歳 1997年没)
 金田一耕助もの長編『獄門島』(1947年1月~48年10月連載)の初映像化

映画『八ツ墓村』(1951年11月公開 監督・松田定次 東映)
 初代・金田一耕助    …… 片岡 千恵蔵(48歳)
 2代目・磯川常次郎警部 …… 大友 柳太郎(39歳)
 3代目・白木静子    …… 相馬 千恵子(29歳)
 金田一耕助もの長編『八つ墓村』(1949年3月~51年1月連載)の初映像化
 ※『八つ墓村』は金田一耕助ものの中で最も映像化回数の多い作品(9回)

映画『毒蛇島綺談 女王蜂』(1952年2月公開 監督・田中重雄 大映)
 2代目・金田一耕助    …… 岡 譲二(50歳 1970年没)
 金田一耕助もの長編『女王蜂』(1951年6月~52年5月連載)の初映像化
 ※2代目金田一役の岡譲二は2年後に初代等々力警部役も演じている

映画『悪魔が来りて笛を吹く』(1954年4月公開 監督・松田定次 東映)
 初代・金田一耕助   …… 片岡 千恵蔵(51歳)
 初代・等々力大志警部 …… 岡 譲二(52歳)
 4代目・白木静子   …… 千原 しのぶ(23歳 2009年没)
 金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』(1951年11月~53年11月連載)の初映像化

映画『犬神家の謎 悪魔は踊る』(1954年8月公開 監督・渡辺邦男 東映)
 初代・金田一耕助 …… 片岡 千恵蔵(51歳)
 初代・橘警察署長 …… 進藤 英太郎(55歳 1977年没)
 2代目・白木静子 …… 喜多川 千鶴(23歳)
 金田一耕助もの長編『犬神家の一族』(1950年1月~51年5月連載)の初映像化
 ※『犬神家の一族』は『八つ墓村』に次いで映像化が多い金田一耕助もの作品(8回)

映画『幽霊男』(1954年10月公開 監督・小田基義 東宝)
 3代目・金田一耕助   …… 河津 清三郎(46歳 1983年没)
 2代目・等々力大志警部 …… 清水 元(47歳 1972年没)
 金田一耕助もの長編『幽霊男』(1954年1~10月連載)の唯一の映像化
 
映画『三つ首塔』(1956年4月公開 監督・小林恒夫と小沢茂弘の共同 東映)
 初代・金田一耕助    …… 片岡 千恵蔵(53歳)
 3代目・等々力大志警部 …… 佐々木 孝丸(58歳 1986年没)
 5代目・白木静子    …… 高千穂 ひづる(23歳)
 金田一耕助もの長編『三つ首塔』(1955年1~12月連載)の初映像化
 ※初代金田一・片岡千恵蔵の最後の事件

映画『吸血蛾』(1956年4月公開 監督・中川信夫 東宝)
 4代目・金田一耕助   …… 池部 良(38歳 2010年没)
 4代目・等々力大志警部 …… 小堀 明男(?歳)
 金田一耕助もの長編『吸血蛾』(1955年1~12月連載)の初映像化

TVドラマシリーズ『月曜日の秘密』(1957年2~4月 全11話 日本テレビ)
 2代目・金田一耕助 …… 岡 譲二(55歳)
 全11話中、8話が TVオリジナル脚本だった
・第4話『霧の中の女』(3月放送、1957年1月連載の短編が原作)
・第7話『泥の中の顔』(3月放送、1957年2~3月連載の短編『泥の中の女』が原作)
・最終話『カバンの中の女』(4月放送、1957年4月連載の短編『鞄の中の女』が原作)
 ※金田一耕助もの初の TVドラマシリーズ
 ※2代目金田一・岡譲二の最後の事件

ラジオドラマシリーズ『金田一耕助探偵物語』(1957年11月~58年?月 全9話 ニッポン放送)
 5代目・金田一耕助 …… 高塔 正翁(?歳 声優)
・第1話『獄門岩』(1957年11~12月放送、1955年5月掲載の短編『首』が原作)
・第2話『悪魔のクリスマス』(1957年12月放送、1957年12月掲載の短編版『悪魔の降誕祭』が原作)
・第3話『花園の黒蝶』(1958年1月放送、1954年2月掲載の短編『花園の悪魔』が原作)
・第4話『廃屋の鬼』(1958年1~2月放送、1955年6月掲載の短編『廃園の鬼』が原作)
・第5話『カルメンの死』(1958年2~3月放送、1950年1~3月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」最後の中編を金田一耕助ものに改変)
・第6話『黒百合姫』(1958年3月放送、1948年1~3月連載の中編『黒蘭姫』が原作)
・第7話『黒猫亭事件』(1958年3~4月放送、1947年12月掲載の中編『黒猫亭事件』が原作)
・第8話『壺を持つ女』(1958年4月放送、1958年3月連載の短編『柩の中の女』が原作)
・最終話『扉の中の女』(1958年5月放送、1957年12月掲載の短編版『扉の影の女』が原作)
 ※金田一耕助もの初のラジオドラマシリーズ
 ※横溝正史の「由利麟太郎もの」が金田一耕助ものに改変された初のケース

映画『悪魔の手毬唄』(1961年11月公開 監督・渡辺邦男 東映)
 6代目・金田一耕助   …… 高倉 健(30歳)
 3代目・磯川常次郎警部 …… 神田 隆(43歳 1986年没)
 6代目・白木静子    …… 北原 しげみ(?歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』(1957年8~59年1月連載)の初映像化
 ※健さんは2012年5月現在にご存命の方々の中では最長老の金田一耕助! でもまるで金田一らしくないシティボーイ
 ※金田一耕助の助手としての白木静子が登場するのは本作が最後だが、その後も似たような「女性の助手」はたま~に復活する

単発ドラマ『白と黒』(1962年11月放送 テレビ朝日)
 7代目・金田一耕助   …… 船山 裕二(33歳)
 5代目・等々力大志警部 …… 須藤 健(46歳)
 金田一耕助もの長編『白と黒』(1960年11~61年10月連載)の唯一の映像化
 ※金田一耕助もの初の単発ドラマだったが、1時間の内容に短縮されている

ラジオドラマ『支那扇の女』(1964年2月放送 NHK第1)
 8代目・金田一耕助   …… 北村 和夫(37歳 2007年没)
 6代目・等々力大志警部 …… 北見 治一(43歳)
 金田一耕助もの長編『支那扇の女』(1960年7月書き下ろし)の唯一のメディア化

単発ドラマ『八つ墓村』(1969年10月放送 テレビ朝日)
 9代目・金田一耕助   …… 金内 吉男(36歳 1992年没)
 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の2度目の映像化だが1時間に短縮されていたらしい。できんの!?

まさに不遇時代!! 金田一耕助が登場しない金田一耕助もの
連続ドラマ『蒼いけものたち』(1970年8~9月放送 日本テレビ『火曜日の女』枠)
 金田一耕助もの長編『犬神家の一族』の2度目の映像化
連続ドラマ『おんな友だち』(1971年6~7月放送 日本テレビ『火曜日の女』枠)
 金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の2度目の映像化
連続ドラマ『八つ墓村』(1971年8月放送 NHK総合『銀河ドラマ』枠)
 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の3度目の映像化
連続ドラマ『いとこ同志』(1972年8~9月放送 日本テレビ『火曜日の女』枠)
 金田一耕助もの長編『三つ首塔』の2度目の映像化


 はいは~い、いったんスト~ップ。あ~疲れた。

 どうですか、みなさん……

 えっ? 観たことのある金田一耕助がひとりもいない!? 石坂さんや一行さんはまだなのかって!?

 そうなんですよ。この戦後間もない「第1期横溝正史ブーム」はどうやら、私たちが現在認知している「名探偵・金田一耕助」のイメージとは、直接リンクしているとはなかなか言いがたいものがあるようなんです。もうこの時点で9人も出てきてるんですけど!?

 でも、すでにだいたいの「横溝正史といえばコレ!」という定番タイトルはこの時期に出そろっていますね。『八つ墓村』なんか3回やっちゃってるよ。
 なにかと記憶に残りやすい金田一耕助像の影に隠れてしまいがちですが、このへんの尋常じゃない勢いを見てもおわかりのように、なんといってもこのブームの根幹を成しているのは、「探偵小説の鬼」と呼ばれた小説家・横溝正史の尽きることのない作品アイデアと執筆スピードの速さ、この2つの奇跡的な両立なのです。キャラの立った名探偵が出てくればいいってもんじゃないんですよ。


 っつうことで、こんな第1期に関するつれづれと、みなさんご存知の金田一耕助が総登場する第2期については、また次のココロにしたいと思います~。

 と言っても、たぶん次回はこの続きじゃなくなっちゃうだろうな……

 え、なんでかって? そりゃあんた、運命の「5月18日」が近づいてるからに決まってるでしょうがァ!!


 ひえ~横溝先生、こんな中途半端な時期に話題を始めちゃって、まことにあいすみません~。
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