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シャープ、液晶パネル工場停止 テレビ向け国内ゼロに

2024-05-13 18:59:15 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


シャープは堺ディスプレイプロダクトの生産を9月末までに全面停止する

 

シャープは13日、テレビ向けの液晶パネルを生産する工場の稼働を停止する方針を固めた。

2023年3月期に連結最終損益が2608億円の巨額の赤字になる主因となっていた。不振が続く液晶パネル工場の操業を取りやめ、損益改善につなげる。稼働停止により国内でテレビ向けの大型パネルを手掛ける工場はなくなる。

 

シャープ子会社の堺ディスプレイプロダクト(堺市、SDP)の工場の稼働を9月末までにやめる。SDPはシャープが09年に約4300億円を投じて設立した。

シャープはSDPの業績悪化に伴い12〜16年に経営不振に陥ったほか、23年3月期はSDPの生産設備を中心に液晶関連で1884億円の減損損失を計上した。

 

テレビ向けのパネルは2000年代半ばまで日本の電機産業のけん引役として期待されていた。

だが、韓国勢に続き、中国でも次々に新興メーカーが成長すると状況が一変した。ソニー(現ソニーグループ)が12年に韓国サムスン電子に液晶パネル製造の合弁会社の株式を売却したのに続き、16年にパナソニック(現パナソニックホールディングス)が生産を止め、日本勢の退潮が鮮明になっていた。

 

国内で唯一、生産を続けてきたシャープも世界市場での価格競争に対抗できなかった。

テレビ向けのパネル事業は新型コロナウイルス禍での巣ごもり需要の反動などで赤字が続いており、抜本的な事業改革には生産停止が最善と判断した。

 

テレビ向けのパネル事業は新型コロナウイルス禍での巣ごもり需要の反動などで赤字が続いており、抜本的な事業改革には生産停止が最善と判断した。

シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入る過程で、一時は鴻海創業者の郭台銘氏の投資会社が救済目的でSDP株の過半を取得したが、19年までに海外ファンドなどに売却した。その後、鴻海側の意向を受け22年6月にシャープが再び子会社にした経緯がある。

 

テレビ大手に対する供給責任を果たせるよう9月までに在庫を確保した上で、稼働を停止する。

停止後は工場の建屋を他社に貸し出すことを検討していたが、借り手が見つかるかは不透明で調整を続けている。今後の状況次第ではSDP社員を対象にした早期退職の募集を検討する。

 


シャープは液晶パネル生産子会社の一部社員をソニーグループ傘下の企業に出向させる検討を始めた
(写真は三重県の亀山工場)

 

スマートフォン向けの中小型パネルを手掛ける三重県などの工場技術者らの一部をソニーグループ傘下の半導体企業に出向させる検討も始めた。

シャープディスプレイテクノロジー(三重県亀山市、SDTC)が一部の社員を出向させる見通し。

 

SDTCは亀山工場(同市)、三重工場(同県多気町)、白山工場(石川県白山市)の3工場を運営する。

人数や時期などの詳細は今後詰めるが、生産現場のキャリアの長い技術者らを想定している。

 

高級機種を中心にスマホやタブレット端末の画面は液晶から有機ELへの移行が進んだ。

市場が縮小するなか、テレビ向けのパネルと同じように中韓両国のパネル大手との間で激しい価格競争が続いている。米調査会社DSCCの調べによると、実質的に米アップル向けのパネルを手掛ける白山工場の23年の稼働率は1〜5割程度にとどまった。

 

亀山と三重の両工場の稼働率も伸び悩んでおり、シャープの23年4〜12月期の液晶パネル事業の営業損益は494億円の赤字と、前年同期と比べ赤字幅が221億円拡大した。

一方で、半導体業界は人材不足が深刻化している。候補に挙がるソニーの半導体会社はシャープの人材を取り込み、不足を補う狙いがありそうだ。

 

 

シャープは14日に24年3月期の連結決算と液晶パネルを巡る改善策を公表する予定。24年3月期は現時点で100億円の最終赤字を見込んでいるが、追加の構造改革費用が発生し、赤字が膨らむ可能性もある。

 


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