・ロスチャイルド財閥-268 残ったのはロンドン家とパリ家だけ
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・ロスチャイルド財閥-269 組織の近代化
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・ロスチャイルド財閥-270 カナダへの投資
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ロスチャイルド財閥-271 ロンドン・ロスチャイルド家の分裂(1/2)https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5af1c44d2906ae0a6780778dd870ab8b
からの続き
ジェイコブ・ロスチャイルド(Nathaniel Charles Jacob Rothschild、1936~)
第4代ロスチャイルド男爵。
ロンドン・ロスチャイルド家の現当主(6代目)として家全体を代表する1人。
嫡流にあたりますが、分家のエヴェリンが経営権を握るN・M・ロスチャイルド&サンズから独立し、RIT・キャピタル・パートナーズを創設して独自の金融業を行っています。
1990年にロスチャイルド男爵の爵位を継承し、1999年まで貴族院議員を務めました。
オックスフォード大学クライストチャーチ卒。
ジェイコブ・ロスチャイルドは、青年時代、ニューヨークのモルガン・スタンレー銀行で金融実務を学び、1963年からロスチャイルド父子銀行(NM Rothschild & Sons )に入り、若さに似合わない凄腕をふるって、たちまち頭角を現しました。
「銀行は単にお金を融通するだけでなく、顧客に知恵を提供して交易の発展のためと触媒とならなえればならない」 と考えるジェイコブは、子会社としてロスチャイルド投資信託銀行を設立して、その持論を実践しました。
ジェイコブは外部から資金を導入することによって、ロスチャイルド父子銀行(NM Rothschild & Sons)を強大にして、シティにのさばりだした日米を中心とする国内外の一般大手銀行に挑んだのです。
この方針に従って、ロスチャイルド父子銀行(NM Rothschild & Sons)は、企業のM&Aなどを積極的に行い業績も急上昇しました。
そして、老舗のマーチャント・バンク(国際銀行)の見事な復活がシティの注目を集めだしたとき、ロンドン・ロスチャイルド家に亀裂が走りました。
既に紹介したように、ロスチャイルド父子銀行(NM Rothschild & Sons)の株は、その60%がアントニー家族のもので、その息子イヴリンが握っています。
にもかかわらず、20%の株しかないヴィクターの息子、ジェイコブが銀行経営の主導権を握り始めたことで、大株主のイヴリンが苛立つようになり、深刻な対立が生じたのです。
感情的なもつれまでこじれたロスチャイルド父子銀行(NM Rothschild & Sons)の内紛を調停する意味もあって、1975年、それまで銀行の経営を敬遠していたヴィクターが頭取に就任しました。
ジェイコブはヴィクターの息子(先妻の子)ですが、二人を仲直りさせることが出来ないまま、ヴィクターは頭取職をイヴリンに譲って、自らは持ち株会社ロスチャイルド・コンティニュエーションの会長に退きました。
ジェイコブには、ロスチャイルド投資信託銀行(RIT)の経営を任せることにしました。すなわち、ジェイコブはロスチャイルド家の本流である父子銀行の実務からはじき出された形になってしまったのです。
この対立は、経営戦略の対立でもありました。イヴリンが伝統的なロスチャイルド家の手堅い経営を主張するのに対して、ジェイコブは積極的経営をしなければいけないと多少のリスクがあても突っ走りました。
ジェイコブの仕事そのものがロスチャイルド父子銀行の名誉を汚すとみるイヴリンとの確執がどうにもならなくなった1980年、ジェイコブはロスチャイルド投資信託銀行(RIT)の社員を率いてシティのロスチャイルド父子銀行を飛び出しました。
これをもって、ロンドン・ロスチャイルド家はついに分裂しました。
1947年の株式会社化のときにアントニーが行った株の不均等配分には特に意図はなく、みんなのために良かれと思ってしたことだったと受け止められています。
しかしながら、それによってロンドン・ロスチャイルド家内部に、互いに口もきかなくなってしまった深刻な対立が生じてしまいました。
家訓を破った報いは、あまりに大きかったのです。
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