私魚人(あいうおんちゅ)~定年親父の魚三昧:タナゴ仕掛けとガサで出会った魚たち~

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ヒョウモンモドキ Melitaea scotosia :雌雄と蛹

2023-08-07 10:57:08 | チョウ・ガの仲間
2023年8月7日(月)

ヒョウモンモドキ Melitaea scotosia メス

20230616 

いわゆる「~ヒョウモン」蝶と比べ、小さく、飛び方も低空飛行で弱々しく感じる。
かつては、中部地方と中国地方と2つ生息地があったが、今では広島県の三原市と世羅町の保護地域とその周辺だけ。
環境省レッドデータブック:絶滅危惧IA類
種の保存法指定種
なのだ。
だから、もちろん捕獲も飼育も禁止、犯罪だ。

世羅町への用事ついでに『せら夢公園』へ何度か足を運んでた5月以来の話。
旧知の職員さんにビニルハウス内での保護・繁殖活動の様子を少し見せていただいた。
食草のキセルアザミをニホンジカの食害から守るため集めてプランター栽培しておく。

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不足の年は、地域のボランティアがアザミを集めてきたりもするそうだ。

すっかりゼブラ模様の蛹になっていた。


幼虫の中には、白い網戸で蛹になるあわてんぼう(光走性のため?)もいて

その場合、網戸の一部を切り取り、プランターの小枝へ。
なるほど!網戸はつぎはぎすればいい!

羽化し、外へ出たがってるオスもいた。

が、羽化した多くのヒョウモンモドキたちは交尾し、キセルアザミへ産卵行動をしていた。

そして、繁殖行動にひと段落着いたと思われる個体は少し、自然観察園へと「放蝶」される。
「見に来てくれた運のいい方々へのごほうびです!」と職員さんは満面の笑顔だ。

6月に訪ねたとき、マアザミに翅がボロボロになった個体をみつけた。


何度も翅の開閉を繰り返し、近づいてもまったく逃げようともしない。


メスだろうと思うものの、どっち側に回っても、きっちり判別できる肝心の斑点のところが破れてたり、鱗粉がはがれてたり・・・


自然観察園をぐるりと散策し、いろんな生き物たちと出会った登り道で
じっと撮影されてる若い娘さんの姿をみつけ、近寄った。

今度は、翅の痛んでないきれいな2頭目だ。
「おとなしいんです!さっきから動かず撮らせてくれて・・・、私、初めて会えて嬉しくてドキドキして・・・」

職員さんの思いが気持ちよく受け止められてるじゃないかっ!

ただ、平日の自然観察園はがらんとしてて、夏のサギソウのときのような賑わいはまったくない。
足を運ぶ価値は、サギソウよりもはるかにあると思うのだけど・・・


私は、幸運なのだろうか?
昨年はオスに出会えた。



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オスはメスに比べ鮮やかで
後翅裏側ので囲んだ斑点が、オスは橙色・メスは黒色。


アザミ類は、放置すると単子葉植物におおわれ繁茂しなくなる。
かといって草刈りの時期を誤るとアザミ類の成長もダメになる。
シカの食害もあり、他の力強いヒョウモンチョウたちとの競争にも負ける。
田畑などの開発や農薬など、人為的な影響はもちろん多大であり、放棄され荒地となってる課題もある。
マニアによる採集圧が拍車をかけた時代もあった。
かくして、かつて日本各地に普通に見られたヒョウモンモドキ族も全種絶滅へと追いやられてる。
人の手で保護・繁殖の管理をしていかねば種の維持ができないのは、淡水魚でいえば『タナゴ類』と似たようなもんだ。

諸事情をふまえれば、しょせんいずれは絶滅の運命にある命なのかもしれない。
が、一年でも長く延命・繁殖させ、自然復帰できるものならば、と願う。

きれいごとのように思われるかもしれないが、きれいごととは理想でもある。
理想を胸に抱くことなく現実を憂いているのなら、それはただの『愚痴』だ、と私は思う。

「たまに早秋に2回目の羽化をする個体もいるんですよ。また、会いに来てください」と職員さんは笑顔で言った。
その笑顔は、他の自然保護活動にかかわってる方々と共通するあきらめない笑顔だ。

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