Risa’s 音楽雑記

ピアニスト 山形リサのブログです。
音楽の話を中心に、日常の出来事などを気ままに綴っています。

危ない音楽

2007-03-13 10:21:22 | Weblog
突然ですが、

「絶対に間違えてはいけない曲」

があるのをご存知ですか?


一音でも間違えたり、止まったりしたら、死刑・・・・


怖いですよね~~~

でも、あるんですよ。
そんな曲が!

しかも、私は一度だけそれを演奏したことがあります・・・・


日本では考えられませんが、タイでは'国歌’の代わりに'国王賛歌’というものがあります。

そして、王族の方はそれぞれ'ご自分の音楽’をお持ちになっていて、登場されるときには必ずその音楽が流れ出します。

王族の方・・・といっても、けっこうたくさん居られるので、私なんかは、どれがどの方の音楽なのかさっぱりわかりませんでした。
(タイの方は、きちんとわかってらっしゃるからすごい!)

そして、音楽が鳴ると同時に、全員起立し、王族の方がご着席されるまで直立不動の体勢をとるのが慣わしです。

ちなみに、映画館で映画を観る時にも、必ず国王賛歌が流れ出し、全員起立して音楽をきかなければいけません。

日本では「君が代」一つで大騒ぎですから、それと比べると信じられない世界でしょうね



さてさて。

公式行事では、この国王賛歌が必ず演奏されます。


王様には、国王賛歌を演奏するだけの『楽団』があり、彼らは生涯それだけを演奏するのだそう

もちろん、ミスは許されず、失敗すると死刑になるそうで・・・(ほんとかな?)

王様が登場されない場合には、テープでの演奏もありなのですが、これがかなり恐ろしい!

停電など、いかなる理由があるにしろ、国王賛歌の演奏を途中でとめてしまうと即刻死刑なんだそうです

リハーサルでも、曲をとめることは許されません。
音が聞こえているタイ人は、全員、直立不動になっています。

余談ですが、昔、日本人学校で、練習用に国王賛歌を何回もかけてチェックしていたところ、付近の住民から「仕事ができない」と苦情がきたそうですよ~


タイは電圧が安定していませんし、気候柄、電化製品がどうしても壊れやすいんです。

放送担当にあたった方は、日本人でも責任重大
みなさん、神経をすり減らしていらっしゃいました。


そんな放送室での合言葉は「24時間以内に本帰国」


もし万が一、失敗があったとしたら、24時間以内に日本へ逃亡してしまえば命が助かる・・・・という意味なんですが、ものすごい緊迫感ですよね


たった一度、リハーサルの時に、放送機器が完全ストップ状態になったことがありました。
関係者は全員、真っ青です


そんなとき、

「山形さん、弾ける!?」

の一声が・・・・・。


「弾ける?」と聞かれると「弾けます!!」と言いたくなるのが、奏者の常。

よせばいいのに、つい反射神経的に「弾けます!」と応えてしまったんです


かなり単純なハ長調アレンジだったので、なんとか無事には終わりましたけど、
弾き出してからの後悔はすさまじいものがありました・・・

周囲からひしひしと伝わってくる

「山形さん、失敗したら本帰国だよ~~~。」

の内なる声。

あとから、これからは山形さんに頼んだほうがいいね~と言われましたが、二度と絶対に弾かない!!と思ったのは言うまでもありません。

川岸麻理ピアノ・リサイタル

2007-03-11 22:28:38 | Weblog

ヴィオラの藤原歌花さんからお誘いいただき、3月9日(金) 東京文化会館小ホールまで、川岸麻理さんのピアノリサイタルを聴きに行ってきました♪

歌花さんの高校時代からのお友達・伴奏者なんだそうです

とってもすばらしい演奏会でした
ほんとによかった!

曲目は

J.S.バッハ作曲  半音階的幻想曲とフーガ

C.ドビュッシー作曲 喜びの島

A.スクリャービン作曲 詩曲 作品51-3
            二つの詩曲 作品32   
            ピアノ・ソナタ第五番

R.シューマン 花の曲 作品19
        交響的練習曲 作品13(遺作付)

です。
この多彩なプログラムもうれしいですね。

バッハのクロマティックファンタジー。
この曲は、ほとんどの音大生が一度は弾くんですけれど、私はどうにも苦手・・・。
あんまり好きになれません。

とくにフーガの出だしのテーマ。 
これが私の緊張を最大限に引き出してくれちゃいます。
結果、自滅的速度でひくこととなり、一度も成功した試しがありません。

ですが、川岸さんの演奏は・・・・
まるで音の洪水
各声部が次から次へ、出ては重なり、交わり・・・・。

「α派が引き出されてる~!!」

という感じです。

嫌いな曲だったのに、こんなに素晴らしい曲だったとは・・・・


スクリャービンのポエムは、私の知っている曲とは違った印象を受けました。
特に、作品32の方が。。。

ソナタの5番!
これはいい曲ですよね!
川岸さんのテクニックが羨ましくなりました

私はスクリャービンのソナタは、4番と5番が好きなんです
まだレパートリーにはなっていないんですけどね


シューマンの花の曲。
これは初めて聴きました。

でも・・・。
なんだか曲がつまらない
(演奏はすごーく上手なんです!!)

実は私、先生からは「あなたには絶対シューマンが向いているわ!」と言われるにもかかわらず、かなりシューマンが苦手なんです。
なので、ろくに練習もしないまま過ぎてしまったので、いまいちシューマンの世界観が・・。
ピアノをやっているくせに、クライスレリアーナの良さもわからないくらいなのです


ところが・・・・!!!


川岸さんのシンフォニックエチュードが、そんな私にガツンと一発、目を覚まさせてくれました!!

素敵・・・・

こんなに面白くて、素敵な曲だったなんて・・・

多分、川岸さんのレパートリーなんだと思いますが、本当に隅々まで、くまなく考え抜かれた演奏でした

この曲は大学院の試験で何人もの友人が弾いていましたけど、こんな風に感じたことは無かったですね。

感激です。

こんな風に弾けるのなら、私もシューマンをきちんとやってみたい!と思いました。

うん!
今年は、シューマンをやってみます


山積み・・・・

2007-03-09 08:12:38 | Weblog
ふと気がつけば、またピアノの上が楽譜だらけになっています。

これは全部、私が今かかえている曲なんです。

一番奥に積まれている楽譜は、かなりのピンチ状態
ピアノソロ譜になりますが、まだ予定の練習の半分しか進んでいません

今月はちょっと本気で練習に励みます

私の場合、初見で簡単に弾けたとしても、自分できっちり練習をしていなければ、本番で満足のいく演奏ができないタイプ。

特に、クラシックを演奏しているということもあって、「その場でどうにかなる」の演奏はできません。

クラシックの場合は、みんなが同じ曲を一音も違わずに演奏するわけです。

音を変えたり、曲をアレンジしたりすることで自分の個性をだすのではなく、
音楽表現に自分の個性が現れるのです。

ちょっと融通が利かなくて、不便なこともありますが、一番好きな音楽・ピアノはこれなんですよね

気合入れて、乗り切ります

コンサートの日程

2007-03-08 23:34:05 | Weblog

昨日は、ヴァイオリンのなつめさんと、練習をした足で、そのままホールの予約に行ってきました

場所は千代田区の内幸町ホール
最寄り駅は、JR新橋駅、地下鉄内幸町駅になります


日程ですが・・・。

当初の計画を大幅に変更し、来年の2月3日となりました~~


そう。
今年じゃないんです。
来年です・・・。

お知らせには早すぎますが、8月がどうしても不可能になってしまったので、みなさまにはご報告をしなければと・・・

私となつめさんの予定を合わせて考えると、お互い、他の仕事がありますので、コンサートをできそうな日程が、今年は8月しかないんです。

なんとか今年中に・・・といろいろなホールを探しましたが、お盆以外は空いていないんですよ
条件の良いホールほど、早くから予約が入ってしまうので仕方ないですね。

ということで、今年はレパートリーの増量を目指してがんばっていきます。


代役

2007-03-06 23:12:33 | Weblog
今日は、北習志野まで オペラ歌手 橘 麗子さんの代役として、日本叙情歌合唱団「香音~かのん~」のレッスンに行ってきました


朝一番で、麗子さんからお電話が・・・

高熱が続いていて、かなり体調が悪いご様子です。
ここ数日、お仕事の件で、何度かお話をしたのですが、どんどん声の調子が悪くなっています。
(麗子さん、はやくお元気になってくださいね

急遽、合唱団のレッスンへ、私が代役として行く事になりました


もちろん、私は声楽の専門家ではありませんので、麗子さんのようなご指導はできませんが、17日の本番へ向けて、少しでもお役に立てたら・・・という思いで、すぐに出発の準備です


「どうしようかな~。」
「大丈夫かな~。」


いろいろ心配はありましたが、いざ行ってみると、とっても楽しくて、久しぶりに時間を忘れてしまいました

みなさん、とてもお上手なんです
それに、すご~く協力的で、温かい人たちばかり

私の話を一生懸命聞いてくださいますし、積極的に練習に取り組んでいて、そのパワーがとてもいい雰囲気でした

ほとんどの方が、MDやテープにレッスンを録音していて、後でしっかり自主練習をするんだそうです。

すばらしいですね

真剣な姿、熱意に私もすっかり興奮してしまいました


伴奏者としての立場からも、今日のレッスンは非常に有意義な時間でした。

各パートの練習をすることによって、伴奏の必要な音がわかったり(歌の音程がとりやすいように、和音の中から、ある音を強調したり、カットしたりします)、合唱ならではの'間’を感じたりすることができました。


「いつもどおり練習ができました。」

と、みなさんが最後に言ってくれたので、私もホっと一安心です

17日の本番がますます楽しみになりました


すごく素敵な編曲・ハーモニーになっていますので、歌がお好きな方は、ぜひ聴きにいらしてください。

詳細はHPのコンサート情報のところに載っています。
http://homepage2.nifty.com/risa/


図書館での秘密

2007-03-05 12:54:31 | Weblog
こんなところでなんですが、ずいぶん時間も経っているので、そろそろ時効かな・・・と、秘密の暴露をしちゃいます



ロシアのとある大学の図書館でのこと・・・。


館内の本は全て持ち出し不可。

希望の本がある場合は、全てコピーをお願いしなければなりません。

私は、修士論文用の文献を収集しに行っていたので、ものすごい量をお願いしなければなりませんでした。

後日、それを受け取りに行ったときのことです。


「これとこれは図書館に二冊ずつあるんだ。
 特別に1冊を、君にあげる。
 でも、絶対誰にも言わないでね。
 日本に帰っても連絡してね。
 来年、君がこの大学に来るのを待ってるよ。」

と言って、数冊の本を無料でもらっちゃったんです。
もちろん、コピー代は別に、きちんとお支払いしました。

一枚10円のコピーで「高い」なんて言ってられません。  
けっこうなお値段でした・・・

違う図書館ではドルで(外貨の方が価値が高かったので)個人的に要求されたりもしました・・・

こういう経験をすると、つくづく日本は便利なんだな~~と思います。


私は、ロシア語の先生から

「危険がついてまわるので、絶対に小汚い格好をして歩きなさい。」

と言われていたので、よれよれのTシャツ、トレーナー、ジーンズといった風貌で
動いていました。

ロシア語もカタコトでしたし、一人で奮闘しているアジア人を可哀想に思ったのか、コピーするのが面倒くさくなったのか・・・・


結局、その後、お礼のメールすらせずに終わってしまいましたが、ものすごいラッキーな出来事でした。

ロシアを知っているどなたにお話しても、みんな「信じられない!」と言います。


私、こういう運は、なぜかけっこうあるんですよね~


かなり貴重な文献なので、いつか日本語訳でもできたら・・・と思うのですが、今のままで行くと数十年先になりそうな勢いです・・・

楽譜の価値

2007-03-04 12:52:19 | Weblog

日本では珍しいかと思いますが、海外に行くと、中古楽譜の専門店があったりします

私がロシアへ行った時、普通の楽器店の楽譜コーナーの片隅に、中古楽譜が山積みになって売られていました。

ロシアでは、「紙」自体が非常に貴重なものだったので、生活水準から考えると、楽譜の価格がとっても高かったのだそうです。
なので、中古楽譜で勉強するのは、ピアニストにとってわりと一般的なことだったとか・・・。


もちろん、新しい楽譜で練習をスタートするのが一番ですが、知っている曲に関しては、他の人のいろいろな書き込みをながめるのも、また違った面白さがあります。

指使い一つみても、体型の違いがわかったり、フレージングの違いを感じたりします。


私のロシア旅行の目的は、楽譜とロシア語文献の収集だったので、ありったけの楽譜を買い漁ってきたんですよ

帰国の際は、持ち込んだ荷物のほとんどを捨て、代わりに本を詰め込んで持ち帰りました。
それでも重量オーバーした分は、手荷物のバッグとリュックに詰め、平気な顔をして検査ゲートを通過したものです。
肩には思いっきり、痣ができていましたけど・・・・


いろいろ珍しい楽譜があるので、今年はそれを整理して、きちんと活用できるようにしたいと思っています。


う~ん、一日36時間あったらいいのになぁ・・・。

気になること・・・・

2007-03-02 20:31:29 | Weblog

ずっと心に引っかかっていることがあります。


プロコフィエフのヴァイオリンソナタ 第四楽章。

5~6小節目と、126~127小節目の違いの意味がわからないのです

ピアノパートですが、両手で 

Fis D A Fis D A G と16分音符で降りてくるパッセージがあります。

高さは右手が三点嬰へ、左手はその2オクターヴ下です。
(説明しにくい~~~


なんてことないパッセージですが、これがなかなか弾きにくい


やっと手が憶えたと思うと、次は

Fis D A Fis D H G




「・・・・・・・なぜ??」


ミスプリか、プロコフィエフさんの書き間違いではないかと思ってしまいます


どうして、A→H なんでしょう??


気になって仕方がありません。

どなたかわかる方がいらしたら、ぜひ教えてください