私魚人(あいうおんちゅ)~定年親父の魚三昧:タナゴ仕掛けとガサで出会った魚たち~

50年続けた魚遊び。胴長ガサガサもしんどい。ならば釣りだ!野遊びだ!タナゴから珍魚・駄魚釣りへ!地元の生き物探しへ!

「にょろり旅」3部作

2018-11-16 10:54:21 | 書籍紹介
2018年11月16日(金)

今日は、最近読んでる「にょろり旅」3部作の紹介。


世界で初めてニホンウナギの産卵場所付近を確認した日本最高学府とされるT大学海洋研究所の「ウナギグループ」。
マリアナ海溝付近を産卵場とし、日本までの遠距離をわざわざ大回遊するニホンウナギ。
この謎を解くためには、まずウナギ類全18種を採集し
遺伝子解析などから類縁関係や系統をまとめておく必要がある。

熱帯域のウナギ類は手に入らないからと、教授と若い研究者2人が自ら採集に旅立つ冒険記なのである。

ときどき海外へと魚の採集旅をする身には人ごとに思えず
苦労の1つ1つがしみじみとおもしろく、一気呵成に読ませてもらった。


「アフリカにょろり旅」 (青山潤著:講談社 2007) 第23回(2007年) 講談社エッセイ賞受賞


アフリカのウナギ類のうち、最も採集困難だった生きたラビアータを入手するまでの過酷な冒険旅行記。

何度も書くケド、大変面白いことを前提に
2点ほど、あえて「おやっ?」と感じたことを書いておくことに。

1点目は、筆者は幾度となく「採集」と書かれているけど、「収集」じゃないのかなあ? ということ。
生息地にあたりをつけ、4000kmも移動し続けられてる旅には敬意・尊敬以外ないけれど・・・
行く先々で市場をのぞき、漁民たちに伝え、賞金を提示して採集してきてもらおうとされておられる。
これは、やっぱり採集じゃなく収集だと思うんだよね。

2点目は、収集ならば「身振り手振りとその場で描いたスケッチ」よりも
「あらかじめ用意されたラビアータの手配書(パンフレット)を何で用意しなかったの?」 という疑問。

もちろん自分たちで釣ろうとする場面もあったケド・・・


「うなドン 南の楽園にょろり旅」 (青山潤著:講談社 2011)


ドイツと台湾両研究チームと競い、東南アジアを舞台に「世界初の全ウナギ18種採集制覇!」を目指す過酷な冒険旅行記。

何度も何度も書くケド、大変面白いことを前提に
3点ほど、さらに「おやっ?」と感じたことを付け加えて書いておくことに。

1点目は、タモ網とヤスを使っての自ら採集する場面が悲惨すぎること。
次々とヤスでつき、タモで採り、棒で殴り、歯並びを確かめていく。
求める種類でないことが解れば川へとほうり投げ・・・が、延々と続く場面がある。
素人ゆえによくわからないまま失礼なことを書くと
「何で麻酔薬を用意しなかったの?」「もっとお手柔らかな方法はなかったの?」
「現地の漁師に任せた方がよかったのかも?」 と思っちゃうのである。

2点目は、この採集のようすは現地の自然環境を無視した行為であるということ。
魚に限らず生き物の尊さを軽んじた採集が、日本最高学府研究チームで行われてたことが残念だなあ。
いくら使命があるにせよ、少ないながらも国の予算を使ってるんだから、もっと節度ある手段はなかったのかね?
私ら自腹のお魚趣味旅行へ行くときは、それなりに遠慮・配慮しながら採集してるんだもんなあ。
何となく同じ日本人として少し恥ずかしくなってしまった。

3点目は、世界初で「全18種を自らの旅行で採集できた」と自負され
インビトロ(研究室内にこもる)な研究を少々小バカにしてるような表現を感じること。
「結局、現地へ行ってターゲットを漁師に依頼して入手する」のなら
「日本の研究室から現地の方々と連絡を取り合い手配してもらう」こととあまり変わりはないよな、と思ったんだよなあ。


「にょろり旅・ザ・ファイナル 新種ウナギ発見へ、ロートル特殊部隊疾走す!」 (青山潤著:講談社 2013)

70年ぶりの新種ウナギ(19種目)発見を達成するまでの過酷な冒険旅行記。


この本が一番落ち着いて楽しく読めるかな?
書き疲れたのでもうやめとこ。 


なお、蛇足を2つ・・・
これらの3冊、図書館で借りた。
生物関連のコーナーではなく、一般の海外旅行記のコーナーにある。
気付かんかったなあ。
もっと早く読んでおきたかった3冊なのであった。

少々辛口な感想になったのは
以前あらぬとばっちりでT大の先生に1時間ほどお説教をくらったせいではない。(いや腹いせかもしれんな)
あんときは訳が分からんまま、ひたすら「すみません」を繰り返したケド・・・
あの先生の学問に対する真摯な姿勢は「何で怒られとんか分からない」ながら流石だったもんな。
別人にさえもあれほどお叱りになられるとは・・・


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