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ドイツ、ハマスの国内活動を禁止 反ユダヤ主義に措置

2023-11-03 13:50:05 | 中東情勢・基礎知識・歴史・問題・真実


2日、ハマスの活動禁止を説明するフェーザー内相(ベルリン)=DPA・AP

 

 

【ベルリン=南毅郎】

ドイツのフェーザー内相は2日、イスラム組織ハマスと親パレスチナ団体サミドゥンの活動をドイツ国内で禁止したと発表した。

イスラエルに大規模攻撃をしかけたハマスの活動は刑法に違反し、憲法に相当する基本法で掲げた国際協調の理念に反すると判断した。反ユダヤ主義の取り締まりを強化する。


フェーザー氏は声明で「イスラエル国家の壊滅を目的とするテロ組織の活動を完全に禁止した」と強調した。独メディアによると財産を没収するほか、SNS(交流サイト)での活動も全面的に禁止する。さらに活動を続ければ処罰する構えだ。

サミドゥンに対しては、ドイツの関連団体を解散させる方針だ。10月にハマスがイスラエルへの大規模な攻撃をしかけた際、ベルリンで菓子を配るなどして襲撃を称賛していた。ドイツ政府は外国人との共存を危険にさらし、暴力の行使を支持した点を問題視した。


ドイツ政府はイスラエル支持を前面に打ち出している。第2次世界大戦でユダヤ系住民を虐殺した負の歴史から贖罪(しょくざい)意識が強く、ショルツ首相は「反ユダヤ主義の居場所はドイツにはない」と訴えていた。

ドイツ国内ではユダヤ人が暮らすとみられる家の玄関にユダヤ教の象徴「ダビデの星」が落書きされるなど差別的な事件も起きている。イスラエルでハマスにより拉致された民間人にはドイツ人も含まれており、ドイツ社会で衝撃が広がっている。




日経記事 023.11.02より引用

 

 

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(関連情報)

 

・ロスチャイルド財閥ー232  イスラエル リクード政党とベニヤミン・ネタニヤフhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ee5fdc58baa8d5f63a3020e55ae772c8

・ロスチャイルド財閥-230 アメリカを操るイスラエルロビー・AIPAChttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a2d3149aa6cb24348d3a333e9f2f41d2

・ロスチャルド財閥ー229  裏の国際会議=ビルダーバーグhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/4ce778f31927e7814c7591c08096bec0

・ロスチャイルド財閥ー226 アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)とネオコンhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1c331c20783eeefd8d826780a5d38106

・【ルポ】 赤ちゃんも犠牲に、イスラエル国境の集落 ハマス戦闘員が民間人を虐殺https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b9d66a36cd0319a40f66b9bf83d84e7f

・総資産6000億円 ハマスのトップ「5つ星豪華生活」 優雅な“安全圏”から攻撃見守る?https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f4088fe86c47e4da3774322e6e67a5a6

 

 


チンパンジーが教えてくれる、健康な老後の生き方 「チンパンジーはコレステロール値が高い」はウソだった

2023-11-03 00:42:48 | 動植物全般・恐竜・動物・昆虫・魚類・植物

野生や野生に近い環境のサンクチュアリで暮らすチンパンジーは、飼育下のチンパンジーと異なって生涯活発に動くため、健康的に年を重ねることができるようだ。(PHOTOGRAPH BY RONAN DONOVAN)
野生や野生に近い環境のサンクチュアリで暮らすチンパンジーは、飼育下のチンパンジーと
異なって生涯活発に動くため、健康的に年を重ねることができるようだ。



 

 

 

骨や筋肉は「使うか、失うか」

最近、世界で最もよく知られている類人猿の個体群のひとつから、同様の知見が得られた。

ルワンダ北西部の火山国立公園に生息するマウンテンゴリラは、1967年にダイアン・フォッシーが研究を開始して以来、研究対象となっている。


その初期から、自然死した野生ゴリラの遺体は、腐肉を食べる動物から守るための特別な檻に入れて埋葬され、将来の研究のために安全に保管されてきた。

2008年からは、ナショナル ジオグラフィック協会がこの遺骨の回収と研究を支援している。(参考記事:「ダイアン・フォッシー:彼女が愛し、守ったゴリラたち」


「100体をゆうに超える、すばらしい骨格のコレクションです」と、米ジョンズ・ホプキンス大学の解剖学者、クリストファー・ラフ氏は語る。これらを調べることで、ゴリラの骨が人間のように年齢とともに弱くなるかどうかを知ることができる。

ラフ氏らは最近の研究で、加齢によって骨の強度が低下する骨粗しょう症の兆候を調べたところ、ゴリラの骨においても人間と同じように空洞が広がっていくものの、加齢によって骨の強度が低下することはなく、骨折もまれであることを発見した。


 ゴリラがカルシウムを多く含む植物をよく食べることも理由の一つかもしれないが、最も重要な要因は、やはり身体活動だとラフ氏は考えている。

マウンテンゴリラは1日に何時間も座って食事をする。それをテレビで見る私たちも、そのとき、同じように座って何かを食べているかもしれない。しかし、マウンテンゴリラが私たちと違うのは、この地域の特徴である急な斜面を上り下りし、たっぷりと運動をしているということだ。


 これは非常に重要な点だとラフ氏は言う。骨は受ける力に応じて常に作り変えられているからだ。骨や筋肉は機械部品とは違って、使えば再編成や修復が行われ、使わなければ故障した状態になってしまう。「使うか、失うか、そのどちらかなのです」とラフ氏は話す。



引退して若返る

これは、言い換えれば、運動量を増やすことで弱った体を回復させることができるということであり、新型コロナによるロックダウンのための不摂生から抜け出したい私たちにとっても、良いニュースだと言える。

参考ギャラリー:引退した実験用チンパンジーたちの静かな「余生」 写真6点(画像クリックでギャラリーへ)


参考ギャラリー:引退した実験用チンパンジーたちの静かな「余生」 写真6点(画像クリックでギャラリーへ)
米ルイジアナ州にある全米チンパンジーサンクチュアリ、通称「チンプ・ヘイブン」
では、引退した実験用のチンパンジーが余生を送っている。




幸いなことに、元実験用チンパンジーたちの多くも、老化した筋肉を再び働かせる機会を得ている。

米ルイジアナ州キースビルに2005年に設立されたサンクチュアリ「チンプ・ヘイブン」には、NIHが資金提供した研究所から何百頭ものチンパンジーが移され、実験を引退した彼らが動き回れるような広いスペースが確保されている。(参考記事:「研究室に行ってみた。京都大学野生動物研究センター 熊本サンクチュアリ」



ここでは侵襲的な研究が一切禁止されており、チンパンジーの研究を希望する科学者には厳しい条件が課せられている。

承認されているのは、高齢のチンパンジーの認知、運動能力、細菌叢など、観察を主とする研究だ。これらの研究の中には、将来、人間の健康に役立つものもあるかもしれない。しかし、現在サンクチュアリが優先するのは何よりも、チンパンジーたちの幸福な生活である。


文=TIM VERNIMMEN/訳=桜木敬子

 

 

日経記事  2021.07.14より引用
 
 
 

 


チンパンジーも閉経する、ヒト以外の霊長類で初の報告 「おばあちゃん」の役割は不明、ウガンダ、キバレ国立公園の群れ

2023-11-03 00:19:47 | 動植物全般・恐竜・動物・昆虫・魚類・植物

ウガンダのキバレ国立公園のチンパンジー。新たな研究により、チンパンジーはメスが繁殖期を過ぎて長生きする数少ない種の1つであることが確認された。(PHOTOGRAPH BY KEVIN LANGERGRABER, ARIZONA STATE UNIVERSITY)
ウガンダのキバレ国立公園のチンパンジー。新たな研究により、チンパンジーは
メスが繁殖期を過ぎて長生きする数少ない種の1つであることが確認された。

 



メスが生殖期を過ぎて長生きする動物はとても少ない。閉経後まで長生きすることが知られているヒト以外の動物は、シャチ、コビレゴンドウ、イッカク、シロイルカ、オキゴンドウなど、片手で数えられるほどしかいない。

いわば「おばあちゃんクラブ」は少数精鋭なのだ。(参考記事:「シャチが閉経後に長生きするのは「孫のため」」


 けれども今回、画期的な研究が行われ、少なくとも1つのチンパンジーの集団が「おばあちゃんクラブ」のメンバーであることが、10月27日付けの学術誌「サイエンス」に発表された。

この発見は、ウガンダのキバレ国立公園に生息する野生のチンパンジー集団「ンゴゴ・コミュニティー」を21年にわたって観察し、大量の尿を分析することで成し遂げられた。(参考記事:「実はこんなに人間的なチンパンジーの母親、3つの研究成果」


 チンパンジーの尿は樹の先端から採取した。「先端がきれいなY字型になっている若木を折って、薄いビニール袋をかけるだけです」と、米アリゾナ州立大学の霊長類学者で、論文の最終著者であるケビン・ランガーグレイバー氏は言い、「あとはあまり飛び散らないことを祈るだけです」と笑う。

 
 

説明は滑稽に聞こえるかもしれないが、彼らは大真面目だ。研究チームはンゴゴの集団のおとなに達した14~67歳までの66頭のメスのチンパンジーの尿を調べ、50歳に近づく頃からホルモンレベルが変化し、閉経していることを確認した。興味深いことに、50歳は人間の女性の多くが閉経する年齢でもある。

ランガーグレイバー氏や他の霊長類学者たちは、長年、人間の女性には閉経があるのに、近縁な霊長類に閉経がないのはなぜなのか、不思議に思っていた。


「パズルのピースがついにはまったことは、本当にクールです」と、英セントアンドリューズ大学の霊長類学者で、ウガンダのブドンゴ中央森林保護区でチンパンジーの研究を行っているキャサリン・ホベイター氏は言う。なお、氏は今回の研究には参加していない。

 

なぜこれまでわからなかった?

チンパンジーにも閉経があることが確認されるのに、これほど時間がかかったのはなぜだろう? 端的に言えば、チンパンジーは長生きなうえ、大型の野生動物を傷つけずに体のしくみを研究するのが難しいからだ。(参考記事:「チンパンジーが教えてくれる、健康な老後の生き方」

しかし、1993年に始まったンゴゴ・チンパンジー・プロジェクトの長さと、体に負担をかけずに尿を採取する手法は、研究チームに自信を与えた。


今回の研究で、高齢のメスのチンパンジーでは中年の女性と同じように内分泌系の変化が起きていることが確認された。

具体的には、妊娠の準備をさせる女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)のレベルは下がり、女性ホルモンの分泌を促し、更年期障害で過剰に分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)のレベルは上がっていた。(参考記事:「更年期の女性の体に起きること、科学の力で全容が見えてきた」「月経異常・多毛・肥満などを伴う「PCOS」、5つの誤解をあばく」



しかしランガーグレイバー氏は、ンゴゴのチンパンジー集団は例外的な存在かもしれないと釘を刺す。


 なぜなら彼らは、資源が豊富で、保護が行き届き、主な捕食者であるヒョウがいない、キバレ国立公園という楽園に住んでいるからだ。

さらにンゴゴの集団は公園の真ん中で暮らしているため、人間と接触するおそれもない。公園の端の方で暮らすチンパンジーは、人間の病原体に感染して大きな被害を受けている。


裏を返せば、かつてはすべてのチンパンジー集団が、今日のンゴゴの集団のような比較的豊かな生活を送っていのに、人間がチンパンジーに圧力をかけたせいで、閉経を迎えるほど長生きすることができなくなったとも言える。



もちろん、答えはその中間にある可能性もある、とランガーグレイバー氏は言う。



孫の育成には関与せず、進化的な価値は謎

もう1つの興味深い疑問は、おばあちゃんチンパンジーに進化的に特別な価値はあるのだろうかという点だ。

 研究者たちはヒトの研究から、祖母が生きているおかげで、孫はより多くの食べ物を与えられ、より多くの世話を受けられるため、祖母の存在が孫に恩恵をもたらすことを明らかにしている。


科学者たちはアジアゾウやシャチでも「おばあちゃん効果」の存在を確認している。(参考記事:「閉経した母親が守るのは息子だけ、シャチで判明、娘や孫は守らず」


今回の研究チームを率いた米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の進化人類学者であるブライアン・ウッド氏は、チンパンジーの社会はヒトの社会とは大きく異なるため、答えはまだわからないと言う。

 例えば、チンパンジーは一夫一婦制ではなく乱婚制で、母親は自分の子どもの世話しかしない。メスのチンパンジーは、成熟すると新しいコミュニティーを探すために出て行き、オスは生まれた地域にとどまる。



つまり、ヒトやシャチのおばあちゃんとは違い、おばあちゃんチンパンジーは自分の孫を知らない可能性が高いのだ。


「だからといって、おばあちゃんチンパンジーが何の役にも立っていないということにはなりません」とウッド氏は言う。「その点を明らかにするのが今後の課題になります」

 日々の競争はチンパンジーの生活の一部だが、ホベイター氏は、ブドンゴの集団では高齢のメスがこうした競争から身を引いているのを目撃している。


しかし、彼女たちは今でも威信と尊敬を集めているようだ。「ナンビ」と呼ばれる高齢のメスのチンパンジーは、おそらく60年以上ブドンゴに暮らしており、ホベイター氏は、彼女がグループの先頭に立って決断を下す場面を何度か目撃している。

「彼女が森で見てきたもの、彼女が経験してきた季節、彼女が訪れた森の中のさまざまな場所、彼女と隣人との交流に関する知識は、貴重な財産として子孫に受け継がれてゆくのです」




ギャラリー:チンパンジーにおびえる日々 写真と図解8点(写真クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:チンパンジーにおびえる日々 
写真と図解8点(写真クリックでギャラリーページへ)


ウガンダ西部のキャマジャカ村で、空き家の窓に映る自分たちの姿を見つめるチンパンジーの群れ。
この家に住んでいたセマタ家の息子は2014年7月にチンパンジーに殺され、一家は村を去った。



文=JASON BITTEL/訳=三枝小夜子

 

 

日経記事 2023.10.27より引用

 

 

 


シャチが閉経後に長生きするのは「孫のため」 孫378頭の一生を分析、シャチにも「おばあちゃん効果」、研究

2023-11-03 00:00:13 | 動植物全般・恐竜・動物・昆虫・魚類・植物

北米の太平洋岸北西部で水面に顔を出すシャチの群れ。シャチは、群れで協力し合って狩りをする。(PHOTOGRAPH BY KENNETH BALCOMB, CENTER FOR WHALE RESEARCH)
北米の太平洋岸北西部で水面に顔を出すシャチの群れ。シャチは、群れで協力し合って狩りをする。

 

シャチは、メスが閉経する数少ない哺乳類の1つだ。ヒトも閉経するため、あまり疑問を感じないかもしれない。だが、死ぬ前に繁殖機能を失う閉経は、より多くの子孫を残すほうが有利という進化的な観点と矛盾するため、大きな謎とされてきた。(参考記事:「シャチに更年期? 閉経するまれな動物」

 新たな研究によって、シャチのこの謎の一端が解明された。おばあちゃんシャチがいると、孫の生存率がぐっと上がるという。

 太平洋岸北西部で数十年にわたってシャチの群れを分析してきた科学者が、おばあちゃんと一緒にいる孫の方が、そうではないシャチよりも生き延びる確率が高いことを突き止めた。さらに、おばあちゃんシャチが死ぬと、その後2年間は孫の死亡率が大幅に上がることもわかった。シャチは母系集団を形成するので、食料源などの重要な情報を持つ高齢のメスが、群れの生死を左右しているのかもしれない。(参考記事:「動物大図鑑 シャチ」

 今回の研究結果は、学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に12月9日付けで発表された。「閉経したおばあちゃんシャチの死は、群れにとって大打撃なのです。

そのため、今回の研究は保護のための重要なツールになります」と、英ヨーク大学の進化生物学者で、論文の著者の1人であるダン・フランクス氏は述べている。

 

「知識とリーダーシップを持つおばあちゃんシャチの存在は、子どもにとって大きいのでしょう。環境が厳しいときは特にそうです」とフランクス氏は言う。(参考記事:「【動画】幻のシャチは新種となるか、調査に成功」

シャチは、最大40頭ほどの固く団結した群れを形成し、極地から赤道近くまでの広い範囲に生息している。肉食性で、場所によって魚からクジラまでさまざまな獲物を食べ、狩りを行うときは群れで協力し合う。通常は、オスもメスも生まれた群れの中で一生を過ごすが、近親交配を避けるため、繁殖相手は群れの外から探す。


また、シャチのメスは40歳くらいになると繁殖を行わなくなるが、90歳くらいまで生きる。一方、オスの寿命は50歳ほどだ。(参考記事:「【動画】シャチが集団で巨大クジラに体当たり」

 
 

国際自然保護連合(IUCN)はシャチを「データ不足」に分類し、絶滅リスクの評価が難しいとしている。しかし、もっとも研究が進んでいる太平洋岸北西部を含め、シャチの生息数は減少傾向にある。

主な原因は、有毒化学物質であるPCB、主な獲物であるキングサーモン(マスノスケ)の減少、そして船舶による騒音被害という3つの問題だ。(参考記事:「シャチを脅かす亡霊、禁止された有毒化学物質」「シャチを悩ませる船の騒音問題」

「これはとても重要な研究です」と、米ワシントンD.C.にあるジョージタウン大学の動物行動学者のジャネット・マン氏は言う。「ですが、おばあちゃんシャチの役割の一端を解き明かしたに過ぎません」。なお氏は今回の研究に関わっていない。


「おばあちゃん効果」とは

ヒトの女性の閉経は、長いこと科学者たちの興味を引いてきた。通常、女性の平均寿命は男性よりも長い。しかし、女性は子どもを産まなくなってから何十年も生きる一方、男性は死の直前まで子どもをもうけられる。

 

参考ギャラリー:賢いハンター、シャチの写真13点(画像クリックでギャラリーへ)

参考ギャラリー:賢いハンター、シャチの写真13点(画像クリックでギャラリーへ)
深海でニシンの群れを駆り立てるシャチ(ノルウェー、アンフィヨルド)

 

「男性に閉経はありません。最後まで、多少の精子が存在します」とマン氏は言う。(参考記事:「ヒトの精子の動き、初の3D追跡」

進化という観点で見れば、これは筋が通っている。一方で、繁殖能力を失ってから数十年ほど生きるのは腑に落ちないとマン氏は話す。自然選択を考えるなら、女性も子孫をできるだけ多く残す方が有利なはずだ。

進化生物学者たちは、このジレンマを説明する仮説をいくつも立ててきた。その1つに、閉経が起これば、祖母と母がそれぞれの子どもを養うために稀少な食料をめぐって争うことを避けられるというものがある。



年をとってから子どもを産むことは、その母子にとって危険なうえ、すでに生まれている子どもにまで危険が及ぶことにもなる。(参考記事:「初めて野生に戻されたシャチ、母親に」

 そこで登場するのが、「おばあちゃん仮説」だ。米国の人類学者であるクリスティン・ホークス氏による、現在もタンザニアで狩猟や採集をして暮らすハッザ族の研究などで、広く知られるようになった。


これによると、おばあちゃんが食料の確保や子守りなどを助けることで、孫の生存率が大幅に向上する。(参考記事:「特集ハッザ族 太古の暮らしを守る」

 この説は、多くの研究に支持されている。その一例が、産業革命前の時代に生きたフィンランド人とカナダ人のデータを2004年に分析したものだ。


そこでも、おばあちゃんがいる孫の方が、成人になるまで生存する割合がはるかに高かった。(参考記事:「骨から探る人類史~思いやりの心を未来の子孫に向ける」



40年分以上のデータを分析

 ヒトを対象にした研究に触発され、フランクス氏らは同じことがシャチにも当てはまるかどうかを調べることにした。

そして、米国のワシントン州とカナダのブリティッシュコロンビア州の沿岸に生息する2つのシャチの群れについて、出生や死亡など、さまざまな出来事を詳しく記録した40年分以上のデータを徹底的に分析した。


 合計で378頭の「孫」の生存率を分析した結果、閉経したおばあちゃんが死んだときと、孫がオスだったときに死亡リスクが大きくなることがわかった。フ

ランクス氏は、閉経後のシャチは孫に尽くせるので、おばあちゃんの死の影響はその分だけ大きくなるのだろうと述べる。オスの死亡率が高い原因は、よくわかっていない。


 また、獲物となる魚が少ないと、リスクが高くなることもわかった。そこから、食料不足のときほど、おばあちゃんの存在意義が高くなっている可能性がうかがえる。(参考記事:「【動画】ウミガメをもてあそぶシャチ、なぜ?」



「困ったときに食べものが得られる場所に群れを連れて行くのは、おばあちゃんたちであることがわかっています。また、つかまえた魚を若者たちと共有することもわかっています」とフランクス氏は言う。

「でも、それだけではないと考えています。おばあちゃんシャチの群れへの貢献について、まだ解明できることがあるはずです」(参考記事:「音波探知で好みのエサを見つけるシャチ」


マン氏は、太平洋岸北西部でシャチが減り続ければ、それを突き止めることはできなくなってしまうかもしれないと言う。

「私たちは、閉経が生じるメカニズムについて理解するチャンスを失いつつあります。その原因は、私たち自身の行動にあるのです」



ギャラリー:賢いハンター、シャチの写真13点(画像クリックでギャラリーへ)

ギャラリー:賢いハンター、シャチの写真13点(画像クリックでギャラリーへ)
シャチ(ノルウェー、アンフィヨルド)




文=CARRIE ARNOLD/訳=鈴木和博

 

 

 

日経記事 2019.12.11より引用